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恋姫無双~2人の御使い~

作者:デイラミ
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第2話

 
前書き
改めて見返してみましたが。
この2話は、誤字がかなりの量ありました。
どうして気づかなかった私。 

 

 「……と言う事は、何故ここにいるのか……それも分からないという事ね」

 「はい。俺の覚えているのは自分の部屋で寝に入った所までで……砂漠で倒れていたという事も今知って……」

 通された部屋で暢介は部屋の主である、司馬防にそう伝える。
 
 「気がついたら、ここにいた……と」

 司馬防の言葉に暢介は頷くしかなかった。
 何しろ、本当に何も分かっていないのだから。

 分かっている事は、ここは自分がいた世界とは違うという事と。
 何故か、日本語が通じているという所だろうか。

 しかし、暢介の視界に入っている『ある物』が暢介を不安にさせていた。

 (あれって……手紙かなんかだろうけど……全然読めないな)

 手紙に書かれている文字は明らかに日本語では無い。
 
 司馬防も暢介の視線に気づいたのか、視線を手紙の方へ移す。

 「この手紙が気になるのかしら? あんまり他人の手紙を見るのはいいとは言えないわね」

 「あっ、す、すいません。その……そこの手紙に書かれている文章が、全然読めなくてですね」

 読めないという暢介の言葉に、司馬防は首を傾げる。
 司馬懿と同じ様な長さで銀色の髪がファサっと動く。



 初対面の人間は、彼女が司馬懿の様な大きな子供がいるなんてと思うかもしれない。
 それぐらい、若く見える。

 司馬懿と並んでいる姿を見ると、親子というよりは姉妹という表現が正しいのではないかと思ってしまう。

 もしかしたら、親子とは言っても、実は血は繋がっていないのではないかと暢介が思った瞬間。

 『久遠は私の実の娘よ』

 と、にこやかな笑みを浮かべながら言ってきた訳だが。



 「つまり、あなたのいた場所で使われていた言葉は、これとは違うという事ね」

 「はい」

 「見慣れない服装だけじゃなくて、文字も違う……だけど会話は出来てるのね私達」

 「そうですね」

 「私の話してる時の言葉、あなた、自分のいた場所での言葉で話してるのよね」

 「はい……ひょっとして、司馬防さんは……」

 「当然、私は自分の知ってる言葉で話してるわよ」

 互いに違う国の言語を話しているが、自分の達の耳に入ってくる言葉は自分の国の言語になっている。
 だからこそ、暢介は普通に会話が出来たという訳で、言葉では無い文字は読めない訳だ。

 「文字が読めないとなると困るわね」

 司馬防の言葉に暢介は頷く。
 この世界で生きるのかどうかは分からないが、文字を読めるにこした事は無いだろう。
 
 「ここで文字を学んでいくというのはどうかしら」

 「母上?」

 司馬懿が驚きの声を出す。

 「あら? もしかして久遠。あなた、目が覚めたらとっとと追い出すつもりだったのかしら?」

 「そ、そんな事は考えてませんでしたけど……」

 少し司馬懿の表情が曇る。
 その表情に暢介と司馬防は首を傾げる。

 「母上は、鷺島さんに文字を教える役目を僕に任せるおつもりですよね」

 「当然よ。あなたが保護したのだから面倒を見なきゃ」

 「……僕、明日には家を出ないといけないんですが……」

 司馬懿の言葉に司馬防は何かを思い出したのか『しまった』という表情を浮かべる。
 
 「そういえば、あの男の所に行く予定になってたのよね……あいつには何度も断りを入れてたってのに」

 どうやら、良い関係では無い相手の所に明日から司馬懿は行く事になっているようだ。

 「となると……永遠かしら? でも、あの子はまだ若いし……私が教えても構わないけど……あっ」

 視線を動かしていた司馬防が、机にある手紙を見た所で視線が止まった。
 そして、笑みを浮かべると。

 「いいのがいたわ、あの子が戻ってくるんだったわ」

 「あの子って……母上、それって理遠姉ですか?」

 「そうそう、今日から1週間程、戻ってくるって手紙が来ててね。丁度よかったわ」

 どうやら司馬懿が不在中の暢介への教育係が決まったみたいだった。



 そんな中、ドアがノックされ、部屋の中に入ってきた人物がいた。

 「母上、ただ今戻りました」

 「おかえりなさい理遠。丁度あなたの話をしてたのよ。ねぇ久遠」

 「はい。えっと……理遠姉、おかえりなさい」

 「ただいま久遠……それと……」

 理遠と呼ばれた女性が暢介の方を見る。
 この家族全員なのかもしれないが、彼女もまた、髪の色は銀色で短い。

 それよりも暢介が驚いたのは。

 (この子……背が高いな)

 暢介の身長は175cmなのだが、彼女も同じぐらいある。
 
 「彼は久遠が砂漠で倒れてたのを保護した人よ。ねぇ久遠」

 「はい」

 その後、色々と暢介の事を話すし、互いに自己紹介をすませた。
 理遠と呼ばれた彼女は、司馬朗という名前だった。

 「勉強する部屋は、あなたが眠っていた部屋でいいわね。あそこは空き部屋だった訳だし」

 勉強する内容や場所、時間等を決めて、話が一段落ついた所で。
 司馬朗は、荷物の整理等があるので部屋を後にし、司馬懿も翌日からの準備をする為に部屋を出ていった。

 「それじゃあ、俺も部屋に戻ります」

 そう言って暢介も部屋を出ようとした所で。

 「そういえば、あなた。私と久遠が血が繋がって無い親子じゃないかって何で思ったのかしら?」

 呼び止められた暢介は司馬防の方を向くと。

 「それは、司馬防さんがとても若く見えましたので」

 「あら。お世辞が上手ね。こんなおばさんに」

 私は40超えてるのよ、そういってクスクス笑う司馬防。

 「そ、そうだったんですか」

 「まぁ、色々とやってるのよ。若さを保つ秘訣って何か分かるかしら?」

 司馬防の問いに暢介は首を横に振る。
 正直言って、分からない所だったからだ。

 「単純なものよ。若い男もしくは女性の精気を吸い取るのよ」

 「す、吸い取る?」

 思いがけない答えに暢介は思わず聞き返した。

 「ええ。若い人間の精気を多く手に入れるだけで若さというものは保てるものよ」

 そう言っている司馬防の表情は薄い笑みを浮かべている。
 しかし、笑みの中で目は笑ってはいない。

 暢介の身体がビクッと震える。
 冗談には聞こえない、そんな雰囲気が部屋を包み込んでいる。

 「ふふ。話は終わりよ。鷺島さん、部屋に戻ろうとしてたのよね。ごめんなさい」

 「い、いえ……それじゃあ」

 そう言って暢介は部屋から出ていった。





 「……」

 「……」

 翌日から始まった勉強、暢介は司馬朗の指導の元、黙々と勉強に励んでいた。
 司馬懿は『憂鬱だなぁ』と言いながら相手の元へ行ったようだ。

 勉強と勉強の間の休憩時に、司馬家の人達にも会った。
 やはり全員髪の色は銀色だった。

 そうして数日経ったある日……

 「そういえば、司馬朗さん」

 「はい? 何か分からない文字がありましたか?」

 「いえ、これとは直接関係ない事なんですけど……名前についてなんですが」

 「?」

 首を傾げる司馬朗。

 「あなたの名前、司馬防さんや司馬懿さんは別の名前で呼んでましたけどアレは一体?」

 「真名の事かしら?」

 「真名? そういうんですか」

 「ええ……ひょっとして鷺島さんの所には……」

 「はい。俺のいた所では真名という考えは無いので……それで真名というのは」

 「真名というのはその人の全てと言っていいものです。本人が認めた相手以外がその名を呼んだ場合は殺されても文句は言えません」

 その言葉に暢介は少しだけ固まった。

 「という事は、俺が今、司馬朗さんの真名を言ったら」

 「問答無用で殺しますよ」

 と、笑顔で告げる司馬朗。

 「気をつけます……」

 笑顔の司馬朗に冷や汗をかきながら答える暢介。
 暢介自身の経験だが、親しい相手の名前で呼ぶか、名字で呼ぶかで悩んだことがあった。
 その時は、名前で呼ぶことを選んだが、相手の微妙な表情を覚えている。

 まぁ、それでも殺されることは無かったが、ここでは下手に真名を口に出せば殺されるみたいだ。
 気を付けなければ……

 その後、文字の書き方やら読み方を学んでいると。
 今度は司馬朗の方から話しかけてきた。

 「そういえば、鷺島さん」

 「はい?」

 書く手を止めて司馬朗の方を見る暢介。

 「あなたが持ってきていたアレなんですが、使い方はあれでいいんですか?」

 「ええ。あれでいいんですよ」

 司馬朗が言っているアレとは、暢介が持ってきたと思われているスポーツバッグに入っていた物で。
 実際に渡されるまで、暢介自身も中身は知らなかった。

 (そもそも、あのバッグは実家に置いて来ていた訳だからな……)

 中に入っていたのは、服だったりノート、筆記用具など。
 そして……

 (何でサッカーボールが入ってたんだろうか……)
 
 確かに実家に置いてきている物ではあるんだけども。
 
 そして見た事の無い物が一杯あったのか、司馬家の方々がアレコレと質問をしていく中で。
 このサッカーボールの説明をした後に……

 「まさか、皆して夢中になるとは思わなかったけどね」

 そう言って暢介は苦笑する。

 「そうですね。しかも、一番楽しんでるの母上でしたからね」

 司馬朗も苦笑を返す。

 子供達に混ざってボールを追いかけている司馬防さん。
 負けず嫌いな様で、子供達と争う姿をここの所、頻繁に見かけている。

 「年齢の事も考えて、あんまり張り切らなくてもいいと思うんですけどね」

 苦笑したまま司馬朗は言う。
 
 「年齢ね……」

 暢介の脳裏に、あの時の薄い笑みで目が笑っていない司馬防の姿で浮かんでくる。

 「どうしました?」

 「いや……実は……」

 暢介は司馬防が言った言葉を司馬朗に話す。
 話し終えた所で司馬朗はフフフと笑う。

 「その話は、母上が良く使うんですよ。実際は、そんな事は無いんです」

 「え? そ、そうなの」

 「勿論ですよ。大体、母上は父上以外の男性に身体を許した事は無いんですから」

 ……しかし、若い女性ならあり得るんじゃ……という、暢介の直感は無視しておく。

 「母上が若く見えるのは、努力の成果でしょう」

 「努力ね……」

 まぁ、吸い取るって事が嘘というならそれでいいかと暢介は納得しておいた。
 深く詮索する必要は無いだろう。

 「さて、私が教えられるのも残り少ないですし、勉強を続けましょう」

 「了解」

 そう言って、再び書き始めた。



 やがて、司馬懿が家に戻ってくる頃には暢介は基本的な文字の読みは出来るようになっていた。
 ただし、書く部分に関しては、まだまだ勉強する必要はあるみたいだ。

 戻ってきた司馬懿が驚いたのは、自分の母親が妹達と混じって丸い物体を蹴って遊んでいた事。
 そして皆、泥だらけだったという事だろうか。

 ……まぁ、初めて見たら目が点になるだろうなと暢介と司馬朗は思った。




 それから数日後、司馬朗は休暇を終えて家を出ていった。
 皆から見送られ、笑顔のまま去っていった。

 その後、暢介は司馬懿の指導の元、危うかった書きも上達を見せていた。
 
 そんなある日の事。

 「そういえば、鷺島さんは、これからどうなさるんですか?」

 「どうするって……考えて無かったな」

 今後の事を司馬懿から聞かれた暢介は少し考えると首を横に振りながら言った。

 「そろそろ考えた方がいいかと思いますよ。文字は問題ないですし、剣術の方も基礎は出来ていますし」

 「うん……」

 「勿論、ここに残るという選択肢も無い訳じゃないですけど……」

 その言葉に暢介は『流石にそれは……』と返す。
 ずっと世話になるのは暢介としても選択肢には無かった様だ。

 「もう、文字の勉強も終わりですし。先の事を考えるべきですよ」

 「分かった」

 そう呟き、暢介は考え込んだ。



 それから数日間、何やら考え込んでいる暢介に司馬家の人達は声をかける事は無かった。
 声をかける時は、サッカーボールを持ってきて。

 『一緒にしよ』

 という感じで誘ってくるぐらいだった。

 まぁ、誘ってすぐに司馬防が。

 『私をのけものにするんじゃないわよ!』

 と乱入してくる流れだった。
 しかし、それが楽しかったと思う暢介なのであったが。




 ある日の夜、司馬防の部屋を訪ねる人物がいた。
 数日間考え込んでいた暢介だった。

 「どうしたのかしら?」

 「実はこれから先の事を考えてまして、一つの結論が出たのでそれを伝えに来ました」

 「……聞きましょう」

 「俺は、ここから出ようかと思います」

 「外に出て何をするのかしら?」

 「……正直、分かりません。ただ、俺がここに来たのには訳があるはずなんです……そして、それは」

 「ここにいるだけじゃ無いって事ね」

 司馬防の言葉に頷く暢介。
 正直に言えば、暢介は結論が出ている訳ではない。

 何かの理想に燃えるとか、大陸を平和にとかそんな理念がある訳じゃない。
 ただ、ここから外に出て何か行動を行う事で自分がここに来た理由が分かるんじゃないかと思っただけの事である。

 「……」

 「ん? どうしたの鷺島くん? 何か言いたそうな顔をしてるけど」

 暢介の表情は強張っている。
 何かを言おうとしているのだが、口が上手く動かせない。

 「え、えっと……」

 まるで、母親から叱られて萎縮してしまっている子供の様にも見える光景。
 司馬防は暢介が何を言おうとしているのか、その言葉が出るのを待っている。

 やがて、数分が経った頃。
 ようやく落ち着きを取り戻した暢介が告げる。

 「司馬懿を……彼女を俺に下さい」

 その言葉に、司馬防は飲んでいた茶を噴出した。
 そして、せき込みながら暢介を見る。

 「さ、鷺島くん。今の言葉だと、まるで久遠を自分の嫁に迎えたいって聞こえるんだけど」

 「へ?」

 暢介は自分の言葉を頭の中で繰り返した。
 やがて、意味が分かったのか……暢介の顔は真っ赤になった。

 「い、いえ! そういう訳じゃないんです。その、一緒に旅に出れたら心強いかなぁって」

 「まぁ、そういう意味だったんでしょうけどね……焦ったわよ」

 「すいません」

 「いいわよ。それで、久遠を連れていきたいのね……知ってると思うけど、あの子は私の子供達の中で一番の才能を持っているわ」

 「はい。それは聞いています。やっぱり、駄目でしょうか……」

 暢介の言葉に司馬防は首を横にふる。

 「駄目とは言っていないわ。あの子があなたと一緒に行きたいと言うのであれば私は止めないわ」

 「それって……」

 「あなたが久遠を説得出来たら連れて行っても構わないわ」 

 そこまで言った所で、司馬防は何かを思い出したのか付け加えた。

 「あっ、言っとくけど弱みを握るとか脅迫とかしちゃ駄目だからね」

 「やりませんよ」

 司馬防の言葉に首を横に振りながら答える暢介なのであった。

  
 

 
後書き
小さい誤字が一杯がいいのか。
豪快な誤字がいいのか、わかりませんね。

ミスをなくせれば一番ですがね。 
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