英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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外伝~ティオのお願い~
各自休憩に入り、休憩をしていたロイドはさまざまな人物達から話があると言われ……準備を終えた後、甲板に向かい、甲板に出た。
~メルカバ玖号機・甲板~
「…………………」
ロイドが甲板に出るとそこにはティオが複雑そうな表情で手紙を読んでいた。
「―――ティオ?」
「ロイド……さん……」
ロイドに声をかけられたティオは驚いた後振り向いて自分に近づいてきたロイドを見つめた。
「はは、珍しいな。声をかけるまでティオが気付かないなんて。」
「ふふ……そうですね。」
「明日の準備、一通り済ませたよ。万全とは言えないけど他のみんなの大変さを考えたらこれが精一杯だと思う。」
「はい………キーアや課長たちと会うためにも頑張らないといけませんね。それに、コッペも心配ですし。」
ロイドの言葉にティオは頷いて答えた。
「そうだな……そういえば、ヨナはミシュラム送りにされたけど。財団のロバーツ主任は今、どうしてるんだろう?状況が状況だし……レマン自治州に帰ったのかな?」
「いえ、どうやら主任は財団からの退去指示に応じなかったみたいです。マリアベルさんたちに奪われた導力ネットの状況をチェックするため市内に残っているみたいで……まあ、あの人のことですからのらりくらりと追及を免れているとは思いますが。」
(フフ、なんだかんだ言いつつ心配しているのだな……)
ロイドの疑問に答えたティオの言葉を聞いたラグタスは静かな笑みを浮かべ
「そっか……ちょっと心配だな。」
「はい……ちょっとだけですが。」
ロイドの言葉にティオは頷いた。
「――――ロイドさん。相談、乗ってくれますか?」
「ああ、もちろん。ひょっとしてさっき見ていた手紙のことか?」
「気付いていましたか………昨日、アッバスさんのルートでわたしに届けられた手紙………共和国のアルタイル市に来ているわたしの両親からのものです。」
ロイドの疑問に溜息を吐いた頷いたティオは真剣な表情で答え
「え………!?それじゃあ、レミフェリアからわざわざティオに会いに……!?」
ロイドは驚いた後明るい表情をした。
「はい、クロスベルが独立してから手紙や通信による連絡も取れず………財団からの情報を頼りに国境の町まで来ているそうです。現在、貨物以外の行き来は完全に制限されてしまっているので足止めされているみたいですが………」
「そうか………だったら話は早い!この船でアルタイル市まで――――」
「必要ないです。既にわたしが無事という情報やヴァイスさん達がカルバードに戦争を仕掛けるので危ないから帰国するようにという情報を同じルートで伝えてもらいました。それに、いま合ったら心が乱れて明日に支障があるかもしれません。」
明るい表情で言いかけたロイドの言葉にティオはピシャリと自分の意志を答えた。
「……で、でも……………………」
ティオの言葉を聞いたロイドは戸惑った後複雑そうな表情で黙り込んだ。
「ふふ………そんな顔をしないでください。この事件が解決したら両親には必ず会うつもりです。ロイドさんのおかげで里心が出てきましたし。」
ロイドの様子を見たティオは微笑みながら答え
「え………」
(そこまでならよかったのだがな………)
ティオの答えを聞いたロイドは呆け、ラグタスは顔に青筋をたてていた。
「………みんな離れ離れになって………不安で、寂しくて、ロイドさんが指名手配されたと聞いて心配で胸を締め付けられて………本当に、嬉しかったんです。ロイドさんとまた会う事ができて。」
「あ………」
「その時に、思ったんです。ああ―――わたしは生きているって。誰かを大切に想うことで人と人の間にちゃんと在るって。……どう生きたらいいのか、どうして生きているのか………3年前、ガイさんに聞こうとした質問の答えがわかった気がしました。」
呆けているロイドにティオは目を伏せて言った後笑顔で答えた。
「………ティオ………」
「それから、エリィさんやランディさんたちとまた会えて………みんなで一生懸命、キーアのためにここまで来て………そして、この手紙を読んでまるで氷が溶けるみたいに素直な気持ちが湧いてきました。久しぶりに………お父さんとお母さんに会いたいって。」
「………………………」
ティオの話を聞いたロイドは静かな笑みを浮かべてティオの頭を撫で
「………ぁ……………」
頭を撫でられたティオは嬉しそうな表情をした。
「……よかった。本当によかった………きっかけについてはちょっと照れくさいけど………でも、ティオがそう思えるようになったのは俺にとって何よりも嬉しいよ。」
(さすがはロイド!相変わらず好感度をどんどんあげているね~!)
(頭が痛くなってきたわ……)
安堵の表情で言ったロイドの言葉を聞いたギレゼルは陽気に笑い、ルファディエルは頭に手を押さえ
「………ロイドさん………3つ、お願いがあります。聞いていただけませんか?」
ティオは嬉しそうな表情をした後目を伏せて言った。
「ああ―――何でも。遠慮なく言ってみてくれ。」
(お?言っちゃっていいのか~?その言葉を。)
(ハア……………)
笑顔で言ったロイドの言葉を聞いたギレゼルは口元に笑みを浮かべ、ルファディエルは溜息を吐いた。
「その、一つは………頭を撫でてもらうのもすごく好きなんですが………さすがに、こんな綺麗な夜には少し子供っぽすぎる気がします。」
「そ、そういうもんか?って、確かに俺も兄貴やランディ、ルファ姉にされたら子供扱いされてる気分になったな。えっと、それじゃあ………」
ティオの言葉を聞いたロイドは戸惑った後気を取り直してティオに尋ねようとしたその時、ティオは外套が取り付けられた胸甲を外し
「ティ、ティオ……?」
(おおおおおおおおおおっ!?この展開はまさか……!)
(ま、まさか……………)
(なっ!?早まるな、ティオ!!)
ティオの行動を見たロイドは戸惑い、ギレゼルは興奮し、ルファディエルは表情を引き攣らせ、ラグタスは必死の表情で叫んだ。
「(うるさいです。空気を読んで黙っていてください、ラグタス。)そ、その……再会した時、走って抱き付いたらちょっと痛そうにしていたので………これなら大丈夫ですよね?」
ラグタスの念話に指摘したティオは頬を赤らめてロイドを見つめて言った。
「あ、ああ………………………………」
ティオの言葉に頷いたロイドは静かな笑みを浮かべて黙り込んだ後ティオを抱きしめ
(チッ!そのままヤっちまえばいいのに!!しかし焦らしとはやるじゃねえか!見直したぜ!くかかかかっ!)
(フウ……ヒヤヒヤしたわ……)
(………まだ油断はできん。)
二人の行動を見たギレゼルは舌打ちをした後ティオを見つめて陽気に笑い、ルファディエルは溜息を吐き、ラグタスは顔に青筋を立てて全身に怒気を纏っていた。
「ふふ………あったかいです………エリィさんやセティさんたち、未来のキーアみたいに抱き心地が良くないのは申し訳ないですけど……将来に期待していてください。」
一方ロイドに抱きしめられたティオは嬉しそうな表情で呟き
「い、いや、これはこれで……(ていうか、ヤバイな………ティオの甘い匂いが………―――じゃなくて!)」
ロイドは苦笑しながらティオの抱き心地の気持ちの良さを感じた後すぐに我に返り
(!?今の言葉は聞き捨てならないわね………!)
(おおっ!今のでロリにも目覚めたか!?)
(こ、この男は……!)
ロイドの言葉を聞いたルファディエルは血相を変え、ギレゼルは興味深そうな表情をし、ラグタスは怒気を纏って全身を震わせていた。
「コホン……で、2つ目のお願いは?こうなったらとことん、付きあわせてもらうぞ?」
「はい、2つ目は………事件が一段落して両親がクロスベルに来られたら一緒に会って欲しいんです。」
(キタ――――――ッ!両親に挨拶!これはもう決定だな!!)
(…………………)
(……………ティオの両親に会った時、絶対にこの男の性質の悪さを説明せねばな…………)
ティオの言葉を聞いたギレゼルは興奮し、ルファディエルは表情を引き攣らせ、ラグタスは膨大な怒気を纏って呟き
「ああ、もちろんさ。一度挨拶したいと思ってたし。でも、そんなの言われるまでもないと思うけど……?」
一方ロイドは笑顔で頷いた後不思議そうな表情をした。
「いえ、ただの挨拶ではなく………わたしがクロスベルに残る理由をわかりやすく説明したいんです。そうでないと2人とも納得してくれないでしょうから。」
「???」
(くかかかかっ!今のでわからんとはさすがはロイドだ!!)
(何でこういう時に限って鈍感なのよ、この子は………)
(どう考えてもわざととしか思えないのだがな……)
ティオの言葉を聞いて首を傾げているロイドを見たギレゼルは陽気に笑い、ルファディエルとラグタスは呆れた。
「みんながいて、みっしぃもいて導力ネットもあるクロスベルが大好きというのもありますが………それ以上に、どう生きたらいいか、どうして生きているのか………その答えをくれた大切な人の側でこれからも暮らして行きたい―――そう伝えようと思ってます。」
「えええっ!?ちょ、ちょっと待った!それじゃあまるで……!」
ティオの答えを聞いたロイドは驚きの表情で声を上げた後信じられない表情でティオを見つめ
「それと最後の一つ………――――わたしが大人になったらロイドさんの…………………お嫁さんにしてください………!」
見つめられたティオは顔を真っ赤にしてロイドを見つめて言った!
「ええええええええええええええええっ!?」
ティオの言葉を聞いたロイドは声を上げ
(おおおおおおおおおおおおおおおおっ!?ついに2号ができたかっ!!しかもこんなにも早く!!)
(ハア……予想はしていたけど………後で将軍に今まで以上に色々言われそうね………)
(何という事を………後でルファディエルに今後のこの男の教育について話し合わねばならんな………!)
ギレゼルは興奮し、ルファディエルは疲れた表情で溜息を吐き、ラグタスは呻いた後全身に膨大な怒気を纏っていた。
「あ、あのなティオ!俺にはエリィが……!」
「今の時代、結婚する相手が複数いてもおかしくない時代ですし、エリィさんの事はちゃんと承知していますし、基本エリィさんの事を優先させます。それに”何でも聞く”って言いましたよね……?」
慌てた様子で何かを言いかけたロイドの言葉を先回りするようにティオは頬を赤らめて答えた後、からかいの表情でロイドを見つめ
「う”……………(………今のティオはまだ子供だから、小さな子供が誰かのお嫁さんになると言っていると同じ感覚でこんな事を言っているだけだ。きっと大人になっていれば忘れているだろうし、そのぐらいならいいか………)――――ああもう、わかった。無事、事件が一段落したら一緒に挨拶させてもらうよ!はあ、今から何とか言い訳を考えとなきゃな………」
見つめられたロイドは表情を引き攣らせた後必死で考え込んで推測した後、答えた。
「ふふっ………頑張って下さい。後、勿論わたしをロイドさんのお嫁さんにしてくれるのも了承してくれるのですよね?」
その時ティオは微笑みながら尋ね
「え、え~と、それは………ハ、ハハ………その時までティオが覚えていたらな………」
尋ねられたロイドは大量の冷や汗をかいて苦笑しながら答え
「――――それを聞いて安心しました。これはその予約です………ん………」
ロイドの答えを聞いたティオは嬉しそうな表情をした後背伸びしてロイドの唇に口付けをし
「!!!!???」
ティオに口付けされたロイドは混乱して固まり
(キタ―――――――――ッ!ついに唇だぜっ!!)
(何でこの子に惚れた娘達はみんな積極的なのよ………)
(全て一段落したその時は絶対に殴るっ!それも一発どころか、死ぬ一歩手前まで殴るっ!)
ギレゼルは興奮し、ルファディエルは頭に手を押さえ、ラグタスは膨大な怒気を纏って叫んだ。
「フフ………ちなみにわたしの”エイオン”に録音して言質は取りましたから、忘れたとかいう理由で逃げられませんからね?」
そしてティオはロイドから離れて微笑み
「え”。」
ティオの言葉を聞いたロイドは表情を引き攣らせ
「ルファディエルさんの教えの一つ――――『犯人の口から出た決定的な証拠を録音して、言い逃れはさせない』という教えがまさかこんな所で役に立つとは思いませんでした。―――それでは失礼します。」
ティオは笑顔で答えた後顔を真っ赤にしてその場を走って去り
(ルファディエル!まさかお前がティオを助長させていたとは……!)
ロイドから去って行くティオの身体の中にいたラグタスは怒気を纏って声を上げ
(くかかかかかっ!?まさかこんな予想外な事をしていたとは我輩も予想できなかったぜ!)
(よりにもよって何でこんな時に実行するのよ……ハア………というか、下手したら将軍に私まで責められそうで頭が痛いわ………)
ギレゼルは陽気に笑い、ルファディエルは呆れた表情になった後溜息を吐いて頭に手を押さえて表情を引き攣らせ
「お、俺………もしかしてとんでもない事をしてしまったのか……?」
ロイドは大量の冷や汗をかいた。
「あ、先に来ていたんですね。お疲れ様です、ロイドさん。」
そして少しの時間が経つとノエルがロイドに近づいてきた…………………
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