英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第148話
~オルキスタワー・屋上~
「………………………」
大樹を見たロイドは厳しい表情をし
「こ、これは……」
「大樹……?」
リィンとエリゼはそれぞれ真剣な表情で呟いた。
「クク――――素晴らしい!まさに特異点の産物……かの”塩の杭”を遥かに超える”予定外の奇蹟”と言うべきか!」
その時ノバルティスは興味深そうな表情で叫び
「…………………………」
ディーターは呆け
「なるほど。全ては”アレ”の為だったのか。」
「フン、やり方といい、考え方といい、ユン・ガソルを滅ぼしたあの野郎――――ジルタニアに似てやがるなあ?」
ヴァイスは厳しい表情で呟き、ギュランドロスは怒りの表情で呟いた。
「ま、待ってくれ!あの巨大な樹が”零の至宝”の完成形って……」
するとロイドは声を上げ
「キーアちゃん…………貴女はどこに!?」
エリィは血相を変えてキーアを見つめ
「……………あの”大樹”が”キーア自身”だよ…………」
「!!」
「そ、そんな…………」
静かな表情で答えたキーアの言葉を聞いたロイドは目を見開き、エリィは信じられない表情をした。
「フフ、既に気付いているなんて一体どこのどなたかしら?キーアさんに非常に似ているようですが………おかしいですわねえ?”零の至宝”の”予備体”や”試験体”等を作った記録はありませんのに。」
「…………………」
妖しげな笑みを浮かべて言ったマリアベルの言葉を聞いたキーアは複雑そうな表情で黙り込み
「ベルッ!!」
「テメェ………それ以上言ってみろ!マジで殺すぞ!?」
エリィとランディは怒りの表情で叫んだ。
「まあ、殺すだなんて、さすがは私達を処刑すると宣言している野蛮な考えをしているヴァイスハイト局長の部下だけはありますねえ?一体どんな教育をしたのやら……」
ランディの言葉を聞いたマリアベルは目を丸くした後呆れた表情をしたが
「少なくとも下らん妄執に囚われた貴様らクロイス家の教育よりはずっとマシな教育である事はハッキリと言えるな。」
「何ですって……………!」
不敵な笑みを浮かべて言ったヴァイスの言葉を聞いて怒りの表情になった。
「………彼女の心と身体が失われたというわけではない。そのあたりは安心するがいい。」
その時アリオスはロイド達に助言し
「だが、これより彼女は全ての”調停者”となる―――彼女にとっても、君達にとっても悪い結果にはならないはずだ。できれば見守ってあげて欲しい。」
イアンはロイド達に説明し
(そんな事をしようとしてももう無駄だよ……キーアがそんな事、させないし……エイドスやフィーナ、ミントだっているからいくらやっても無駄だよ……)
キーアは目を伏せて黙り込んでいた。
「い、いったい何を…………」
「ワケ判らなさぎだろ……!」
一方ティオは戸惑い、ランディは目を細めて言った。
「ホントそうだよねー。でも楽しければそれでいいんじゃない?」
「クク、まあ邪魔するつもりなら遠慮なく相手をしてやろう。これも契約の内だからな。」
「……こいつらの企みは知ったこっちゃないが……来るんなら今度こそ徹底的に潰してやるぜ………」
「ウフフ……それでは皆さん、御機嫌よう。―――それとお父様。今までお世話になりましたわ。単純で、ロマンチストで愚かしくはありましたけれど…………わたくし、お父様のことが決して嫌いではありませんでした。」
そしてマリアベル達の画面は消えた!
「……………ベル…………」
画面が消えるとディーターは呆けた声で呟いて地面に膝をついて顔を伏せ
「娘にまで利用された挙句、捨てられたか…………」
「本当に愚かな親子だぜ……」
その様子を見たヴァイスとギュランドロスは不愉快そうな表情で呟いた。
「フフ、役目が無ければ私も最後まで付き合うんだが…………まあ、せいぜい遠くの地で続報を聞かせてもらうとしよう。」
その時ノバルティスは口元に笑みを浮かべて装置を操作して、アイオーンを動かし始めた。
「ウフフ、そんな事をさせる訳がないでしょう♪」
するとその時、聞き覚えのある少女の声が聞こえた後大鎌がノバルティスの真上から飛んできて装置を持っているノバルティスの腕を斬りおとし、戻って行った!
「え―――――――」
その事に気付いたノバルティスは呆け
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアア―――――ッ!?わ、私の腕が……!?」
斬りおとされた部分から大量の血を噴出させて悲鳴を上げた!その時レンを片手に乗せた”パテル=マテル”がノバルティスの側に着地した!
「あ――――」
「レ、レンさん!?」
それを見たロイドは呆け、ティオは驚きの表情で叫んだ。
「クスクス。みんな、オルキスタワーの攻略、お疲れ様♪まあ、その前に……邪魔者は消しておかないとね♪」
”パテル=マテル”の片腕に乗っているレンは微笑みながらロイド達を見つめた後飛び降りてノバルティスを凶悪な笑みを浮かべて見つめ
「や、やめろ………この私を殺せば世界は大きな繁栄に導かれないのだぞ……!?」
レンに見つめられたノバルティスは恐怖の表情でレンを見つめて叫んだその時
「お生憎様♪”結社”の”盟主”は既にパパ達によって殺されているから、もう”結社”は完全に崩壊しているわよ♪」
「なあっ!?」
凶悪な笑みを浮かべて言ったレンの言葉を聞いたノバルティスは絶句した。
「”パテル=マテル”―――――握り潰しちゃいなさい。」
そしてレンは凶悪な笑みを浮かべて指示をし
「―――――――!」
”パテル=マテル”は目を光らせて両腕をノバルティスに伸ばし
「や、やめろ、”パテル=マテル”!創設者であるこの私を殺――――――」
何かを言いかけたノバルティスを両腕の中に閉じ込めて握り潰した!
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア―――――――――――――――――――――ッ!?」
敵を両腕で握り潰して圧死させる残虐なクラフト―――――ギガントプレスによって握り潰されたノバルティスは断末魔を上げながら絶命した!すると”パテル=マテル”の両腕から絶命したノバルティスの血が流れ出し、”パテル=マテル”は両腕で掴んでいるノバルティスを放した。するとペシャンコになり、無残な死体となったノバルティスが地面に叩きつけられた!
「!!」
「…………っ…………………」
「ひ、酷い……………」
「殺すにしてもエゲツなさすぎだろ…………!」
「………………………」
無惨な姿となったノバルティスの死体を見たロイドは目を見開いて息を呑み、ティオは辛そうな表情で目を瞑り、エリィは悲痛そうな表情をし、ランディは厳しい表情をし、キーアは辛そうな表情で黙り込み
「う……………」
「エリゼ、見るな!!」
吐き気を感じ、表情を青褪めさせたエリゼに気付いたリィンはエリゼを自分の胸の中へと抱きしめた。
「うふふ………さすがに”こんなの”があったら、みんな気持ち悪くなるからさっさと焼却した方がいいわね♪――――メルカーナの轟炎!!」
ロイド達の様子を見たレンは口元に笑みを浮かべて言った後魔術でノバルティスの死体を焼き尽くした。
「さてと。こっちも始めるか。」
「フン、そうだな。」
その時それぞれの剣を鞘から抜いたヴァイスとギュランドロスはディーターに近づき
「ま、まさか君達は本当にこの私を…………!き、君達は警察と警備隊だろうが!?そんな事をして許されると思っているのか!?」
近づいてきた二人を見たディーターは信じられない表情をした後怒鳴り
「違うな。俺達は”王”だ。」
「”王”の裁きは合法だぜぇ?」
ヴァイスとギュランドロスはそれぞれ不敵な笑みを浮かべて答え
「!!局長!司令!」
「「……………っ………」」
「………………………」
「や、やめて下さい…………!おじさまもベル達に騙された被害者なんですよ!?」
その時ロイドは声を上げ、キーアとティオは目を瞑って黙り込み、ランディは目を伏せ、エリィは悲痛そうな表情で叫んだ。
「例え騙されたとしても今回の件を実行したのはこの男の上”D∴G教団”の黒幕の一人でもある……………この男には被害を受けた者達の為にも責任を取らせる必要がある。―――――この男自身の命と引き換えにな。」
「テメェのくだらねぇ野望のせいで死んで行った警備隊員や市民達、”D∴G教団”の贄となったガキ共にあの世で詫びなあっ!!」
そしてヴァイスとギュランドロスは剣を突きの構えにし
「や、やめ―――――」
ディーターは後ずさりながら叫びかけたその時
「「暗君ディーター……覚悟っ!!」」
ヴァイスとギュランドロスはそれぞれの剣でディーターの身体を貫いた!
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア――――――――ッ!?」
二人の剣によって身体を貫かれ、貫かれた場所から大量の血を流し続けるディーターは悲鳴を上げ
「おじさま――――――――ッ!」
エリィは涙を流して叫び
「―――――”D∴G教団”の糧となって死んで行った子供達にあの世で謝り、”煉獄”の炎に焼かれながら永遠に彷徨い、もがき苦しみ続けなさい!!」
レンは大鎌を振り下ろしてディーターの首を刈り取って、ディーターを絶命させた!
~東通り~
一方その頃キリカはタングラム門に向かう為に東出口に向かって走っていた。
「まさか”あんなもの”まであるなんて、想定外よ…………!大統領達に速く知らせないと…………!」
東通りを走っているキリカは厳しい表情で呟いた。するとその時
「―――――そうはさせませんよ。」
なんと東出口方面から漆黒の軍服を身につけた武器を構えたエルミナが道を塞ぐかのように現れた!
「!!”六銃士”―――――――――”鋼鉄の剣姫”!今は貴女に構っている暇はないわ!!」
エルミナを見たキリカは厳しい表情をした後攻撃を仕掛けたが
「おっと!エル姉には手を出させないよ~。」
エルミナの背後から跳躍してきた漆黒の軍服を身につけたパティルナがキリカの攻撃を防ぎ
「!!”暴風の戦姫”!こんな時に限って…………!」
攻撃を防がれたキリカは二人から距離を取って偃月輪を構えたが
「―――”将”である私達がたった2人でこんな所にいる訳がないでしょう。」
「!?」
呆れた表情で言ったエルミナの言葉を聞いて目を見開いた。”アハツェン”や地上型魔導装甲――――”パフォス”と”グロウ=ロウ”、そして”アシュラクナーナ”が数体ずつと警備隊員達がキリカを包囲した!
「な……………!?まさかこれらも全てメンフィルから譲渡された……!?」
それを見たキリカは信じられない表情をし
「ええ。―――――オルキスタワー攻略を手伝った事に免じて命は助けてあげましょう。大人しく降伏するなら痛い目には合わせませんよ。」
エルミナは静かな表情で頷いた後キリカを見つめて言った。
「…………………………………わかったわ……………………」
エルミナの言葉を聞いたキリカは悔しそうな表情をして唇を噛みしめた後、偃月輪を地面に落として両手を上げた。
「――――拘束しなさい。ただし、手荒に扱ってはいけません。」
「イエス・マム!!」
そしてエルミナの指示に答えた警備隊員達はキリカを拘束し
「その女はオルキスタワーの適当な一室にでも閉じ込めておきな。一応オルキスタワー攻略を”個人的”に手伝った”協力者”でもあるからね。」
「ハッ!!」
さらにパティルナの指示に答えた警備隊員達は拘束したキリカをアハツェンの中へと閉じ込め、オルキスタワーへ向かい
「パティ、私達もギュランドロス様達の元に行きますよ。」
「オッケー。フフ、ここから最高の展開だね♪」
その様子を見守ったエルミナとパティルナは”帰還の耳飾り”を使ってオルキスタワーの正面玄関へと転移し、エレベーターで屋上に向かって行った。
~西クロスベル街道~
「チッ…………!さすがにあれは予想外すぎんだろ!?」
同じ頃レクターはベルガード門に向かって街道を走っていた。すると行く先を防ぐかのように漆黒の軍服を身につけたルイーネが細剣を構えていた。
「!!…………おやおや………どうしてこんな所に貴女のような美しいお嬢さんがいるのかな~?一人でいたら恐い獣に喰われてしまうぜ~?」
ルイーネを見たレクターは目を見開いた後、いつものようなチャラけた様子でルイーネに声をかけ
「あらあらまぁまぁ♪お嬢さんだなんて♪もうそんな歳じゃないけど、こうして言われてみると嬉しいわね♪所でその恐い獣さんってどこにいるのかしらね?」
声をかけられたルイーネは微笑みながら答えた後尋ね
「フッ………それは俺様だぜっ!!」
尋ねられたレクターは剣を構えてルイーネに強襲した!しかし!
「あらあら。人間の皮を被った獣さんがいるなんて、ビックリね♪」
「ガッ……………!?ゴホッ!!」
自分の攻撃を紙一重で交わして、細剣で喉を貫いたルイーネの攻撃によって呻いた後口から大量の血を吐き出した!
「フフ、それじゃあね♪”結社”の”第四柱”さん♪」
「!?なんで、それを―――――」
そして細剣を喉から抜いて斬撃の構えをしたルイーネの言葉を聞いたレクターが信じられない表情をしたその時、ルイーネは細剣による斬撃でレクターの首を刈り取って、レクターを絶命させた!
「フフ、まさかお仲間さんが裏切っているとは夢にも思わなかったでしょうね♪さてと―――せめてお魚さんの餌にでもなっちゃいなさい♪」
レクターの死体を見つめて微笑みながら言ったルイーネは刈り取ったレクターの頭と身体を川に投げ捨て、投げ捨てられたレクターの遺体や首は川の流れによってどこかへと流れて行き
「フフ、すぐに参りますね、ギュランドロス様♪」
”帰還の耳飾り”を使ってオルキスタワーの正面玄関へと転移し、エレベーターで屋上に向かって行った。
こうして……………暗君ディーター、結社の”蛇の使徒”達はそれぞれ”六銃士”やメンフィルの手によってあっけない最後を遂げた………………!
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