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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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第108話

~ウルスラ病院~



病院の出入り口付近では国防軍の兵士達が談笑していた。

「はあ、暇だよなー。こんな場所で警備なんてタイクツすぎるっての。しかも、病院側からはいつも白い目で見られるから、ホント、嫌になってくるぜ…………」

「ボヤくなって。例の支援課のバニングスが逃亡したままなんだから。しかもバニングスにはあの”叡智”がついているんだぜ?」

溜息を吐いている兵士に他の兵士は注意し

「ハッ、たかが捜査官2人に何ができるってんだ。とっくに外国あたりに逃げ出してるんじゃないか?」

注意された兵士は鼻を鳴らして言った。

「しかし、とんでもない化物を連れてるって噂だが……第4連隊の連中が喰われたってのは本当なのか?」

「ハハ、ただのデマだろ。そんな事より、せっかくだからイリアの顔を拝みたいよな。確か、まだ入院してるんだろ?」

「ああ、そのはずだぜ。とっとと怪我を治してもらって復活して欲しいんだが。」

そして兵士達がイリアの事について談笑をしていたその時

「―――それは同感だよ。」

なんと武器を構えたロイド達が兵士達に近づいてきた!

「ロイド・バニングス!?」

「くう、本当に現れるとは!」

「しかも遊撃士までいるぞ!?」

「クソ……!街からは出られないはずなのに何でいるんだ!?」

「し、しかも姿を消したはずの”真銀の霊女”まで……!」

ロイド達を見た兵士達は驚き

「フフ、私もそれなりに有名だったようね。」

「有名人は人気者で辛いですね。」

エオリアとリタは微笑み

「やれやれ。化物とは失敬な。」

ツァイトは呆れた様子で溜息を吐き

「いや、あの元の姿を見たらさすがに仕方ないんじゃない?」

ワジは口元に笑みを浮かべて指摘し

「そうー?キーアはカッコイイと思うよー??」

「フフ、そうか………」

首を傾げて呟いたキーアの言葉を聞いたツァイトは静かな笑みを浮かべた。

「―――争うつもりはない。だが、立ち塞がるのなら遠慮なく撃破させてもらう!」

そしてロイドは兵士達を睨んで叫び

「生意気な……!」

「少数だ!一気に制圧するぞ!」

「了解(ラジャ―)!」

兵士達は武器を構えてロイド達に向かって行った!しかしその時!



「みんなを襲ったら、メッ!!」

「うっ………!?」

「な、なんだ……!?か、身体が……!」

キーアのクラフト―――叱咤を受けて戦意を喪失し、スタンハルバードを持った兵士達は戦意を喪失し、身体が一時的に動かなくなり

「何をやっている!?」

「回復しかできない薬役が生意気な真似を!」

銃を持った兵士達はキーアに銃口を狙ったが

「遅いっ!!」

「がっ!?」

「ぐっ!?」

エオリアが放ったクラフト――トキシックナイフを受けて怯み

「うぷっ!?」

「気持ち悪い……!?」

さらにトキシックナイフに塗り込んである特製の毒に侵されて、表情を青褪めさせた。そこにロイドとワジが突撃し

「うちのキーアをそんな言い方で呼んだ上、銃口を向けるなんて絶対に許さない!ワジ!」

「オーケー、リーダー!」

怒りの表情のロイドはワジと共に銃を持った兵士達を挟み込み

「イーリュン、ロイド達に力を貸して!アルテミスの祝福!!」

その瞬間、キーアは祈りを捧げて魔術―――アルテミスの祝福でロイドとワジの身体能力を上昇させ

「アークス、駆動!ラ・シャイニング!!」

さらに複数の味方を一時的に集中力を高め、命中力や回避能力を大幅に上昇させる”心眼”状態にするアーツ―――ラ・シャイニングをツァイトとエオリアに放った!

「おおおおおおおおおおおっ!!」

「ハァァァァァァァァァァ!!」

「「ぐああああああああっ!?」」

身体能力を上昇させられた2人はすざましい速さで次々と連続攻撃を放ち

「「ストライク……ヘヴン!!」」

「ぐあっ!?」

「がっ!?」

最後に2人同時に強烈な一撃を放って、銃を持った兵士達を戦闘不能にさせた!

「クソ……!」

「生意気な真似を……!」

一方スタンハルバードを持った兵士達は立ち直った後、後方のキーアに襲い掛かったが

「鳳凰牙!!」

「グアッ!?」

「ががッ!?」

ツァイトの強襲攻撃を受けて怯み

「吹き飛びなさい!玄武の地走り!!」

「うおおおっ!?」

「うわあああっ!?」

リタが放った衝撃波攻撃を受けて吹っ飛ばされて壁にぶつかり

「セリカさん、私達に仇名す者達に裁きの雷を!!セナケリプの雷光!!」

「「ギャアアアアアアアアアアアアッ!?」」

エオリアが放った魔術―――セナケリプの雷光によって上空に発生し、落ちてきた聖気を纏った雷をその身に受け、その場で膝をついて動かなくなった!



「……ぐうっ……」

「つ、強い………」

地面に膝をついた兵士達は呻き

「さて―――僕の出番かな。」

ワジは静かな笑みを浮かべて呟いた後一歩前に出て星杯のメダルを手に持って前に出した。

(星杯のメダル……?)

ワジの行動を見たロイドは不思議そうな表情をし

「我が深淵にて蒼金(あおがね)の刻印よ………」

ワジが詠唱を始めるとワジの背中に金色の紋章―――”聖痕”が浮かび上がった!

(しき)の銀耀と結びつきて、偽りの記憶を彼らに与えよ。」

「…………ぁ。」

「…………………」

ワジが詠唱を続けていると兵士達は声を上げた後虚ろな目をし

(これは……)

(ふむ、教会に伝わる暗示の術のたぐいのようだ。何やら不思議な力も使っているようだが……)

(七耀教会に伝わっている法術にはこんな法術もあるのね…………)

(今浮かび上がった紋章……もしかして”聖痕”………?)

(えへへ、ピカピカしてキレイだなー。)

その様子を見たロイドは驚き、ツァイトは頷いた後ワジを見つめ、エオリアは信じられない表情をし、リタは真剣な表情でワジを見つめ、キーアはワジの背中の紋章を嬉しそうな表情で見つめていた。

「―――君達は先程、大型の幻獣の接近を確認した。何とか撃退したはいいが、全員が負傷してしまったため、一時的に帰投することになった。バニングスの姿は見ていないし、当分現れそうな気配もない。」

「…………………」

ワジの言葉を聞いた兵士達は立ち上がって頷き

「……現れそうな気配もない。」

虚ろな目で呟いた後、それぞれ装甲車に乗り込んで病院から去って行った!



「す、凄いな……」

「ただの暗示の術ならばあそこまで具体的に操れまい。察するに”聖痕(スティグマ)”の力を利用したというところか。」

「ハハ……さすがは伝説の聖獣だね。」

ツァイトの言葉を聞いたワジは苦笑し

「”聖痕(スティグマ)”………?」

「一体何なのかしら……?」

ロイドとエオリアは真剣な表情で考え込み

「確か”守護騎士(ドミニオン)”全員が持つ特別な力……でしたよね?」

リタはワジに尋ねた。

「ああ、そんな所だよ。……ま、特別なトラウマを体験しないと現れないけどね。いずれにせよ、完璧ではないから2,3日で暗示は解けるだろう。軍も警戒してくるだろうから今後は使えないと思って欲しいな。」

「そうか、了解だ……」

そしてワジの忠告にロイドが頷いたその時

「ワジさん、ツァイト……?それにエオリアさんやリタさん……?」

聞き覚えのある少女の声が聞こえ、声が聞こえた方向に振り返るとそこにはティオがロイド達を見つめていた!



「………………………」

ティオは呆けた表情でロイドを見つめ

「ティオ……!」

「ティオだー♪」

「ティオちゃん!!」

ティオを見たロイドやキーア、エオリアは嬉しそうな表情をし

「フム、無事のようだな。」

「やれやれ、一安心だね。」

「ええ、まずは一人目奪還ですね。」

ツァイトは呟き、ワジとリタは静かな笑みを浮かべた。

「よかった……!病院にいるっていうから一体どうしたのかと……大丈夫か?ケガとかしていないか?」

そして嬉しそうな表情のロイドが一歩前に出てティオを見つめたその時

「……ロイド………さん………」

ティオは涙を流して呟き

「ロイドさんっ………!!」

嬉しそうな表情でロイドに抱き付いた!

「うぐっ……(きょ、胸甲が……)」

ティオに抱き付かれたロイドはティオが身につけている胸甲を押し付けられて呻き

「う、羨ましい……!私ならいつでもオッケーなのに!!」

「落ち着いて下さい、エオリアさん。」

エオリアは羨望の目でロイド達を見つめて叫び、リタは苦笑しながら諌めた。



「い、今までどこに………!拘置所に捕まってるって聞いて……!……だ、脱走して軍の人達に追われてるって……ど、導力ネットで、見かけて……!わ、わたし……ヒック………ずっと心配で…………っ!」

「ティオ………」

泣きながら呟いたティオの言葉を聞いたロイドは複雑そうな表情をした後ティオの頭を撫で始めた。

「……ゴメン。心配させちゃったみたいだな。でも、もう大丈夫だから。ツァイトやワジの助けを借りてクロスベルに戻ってきたから……それにエオリアさんやリタ、キーアが力を貸してくれることになったから……だから……安心してくれ。」

「……ううっ………グス……………?え……………今、キーアの名前がありませんでした?」

口元に笑みを浮かべて言ったロイドの言葉を聞いたティオは涙を流した後ある事に気付いて呆けた表情をした後、ロイドから離れて驚きの表情でロイドを見つめて尋ね

「ハハ……かなり驚くと思うけど、そちらの女性がキーアだよ。」

尋ねられたロイドは苦笑しながらキーアに視線を向けた。

「…………え……………キ、キーア…………なんですか………?た、確かに顔や雰囲気はキーアそっくりですけど……………キーアのお母さんかお姉さん……なんじゃないですか?」

キーアを見つめたティオは信じられない表情で呟き

「ハハ、普通に考えたらそっちの方が正しい答えに思えるよな……」

「えへへ……キーアはキーアだよ♪」

ティオの言葉を聞いたロイドは苦笑し、キーアは無邪気な笑顔を浮かべてティオを見つめた。

「――――その声、その笑顔……!で、でも………どうしてクロスベル市にいるはずのキーアがロイドさん達と一緒に…………そ、それ以前に………何でそんなに育っているんですか……!?」

キーアに見つめられたティオは驚いた後混乱し

「フフ、ロイドさんと一緒の反応だね。」

「まあ、普通に考えてありえない事だものね……」

ティオの様子を見たリタは微笑み、エオリアは苦笑していた。その後ロイド達は病院の寮の食堂で今までの経緯やワジやツァイト、キーアの事を説明した。なお、その際ツァイトが人間の言葉を話している事にさらに驚いた。



「……………そんな事が……………」

説明を聞き終えたティオは疲れた表情で溜息を吐いた。

「ああ………俺が望む事は2つだ。未だ見えていない真実をこの目で確かめること―――そしてみんなを解放してキーアを取り戻すことだ。」

「フフ、2つだけとか言いながらとんでもなく大変そうだけどね。」

「まあ、性分なのだろう。」

決意の表情で言ったロイドの言葉を聞いたワジは笑い、ツァイトは目を伏せて呟いた。

「ふふっ……それがロイドさんだから。―――わたしの心もロイドさんと同じです。支援課のメンバーとして……何よりキーアの保護者としてどうか連れて行ってください。」

「ありがとう、ティオ。遠慮なく力を貸してもらうよ。」

決意の表情で言ったティオの言葉にロイドは静かな笑みを浮かべて頷き

「まあ、そのキーア本人は”一応”今ここにいるのだけどねえ?」

ワジは口元に笑みを浮かべてキーアに視線を向け

「ワジ………お前な……」

「少しは空気を読んであげなさいよ……」

「クスクス………」

ロイドとエオリアは呆れた表情でワジを見つめ、リタは微笑み

「話の腰を折らないで下さい。……という未来のミントさん、何てとんでもない事をしでかしているんですか…………未来のキーアをわたし達の時代に連れてくるなんて………」

ティオはジト目でワジを見つめた後疲れた表情で溜息を吐いた。

「ティオ……未来のキーアに会いたくなかったのー?」

ティオの言葉を聞いたキーアは不安そうな表情で尋ね

「そんな事は絶対にありえませんっ!むしろ立派に成長したキーアを今この場で見れて感無量です……!」

尋ねられたティオは真剣な表情で声を上げて隣に座っているキーアを見つめた。

「えへへ、ありがとう♪」

ティオの言葉を聞いたキーアは嬉しそうな表情でティオの顔を豊満な自分の胸に抱きしめ

「うっぷ!?く、苦しいです……!……………というか、キーア。さっきから思っていたのですがちょっと成長しすぎじゃないですか?……今のキーア、セシルさんみたいにかなりのぐらまーじゃないですか……………」

抱きしめられたティオは呻いた後キーアから離れ、恨めしそうな目でキーアの豊満な胸を見つめて尋ねた後、溜息を吐いた。

「そうかなー?キーア、6年くらい前まではこの時代のティオと同じぺったんこで、胸が膨らみ始めたのは5年くらい前で、今の胸の大きさになったのは半年くらい前だよー?それに未来のティオだって胸が膨らんでいたよー?」

「キ、キーア!?」

首を傾げて呟いたキーアの言葉を聞いたロイドは顔を赤らめて声を上げ

「(……………10年後のわたしが一体どこまで育っているのか非常に気になりますね……………)……………ランディさんに今のキーアを会わすのが少し不安になってきましたね。」

「フフ、彼なら今のキーアを見た瞬間、ナンパを始めるんじゃない?」

ティオはジト目で呟き、ワジは静かな笑みを浮かべて言い

「た、確かに……………」

ロイドは疲れた表情で溜息を吐いた。

「―――それと。未来のキーアが何故ロイドさんのファミリーネームを名乗っているのかが非常に気になるのですが……?」

(まさか、この男………)

そしてティオはジト目でロイドを見つめ、ラグタスは呆れた様子でロイドを見つめ

「ち、違うからな!?養子だろう、キーア!?」

見つめられたロイドは慌てた様子でキーアに尋ねたが

「ゼッタイ教えない!」

キーアは笑顔で答え

「ガクッ………」

「フフ、諦めて認めちゃえばいいのに。」

キーアの答えを聞いたロイドは肩を落とし、ワジは静かな笑みを浮かべ

「もしくはロイドさんが既に死んでいて、ロイドさんの意志を継ぐ意味でロイドさんのファミリーネームを名乗っているかもしれませんよ?」

「ちょっ、リタちゃん!縁起でもない事を言わないでくれっ!?」

からかいの表情で言ったリタの言葉にロイドは慌て

「アハハ……大丈夫だよ。ちゃんとキーアの時代のロイドも生きているよ。」

「ホ……………」

苦笑しながら言ったキーアの答えを聞いて安堵の溜息を吐いた。

「フフ……あ。そういえば………キーアちゃんの持っているエニグマって私達が持っているのと大分違うわね?」

「うむ。それに今まで見た事のないアーツを使っていたな。」

「もしかしてそれが未来で使われているオーブメント?」

その様子を微笑みながら見ていたエオリアはある事に気付き、ツァイトはキーアに視線を向け、リタは尋ねた。



「えっとね……キーアの時代のオーブメントは”ARCUS(アークス)Ⅴ”っていうのが一般的に使われているんだー。」

「”ARCUS(アークス)”…………?」

「”ENIGMA(エニグマ)”ではないの?」

キーアの言葉を聞いたロイドは不思議そうな表情をし、リタは尋ね

「確か……ラインフォルトと共同で開発している”ENIGMA(エニグマ)”と同じ第五世代戦術オーブメントだと聞いた事があります。何でも”ENIGMA(エニグマ)”と違って独自のさまざまな機能が搭載されてあるとか。」

「へえ?じゃあなんで実用化しないんだい?」

考え込みながら言ったティオの説明を聞いたワジは興味深そうな表情をして尋ねた。

「何でも適性が高くなければ、機能を発揮しないらしくて実用化には至っていないそうです。話に聞くところ、適性の高い方達が試験運用をしていると聞いた事はあります。」

「それで10年後では既に運用している上、Ⅴにまで進化している……という事ね。ねえねえ、キーアちゃん、ちょっとだけ見せてもらってもいいかしら?」

ティオの説明を聞いたエオリアは考え込んだ後キーアに尋ね

「うん、いいよー。……でも詳しく調べたりしないでねー。未来に影響する可能性が凄く高いし。」

尋ねられたキーアは自分が身につけているオーブメントを机の上に置き

「確かに未来のオーブメント技術を今の時代で知るのはとんでもない事ですね……」

ティオは苦笑しながらロイド達と共に机に置かれたオーブメントを見た。

「これは………」

「マスタークオーツが嵌めこまれてあるのは一緒ですが……し、しかし……」

オーブメントに嵌めこまれてあるクオーツを見たロイドは驚き、ティオは戸惑いの表情でオーブメントを見つめ

「マスタークオーツが二つ嵌めこまれてある上、全て合わせて10個のクオーツが嵌めこまれてあるなんて………」

「へえ?10年後ではさらに便利になっていそうだね。」

エオリアは驚きの表情で呟き、ワジは興味深そうな表情で言った。

「……あ。今気付きましたけど、キーアちゃんのオーブメントだと私達のオーブメントに嵌められてあるクオーツは対応していないんじゃないですか?」

その時ある事に気付いたリタは呟き

「あ………」

「確かに今まで新開発されたオーブメントは旧いタイプのクオーツは全て対応していませんでしたね。」

リタの言葉を聞いたロイドは呟き、ティオは複雑そうな表情で言った。

「うん、そうだよ。ランディなんか新しいのが出る度に『頻繁に新しいのばかり出して、エプスタインもいい加減にしろっつーの!毎回クオーツを買い直すこっちの身になりやがれ!もうこれ以上新しいのを出すのを止めさせろ、ティオすけ!』ってティオに愚痴を言っていたよー。」

「ランディさん………」

そしてキーアの話を聞いたティオはジト目になり

「ハ、ハハ……でも、そうか………そういえばどうしてティオはここに連れてこられたんだ?」

ロイドは苦笑した後ある事に気付いて尋ねた。



「……多分、マリアベルさんかアリオスさんの指示だと思います。支援課のメンバーは分断してそれぞれ別の場所で監視する……下手に一緒の場所に置いておくと団結してキーアに働きかねないと思われたんでしょう。……ただでさえ反乱分子であるヴァイスさん達もいつ反乱を仕掛けるか、わからない状況ですし………ヴァイスさん達とわたし達を合流させない意味もあったと思います。」

「なるほど……となるとエリィとランディもそれぞれ別の場所に居そうだな。」

ティオの説明を聞いたロイドは考え込み

「うーん、クロスベル市にいたら解放するのは不可能だけど……そこの所も教えてくれないのかい?」

ワジも考え込んだ後キーアに視線を向け

「うん……………」

視線を向けられたキーアは静かな表情で頷いた。

「ランディさんの居場所なら私達が知っていますよ?」

その時リタが申し出

「え…………」

「本当か!?」

リタの申し出を聞いたティオは呆け、ロイドは真剣な表情で尋ねた。

「ええ。彼なら自力で脱出して、マインツ方面に潜伏しているエルミナ大尉やミレイユ三尉と合流して、エルミナ大尉達と一緒に機を窺っているとセリカさんが言っていたわ。」

「フフ、自力で脱出するとは、さすがは”闘神の息子”だけはあるねえ?」

エオリアの説明を聞いたワジは静かな笑みを浮かべ

「ハハ、さすがはランディだよ………―――よし、それじゃあ国防軍が来ない内にそろそろ行こうか。」

ロイドは口元に笑みを浮かべた後提案し

「ええ。……あ。ドノバン警部とイリアさん……二人とも目を覚ましましたけど、どうしますか?」

「本当か……!?」

ティオの話を聞いたロイドは明るい表情をした。

「交代の兵士達もそんなすぐには来ないだろうし、会って話をしていく時間くらいはあると思うよ?」

「そうだな………それじゃあ2人に会ってから”メルカバ”に戻ろう。」

「わたしもお付き合いします。」

ワジの推測を聞いたロイドは頷いた後提案し、ロイドの提案にティオは頷き

「フフ、それじゃあ私は病院側の手伝いをしてくるから、面会が終わったらエニグマに連絡して。」

「フム、病人を混乱させそうなので私はここで待っているとしようか。」

「キーアもエオリアと一緒に病院の人達の手伝いをしているねー。」

「それじゃあ私は念のためにキーアちゃんの護衛をしておきますね。万が一国防軍が来ても全て私が撃退しますから。」

その後ロイドはワジとティオと共にドノバンとイリアに会う為に病室に向かい始めた…………… 
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