とある科学の裏側世界(リバースワールド)
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ep.015 決戦6
前書き
いよいよstudentも残すところ4人ですね。
これまでの戦闘もそうですが、ここからは更に
激しさが増していきます。
お楽しみに。
池野を倒した的場は力が漏れだしているかのように、ちゃんと立つことができなさそうな足腰で階段を上る。
「.....駄目だ........体が重い...どうして.......。」
的場は気付いてなかったが池野の能力の恐ろしい点は、どのタイミングで能力にはまったのかが分からないことだ。
どのタイミングで幻覚を見始めたのかが理解できず、脳が目の前の現象の一切を現実だと錯覚してしまうため、食らっていないダメージも精神面からやってくる。
そして、やっとのことで階段を上り終えると、そこにはいかにも戦闘態勢の少年が待っていた。
左手には棍棒のようなものを持ち、右手にはトゲ付きのメリケンサックが握られている。
もし、メリケンサックで殴られれば体に穴が空きそうなくらいの鋭さだ。
「お前が的場だな。 俺は我紋駿河。 心配しなくてもお前の敵だ。」
我紋は自己紹介を終えると、さっそく戦闘に入る。
棍棒を大きく振りかぶりながら的場目掛けて一直線に突っ込んでくる。
『でも、少し動きが遅いな。』
的場は我紋に接近する。
我紋は射程圏内より少しだけ外側にいる的場が射程圏内に入るタイミングと合わさるように棍棒を振る。
的場はそれを瞬時に理解し、人1人を飛び越えるくらいの跳躍をする。
我紋は当たると踏んで棍棒を振ったため、その勢いを殺せずに自分に直撃する。
「オマケに食らっときな。」
的場はそのまま我紋を飛び越え、すれ違い座間に後頭部に後ろ蹴りを食らわせる。
さらに、着地するとそこからグルッと向きを変えて背後から我紋に力を込めたパンチを撃ち込む。
我紋は1度に多くの攻撃を受けたため、バランスを崩し床に倒れ込む。
『本当にこの人が強いのか? なんならさっきの池野さんのほうがずっと強いような......。』
的場は心の中でそう思った。
しかし、その心の乱れが的場に我紋への視線をそらせてしまう。
そして次に的場が視線を戻すと、倒れていたはずの我紋は的場の懐にまで迫っていた。
「呑気にやってる場合じゃないぜ。」
我紋はメリケンサックを装着した右でパンチ。
的場は反応が少し遅れてしまい、メリケンサックをガードして片腕を負傷する。
さらに、我紋の右手から異常な光が発する。
それは間違いなくヤバイことは的場にも瞬時に理解できた。
キュィィィィィイイイイイイン!!
やがてその右手は異常な光に続いて、まるで爆弾が作動したかのような音を発する。
「爆ぜろ!」
ボゴォォォォォォォォオオオンッ!!
我紋の言葉の少し後に我紋の右手を中心に大爆発が生じ、的場と我紋は煙に包まれる。
先に煙から現れたのは的場だ。
しかし、我紋の起こした爆発でかなりのダメージを負っている。
一方、煙から出てきた我紋は一切のダメージを受けている感じがしない。
「自分の能力でダメージなんか負わないってことか。」
的場が分析していると、我紋が煙を裂くような瞬足で的場に再び突撃する。
的場はウエストバックの中を詮索し、閃光玉のようなものを発見する。
的場はそれを我紋の方に放り、閃光に備えて緊急回避をとった。
閃光玉は炸裂し、我紋の視界をシャットアウトする。
我紋は目を瞑ったままで前方に飛び込み、棍棒を大きく立てに振る。
的場はそれを避けて、我紋の足をすくった。
「チッ!」
我紋は体制を崩して仰向けに倒れる。
的場は、倒れ込むように体重を掛けて力を込めた拳を我紋の腹に撃ち込む。
『床で完全に固定した。 これでダメージも.....。』
「かはっ!!」
我紋は吐血した。
しかし表情が歪んだのは一瞬ですぐに普通になった。
的場が我紋の顔を見ると、我紋は恐怖すら感じさせる笑みで的場を見ていた。
「へヘヘッ........なんてな!」
的場はとてつもない危険を感じ咄嗟に我紋から離れる。
しかし我紋の反応速度は的場の倍近く速く、的回避中で完全に無防備になっている的場の脇腹に強烈な後ろ回し蹴りを食らわせる。
的場はそのまま蹴り飛ばされる。
「まだ攻撃は終わってないぜ。」
我紋は棍棒を持ったまま蹴り飛ばされている的場に追い付き、棍棒を振りかざす。
的場はそれをガードするが、我紋の体重も乗るため地面と接触し、引きずられるような状態になる。
「まだだ....まだ俺のターンだぜ。」
キュィィィィィィィィイイイイン!!
今度は我紋の持っている棍棒から激しく動く機械音が聞こえ出す。
『まさか..これは!』
「二次爆発ってやつだ!」
ボゴォォォォォォォォォォオオオンッ!!
的場は逃げ場のない状況で爆発に巻き込まれた。
棍棒の先は黒煙で包まれていて、的場がいるのかも分からない。
我紋は違和感を感じた。
爆発の直前までは感じた手応えが爆発の瞬間になくなっていたのだ。
何を察知したのか後ろを振り向くと、そこには的場が立っていた。
『馬鹿な。 視覚に認識できない速度で回避したのか。』
我紋は的場に対して妙な何かを感じ取る。
棍棒を起動し、更にそこに光を発した状態の右手を重ねる。
「連鎖爆発!!」
2つの爆発は合わさって、小さな爆発や大きな爆発が次々と発生し、まるで生きているかのように的場に迫ってくる。
「..............。」
無反応の的場だが、爆発が目の前まで来た瞬間に爆発は消滅し、何事もなかったかのような光景になった。
「なんだあれ? 箱部と共通の能力なのか?」
仮にも箱部と共通なら自分の能力は一切使えなくなる。
しかし、それでは説明のつかない点があった。
異常な身体能力の向上だ。
先程まで普通だった動きが突然、直視不可の領域まで加速した。
そうしていると、的場が急接近していることに気付けなかった。
的場はノーモーションから右パンチをかます。
この時我紋は普段の癖で攻撃を食らいに行ってしまう。
「右腕のベクトル.......強化..。」
的場が何かを言ったかと思うとノーモーションのパンチが我紋の腹に食い込むように入る。
「ぐぁっ!」
今度は演技などではなかった。
我紋の能力による威力の吸収は完全に絶たれ、オマケにノーモーションなのにギリギリまで溜めて撃った拳と同等、もしくはそれ以上のダメージが我紋に与えられたのだ。
「うっ..........ぐっ.........はぁ...はぁ...はぁ...ハハハッ....面白えじゃねぇか。 俺にダメージを与えたのはお前が二人目だぜ...的場..聖持......。」
「自身に掛かる空気抵抗をすべてシャットアウト。」
的場が再び何かを言った。
すると、一息にして我紋の目の前まで来た。
そして、今度は力を溜めて拳を奮う。
「ベクトル強化。」
『まさか、こんなに楽しめるなんざ思わなかったぜ。 じゃあ潔く舞台から退場させてもらうか。』
的場の拳は我紋の顔面に命中する。
我紋はそのまま吹き飛ばされ、大の字に倒れてもう立ち上がらなかった。
的場も糸が切れた人形の如く床に倒れた。
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