Three Roses
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第六話 婚姻政策その十一
「状況がどうなるかわからない」
「では」
「暫くはだ」
「婚礼を迎えてもですか」
「あの国に入ることは出来ないかも知れない」
「そうですか」
「そのことはわかっておくことだ、そしてだ」
大公は実の娘である大公にさらに話した。
「自重することもだ」
「大事ですか」
「そなたも然りだ」
こう言うのだった。
「そのこともわかっておくことだ」
「それでは」
「私は帝国派を助ける」
「島国の中の」
「彼等はだ」
まさにというのだ。
「我々の味方だ」
「新教でなくとも」
「彼等は王国の敵だ」
「だから味方になるのですね」
「敵の敵は味方だ」
この論理をだ、大公は娘達に話した。マリアだけでなくマリーとセーラの二人にも冷静な声で話したのである。
「それでだ」
「帝国派に味方しますか」
「そしてこれは長くなるが」
「新教徒をですか」
「あの国にはまだ少ない」
大公はこの現実も把握していた。
「そしてだ」
「しかもですね」
今度はセーラが言った。
「そのことは島国だけでなく」
「半島も北の王国も同じだ」
「どの国もですね」
「旧教の国だ」
その中でこの国だけが新教なのだ、王国はそのことも衝いてこの国の周辺諸国に策略を仕掛けこの国と争わせているのだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「どの国にも新教徒を増やしたい」
「布教ですか」
「まずは各国の諸侯を抱き込む」
貴族の中でも強い力を持つ者達をというのだ、広く多くの民を持つ領地を所有し宮廷にも権勢を維持している者達をだ。
「彼等を新教にしてだ」
「そしてですね」
「彼等から民達もだ」
「新教徒にしていくのですね」
「そうしていこう」
「では」
セーラも大公のその言葉に頷いて応えた。
「我が国に好意的で」
「権益も同じくするな」
「そうした諸侯からですね」
「新教徒にしていく」
つまり取り込んでいくというのだ。
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