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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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第131話

~星見の塔~



「……………………………」

地面に膝をついたアリアンロードは静かな笑みを浮かべて目を伏せて黙り込み

「はあはあ………ど………どうだ………!」

「こ、これが俺達の全力ってヤツだぜ………!」

ロイドやランディはアリアンロードを睨んで叫んだ。

「……驚きました。セリカ殿達以外で私に膝をつかせる者達が現れるとは……」

アリアンロードは微笑んだ後身体を震わせながら立ち上がった!

「くっ……!?」

「まだ立ち上がるのか……!?」

それを見たロイドとワジは厳しい表情をし

「でも……こちらだって……!」

リーシャは厳しい表情でアリアンロードを睨んだ。するとその時

「―――これ以上、矛を交えるつもりはありません。今の貴方たちならば”戦鬼”や”剣聖”たちの域に達しているでしょう。」

アリアンロードは微笑んだ後弾き飛ばされた槍を異空間にしまった。

「あ………」

「退いてくれんのか……?」

アリアンロードの行動を見たロイドは呆け、ランディは目を丸くして尋ねた。

「光明を示せたのであればこれ以上は無用の手出しというもの。この結果をもって御子殿には納得してもらうしかありませんね。」

「そうですか………」

アリアンロードの答えを聞いたティオは安堵の溜息を吐き

「”鋼の聖女”………一つだけ教えてください。貴女はかつて……私の父と?」

リーシャは真剣な表情で尋ねた。

「ええ、10年ほどまえに。我が面を砕くほどの強者はそう顕れるものではありません。既にその高みに届いていますが……それでも別の道を進むかどうかは貴女次第でしょう。」

「……………………………」

アリアンロードの言葉を聞いたリーシャは複雑そうな表情で黙り込んだ。

「もう一つだけ………貴女のその髪、そして”鉄機隊”という名前。まさか貴女はかの”獅子戦役”の………?」

その時エリィは真剣な表情でアリアンロードに尋ねたが

「ふふ…………………”半分”は合っていますね。」

「え……そ、それはどういう意味ですか……!?」

アリアンロードの答えを聞いて戸惑った。



「やれやれ………いつからそんな謎かけをするようになったのかしら?―――――シルフィア。」

その時カーリアンは溜息を吐いた後口元に笑みを浮かべて尋ね

「へ………?」

カーリアンの言葉を聞いたロイドは呆け

「ええっ!?」

エリィは驚き

「なっ!?ま、まさか……ティナさんがセシルさんに生まれ変わったように……貴女はシルフィアさんが生まれ変わった人物なのですか……!?」

ティオは声を上げた後信じられない表情でアリアンロードを見つめて尋ねた。

「――――我が名はリアンヌ・ルーハンス・サンドロット。今日よりこの名を名乗り、この身に宿る前より仕えた我が主――――リウイ・マーシルンとイリーナ・マーシルンに再び我が槍を捧げるつもりです。」

するとその時アリアンロード―――リアンヌは改めて名乗った!

「へ………」

「リ、リウイお義兄様とお姉様に忠誠を誓うってまさか………」

「……よく事情はわからないけどつまり”結社”を抜けてメンフィルに所属するという訳かい?」

リアンヌの答えを聞いたロイドは呆け、エリィは信じられない表情をし、ワジは驚きの表情で尋ねた。

「ええ。――――フフ、それにしてもよく私の事がわかりましたね?カーリアン殿。」

「そりゃ”影の国”の件を知っている上、貴女と貴女が教えたリフィアだけしか使えない魔術――――”エクスピアシオン”まで使ったのなら、さすがに私でもわかるわよ~。」

リアンヌに見つめられたカーリアンは苦笑し

「まさか本当にシルフィアさんだったなんて………」

ティオは驚きの表情で呟いた。

「あ、あの………そのシルフィアという方は何者なのですか?」

その時リーシャはエリィに尋ね

「……シルフィア・ルーハンスの名前はメンフィルでは有名よ。何故なら――――」

尋ねられたエリィはロイドやリーシャ達に説明した。

「あ、あのリフィア殿下のもう一人の祖母にして現メンフィル皇帝の母……!?」

説明を聞いたロイドは信じられない表情でリアンヌを見つめ

「”メンフィルの守護神”って………オイオイオイッ!それなら何で俺達と敵対したんだよ!?メンフィルの関係者なら俺達と戦う必要なんて全然なかっただろうが!?」

「それについてかなり疑問に思っていました。自らの命を犠牲にしてまでリウイ陛下達に忠誠を誓っていた貴女が何ですぐに”結社”を抜けなかったのですか?」

ランディは呆けた後疲れた表情で指摘し、ティオは頷いた後真剣な表情で尋ねた。

「―――それは”(シルフィア)”の意識が覚醒するまで思っていたリアンヌ―――いえ、アリアンロードは”盟主”に”騎士”として忠誠を誓っていました。いくら私が生まれ変わったとはいえ”主”に誓った忠誠を裏切るのは騎士として恥ずべき事。なので今まで世話になった”盟主”への義理――――つまり貴方達と敵対し、御子殿から頼まれた件を完遂するつもりでしたので。……おかげさまで私の”盟主”への義理は果たせ、ようやく陛下達の元に参上できます。」

「フウ……貴女らしいわね。」

「とてつもない高潔な精神の持ち主ですね………」

リアンヌの説明を聞いたカーリアンは溜息を吐き、リーシャは驚きの表情でリアンヌを見つめた。

「………………………あ、あの。アリアンロード……いえ、”リアンヌ・サンドロット”がどうして”結社”に入った理由とか知っているのですか?」

「エリィ?」

「………………………」

その時考え込んでいたエリィはリアンヌに尋ね、エリィの質問にロイドは不思議そうな表情をし、ワジは真剣な表情でリアンヌを見つめた。



「………端的に言えば忠誠を捧げていた”主”が自分の存在を危ぶみ、抹殺しようとし………その事に絶望を感じたリアンヌは”盟主”と出会い、”盟主”の目的を知り……賛同して”結社”に入ったのです。」

「…………え……………」

リアンヌの答えを聞いたエリィは呆けた表情をした。

「……………貴女がメンフィルに降るというのならこっちにとっても都合がいい………僕からも聞きたい事がある。”盟主”の正体……そして”身喰らう蛇”は最終的に何をしようとしているんだい?」

その時ワジは真剣な表情で尋ね

「あ………!」

「最高幹部なら当然知っていそうだな?」

「しかも”結社”を裏切るのですし………」

「教えてもらってもいいですか、シルフィアさん。」

ワジの質問を聞いたロイドは目を見開き、ランディは口元に笑みを浮かべ、リーシャとティオは真剣な表情でリアンヌを見つめた。

「―――いいでしょう。まず”身喰らう蛇”の最終目的ですが………ゼムリア大陸内の全ての”盟約”を解いてそれぞれの”盟約”に縛られた人々に試練や運命を与え………”七の至宝(セプト=テリオン)”に秘められる力を全て集め………それらを集束し、新たな”至宝”を創り………その力で”盟約”より解放され、”答え”を出した人々意外を全て消し去り………”答え”を出した人々と共に新たな世界を創る事です。」

「なっ!?そ、それって………!」

「………言いかえれば選ばれた人々による世界創世ね………」

「…………………………」

リアンヌの話を聞いたロイドは驚き、エリィは厳しい表情で呟き、ワジは真剣な表情で黙り込み

「まるで”神”のような傲慢な考えよねえ?もしかして”盟主”の正体は”空の女神(エイドス)”に関係しているとか?」

カーリアンは不敵な笑みを浮かべて尋ねた。

「………………………」

リアンヌは目を伏せて黙り込み

「え………そこで否定せず黙るという事はまさか……!?」

リアンヌの様子を見たリーシャは信じられない表情をし

「シ、シルフィアさん?さすがに”空の女神(エイドス)”ではないですよね?だって空の女神(エイドス)は…………」

ティオは戸惑った表情で尋ねた。

「――――”盟主”の正体………それは”空の女神(エイドス)”が天に召される時に地上に住む人々がいつか”救いの神”を求めた時の為に残した”核”であり、その”核”が長い時を経て世界中の人々の”悪意”に侵され………やがて”人”の姿に形どり、自らの意志に目覚めた存在です。」

「なっ………!?」

「オイオイオイ……!つーことは”盟主”とやらの正体は………!」

「簡単に言えば”空の女神(エイドス)”が世界に残した”力”でそれが”墜ちた”………言いかえれば墜ちた”空の女神(エイドス)”という事だね?」

リアンヌの答えを話を聞いたロイドは驚き、ランディは表情を厳しくし、ワジは真剣な表情で尋ね

「―――その通りです。」

リアンヌは静かな口調で答えた。

「なんてこと………」

「……ま、ありえない話ではないわね。」

「………………………」

リアンヌの答えを聞いたエリィは表情を青褪めさせ、カーリアンは重々しい様子を纏って呟き、ティオは黙り込み

「なるほどね………”墜ちた”とはいえ”空の女神(エイドス)”でもあるから慈悲は僅かに残っていて、絶望や闇に囚われた人々―――例えば”蛇の使徒”や”執行者”みたいな連中を”救う為”に自らの勢力に勧誘して、”教団”みたいな連中を殲滅したりするってワケだ?(まいったな………教会に報告したら大混乱に陥るのは間違いないから、報告しない方がいいかもしれないな………)」

「……ええ。」

そして溜息を吐いた後尋ねたワジの質問にリアンヌは頷いた後、片手をかざし、そして光に包まれた。

「あ………」

「い、一体どこに行くんですか、シルフィアさん……?」

光に包まれたリアンヌを見たロイドは呆け、ティオは戸惑いの表情で尋ね

「―――”アリアンロード”の役目が終わり………”リアンヌ・ルーハンス・サンドロット”となった私はリウイ陛下達の元に行き………陛下達に事情を話して陛下達と共に”盟主”を討ちに行きます。陛下達を害する者は何者であろうと許しはしません。」

「ええっ!?」

リアンヌの答えを聞いたエリィは驚き

「―――それでは、さらばです。運命を前に貴方達が”答え”を出せること……遠き地で祈っていますよ。」

リアンヌはロイド達に微笑んだ後転移の光と共に消えた! 
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