英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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外伝~”聖痕”の真実~
~メルカバ伍号機・ブリッジ~
「………………………」
エイドスに見つめられたリースは少しの間固まり
「え”。」
我に返って呆けた声を出した。
「ハアッ!?」
「へっ!?」
「む、結ばれたってまさか………」
「2人ともいつの間に付き合い始めたの~!?」
ケビンとエステルは驚きの表情で声を上げ、ヨシュアは信じられない表情をし、ミントは混乱した。
「な、ななななななっ!?い、一体何故そんな事を……!?」
一方リースは顔を真っ赤にして大混乱しながらエイドスを見つめ
「フフ………―――私や私の夫と共に混迷に満ちたゼムリアを救う為に仲間となった12人の方々に与えた私の祝福――――”聖痕”はその力を悪用されない為に、厳しく、そして悲しくて辛い試練を超え、”本当の優しさ”を求めた者にしか顕れないようにしたのですが………絶大な力を持ち、孤独となった”聖痕”の持ち主達を支えられる者達が顕れるように”聖痕”の持ち主の全てを知り、受け入れてその持ち主と結ばれた者は”聖痕”の加護を受けることができるように私がしましたので。」
「ええええええええええええええっ!?」
「という事は”聖痕”のシステムもエイドス(貴女)が………!?」
優しげな微笑みを浮かべて答えたエイドスの話を聞いたエステルは驚きの表情で声を上げ、ヨシュアは信じられない表情をし
「絶大な力を持って孤独となった人の為に考えるなんて、エイドスさん、とっても優しいね♪」
「なるほど………”使徒”にする考えと同じ考えね……………」
ミントとサティアは微笑み
「はい。」
エイドスは静かな笑みを浮かべて頷いた。
「「……………………………」」
一方ケビンは口をパクパクさせ、リースは石化したかのように固まり
「ス、”聖痕”が空の女神の祝福の上、そんな意味が込められていたなんて……!?」
「きょ、教会始まって以来のとんでもない事実だぞ………!?」
周囲の星杯騎士達は互いの顔を見合わせて混乱していた。
「………ちょ、ちょっと待ってください!結ばれたって言ってましたけど、ま、まさかとは思いますけど………!」
そして我に返ったケビンは驚きの表情でエイドスを見つめ
「言葉通りの意味ですよ。その者の事を大切に想い、心を、身体を捧げた者にのみ”聖痕”の加護が受けられるのです。女性の場合は一般的に考えて、今まで大切に守っていた”処女”を捧げると思いますよ?」
「!!!!???お、おい、リースッ!!お前、一体いつの間にそんな事したんや!?オレは全然覚えがないでっ!?」
優しげな微笑みを浮かべて答えたエイドスの話を聞いたケビンは大混乱した後真っ赤になった顔でリースを見つめ
「~~~~っ~~~~!!!!…………………ケビンが知らないのは当然。だって”煉獄”で”聖痕”の力の使い過ぎで気絶したケビンを目覚めさせる為にリタさんに教えてもらった方法――――”性魔術”で目覚めさせたから………」
見つめられたリースは顔を真っ赤にして俯かせた後真っ赤な顔でケビンを睨んだ。
「”煉獄”でオレが………?――――あの時かっ!!」
「あら………フフ、なるほど。確かにその方法なら確実ね。」
「ななななななっ!?まさか2人が”煉獄”でそんな事をしていたなんて!!??」
リースの説明を聞いたケビンは眉を顰めた後すぐに思い出して声を上げ、サティアは目を丸くした後微笑み、エステルは混乱しながら顔を真っ赤にして信じられない表情でケビン達を見つめ
「”性魔術”?」
「一体なんなんだろうね~?」
「そういえば”影の王”もそないな事言っていたけど………一体どんな方法なんですか?」
ヨシュアとミントは首を傾げ、ある事を思い出したケビンは不思議そうな表情でサティアを見つめて尋ねた。
「フフ、”性魔術”とは言うのはね――――」
そしてサティアはその場にいる全員に”性魔術”の効果、内容を説明した。
「………………………」
説明を聞いたケビンは石化したかのように固まり
「~~~~~っ~~~~」
リースは湯気が出るほどの真っ赤にした顔を両手で覆って自分の顔を周囲の者達に見せないようにして座り込み
「ハ、ハハ………まさかそんな魔術があるなんて………」
「え、えーと………」
ヨシュアは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、ミントは頬を赤らめた顔で苦笑しながらケビン達を見つめ
「リ、リースさん……………」
「い、いくら危機的な状況だったとはいえ、女神に仕える身で……それもシスターの身でそんな事をするなんて………」
星杯騎士達は信じられない表情でリースを見つめたが
「あら、元々私はそのつもりで”聖痕”のシステムを作りましたから全然構いませんし、私に仕えているからと言って女性の幸せを否定するのは貴方達が仕えている”女神”である私が許しませんよ?」
「「う”……………」」
微笑みながら自分達を見つめて言ったエイドスの言葉を聞いてそれぞれ表情を引き攣らせて唸り
「大体なんですか、貴方達の”星杯騎士の心得”の一つ………『その魂は空なる女神に、血肉は七耀に捧げるべし』とかいう全然理解できない規則………勝手に私を”女神”扱いして崇める事は百歩譲って認めるとしても、既に生を終え、天へと還った私に血肉や魂を捧げられても迷惑です。私を邪悪なる女神にでもしたいのですか?」
「も、申し訳ございません………!そんなつもりは一切考えなくて決めたんだと思います………!」
「ま、まさか御身からそのようなお叱りの言葉を受けるとは夢にも思わなくて………!」
そして威圧を纏い、微笑んだエイドスに睨まれた星杯騎士達は大量の冷や汗をかき、慌ててその場で土下座して頭を深く下げた。
「うわあ~………ケビンさん達にとっては耳が痛い話でしょうね~。」
「それはそうだよ………よりにもよって崇めていた空の女神自身が空の女神の為に自分達が決めたはずの規則に苦言しているんだから……(というか怒り方がどことなくエステルに似ている………や、やっぱりエステルの先祖だけはあるな……)」
「ア、アハハ………」
「クスクス……」
その様子を見ていたエステルは苦笑し、ヨシュアは疲れた表情で呟き、ミントは表情を引き攣らせて渇いた声で笑い、サティアは微笑んでいた。
「スマンッ!!オレを目覚めさせる為とはいえ、まさかそんな事までしたなんて!!お前だけじゃなく、ルフィナ姉さんにホンマに申し訳ないっ!!」
その時ケビンはリースの目の前ですぐに土下座をして深く頭を下げ
「あのねえ………ケビンさん、そこは謝る所じゃないでしょう!?」
ケビンの行動を見たエステルは呆れた後怒りの表情でケビンを睨んで叫び
「へ……………?」
エステルの叫びを聞いたケビンは呆けた表情で土下座した状態でエステルを見つめ
「リースさんが女性として大切にしていたものをケビンさんを目覚めさせる為とはいえ、そこまでしたんだよ?そしてエイドスさんから”聖痕”の真実も聞いたでしょう?ここまで言えばケビンさんでも、どうしてリースさんがそこまでしたのか、その意味がわかるんじゃないのかな?」
ミントは頬を赤らめて苦笑しながらケビンを見つめて尋ねた。
「あ……………マ、マジなんか、リース…………?」
ミントの話を聞いたケビンは呆けた後信じられない表情でリースを見つめて尋ね
「……………………………」
両手を離して顔を俯かせた状態のリースはわずかに首を縦に振り
「い、いいいいいいい、一体いつから……!?」
首を縦に振ったリースを見たケビンは顔を真っ赤にして混乱しながら尋ね
「……………ずっと前から。初めて会った時はほおっておけないなって思っていたけど………いつの間にか”その気持ち”になっていたの……………いつも姉様ばかり見ていた時、私がどれほど胸が締め付けられ、必死にその様子を見せないようにしていたのかわかる?」
尋ねられたリースは俯いた様子で呟いた後真っ赤にした顔でケビンを睨んだ。
「………………………え、え~と、その…………………」
リースに睨まれたケビンは固まった後、表情を言い辛そうな表情にした。
「私が”処女”を捧げた責任…………取ってもらうからね……………」
「そうですね。彼女は貴方の為にそこまでしてあげたのですから、貴方も答えてあげないと。」
そしてリースは真っ赤な顔でケビンを睨んで呟き、エイドスは静かな笑みを浮かべて頷いた。
「う”………わ、わかりました……………………ただすぐにそんな関係になるのは難しいと思うけど今後はお前の事、女性として見るようにするわ………」
二人の言葉を聞いたケビンは唸った後疲れた表情で答え
「うん………それは私も理解しているから、期待して待っている……………」
ケビンの答えを聞いたリースは静かな表情で頷き、そして嬉しそうな表情になった。
「よかったね、リースさん!」
「おめでとう~!」
「おめでとう、リース。」
「おめでとうございます、ケビンさん、リースさん。」
二人の様子を見ていたエステル達はそれぞれ祝福するかのように手を叩き
「お、俺達はどうすればいいんだ……?」
星杯騎士は戸惑っていたが
「馬鹿!エイドス自身が賛成されている上、エイドスの末裔である方達まで祝福されているんだぞ!?俺達も祝福しないと星杯騎士として失格だろうが!?」
「あ、ああ……!お、おめでとうございます、グラハム卿、リースさん。」
「御二人ならお似合いですよ。」
もう一人の星杯騎士の慌てた様子で言った言葉に頷いた後二人でケビンとリースを祝福の言葉をかけ、エステル達に続くように手を叩いた………
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