英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第99話
~エルム湖~
「………………」
ランディが運転している中ロイドは真剣な表情で黙り込み
「何とか警察のボートを確保できたのは良かったけど……」
エリィは不安そうな表情で呟き
「……どうやらミシュラムは完全に封鎖されたそうですね。テーマパークや各種ショップの常駐スタッフも退去したとか。」
ティオは静かな表情で呟いた。
「例の湿地帯に向かった可能性もあったが……こりゃ、間違いなくミシュラムが正解だろうな。」
「エリィ……マリアベルさんとは連絡が取れなかったのか?」
「……ええ、ここ数日、なかなか捕まらなくって。IBCビル爆破の後始末で忙しかったみたいだけど……」
ロイドの言葉にエリィは頷いた後黙り込み、エリィに続くようにロイド達は黙り込んだ。
「あのお嬢さんはともかく……レクターの野郎とキリカさんが仄めかしたアレは本当なのか?」
「クロスベル襲撃の真の黒幕がエレボニア帝国やカルバード共和国ではなく……ディーター・クロイス市長……いえ、大統領である可能性ですか。」
「…………………」
ランディとティオの言葉にロイドは何も答えず黙り込み
「……ロイド。私に気を遣う必要はないわ。昨日からおじいさまとの連絡が取れていないのだけど……執事のヘルマーさんはもしかしたらオルキスタワーに拘束されたかもしれないって……」
「………!?」
そしてエリィの言葉を聞いたロイドは驚いてエリィを見つめ
「……それは………」
「完全にクロじゃねぇか……?」
ティオは不安そうな表情をし、ランディは疲れた表情で言った。
「……ディーター市長が一連の黒幕………そう考えると、全て辻褄が合って来るのは確かだ。その場合、”赤い星座”や”結社”、”黒月”は彼の雇った実動部隊ないし協力者……魔人化したヴァルドや……場合によっては”教団”すらも利用されただけの可能性がある。」
「”D∴G教団”も!?」
「ヴァルドはともかく……ヨアヒムまでもってことかよ!?」
「そんな……でも……」
そしてロイドの推理を聞いたエリィ達は驚いたり信じられない表情をした。
「勿論、直接の繋がりがあった可能性は低いだろう。ヨアヒムの言動から判断する限り、他に黒幕がいた様子もない。だが、彼自身が気付かない形で利用されていた可能性はあり得る。」
「………………………」
ロイドの推理を聞いたティオは黙り込み
「そういえば、太陽の砦からキーアちゃんを連れ去った人物も判明していなかったわね……」
エリィは不安そうな表情で呟き
「そして”黒の競売会”の出品物に紛れ込ませたヤツか……考えてみりゃ、誰の仕業にしたって”普通の人間”には無理な芸当だ。”銀”や”結社”、”覇王”達クラスの連中、そうでなけりゃ、ありえねえだろ。」
ランディは重々しい様子を纏って呟いた。
「ああ………それに恐らくだがレンは……いや、メンフィルは最初からディーター市長達が怪しいと踏んでいた可能性がかなり高いと思う。」
「ええっ!?」
「オイオイ……!一体どういうことだよ!?」
「何か根拠があるのですか?」
そしてロイドの言葉を聞いたエリィ達全員は驚き
「実は―――――」
ロイドは教団事件後のクロスベル復興後リウイ達が帰る際にレンから『IBCに気を付けろ』という謎の警告を囁かれた事をエリィ達に説明した。
「そ、そんな………!」
「……………あの時の時点でレンさんが全てわかっていたなんて………」
「オイオイオイ……!メンフィルはディーターのオッサン達が今回の事をやらかす事を予測するどころか、下手したらキー坊の正体すらも把握しているんじゃねえのか!?」
ロイドの話を聞いたエリィとティオは信じられない表情をし、ランディは厳しい表情をした。
「ああ………だからこそリィンが俺達特務支援課に派遣された可能性も十分にありえる。」
「リィンが!?」
そして真剣な表情で言ったロイドの言葉を聞いたエリィは驚き
「……なるほどな。いずれ敵対するならば地形を把握する事によって戦争で有利に働くからな……!その点を考えると自国の兵を怪しまれずに、クロスベル全土の地形を調べさせるには、普段の支援要請でクロスベル全土を回っていた俺達の中に紛れ込ませる事はちょうどいいって事か……!」
ランディは目を細めてロイドに言った。
「ああ………俺達と同年代で兵士らしい態度をあまり見せなかったリィンだからこそ、怪しまれないと踏んだんだろうな………恐らく今まで不審な行動が見られなかったリィンの行動を考えると、リィン本人は知らされていないと思うが………」
「………ただそうなると、リィンさんを受け入れたヴァイスさん達もリウイ陛下達から事情を全て聞いて、ディーター市長達の行動なども全てわかっていた可能性も出てきましたね。」
ロイドの言葉に続くようにティオは真剣な表情で呟き
「ああ………姿を消したのは恐らく機を窺ってディーター大統領達……いや、『クロスベル独立国』に対してクーデターを起こすつもりだ……!」
ロイドは厳しい表情で言った。
「IBCでリウイ陛下に言ったギュランドロス司令の発言………ね………姿を消した局長達は市民達に今でも慕われているから、おじさまの今後の政策にもよるけど、残った警備隊と局長達と一緒にいると思われるベルガード門の警備隊の練度を考えると、クーデターが成功する確率はかなり高いでしょうね…………」
「チッ………さすが国を奪い合った経験者達だけあってとんでもねぇ策士じゃねえか……!ミレイユ達を鍛え上げ、自分達を信頼させていたのもミレイユ達を自分達に忠誠を誓う兵士達にし、さらには市民達に慕われるように動いていたのはディーターのオッサンを排除して、クロスベルを奪い取る為ってわけか……!」
「そうなると姿を消したエルファティシアさんやリセルさん達もヴァイスさん達と一緒にいる可能性がかなり高いでしょうね……………」
ロイドの言葉を聞いたエリィは不安そうな表情で呟き、ランディは舌打ちをした後目を細め、ティオは複雑そうな表情で言った。
「ああ………――――それどころかセリカさん達も――――」
そしてロイドが何か言いかけたその時ロイドのエニグマがなり、ロイドは通信を開始した。
「はい……!特務支援課、ロイドです!」
「よっしゃ、繋がったか!ティオにも聞かせたいからスピーカーモードにしてくれよ!」
「ヨナか?わかった、すぐに切り替える。」
通信相手―――ヨナに言われたロイドはエニグマをスピーカーモードにし
「ヨナ、どうしたんですか?」
ティオは真剣な表情で尋ねた。
「どうしたもこうしたもないって!クロスベルの導力ネットだけど……とんでもない化物が潜んでるぞ!?」
「化物……?」
「ど、どういうこと?」
ヨナの言葉を聞いたロイドとエリィは戸惑い
「最初はネットワークの周縁に変なデータ構造体を見つけたんだ!意味不明な配列だったから単なるゴミかと思ってたけど……よくよく調べてみたら例の”結社”が使っていたコートを進化させたものが使われてたんだ!」
「”アストラルコート”………つまり”結社”が仕掛けた何らかのトラップですか?」
ヨナの説明を聞いたティオは考え込んだ後尋ねた。
「いや、日付を見る限り、5年近く前からのものだ!確か導力ネットが導入されたのもそのあたりじゃなかったか!?」
「ええ、確かに………!?」
そしてヨナに尋ねられたティオは頷いた後ある事に気付き
「導力ネットの導入を自治州政府に提案したのはIBCグループ……その結果、財団の技術が導入されIBCも深くかかわって来た……それこそネットワークの基幹部分を知り尽くしているくらいに……」
エリィは厳しい表情で言い
「オイオイ、ってことは――――」
ランディは目を細めた。
「―――ヨナ。その化物とは何なんだ?そいつのせいで何が起きる?」
「そ、それは解析中だけど……ただ、導力ネットの全領域を覆い尽くすような巨大なシステムなのは確かだ!しかもそれと連動するようにリアルなシステムも用意されてるみたいだぜ!?」
「リアルなシステム……?」
「リアルということは導力ネットの世界ではなくて?」
「ああ、ジオフロントの全区画……それとオルキスタワーを結んでミシュラム方面までつなげる仕掛けが構築されてるみたいだ!」
「ミシュラム……!?」
「その名前が出るのかよ!?」
「―――とにかく!解析できたらまた連絡する!何してんのか知んねーけどせいぜい気を付けろよな!」
そしてヨナが通信を切るとその場は無言に包まれた。
「……おいおい。繋がりすぎじゃねえか……?」
「どんな目的のシステムかは現時点ではわかりませんが……財団や”結社”以外でそれだけの巨大なシステムを構築できる人間がいるとすれば……」
「…………………」
「―――今はこのままミシュラムを目指そう。キーアも、アリオスさんも……全ての答えが待っているはずだ。」
それぞれが考え込んでいる中、ロイドは真剣な表情で言った、
~ミシュラム~
ロイド達がミシュラムに到着すると鐘の音が聞こえてきた。
「鐘の音が……」
「これは……”鏡の城”の最上階にあった?」
「ええ……そうみたいね。」
「なんか水面もボンヤリ光ってやがるし……ティオすけ、何だかわかるか?」
「どうやら”霊圧”のようなものが高まりつつあるようです……それも奥にあるテーマパーク方面から。」
「そうか……そちらにアリオスさんたちが向かった可能性は高そうだな。」
「ええ……行ってみましょう!」
その後ロイド達はミシュラムのテーマパークに向かい、その後テーマパークに向かったロイド達は途中でいきなり現れた今まで戦った幻獣達に驚きながらも全て撃退し、テーマパークにある”鏡の城”の中に入った。しかし”鏡の城”の中は変貌していた上、異形の怪物たちが歩き回っていた。そしてロイド達は異形の怪物たちを倒しながら最上階へと向かい、中に入れるようになっている鏡の中へと入って行った。
~鏡の城・最上階~
「!!」
鏡から出たロイドは目の前の光景を見て目を見開き
「こ、これは……」
「……おいおい……」
「どうして……」
ロイドに続くようにティオ達も驚いた後走り出して、自分達を見つめるある人物達に近づいた。
「キーア!アリオスさん……!」
「……ベル……!」
ロイド達が見つめる先にはアリオスとなんと魔術師のような衣装を身につけたマリアベル、そして二人の後ろの装置らしき場所にキーアが座っていた!
「……ロイド……みんな……」
ロイド達を見たキーアは哀しそうな表情をし
「……………………」
アリオスは黙り込み
「フフ……ようやく着きましたわね。」
マリアベルは不敵な笑みを浮かべていた。
「ベル……どうして……どうして貴女がそんな場所にいるのっ!?」
「フフ―――簡単な事ですわ。”大いなる至宝”を受け継いだクロイス家の末裔として……当然の責務を果たしているだけのこと。」
「”大いなる至宝”……」
マリアベルの話を聞いたロイドは呆け
「まさかリベールに出現したという”輝く環”と同種の……!?」
ティオは信じられない表情で声を上げた。
「フフ、話が早いですわね。遥か昔、女神が人間に授けた”七の至宝(セプト=テリオン)”………そのうちの一つを、我が一族は受け継いできたのです。まあ、1200年前までですが。」
「………?」
「ワケがわからねぇんだが………」
「フフ、不幸な出来事によって女神の至宝は失われたのです。その結果、クロイス家の始祖は何としても至宝を取り戻すため途方もなく遠大な計画を構想し………このクロスベルの地に巨大な”式”を構築することにしました。」
「!?」
「巨大な”式”………」
「まさか導力ネットを使った不可解で巨大なシステム……?」
「ええ、現代の導力技術とクロイス家の錬金術を融合させて生み出された”魔導科学”………それによってようやく実現できた馬鹿馬鹿しいほど巨大な”式”ですわ。」
「”魔導科学”による”式”………」
「そ、それに錬金術って……」
マリアベルの説明を聞いたティオは考え込み、エリィは厳しい表情をし
「……そうか………そういう事だったのか。かつて”星見の塔”を建造し、”教団”に技術を提供していた錬金術師達の集団………―――あれは貴女達クロイス家の事だったんだな!?」
ロイドはマリアベルを睨んで叫んだ!
「なっ……!」
「で、でも……そう考えると辻褄が合います!」
「そ、それじゃあキーアちゃんが眠っていたあの”揺藍”というのも……」
「フフ、もちろんクロイス家が”教団”に提供したものですわ。―――彼らに侵攻対象を与え、気持ちよく働いてもらうためにね。」
「…………………」
マリアベルの説明を聞いたキーアは黙り込み
「それじゃあやっぱり”D∴G教団”というのは……」
「クロイス家の目的を達するために影から誘導された……?」
「ええ……傀儡というわけです。クク……もっとも彼ら自身にその自覚はなかったでしょうけど。」
ロイドとエリィの事あを聞いたマリアベルは不敵な笑みを浮かべた。
「フフ、おおよその背景は呑みこめていただけたかしら?―――ああ、ちなみにこちらのアリオスさんは我が一族とは関係ありませんわ。今回、わたくしたちの計画に賛同してくださった頼もしい協力者というわけです。」
黙り込んでいるロイド達の様子を見たマリアベルは笑顔で見つめた後説明を補足し
「……………」
アリオスは黙り込んでいた。
「アリオスさん…………」
「……アンタ、正気か?こんな妄想じみた話に………」
「フ……妄想じみた話か。確かにその点については俺も同意見だ。」
ロイド達に睨まれたアリオスは口元に笑みを浮かべ
「まあ……!酷いですわね。」
アリオスの言葉を聞いたマリアベルをアリオスを睨んだ。
「だが、彼らにその力があり、この状況を変えられるならば……俺はいくらでもその幻想に付き合うだけだ。―――たとえ女神の意志に背くことになったとしてもな。」
「そんな……………」
「……一体どうして……」
(愚かとしか言いようがないわね……………)
アリオスの意志を知ったエリィやティオは信じられない表情をし、ルファディエルは目を細めてアリオスを睨んだ。
「……正直、途方もない話ばかりでまだ整理できていないけど……ただ……これだけは言える。その妄想にキーアを巻き込むのは断じて認められない!キーア、戻ってくるんだ!何を唆されたのは知らないけどキーアは、キーアだろう!?そんな辛そうな顔をして……そんな椅子に座ることはないんだ!」
そしてロイドはキーアを見つめて叫び
「……ロイド………」
キーアは辛そうな表情をしていた。
「ウフフ……キーアさん。あんな風にロイドさんは言ってますけど………”どうする”つもりですの?」
「………………………」
そして怪しげな笑みを浮かべたマリアベルに尋ねられたキーアは黙り込んで顔をうつむかせ
「……キーア……?」
「ど、どうしたの……?」
キーアの様子を見たロイドとエリィは戸惑い
「キー坊、迷うことはねえ!いつもみたいにロイドの胸に飛び込んで来い!それが一番、お前にとって安心できるんだろうが!?」
ランディはキーアを見つめて叫んだ!
「ランディ……」
「……そうね。事情はあるのだろうけど……」
「それ以上に大切なことは絶対にないと思います。」
「………エリィ…………ティオ………………」
そしてエリィとティオの言葉を聞いたキーアが辛そうな表情をしたその時
「ウフフ……盛り上がっているじゃない?」
少年の声が聞こえてきた後、なんとカンパネルラ、ノバルティス、アリアンロードの顔が移った画面が突如空間に現れた!
「”身喰らう蛇”………!」
「やはり彼らと繋がりが……」
「フフ、お互い協力関係を結んでいるだけですけど……―――皆さん。もう準備はよろしいのかしら?」
「フフ、もちろんだとも。満足してもらえる性能に仕上がっていると思うよ?」
「”鐘”の準備もできています。後はそちらの”鍵”を回すだけ。」
「彼らが納得するまで待っててもいいんだけど……そろそろ時間切れみたいだよ?」
「あらあら。」
「……来るか。」
カンパネルラの言葉を聞いたマリアベルは口元に笑みを浮かべ、アリオスは真剣な表情になった。
「な、何を言っている……?」
「何が時間切れだったんだ!?」
一方カンパネルラ達の会話を聞いていたロイドは戸惑い、ランディは怒鳴り
「決まっている―――エレボニアとカルバードの侵攻だ。」
二人の言葉にアリオスは真剣な表情で答えた。
「!!」
「あ………」
「フフ、せっかくだから実況するとしましょうか?」
一方その頃、ベルガード門の目の前にあるエレボニアの要塞―――ガレリア要塞の門が開いて、そこから二門の”列車砲”が姿を現し、砲門を長くしてクロスベル市に向けた!
~ガレリア要塞~
”列車砲”が姿を現した後、ガレリア要塞からは次々とエレボニア軍の戦車が現れ、ベルガード門に向かっていた。
~同時刻・タングラム丘陵~
同じころ、タングラム丘陵にはカルバード軍の戦車と飛行艇が現れ、タングラム門に向かっていた。
~鏡の城・最上階~
「そ、そんな……」
「来やがったか……!」
その様子をマリアベルの操作によって現れた画面で見ていたエリィとランディは厳しい表情をし
「しかし、警備隊の戦力では食い止めようが……」
ティオは真剣な表情で言った。するとその時
「―――それを覆せる”鍵”が彼女というわけだ。」
男性の声が聞こえた後なんとディーター大統領の顔が移った画面が現れた!
「ディーター大統領……!」
「……おじさま……!」
「”結社”の諸君、計画への協力、感謝する。ベルにアリオス君も。どうやら予定通りのようだね?」
「ええ、ここまでは。」
「……後は彼女にゆだねるしかありませんね。」
「―――聞いた通りだ、キーア君。もうわかっているのだろう?この事態を何とかできるのは”君しかいない”ということを―――」
「…………………………」
そしてディーター大統領に尋ねられたキーアは静かな表情で頷いた後全身から不思議な光を放った!すると装置は動き出し、それぞれから謎の光を放ち始めた!
「フフ、いい子ですわね。」
その様子を見たマリアベルは怪しげな笑みを浮かべた後詠唱を開始した。同時刻、”星見の塔”、”月の僧院”、”太陽の砦”に設置された”鐘”がカンパネルラ達が見守る中、それぞれ不思議な光を放つと共に共鳴しだした!そして同時刻、ジオフロント内ではそれぞれから不思議な光が走り出し、全てはオルキスタワーに集中した!
~ジオフロントC区画~
「な、なんだよコレ!変換された導力エネルギーがオルキスタワーに流れてんのか!?」
一方その様子を端末でロバートと共に見ていたヨナは驚いていた。
~鏡の城・最上階~
「―――キーア、駄目だ!」
「ベルも止めてちょうだい!」
「なんだか知らねぇが見過ごせるかよ……!」
「とりあえず……止めさせてもらいます!」
そしてロイド達はマリアベル達に向かって走り出したが、アリオスが道を阻んだ!
「……!」
「”風の剣聖”……………」
「………………通りたくばお前達の全てをぶつけるがいい。ガイや俺、セルゲイさんが超えられなかった”壁”―――それを乗り越えられる力がお前達にあるのかを……!」
ロイド達が睨む中、アリオスは太刀を抜いて戦闘の構えをし
「くっ……!」
「ビビんな、相手は一人だし、”覇王”やギュランドロスのオッサン達ほどの化物じゃねえ!」
「何とか勝機を掴めれば……!」
「エイオンシステム、魔力全開!目標を撃破します……!」
そしてロイド達はそれぞれの武器を構えてアリオスとの戦闘を開始し、大苦戦をしながらもアリオスを地面に膝をつかせた!
「や、やった……!」
「ハッ……どんなモンだっつーの!」
地面に膝をついたアリオスを見たロイド達は明るい表情をし
「……フ……驚かせてくれるものだ。これならば本当に……俺達を超えられるかもしれん。」
アリオスは口元に笑みを浮かべて呟いた。
「………え………」
アリオスの言葉を聞いたエリィが呆けたその時
「アリオスさんから気配を感じません!」
「!?」
何かに気付いたティオの警告にロイドは驚いた。するとアリオスの姿は消え、ロイド達の背後に現れた!
「空蝉……」
「しまった―――」
背後に現れたアリオスを見たロイド達が驚いたその時!
「―――二の型”疾風”。」
「……うぐっ……!」
「………あうっ………!」
アリオスは電光石火でロイド達に攻撃し
「斬……!」
すざましい衝撃波を放ってロイド達を吹っ飛ばした!
「みんな……!」
ロイド達の様子を見たキーアは悲鳴を上げたが
「フフ、峰打ちでしょう。集中力を途切らせたら上手く行きませんわよ?」
「………わかった……もう……迷ったりしないから……!」
マリアベルの忠告を聞いて頷いた後決意の表情になった後立ち上がって手を掲げた。するとキーアの全身から光が放ち始め
「キ、キーアちゃん……!?」
「やめろおおおっ………!!」
キーアの様子を見たエリィ達は叫んだ!一方その頃ジオフロント内では巨大な魔法陣が出来上がり、すざましいエネルギーがオルキスタワーに集中して集まり、さらに太陽の砦、月の僧院、星見の塔からも膨大なエネルギーが発生して全てオルキスタワーに集まり、クロスベル市内は巨大な魔法陣に包まれると共に謎の光を放つ光の障壁によって囲まれた!
「きゃああっ………!」
「こ、この光は……!」
「一体なんなんだ……!?」
「凄まじい密度を持った七属性の霊子情報……!」
キーアが放つ光にロイド達が驚いている中、光が収まり、光が消えるとキーアの姿はわずかに成長しており、髪は銀色へと変貌していた!
「………………」
その様子をアリオスは真剣な表情で見つめ
「………ぁ……………」
「キーア……ちゃん………?」
(これがキーアの真の姿………!)
変貌したキーアを見たロイド達は呆け、ルファディエルは目を細めてキーアを見つめ
「……ウフフ……成功しましたわね………喪われし!幻の至宝”の再現……いいえ、それすら凌駕する”零の至宝”の誕生ですわ!」
マリアベルは不敵な笑みを浮かべて叫んだ!
「ぜ、”零の至宝”………」
「な、なんだそりゃ……」
マリアベルの言葉を聞いたティオは驚き、ランディが戸惑ったその時
「ロイド………みんな………」
「……っ……………キーア……………本当に……キーアなのか……?」
「うん……ベル、行こう。」
変貌した自分を見つめて驚きの表情で尋ねるロイドにキーアは静かに頷いた後、マリアベルに視線を向け
「え………」
キーアの言葉を聞いたロイドは呆けた。
「フフ、わかりましたわ。アリオスさん。ここはお任せします。」
一方マリアベルは頷いた後アリオスに視線を向け
「……承知した。」
マリアベルの言葉にアリオスは頷いた。するとその時キーアは宙へと浮かび上がり
「キーア……!?」
「おい、どこに……!」
「ゴメンね。……今までありがとう。大好きだよ―――みんな。」
自分の行動にティオやランディが驚いている中、キーアは哀しげな笑みを浮かべた後マリアベルと共に転移して消えた……………!
ページ上へ戻る