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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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外伝~道化師の最後~

~月の僧院~



「ウフフ………まさかあんな方法で来るとは思わなかったよ。”廃墟(ダンジョン)探索”に”宝探し(トレジャーハント)”………せっかく王道な趣向を用意してあげたというのに、力づくで全て解決なんてちょっとルール違反じゃないのかい?」

カンパネルラは自分達を睨むハイシェラ達を口元に笑みを浮かべて言い

「フン、何故そんな下らん遊びに付き合ってやらねばならんだの?」

「やっぱり貴方が仕掛けたのね………」

「随分、面倒なお遊びに付きあわせようとしたのですね?」

ハイシェラは鼻を鳴らし、エオリアは警戒した表情でカンパネルラを睨み、リタは首を傾げた。

「フフ、少しは障害が無いと君らだって愉しくないだろう?道化師ならではのお茶目なサービスとでも思って欲しいな♪」

その時カンパネルラは笑顔で答えた。

「結構よ。」

「いらないサービスですね。」

カンパネルラの言葉を聞いたエオリアは蔑みの表情で言い、リタは静かな表情で頷いた。

「―――そうそう。クロスベルの独立無効宣言と帝国宣言、そして二大国への侵攻宣言は拝聴させてもらったよ。なかなか興味深かったよ。一体”六銃士”はどうやって”英雄王”達を味方にしたのかな?」

「フン。貴様如きに教える義理等ありはしないだの。」

興味深そうな表情で尋ねて来たカンパネルラの質問にハイシェラは鼻を鳴らして嘲笑した。

「フフ、まあいいか。クロスベルがどうなろうとボクの使命からは外れている。その意味では、とっとと撤退してもいいんだけど………最後にとっておきのショウを披露させてもらおうかな?」

ハイシェラの言葉を聞いて口元に笑みを浮かべて言ったカンパネルラは指を鳴らした。するとカンパネルラやハイシェラ達の空間が歪み始めた!

「これは一体……!?」

周囲の様子を見たエオリアは厳しい表情をし

「幻術……いや、特殊な位相空間の展開だの。」

ハイシェラは冷静な様子で説明し

「まさかこんな結界魔術を扱えるなんて……!」

リタは真剣な表情でカンパネルラを睨み

「ウフフ、ここは足場が悪いからもう少し広い場所に案内するよ。執行者No.0”道化師”カンパネルラ。いざ尋常に勝負―――なんてね♪」

睨まれたカンパネルラは不敵な笑みを浮かべて宣言した。しかしその時!



「フン!生憎と貴様のような雑魚如きにこの我が時間をとってやる必要はないだの!―――絶影!!」

「え………うああああああああああああああっ!?」

なんとハイシェラが電光石火で強襲してカンパネルラの片腕を切断し、片腕が切断されたカンパネルラは切断された部分から大量の血を噴出させながら悲鳴を上げると共に発動した術を中断させてしまい

「―――これは湿地帯の時のお返しよ!アステリズム・ライン!!」

ハイシェラに続くようにエオリアは無数の短剣を一斉に投擲し、投擲された短剣は次々とカンパネルラの全身を貫き

「ぎゃあああああああああああ―――――――――――っ!?ハア、ハア……ちょ、ちょっとタイム……!まさか君達、本気でこのボクを……!?というか術の展開中に奇襲攻撃とか反則じゃないかい!?」

短剣に全身を貫かれたカンパネルラは全身から血を噴出させて悲鳴を上げて地面に膝をついた後、信じられない表情でエオリアを見て叫んだその時

「フフ、敵は殺すのが”私達”の常識ですよ?」

リタは乗っている槍を滞空させ、背後に無数の”聖槍”を顕させ

「クク、大方甘いエステル嬢ちゃん達を相手にしていて、タカをくくっていたようだの?」

カンパネルラや大鐘の背後の空で滞空しているハイシェラは両手に膨大な魔力を溜め込みながら凶悪な笑みを浮かべ

「―――ま、ロイド君達じゃなくて私達が相手になったことが貴方の運の尽きよ、”道化師”カンパネルラ!!」

エオリアは懐から致死毒が塗り込まれてある短剣をカンパネルラの目では決して見えない神速の動作で投擲し

「うあっ!?う、嘘……だろう………?ゴホッ!………み、”見届け役”のご、ごのボクが…………ご、ご…んな…どごろで…………………………」

エオリアのクラフト―――デスナイフが首に刺さった受けたカンパネルラは大量の血を口から吐いた後信じられない表情で呟きながら絶命して地面に倒れ

「走れ、空の聖槍!!」

そこにリタが無数の聖槍を解き放って、絶命したカンパネルラの身体を次々と貫くと同時に大鐘を攻撃し

「全て消しとべぇっ!!ルン=アウエラ!!」

ハイシェラは高位純粋魔術を放った!すると大鐘とカンパネルラの死体は聖槍が起こす光の爆発とルン=アウエラによる超越した大爆発によって塵も残さず破壊され、カンパネルラの死体と大鐘があった場所はポッカリと空いていた!

「フン!あっけない雑魚だっただの!こんな事ならアリアンロードとやらの方に我が行くべきだっただの。」

「まあ、”No.0”を名乗っていましたから実力もきっと”0(ゼロ)”だったんでしょうね。」

攻撃を終えたハイシェラは鼻を鳴らしてつまらなさそうな表情をし、リタは微笑み

「アハハ………私もいずれあんな非常識な人達の中に入るのかしら………?」

二人の言葉を聞いたエオリアは苦笑しながら二人を見つめていた。



ハイシェラ達がカンパネルラと大鐘を破壊する少し前、セリカ達と戦っていた兵士達はセリカ達の圧倒的な強さにより、次々と戦闘不能になり、アリオスも満身創痍の状態になっていた。

「グウ……!ハア……ハア……ここまで差があるとは…………!?俺の剣では一太刀すら浴びせる事もできないのか……!?」

セリカとの戦いにより、全身のあちこちの斬り傷から血を流して、疲労によって息を切らせているアリオスは悔しそうな表情でセリカとの戦いによって真っ二つに割れ、刃が半分になっている利剣『隼風』を構えてセリカを睨み

「――――貴様如きの剣では俺には決して届かん。」

アリオスの攻撃を全て回避して一太刀も浴びず、無傷のセリカは静かな口調で呟いた。

「か、”風の剣聖”が一方的に負けるなんて……!」

「も、もう無理だ……!こんな化物たちに敵うはずがない……!」

「逃げろ―――――――――ッ!!」

「女神さまああああっ!!」

そして兵士達は絶望の表情をした後その場から逃亡を始め

「………!クッ………!」

その様子を見たアリオスは唇を噛みしめ

「くかかかかかっ!相変わらず逃げっぷりだけは見事だな!」

「……まあ、支えにしていた(アリオス)が敗北したのだから、瓦解するのも目に見えていたわ。」

「フン、軟弱者達が………」

ギレゼルは陽気に笑い、ルファディエルは静かな口調で呟き、メヒーシャは蔑みの表情で逃げ去って行く兵士達を睨んでいた。

「アリオスさん………どうしてディーターさん達に力を貸しているのですか……?そして……ガイさんを殺害したのは本当に貴方なのですか………?」

その時セシルは決意の表情でアリオスを見つめて尋ね

「―――語る事はない。……が、ガイの婚約者であったお前にはガイ殺害については知る権利があるだろう。………俺がガイを殺害したのは俺の目的の障害となったから、俺が殺害した。それだけの話だ。目的を果たし終えたその時、お前の手によって裁かれる覚悟もある。だからその時まで待て。」

尋ねられたアリオスは静かな口調で答えたが

「――――嘘ですね。」

「何………?」

目を伏せて言ったセシルの言葉を聞いたアリオスは眉を顰め

「―――ガイさんの死因は銃撃によるものです。剣士であるアリオスさんが銃を使うとはとても想像できませんし………例え使ったとしてもガイさんを相手に使う暇はなかったと思います。」

「!!」

悲しそうな表情で答えた後真剣な表情になったセシルの言葉を聞いて目を見開き

「フフ、看護師を勤めているだけあって、中々鋭いわね?―――セシルの言う通り、貴方がロイド達に自分がガイ殺害の犯人であると答えたその時真っ先に疑問に思ったわ。―――大方ガイとの戦いの間に第三者―――ディーター達……もしくは貴方やディーター達の”協力者”がガイを撃ったのでしょう?」

「ガイとやらがどれほどの腕前だったかは知らぬが………今までの話を聞く限りお前とほぼ同等の戦闘能力だと聞く。にも関わらず剣士であるお前がそのような物を使う隙があるとはとても思えんな。」

ルファディエルは微笑んだ後目を細めてアリオスを睨み、ツァイトは重々しい様子を纏って頷いた後厳しい表情でアリオスを睨んだ。

「……………………………」

一方アリオスは黙して何も語らなかった。するとその時”僧院”からすざましい轟音が聞こえた後、”大鐘”があった場所は消えていた!

「ふえええええええ~!?一体何があったんですか~!?」

「”大鐘”があった場所がなくなっています……!」

轟音を聞いて振り向いたサリアとシュリは驚き

「……大方ハイシェラ様が魔術で破壊されたのでしょうね。」

「十中八九そうでしょうね………」

「全く……ちと暴れすぎではないか?わらわでも手加減してやっているというのに。」

「……………?鐘……こわすの……目的……なのに………なん……で………??」

エクリアとマリーニャ、レシェンテは呆れた表情で溜息を吐き、3人の言葉を聞いたナベリウスは首を傾げた。

「………”大鐘”が破壊された以上、今回は俺達の負けだ。――――だが、次は決して負けん。」

その時アリオスは重々しい様子を纏って答えた後セリカ達に背を向けて走り出し

「アリオスさん!」

セシルは声を上げたが、アリオスは立ち止まらず走り去って行った。

「………よかったのか?アリオスを逃がしてしまって。」

アリオスが撤退するとセリカはルファディエルに尋ね

「………ええ。正直な所今の私達にとってアリオス自身は大した障害ではないし、いつでも仕留められるわ。それに………アリオスの口を割らせるとしたらロイドくらいしかできないと思うし。」

尋ねられたルファディエルは頷いた後微笑み

「……………そうね。」

ルファディエルの言葉にセシルは微笑みながら頷いた。その後ハイシェラ達と合流したセリカ達はアッバスに連絡して”メルカバ”に戻った。



こうして月の僧院の”大鐘”は破壊され………さらに謎に満ちた執行者No.0―――”道化師”カンパネルラはあっけない最後を遂げた……………! 
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