英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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外伝~世界の光、ブライトの血族~
~メルカバ伍号機・ブリッジ~
「フフ、気にしないで下さい。………私はクロイス家に”幻の至宝”を授けてしまった結果、ゼムリア大陸を再び混沌へと導くきっかけを作ってしまった私の責任を取る為に来たのですから………それに……私も感謝しているのですよ?貴女のお蔭でまたお母様に会え………お母様の話にあったお父様とエレナお母様にようやくお会いできたのですから………」
会釈をされたエイドスは微笑んだ後真剣な表情で答え、そして再び表情を微笑みに変えてミントに視線を向け
「えっと、エイドスさん……いくらクロイス家の人達が今回の事を起こすとわかっていても……」
視線を向けられたミントは真剣な表情でエイドスに話しかけ
「――――わかっています。”歴史の流れ”は守らなければならないのですから。………例えその流れでどれほどの犠牲や悲劇が出てしまおうと………それが私が愛した”人”が創る歴史ならば受け入れるしかありません………」
話しかけられたエイドスは辛そうな表情で頷き
「「………………………」」
エイドスの言葉を聞いたケビンは真剣な表情で、リースは辛そうな表情で黙り込んだ。
「フフ、私もエイドスと同じように本当に嬉しいわ………遥か昔に寿命の関係で死別した大好きなお母さんとお父さんにまた会えたのだから。こうしてまた会えるなんて夢みたい………」
(クー♪)
一方もう一人の女性は微笑みながらエステルとヨシュアを見つめた後嬉しそうな表情でエステルに抱き付き、サティアの中にいる母より受け継いだ”白水竜”クーは嬉しそうな鳴き声で鳴き
「ア、アハハ……あたしの方は凄い複雑なんだけど………産んでもいないのに、こんな大きすぎる娘が現れるなんて……しかも結婚しているし。」
「お願いしますから絶対に僕達の未来を教えたり、僕達を親扱いしないで下さいよ、サティアさん………」
サティアに抱き付かれたエステルは苦笑した後溜息を吐き、ヨシュアは疲れた表情で女性―――サティアを見つめて言い
「ええ、わかっているわ。―――エステル、ヨシュア。」
ヨシュアの言葉にエステルから離れたサティアは微笑みながら頷いた。
「けど、”サティア・ブライト・シルフィル”ね~。この名前で既に誰と結婚しているかバレバレじゃない……」
エステルは苦笑しながらサティアを見つめ
「ねえねえ、サティアさん。サティアさんが結婚する時、セリカさんはママとパパに頼み込んだのかな??」
ある事に気付いたミントは首を傾げて尋ね
「ええ。ちゃんと頭を深く下げたわよ。」
尋ねられたサティアは微笑みながら答え
「な、なんか全然想像できないよね……」
「そうかしら?あたしからしたら当然だと思うけど。………ちなみにその時のヨシュアは『娘を貰いたければ僕に勝つ事だ!』って言ってセリカと戦わなかったの?」
サティアの答えを聞いたヨシュアは苦笑し、エステルは首を傾げた後ある事を思いついて尋ねた。
「いいえ?そんな事はなかったわよ。」
「何よもう~。ヨシュアったら情けないわね~。娘の父親は娘を貰う男と戦うのが常識でしょう!!」
サティアの答えを聞いたエステルは呆れた表情でヨシュアを見つめた後真剣な表情で声を上げ
「いやどう考えても100%僕が負けるし、そんな常識聞いた事ないから。」
ヨシュアは疲れた表情で指摘したが
「あ………でも、ヨシュアがお母さんと結婚する時、お祖父さんと戦ったっていう話は聞いた事があるような………」
「え”。」
「うんうん、さすが父さんね!って、その『お母さん』って言う呼び方は止めてって言ったでしょう!?お母さんそっくりの容姿で、しかも子供も産んでいないこの歳でそんな事言われるなんて、凄い違和感を感じるのよ~!!」
ある事を思い出して呟いたサティアの話を聞いたヨシュアは表情を引き攣らせて大量の冷や汗をかき、エステルは納得した様子で頷いた後すぐにジト目でサティアを見つめて指摘し、声を上げた。
「フフ、つい癖で呼んでしまったわ。ごめんね、エステル。……そういえば………結婚で思い出したけどミント姉さんが結婚する男性にはエステルとヨシュア、それとお祖父さんが一人ずつ順番で相手をしていたわ。」
「わあ―――――――――ッ!サティアさん、ストップ、ストップ!ミントがいつ結婚したとか、ミントの旦那さんが誰かとか絶対言わないでっ!!ミントも未来のミントも自分の未来をサティアさんに聞かないようにしているんだから~!」
さらにサティアが呟いた言葉を聞いたミントは慌てた様子で叫んだ後必死の表情でサティアを見つめて言い
「へえ………?一体誰がいつ、ミントと結婚するのか気になるね………」
「全くよ!一体どこの馬の骨が何年後にあたし達の可愛いくて純真なミントを奪うのよ!?」
一方ヨシュアは全身に膨大な殺気を纏って笑顔になり、エステルは怒りの表情で頷いて叫んだ。
「ア、アハハ………」
二人の様子を見たミントは苦笑し
「ていうかエステルちゃんとヨシュア君に加えて”剣聖”と一人で戦うって………」
「ご愁傷様としか言いようがない。むしろ一対一であの3人と戦って認められるなんて一体どんな男性なのか凄く気になってきた。」
ケビンは大量の冷や汗をかき、リースは目を伏せて呟いた後興味深そうな表情をし
「フフ……………そういえばそうだったわね。(きっと幼い頃からミント姉さんに恋焦がれていた自分達の弟――――アドル叔父さんがミント姉さんの結婚相手だと知ったら驚くでしょうね………)」
(そう言えばお父様も私が結婚しているって知った時、祝福してくれたお母様達と違って、凄いショックを受けていたようだけど………”父親”はみんな同じなのかしら?)
サティアは微笑み、エイドスは不思議そうな表情をした。
「えっと………今気付いたのだけど………な、なんかサティアさん、微妙に性格が変わっていない?」
「び、微妙にお茶目な性格にもなっている上、ママに対してすっごく甘えているよね?」
(確実に変わっているわよ………)
(ク、クー………)
その時ある事に気付いたエステルは戸惑い、ミントは苦笑しながら尋ね、エステルの中にいるパズモとクーは大量の冷や汗をかき
「そうかしら?私はそんなつもりは全然ないのだけど……」
「ま、まさにエステルちゃんと同じ天然やんか………」
不思議そうな表情で首を傾げて言ったサティアの言葉を聞いたケビンは表情を引き攣らせた。
「フフ………けどもしそんな風に変わっているのだとしたらきっとお母さんの影響かもしれないわね。私は”家族”の中でお母さんを一番慕っていたし。」
「なるほど………一体どんな教育をしたんだろうね?」
微笑みながら答えたサティアの言葉を聞いたヨシュアは頷いた後呆れた表情でエステルに視線を向け
「ちょっと!そこで何であたしを見るのよ!?それとサティアさん!何度も言っているけど『お母さん』って呼ぶのも止めてって言ってるでしょう!?」
視線を向けられたエステルは声を上げた後サティアを睨み
「フフ、いきなりこの癖を治すのは難しいから許してもらえないかしら?それに私がお母さんの娘として産まれてくることは最初からわかっていたし、何より私はお母さんの血の繋がった娘だし、できるだけ呼ばないように努力するから大目に見てもらえないかしら?」
睨まれたサティアは微笑み
「う”……」
サティアに微笑まれたエステルは表情を引き攣らせて唸った。
(どう考えても原因はお前だろうが………)
(何せ”神”の性格を変えた前科があるしねえ………)
(さ、さすがはエステルさんというか………)
(恐れていた事が実現してしまったわ…………………もう………一体どんな教育をしたのよ………)
(…………………)
(ク、クー………)
(下手をしたらこの娘の子孫はみんなこの娘みたいになるのじゃないかしら?)
エステルの中にいるサエラブは呆れ、ニルとテトリは苦笑し、パズモは疲れた表情になった後呆れた表情で溜息を吐き、カファルーは黙り込み、クーは大量の冷や汗をかき、エステルの棒の中にいるフェミリンスは表情を引き攣らせていた。
「ハハ、ティオちゃんやロイド君達、後はワジ達やセリカさんが驚く姿が目に浮かぶな………」
「むしろ驚かない方がおかしいから。」
エステル達の会話の様子を苦笑しながら見守っていたケビンの言葉にリースは静かな表情で指摘した。
「というかミント。まさかとは思うけどこれ以上増えたりしないわよね?」
その時エステルはジト目でミントを見つめ
「アハハ、大丈夫だよ。”未来のミント”に聞いたけど”過去の人達は”もうこれ以上増えないよ?本当ならロイドさんやケビンさん達の為にガイさんやルフィナさん、後ついでにお祖父ちゃんを連れて来ようと思ったけど……さすがにそれをやるのは止めたようだよ?後が大変だし。」
「ブッ!?」
「ね、姉様達を連れてくることまで考えていたのですか………」
「いくら何でもそれをやったら色々と不味いし、色々と台無しになるだろう………」
苦笑しながら答えたミントの答えを聞いたケビンは吹き出し、リースは表情を引き攣らせ、ヨシュアは呆れた表情で溜息を吐いた。
「……あ。そういえば貴女の事、何て呼んだらいいのかな?”お祖母ちゃん”って言うのも何か変よね??」
一方ある事を思い出したエステルはエイドスを見つめて尋ね
「ちょ、ちょっとエステル!?」
「空の女神を祖母扱いって……………あ、相変わらずとんでもないな………」
「相手は本物の”空の女神”なのですよ?」
エステルの言葉を聞いたヨシュアは慌て、ケビンは表情を引き攣らせ、リースはジト目でエステルを見つめ
「でもあたしやサティアさんの凄い昔のお祖母ちゃんである事は間違っていないでしょう??」
(そういう問題ではないのですよ………)
見つめられたエステルは首を傾げ、エステルの棒の中にいるフェミリンスは呆れた表情で溜息を吐き
「クスクス、そういう所も全然変わっていないわね。」
サティアは微笑みながらエステルを見つめていた。
「お、おばあ…………………わ、私、まだ子供も産んでいないのに……………確かに人の年齢で換算すれば相当生きているし、彼女達は私の子孫だから間違ってはいないけど…………………………」
一方エイドスは石化したかのように固まった後身体を震わせながら地面に膝をつき、顔を俯かせて暗い雰囲気を纏ってブツブツと呟き始め
「あ、あわわわわわわわわわっ!?エ、エエエ、エステルちゃん……!何て事を……!」
「気をしっかり持って下さい!」
それを見たケビンは大量の冷や汗をかいて表情を青褪めさせて慌て始め、リースは心配した表情で叫び
「エ、エイドスにショックを受けさせるなんて……!」
「い、いくらエイドスの末裔とはいえ、とんでもなさすぎだろう、”ブレイサーロード”は……………」
星杯騎士達は大量の冷や汗をかいて表情を青褪めさせていた。
「あ、あの……………さ、さすがに祖母扱いは勘弁してくれませんか?まだ夫との子供すら産んでいないのですし………」
リースの叫びに我に返って立ち直り、立ち上がったエイドスは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせて言い
「じゃあ女神様?」
「それも止めて下さい。私は”人”としての生を夫と歩む事に決めたのですから。――――私の事は普通の”人”として扱ってもらって構いませんよ。」
「わかったわ。よろしくね、エイドス!」
「ええ。(フフ、よかった………私の願いは受け継がれているのですね……ちょっと……いえ、かなり変わった方向性のような気もしますが………ま、まあいいでしょう。)」
そして笑顔で言い、片手を差し出したエステルにエイドスは心の中で冷や汗をかきながら微笑みながら頷いてエステルと握手をし
「貴方達もできるだけ私の事は”神”扱いしないで下さいね?」
ヨシュア達に視線を向けて言った。
「僕やミントはフィーナさん達と既に普通に接した事があるからまだ大丈夫ですけど………」
エイドスの言葉を聞いたヨシュアは苦笑しながらケビンとリースに視線を向け
「う、うーん……貴女を信仰しているオレ達からしたらとんでもなく難しい注文ですな~………」
「空の女神がそう仰るのなら、努力はしてみます。セサルさんやマーカスさんも難しいとは思いますがお願いしますね。」
ケビンは冷や汗をかいた後溜息を吐き、リースは疲れた表情で答えた後他の星杯騎士達に視線を向けて言い
「ええっ!?」
「無茶言わないで下さいよ……」
リースに視線を向けられた星杯騎士達は表情を引き攣らせたり、疲れた表情で溜息を吐き
「……それなら貴方達が崇める私の命令です。いいですね?」
「う”………」
「……承知しました。(やっぱりエステルさんの先祖だけあって、微妙に天然な所がありますね………)」
そして微笑みながら言ったエイドスの言葉を聞いたケビンは表情を引き攣らせて唸り、リースは疲れた表情で会釈をした。
「あはは……”神”扱いされるのを嫌がっている割にはちゃっかり利用するのね?」
その様子を見て苦笑していたエステルは尋ね
「フフ、こういう時に限っては利用した方がいいと思いましたので。」
尋ねられたエイドスは微笑み
(や、やっぱりこの性格は先祖代々やったんかい………)
(わ、私達のエイドスに持っていたイメージがどんどんと破壊されて行く………)
エステルとエイドスの会話を見ていたケビンとリースは大量の冷や汗をかいて疲れた表情で溜息を吐き
(ハハ……さすがはエステルの先祖だね。)
(お祖父ちゃんも昔はママ達みたいな性格だったのかな??)
ヨシュアは苦笑し、ミントは首を傾げていた。
「そういえば………先程から気になっていましたけど、貴女からわずかに”聖痕”の力を感じているのですが、もしかしてそちらの”聖痕”の持ち主の方と結ばれたのですか?」
そしてある事を思い出したエイドスはリースを見つめて尋ねた……………
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