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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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外伝~太陽の聖女~

ウルスラ病院に向かっていたロイド達は途中に現れた幻獣を協力して退治した。



~ウルスラ間道~



「ふう……いきなりだったな。しかしあんなのがいる状況で、街から病院へのバスなんてちゃんと運行できているのか?」

戦闘を終えたロイドは安堵の溜息を吐いた後真剣な表情でワジ達を見回して尋ね

「難しいかもしれないね。国防軍の装甲車とかなら何とか行き来できそうだけど。」

「しかも”敵”がクロスベル市に入り込みやすい機会は作らないと思うわ。」

ワジとエオリアは考え込みながら言った。

「ということは市民の健康が損なわれている可能性もありそうだな……」

二人の予想を聞いたロイドは疲れた表情で溜息を吐き

「………………………」

キーアは辛そうな表情で黙り

「キーアちゃん………そんなに責任に思わなくていいと思うよ。キーアちゃんが決めた事じゃないんでしょう?」

「ああ………全てはディーター大統領や国防軍が決めている事なんだろう?キーアが気に病む事はないよ。」

キーアの様子を見たリタとロイドはそれぞれ声をかけ

「ありがとう……………でも、ヘーキだよ………キーアはクロスベルをこんな状況にしてしまったキーアの”罪”と向き合わなきゃダメなんだから……………」

「………………………」

そして寂しげな笑みを浮かべて言ったキーアの言葉を聞いたロイドは複雑そうな表情で黙り込んでいた。

「ふむ、因果なものだ。ウルスラが見たらさぞ嘆くかもしれんな。」

その時ツァイトは目を伏せて呟いた。

「ウルスラって……『聖女と白い狼』の?って、白い狼ってやっぱりツァイトなのか!」

ツァイトの言葉を聞いたロイドは不思議そうな表情をした後驚いた。

「中世の時代に実在した領主を諌めた治療師の娘だね。教会でも一応、聖人認定されているけど。」

「まさか話の中の存在が目の前にいるなんてね……」

「あら?それを言ったら主だって伝説上の存在ですよ?」

ワジは頷いた後ツァイトを見つめ、エオリアは苦笑し、エオリアの言葉を聞いたリタは可愛らしい微笑みを浮かべた。

「うむ、心優しき娘だった。ちなみに物語では命を落としたが、実は一命を取り留めてな………後に騎士と添い遂げて末裔(すえ)もこの地に残っているぞ。」

「そ、そうだったのか……」

「あはは。事実は小説より奇なりだね。」

「フフ、本の内容を知っている子供達が知ったら喜びそうな事実ね。」

ツァイトの説明を聞いたロイドは苦笑し、ワジは笑顔で言い、エオリアは微笑んだ。

「………ちなみにキーアの時代ではイーリュン教の”四大聖女”の一人として、”ウルスラの聖女”と呼ばれているウルスラの末裔である人がいるよ♪」

「なに……!?」

「へっ!?」

そして微笑みながら言ったキーアの話を聞いたツァイトとロイドは驚き

「あら……」

「まあ……」

「へえ?一体誰なんだい?」

リタとエオリアは目を丸くし、ワジは興味深そうな表情をして尋ねた。



「えへへ、それは秘密だよー。未来をみんなに教えたらダメだしー。………でもね。”ウルスラの聖女”は近い内、ロイド達に力を貸してくれることになるよ♪それにツァイトならすぐに気付くと思うよ♪」

「フム……………」

(一体誰の事なんだ………?)

(ロイド達の知り合いでイーリュン教の信者といえば、”彼女”だけど………まさか”彼女”がウルスラの末裔で、ロイド達に力を貸すのかな?)

キーアの説明を聞いたツァイトやロイド、ワジは考え込み

「それより”四大聖女”っていう呼び名も凄く気になるんだけど………」

「呼び方からして四人の”聖女”がいるんだよね?」

エオリアは苦笑しながらキーアを見つめ、リタは尋ねた。

「うん………”癒しの聖女”。”ウルスラの聖女”。”漆麗の聖女”………そして”太陽の聖女”――――キーアがみんなから”四大聖女”だなんて言われているんだー。」

「なっ!?キ、キーアが”聖女”……!?」

「まあ、”教団”からは”御子”と呼ばれていたのだから”聖女”の称号が付く事も十分にありえる事だが………」

そしてキーアの説明を聞いたロイドは驚き、ツァイトは納得した様子で呟いた。

「フフ、それにしても”太陽の聖女”か。キーアちゃんにピッタリな二つ名なんじゃないのかしら?」

「キーアちゃん、エステルのようにいつもお日様みたいだものね。」

「確かにそうだね。キーアはいつも周りの雰囲気を明るくしていたからね。」

エオリアとリタは微笑み、ワジは口元に笑みを浮かべ

「ああ……………さすがは俺達のキーアだな。」

ロイドは頷いた後静かな笑みを浮かべてキーアを見つめ

「えへへ………キーアはキーアがみんなにできる精一杯の事をしているだけだよー。」

見つめられたキーアは嬉しそうな表情で笑いながら言った。その後ロイド達は病院の近くに到着した。



(あれは……!)

病院の近くまで来たロイドは病院の出入り口付近にいる国防軍の兵士達を見て厳しい表情をした。

(国防軍の部隊が……)

(警備中かな……?タイミングが悪かったね。)

(それにしてもどうして病院に戦力を割いているのかしら……?)

兵士達を見たロイドとワジは真剣な表情になり、エオリアは考え込んでいた。

「……さすがにここで国防軍に見つかるわけにはいかないか。」

「まあ、避けた方が無難だろうね。もっともいつになったらいなくなるかはわからないけど。」

溜息を吐いて言ったロイドの言葉にワジは頷いた。

「………ふむ。どうやらこの病院内にティオがいるようだな。」

するとその時黙り込んでいたツァイトがロイド達に言った。

「な……!?」

「ティオちゃんが!?」

「あら…………」

ツァイトの言葉を聞いたロイドとエオリアは驚き、リタは目を丸くし

「…………………」

キーアは真剣な表情で黙って病院を見つめ

「マジかい……?」

ワジは真剣な表情でツァイトに尋ねた。

「うむ、微かに匂いを感じる。それ以外の支援課のメンバーはいないようだが。」

「ま、まさかティオ……あれからどこかでケガを負って入院を……?」

「ふむ、そこまでは私の鼻でもわからぬが………さすがに少々心配だな。」

「くっ、一体どうしたら……」

ツァイトの話を聞いたロイドは唇を噛みしめて考え込み

「こうなったら一瞬で近づいて私が兵士達全員を増援を呼ぶ隙も与えないで麻酔薬で眠らせて……!」

「落ち着いて下さい、エオリアさん。」

エオリアは懐から短剣や薬品を出して真剣な表情で兵士達を睨み、その様子を見たリタは諌め

「……少し裏技になるけど。ここで兵士たちと交戦しても増援を呼ばれずに済むかもしれない。」

ワジはロイド達に提案をした。

「ほ、本当か!?」

「ふむ、何やら手立てがあるようだな?」

提案を聞いたロイドは驚き、ツァイトは尋ねた。

「フフ、まあね。どうする、ロイド?」

「……言うまでもない。すぐにでも仕掛けよう。何としてもティオの様子を確かめないと……!」

「うむ、やるか。」

「キーアもがんばる!」

「ええ!そしてティオちゃんを思いっきり抱きしめましょう!」

「主旨が変わっていますよ、エオリアさん……」

ワジに尋ねられたロイドやツァイト、キーアとエオリアは返事をし、エオリアの返事を聞いたリタは苦笑していた。

「それじゃあ電光石火でケリを付けるとしようか。」

そしてロイド達はウルスラ病院に向かって行った…………… 
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