ソードアート・オンライン~隻腕の大剣使い~
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第67話《リトルギガント》feat.シリカ
前書き
この回から、二つくらいタグを追加しようかな・・・
シリカside
2025年7月5日、アルヴヘイム・イグドラシルシティ
新生ALOが運営開始されて早二ヶ月、今日あたしはライリュウさんたち《リトルギガント》のALOにおける拠点のイグドラシルシティに遊びに来ました。ギルドとしての設立はしていないそうですが、みなさん毎日とても楽しそうにはしゃいでいます。特にライリュウさんは、あたしがSAOで見たことがない程の笑顔を振り撒いています。
その笑顔を見ると、ふいにSAOでライリュウさんがあたしを助けてくれた時に言っていた言葉を思い出す。
『・・・理由としては二つ。オレ、4ヶ月ぐらい現実の友達とギルドを組んでたんだけど・・・オレの不注意でみんな死んじゃって』
今思えば、あれは《リトルギガント》の事を言ってたんだなって思えます。死んだと思ってた、だけど生きていた友達と今度は遊びとして戦えて嬉しいんだ。今のライリュウさんの笑顔は、大袈裟でも何でもなく太陽のように見えてくるーーー
「ヘイ竜!頼まれてた物が完成したよ!」
「一応ALOじゃライリュウだからな。メテオ」
たった今までドンチャン騒ぎしていた《リトルギガント》のみなさんの前に、一人のレプラコーンの男の人が現れました。
銀髪のストレートヘアー、研究者の白衣のような白いロングコート、レンズが水色の眼鏡をかけたレプラコーンの男性ーーーメテオという人物。現実世界では総務省仮想課の役人さんで、ライリュウさんのお兄さんの神鳴龍星さんらしいです。総務省という事でライリュウさんやキリトさんからは良く見られてないそうですがーーー実際はスキル上げや戦闘なんかをしたり普通に遊んでいるので、ライリュウさんたちも『何か良からぬ事をしない限り近くに置いておく』という事にしたそうです。そんなメテオさんはライリュウさんに武器の製作を頼まれていたようで、完成した武器を渡しに来たそうです。そのメテオさん作の武器とはーーー
「じゃあライリュウにはコレだね・・・二刀流を計算して鍛えた片手剣、《ドラグロンダイト》だ!」
「へぇー・・・随分、歪な剣だな」
メテオさんがライリュウさんに渡したのは二本の片手剣、《ドラグロンダイト》。見た目は二本とも鍔がなくて、長刀のようですが峰の部分が潰れてて完全に刀のようです。ライリュウさんの言う通り、かなり歪な剣だと思いますーーー
「二本の峰を合わせて、柄を刃の方に降り立たんでみてよ」
『は?』
メテオさんの言ってる事が分からなくて、あたしや《リトルギガント》のみなさんが素頓狂な声をあげました。ライリュウさんは訳も分からずにメテオさんの言う通りに剣の峰をピッタリ合わせて、柄を刃の方に降り立たんでみたらーーー新たに別の柄が抜き出てきました。
「それが《ドラグロンダイト》の真骨頂、名付けて《双・大チェンジ》だ!!!」
『すっげぇーーーーーー!!!!!』
メテオさんの説明と合体した《ドラグロンダイト》を見てライリュウさん、ライトさん、ミストさんが目を輝かせました。でもあたしやミラさんやキャンディさんはそこまで共感しませんし、全く興奮しません。
メテオさん曰く、二刀流で敵を斬り刻んだり峰で叩き潰したりする二刀流形体が《ドラグロンダイト・双モード》。二本の剣を合体させて大きな振りと広い刃渡りで敵を斬る、ライリュウさんが本気を出せる両手剣形体が《ドラグロンダイト・大モード》だそうです。
「マジですげぇなメテオ!よくこんな武器作れたな!」
「HA~☆HA☆HA☆HA☆レプラコーン驚異のテクノロジーなめちゃいけないよ」
「武器の合体は男のロマンだぜ!よく分かってんじゃねぇか兄貴!」
「そうだな!なあ、これからはメテオに《リトルギガント》の専属スミスになってもらうってのはどうだ!?」
『イイネ!』
あたしたちが分からない事を話し合っている内に、メテオさんが《リトルギガント》の専属スミスになってしまいました。あたしには別に大した影響はないんですが、ミラさんやキャンディさんがこれからはこの男のロマンなる、よく分からない空間にいなければいけないのが何だか可哀想で仕方がありません。
「全く・・・龍星兄ももうパパなんだから、少しは大人になってほしいな」
「そういえば赤ちゃん産まれたんやっけ?」
「本当ですか!?」
「うん!今度ウチに会いに来る?まだ龍星兄もお義姉さんもまだウチにいるから」
『やったぁー!!』
龍星さんとその奥さんのーーー雪乃さんでしたっけ?あのお二人の子供なら、かなり可愛い赤ちゃんが産まれたんだろうなーーー絶対この目で直接見たいです!結果的にライリュウさんは叔父さんになって、ミラさんも叔母さんになったんですよね。お二人も時々お世話をお手伝いするようですし、もしかしたら現実で結婚する前に子育てがプロ級になるかもしれませんね!ミラさんは現実ミストさんと恋人でALOじゃ結婚してますし、あたしもライリュウさんとーーー
「ボフン!?/////」
「え!?シリカちゃん!?」
「いきなりどうしたん!?」
「い、いえ!何でもありません!!/////」
『???』
あたしったら何て事をーーー確かにライリュウさんはあたしを助けてくれた命の恩人で、あたしはそんな彼に惹かれたんだけれど、ライリュウさんから見たらただの妹分であってーーー
「シリカ」
あたしがそんな考え事をしていたら、突然キャンディさんが話しかけてきた。
「あんた・・・アリーと一緒にライリュウ中心ハーレム作れや!多少は意識変わるから!」
「えぇーーー!?」
ハーレムって!確か、女性数人で男性一人を誘惑するっていう、その、あのーーー
「ダメですよそんなの!!/////」
「何を考えとんのや?別に何もヘンな事されへんよ、アイツ《隻腕の竜神》呼ばれてんのに草食系・・・草食動物やし。そもそもシリカぐらいやったら別に襲われへんよ・・・亜利沙もそんくらいやし」
「どこを見て言ってるんですか!?/////」
襲われないって、あたしの胸に魅力を感じないって事ですか!?それに亜利沙さんもあたしと大してサイズが変わらないって、亜利沙さんに対しても失礼ですよ!というかキャンディさんの目が何だかいやらしいんですけど!
「キャンディさん・・・大丈夫ですか?」
「大丈夫や・・・うん、ちっさいのもええな。うん、ウチがちっさい子を大人にしてあげんのもええな。うん」
「シリカちゃん逃げて!!超逃げて!!」
ミラさんの言う通り逃げた方がいい気がします。何でか分からないけど、身体が逃げろって危険信号を出しています。早く逃げようと後退りますがーーーその前にキャンディさんが肩を掴んできました。
「シリカ、これからちょっとお勉強しようや・・・あんたをオトナにするための、保健体育のお勉強♪」
やっと分かりました。あたしは、この人からーーー
「ひっ!ひやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
逃げられないという事に。
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