英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第133話
クロスベル市を覆っていた不可侵の”結界”を消滅させたロイド達は”ラギール商会”のチキや”六銃士”のヴァイスやギュランドロスらに連絡を取り……クロスベル市の解放の戦の協力を取り付けた。そして―――夜、メルカバのブリッジにケビン神父からの連絡があった。
~メルカバ玖号機・ブリッジ~
「―――そんじゃあ、領空内に入ったくらいじゃ攻撃される心配はなさそうか。」
「ああ、どうやら神機たちは都市防衛に集中しているみたいだ。クロスベル市に接近しない限りは大丈夫だと思うよ。」
画面端末に映るケビンの言葉にワジは頷いて答えた。
「よっしゃ、これで何とか目処が付きそうやな……明日の明け方にはそっちに戻る。タイミングについてはそん時に話すとしようや。」
「フフ、了解。」
そしてケビンの言葉にワジが頷いたその時
「……ケビン、代わって。」
リースが画面端末に映った。
「リースさん………」
リースを見たエリィは明るい表情をした。
「………エリィさん。ご無事で何よりです。ロイドさんに、他の皆さんたちも。」
「はは、おかげさまで。」
「いや~、こんな形でリースちゃんと話せるとは思わなかったぜ。」
「わたしたちの突入を助けてくださるんですよね?」
「ええ、こちらのメルカバで都市を防衛する神機たちを引きつける予定です。猟兵と国防軍の方までは対処できませんが………」
「……十分です。本当に助かります。」
リースの言葉を聞いたロイドは静かな笑みを浮かべて頷いた。
「リースさん、ケビン神父。何とお礼を言ったらいいか……」
エリィは疲れた表情で言った。
「ま、礼を言うんは無事成功してからにしてや。こっちも助っ人たちを連れて来たから、その助っ人たちは君達に直接力を貸してくれると思うわ。」
「助っ人達?」
「まさか………エステルさん達ですか?」
ケビンの言葉を聞いたロイドは首を傾げ、ティオは驚きの表情で尋ねた。
「ハハ、”半分”はあっているで。―――ワジ。そんじゃ、明日の朝にな。」
「ああ、待ってるよ。」
「それでは失礼します。」
そして画面端末からケビンとリースが消えた。
「―――ふむ。明日は激動の一日になりそうだな。」
画面端末が消えるとマクダエル議長は重々しい様子を纏って呟き
「そうですね………地上の戦力差についても大統領側が圧倒的に下回っていますし。何と言っても、明日はヴァイスハイト局長達がクロスベル市の解放と共に”クロスベル帝国”の宣言をするのでしょう?」
グレイスは頷いた後真剣な表情でロイド達に尋ね
「………そしてゼムリア大陸の運命が動く時ですね………」
「ああ………恐らく”クロスベル帝国”を名乗った瞬間、メンフィルは二大国に進軍し始めるだろうな。」
エリゼとリィンはそれぞれ重々しい様子を纏って呟いた。
「……メンフィルの戦力を考えると結果はわかっているようなものですしね………」
「リウイ陛下達の事だから、民達の事はないがしろにしないでしょうけど………」
「……それでもゼムリア大陸の歴史が大きく変わるのは間違いないだろうね。」
セティとエリナ、シャマーラはそれぞれ重々しい様子を纏って呟いた。
「…………………ねえ、ロイド。それにみんな。」
その時複雑そうな表情で黙り込んでいたキーアはロイド達を見回し
「キーア?」
「どうしたのかしら?」
キーアの言葉を聞いたロイドは首を傾げ、エオリアは尋ねた。
「………明日、シズクの身に何があっても絶対に手を出さないでね。それがシズクの運命だから……」
「え………シズクちゃんに何か危険が迫るの!?」
「……確かに敵将の娘であるから可能性は十分に考えられるな………」
辛そう表情で言ったキーアの言葉を聞いたセシルは血相を変え、ツァイトは重々しい様子を纏って呟いた。
「い、いくら何でもシズクちゃんには危害を加えないと思っていたけど………」
「―――キーア。親友のシズクさんを見殺しにしてまで未来を守るのですか?」
一方ロイドは信じられない表情をし、ティオは複雑そうな表情で尋ねた。
「あ、勘違いしないでね。キーアの時代のシズクもちゃんと生きているし、今の自分の状況にシズクも満足しているよ。」
その時キーアは苦笑しながら答え
「ちなみにどんな状況になっているのですか?」
リタはキーアに尋ねた。
「あまり詳しい事は教えられないけど………シズクはアリオスが犯した”罪”――――ディーター達に力を貸していた事をキョクチョー達やメンフィルに許してもらう代わりにイーリュンの信徒として世界中を周って活動しているの。」
「そんな………シズクちゃんは全然悪くないのに、どうして………」
キーアの答えを聞いたエリィは信じられない表情をし
「………………………………」
セシルは真剣な表情で考え込み
「………それも明日全てわかるよ。」
キーアは複雑そうな表情で黙り込んだ後静かな表情で答えた。
「…………その話は一端置いておくとして。……何とかクロスベル市に入り込んで課長やダドリーさんたちと合流しないとな。」
「しかし、大丈夫なのか?ダドリーからの連絡が途中で切れちまったそうだが。」
「多分、通信ターミナルで強制遮断されたんじゃね?特定のエニグマ登録番号だけ送受信を無効にできたはずだし。」
ランディの疑問にヨナは答え
「それじゃあ市内では、大統領側は通信が使えるけどわたしたちは使えない……?」
フランは真剣な表情で尋ねた。
「はい、通信ターミナルも押さえる必要がありそうです。オルキスタワー内にありますから簡単ではなさそうですが……」
「いずれにしても……全ては明日の朝ですね。」
「ええ……『クロスベル市解放作戦』と『クロスベル帝国宣言』………キーアちゃんを取り戻すためにも何としても成功させないと。」
そしてノエルの言葉にエリィは頷き
「ああ………今夜は休んで英気を養っておく必要がある。みんな、仮眠室もあるから疲れていたら休んでくれ。万全の態勢で………明日の朝に臨むとしよう。」
「おおっ!!」
ロイドの言葉に仲間達全員は頷いた。するとその時セリカとエクリア、レシェンテがブリッジ内に転移して来た!
「あ、ご主人様様達です~!」
「お帰りなさいませ。」
「結構早かったですね?」
「みんな………そろった………」
セリカ達を見たサリアは嬉しそうな表情をし、シュリは会釈をし、マリーニャは首を傾げ、ナベリウスは静かな口調で呟いた。
「セリカさん………一体どこに行っていたのですか?俺達が”塔”から戻っていた時セリカさん達だけ何かの用事でどこかに向かったとお聞きしましたが……」
一方ロイドは不思議そうな表情で尋ねた。
「――――リウイ達と共に”結社”の”盟主”を滅しに行っていたところだ。」
「へ!?」
「なっ!?」
「ええっ!?」
「ハアッ!?」
「………本当かい、それは?」
セリカの答えを聞いたロイドやアッバス、エリィ、ランディは驚き、ワジは真剣な表情で尋ねた。
「うむ!塵も残さず滅したぞ!」
「―――少々手こずりましたが滅する事に成功しました。」
ワジの疑問にレシェンテとエクリアが答え
「謎に満ちた”結社”の”盟主”がこんなにあっさりと殺されるなんて……」
「まあ、セリカさん達だからこそ可能な事ですが。」
二人の答えを聞いたエオリアは驚き、ティオは静かな表情で言った。
「……………アリアンロードがメンフィルに降り、”盟主”の居場所を知っていたのなら、よもや残りの”蛇の使徒”の居場所もわかっているのではないか?」
「確かにそうだね。メンフィルはそこの所はどう考えているんだい?」
一方アッバスは気を取り直して尋ね、アッバスの疑問に頷いたワジは真剣な表情で尋ねた。
「―――既に残りの”使徒”全員を討伐する為にリウイ達も動いている。二大国との戦争に紛れて滅すると言っていた。明日ギュランドロス達が総攻撃を仕掛けるとき、ノバルティスとやらも滅するそうだ。」
「………………………」
「まさかこんな形で教会が長年争っていた”身喰らう蛇”が滅ぼされるとは………」
セリカの説明を聞いたワジは複雑そうな表情で黙り込み、アッバスは重々しい様子を纏って呟き
「そうですか………――――明日に備えてセリカさん達も休んでいてください。」
「ああ。」
そして目を伏せた後気を取り直して言ったロイドの言葉にセリカは頷いた。
その後ロイド達は明日に備えて各自休憩を始めた…………
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