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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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第147話

~オルキスタワー・屋上~



「や、やったか……!」

「これで何とか……!」

地面に膝をついたアイオーンを見たロイドとランディは明るい表情をした。

「ハア、ハア………」

その時ヴァリマールから光に包まれた息切れをしているリィンがロイド達の目の前に現れ

「兄様、大丈夫ですか!?」

「あ、ああ……何とかな………」

血相を変えたエリゼに尋ねられたリィンは息切れをしながら答えた。するとその時アイオーンにエネルギーが充填され始めた!

「霊子エネルギー、再び充填されています!」

それを見たティオは警告し

「そんな……!」

「……………」

警告を聞いたエリィは唇を噛みしめ、キーアは真剣な表情で黙り込み

「チッ……!疲弊しているリィンの様子からすると”ヴァリマール”を主力とした戦いはもう無理だな……!」

「構うものか!次は俺達”人間”の力を思い知らせてやるぞ!」

リィンの状態を見たヴァイスは舌打ちをした後厳しい表情をし、ギュランドロスはアイオーンを睨んで叫んだ。すると地面に膝をついていたアイオーンは立ち上がった!



「フフ、”零の至宝”よりこの機体は無制限の力を得ている。決定的に破壊されない限り、敗北はあり得ないというわけだ。」

「くっ……………」

「”至宝”とはそこまでの力があるのか……!」

アイオーンの中にいるディーターの説明を聞いたロイドは唇を噛みしめ、ヴァイスは真剣な表情で言った。

「フフ、君達の命を奪うつもりは毛頭ないさ。大人しく降伏して、私の理想に協力してくれれば――――」

そしてディーターが勝ち誇った様子で答えかけたその時、充填されていたエネルギーは突如消えた!

「!?な、なんだ……?」

エネルギーが消えた事に驚いたディーターが戸惑った。

「ど、どうしたってんだ……?」

「霊子エネルギーの供給が途絶えた……?」

その様子を見たランディとティオも戸惑った。するとその時アイオーンは地面に膝をつき、タワーの屋上に展開されていた装置は閉じ、アイオーンから光が出て来て、光が消えるとディーターが地面に膝をついていた!

「ば、馬鹿な……!?」

アイオーンから出てきたディーターは信じられない表情で声を上げた。一方その頃、市内に展開している魔導兵達は全て消えた。



~オルキスタワー・正面玄関前~



「おお……!」

「き、消えた……!?」

その様子を見たスコットや警官は明るい表情をし

「ロイド君、やったじゃない!」

「終わったか……」

「フウ………」

「ようやくいなくなったの~……」

エステルやアドルは笑顔になり、ナユタとノイは安堵の溜息を吐き

「……霊子の供給が途絶えたみたいね。」

「やれやれ……マジで疲れたぜぇ~。」

キリカは静かな笑みを浮かべて呟き、レクターは疲れた表情で溜息を吐き

「フッ……やりやがったな。」

セルゲイは口元に笑みを浮かべた。

「………!?何かこっちに近づいてきます……!」

その時何かに気付いたヨシュアは声を上げて空を見上げ

「あ、あれは一体……!?」

「確かレンさんが操っていた……!」

「”パテル=マテル”!どうしてレンちゃんが……」

オルキスタワーの屋上へと向かっている”パテル=マテル”を見たクレハは戸惑い、エレナは真剣な表情で呟き、ミントは叫んだ後戸惑いの表情になった。

「!?この駆動音は……!」

「まさか………!」

「!!みんな、あそこを見て!!」

さらに何かに気付いたセティとエリナは表情を厳しくし、シャマーラはオルキスタワーとは逆側の空にいるある集団を指さし

「な、な、な……!?」

「なんだあれは~!?」

ある集団―――――魔導戦艦や”歪竜”、その周囲にいる魔導兵器の軍団を見たエマは口をパクパクさせ、レイモンドは混乱し

「――――あれらがリウイ様―――いえ、メンフィルがクロスベルに譲渡した兵器です。」

「えっ!?」

静かな表情で答えたエクリアの話を聞いたフィーナは驚き

「なあっ!?」

「クロスベルとメンフィルはあんなとんでもない兵器を手に入れたの……!?」

レクターは口を大きく開け、キリカは厳しい表情で叫び

「あ、あんですって~~~~~~!?」

エステルは驚きの表情で叫んだ。



~メルカバ伍号機・ブリッジ~



「オイオイオイ……!なんや、あの戦艦と飛行艇の軍団は!?」

「しかも”竜”みたいな生物も複数いる……!」

その様子を画面端末で見ていたケビンとリースは驚きの表情で叫び

「……………………」

エイドスは真剣な表情で黙って画面を見つめていた。



~オルキスタワー・屋上~



「ど、どういう事だ!?どうして”至宝”からの供給がいきなり止まるのだ……!?」

一方その頃ディーターは地面に膝をついているアイオーンを睨んで叫んだ。するとその時

「まぁ。余計な事をしている暇がなくなったからだろうねぇ。」

不気味な声が聞こえた後、ノバルティスが転移の光と共に現れた!

「”結社”の……!」

「”第六柱”F・ノバルティス……!」

「ここで来たか……!」

ノバルティスを見たロイドとエリゼ、リィンは厳しい表情でノバルティスを睨んだ。

「ノバルティス博士……一体、どういうことだ!?まさか”結社”が機体に何かを仕掛けていたのか!?」

「フフ、前にも言ったようにあくまで今回は手伝いでね。良いデータも取れたことだし、そろそろ私も失礼させてもらうよ。契約通り、そちらの最終型と共にね。どうせなら”騎神”も持って帰りたかったが……生憎そちらを持って帰る余裕はなさそうだから今回は諦めておくよ。」

ディーターに睨まれたノバルティスは答え

「契約だと……!?馬鹿な、この機体はこちらが”結社”から買い上げたものだ!持って行かれる道理などない!」

ノバルティスの答えを聞いたディーターは怒りの表情で叫んだ。

「いやいや、実は契約内容にちょっとした変更があってね。用済みになった機体をこちらに回収させてもらうよう、取り計らってくれたのだよ。――――閣下の令嬢、マリアベル・クロイス嬢がね。」

「な………」

ノバルティスの説明を聞いたディーターが呆けたその時

「ウフフ……その通りですわ。」

聞き覚えのある娘の声が聞こえてきた!



「こ、この声は……」

「ベル……!?」

声を聞いたロイド達が驚いたその時、空間にマリアベルの顔が映った画面が現れた!

「ベル……これは一体……?それに一体、どこにいるんだ!?オルキスタワーではないのか!?」

「フフ、わたくしはとっくにそちらを後にしていますわ。キーアさんたちと一緒に。」

「な……!?」

「…………………」

マリアベルの話を聞いたロイドは驚き、キーアは複雑そうな表情で黙り込み

「た、確かにどのフロアにもいなかったみたいだけど……」

エリィは厳しい表情で言った。するとその時シグムント、シャーリィ、アリオス、ヴァルドの顔が映った画面が次々と現れた!



「アリオスさん……!」

「叔父貴……!シャーリィ……!」

「ヴァルドさんまで………」

アリオス達を見たロイドやランディは声を上げ、ティオは厳しい表情をし

「やはり彼らと一緒だったのか……」

リィン真剣な表情で呟いた。

「…………………」

アリオスは何も語らず黙り込み

「クク………」

「うーん!盛り上がってきたねぇ!」

「ケッ……」

シグムントは好戦的な笑みを浮かべ、シャーリィは嬉しそうな表情で叫び、ヴァルドは舌打ちをした。その時エニグマの音が鳴り始め、音に気付いたヴァイスは通信を開始した。

「俺だ……ああ……ああ……わかった。全員タワー屋上に来てくれるように指示を出してくれ。そこで”最初の指示”をだす。………”赤の戦鬼”、”血染め”。貴様らにとっては絶望的な情報をこの場で教えてやろう。」

通信を終えたヴァイスは不敵な笑みを浮かべ

「ほう……?」

「なになに~?」

シグムントとシャーリィは興味深そうな表情をした。

「―――俺達の仲間達や警備隊員達が既に市内の防衛に当たっていた”赤い星座”の猟兵達は一人残らず全て殲滅したそうだ。」

「何っ!?」

「ええっ!?」

「なっ!?」

不敵な笑みを浮かべて言ったヴァイスの話を聞いたシグムントやシャーリィ、ランディはそれぞれ驚きの表情で叫んだ。

「事実上貴様らが最後の”赤い星座”の猟兵になったようだな?」

「クク、これで”大陸最強”と謳われた”赤い星座”も終わりだなあ?」

ヴァイスとギュランドロスは不敵な笑みを浮かべ

「貴様ら……………!よくもガレスたちを…………!」

「そっか……………ガレスやみんなもザックス達のように逝っちゃったんだ…………」

シグムントは怒りの表情で呟き、シャーリィは静かな口調で呟き

「……………………」

ランディは複雑そうな表情で黙り込み

「ランディ………」

その様子を見たロイドは複雑そうな表情をした。



「ど、どういう事だ……………君達は………私を裏切ったというのか!?」

その時ディーターは怒りの表情で叫んだ。

「……大統領、申し訳ありません。しかし私は元々、貴方の計画に協力していたわけではありません。”先生”とマリアベル嬢の計画に協力していただけです。」

「”先生”………ま……まさか…………」

アリオスの説明を聞いたディーターは呆けた後唇を噛みしめた。するとその時

「ああ―――――その通りだ。」

なんとイアンの顔が映った画面が現れた!

「…………ぁ…………………」

「……え……………」

「……う、嘘だろ……」

イアンの顔が映った画面を見たエリィやティオ、ランディは呆け

「イアン先生!?」

「弁護士の方が何故……!」

(みんな……………)

リィンとエリゼは驚きの表情で声を上げ、キーアは心配そうな表情でロイド達を見つめ

「ほう?まさかここで貴様が出てくるとはさすがの俺達も想定外だ。」

「どうやら処刑する必要がある愚か者が増えたみたいだなあ?」

ヴァイスとギュランドロスは厳しい表情をし

「………………………」

(やはりそうだったのね……)

ロイドは動じず厳しい表情で黙り込み、ルファディエルは目を細めてイアンを睨んでいた。

「ふむ、その様子ではロイド君は私の関与に気付いていたのかな……?」

「……ええ。ニールセンという記者の方がヒントをくれましたから。それとピート君や墓守のご老人……キリカさんやレクターさんの指摘……全ての断片(フラグメント)が最終的に貴方の関与を指し示していました。」

「ふふ、どうやら完全にガイ君に追いついたようだね。」

ロイドの話を聞いたイアンは口元に笑みを浮かべて答えた。

「グリムウッド先生……これはどういう事ですか……!?た、確かに先生には色々と相談に乗ってもらいはしたが……」

「ああ……君は本当に教え甲斐のある生徒だったよ。経営者としては超一流だし、政治家としても悪くはなかった。”夢想家すぎる”という致命的な欠点を除けばね。」

「………!?」

イアンの話を聞いたディーターは信じられない表情をし

「フフ、お父様はご自分の考えで全てが上手く進んだと思ってらっしゃるようですが………その実、先生の用意した筋書(シナリオ)に誘導されていただけですわ。教団の扱い、通商会議の段取り、クロスベル市襲撃から独立宣言まで……そのアイデアの元を、最初にお父様に囁いたのはどなたでしたかしら?」

「………………ぁ…………………」

「なるほど……上手い具合に操られていたという事か。」

「フン、所詮は三下だな。」

マリアベルの説明を聞いたディーターは呆け、ヴァイスは真剣な表情で、ギュランドロスは不愉快そうな表情でディーターを睨んだ。



「このまま君が上手くやれば表に出るつもりは無かったが……どうやら黒幕(フィクサー)としてのみ、留まってはいられないようだ。『碧き零の計画』、このまま遂行させてもらうよ。」

(あお)き………(ゼロ)…………?」

イアンの話を聞いたディーターは呆け

「な、なんだそれは!?」

ロイドは厳しい表情で声を上げた。

「フフ、”零の至宝”の完成形……時空を支配し、因果律を組み替える”碧の大樹”…………その新たなる誕生ですわ……!」

そしてマリアベルが叫んだその時不思議な光が周りに漂い始めた。

「この光は……!?」

「碧い光……?」

「……南南西!湿地帯のあたりです!」

「あれは―――――」

「……………」

漂う光にランディやエリィは戸惑い、ティオはある方向に視線を向けて叫び、ロイドは厳しい表情をし、キーアは真剣な表情で黙り込んでいた。



ロイド達が見つめたその時湿地帯の辺りで神秘的な光を放ち続ける謎の巨大な大樹が地面から生えて行った……………! 
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