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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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外伝~心強き援軍の到着~

~西ゼムリア同盟軍・本陣~



「話にあったこのゼムリア大陸に新たに進出することになっている異世界の宗教と異世界のメンフィル以外の他国からの援軍ですか……”風の女神(リィ・バルナシア)”教の方はともかく、そのレウィニア神権国という国がわざわざ寄越した援軍の方は本当に信用できるのでしょうか?話によれば”風の女神(リィ・バルナシア)”教と違い、彼らには今回の戦いに参加するメリットはないとの事ですし。」

援軍の到着を聞いたカシウスは重々しい様子をまとって呟いた後真剣な表情で訊ねた。

「その点は心配無用です。今回援軍として現れたのは生粋の”神殿派”ですから、裏切りや何らかの暗躍をする可能性はほぼゼロといっても過言ではないので信用できるかと。」

「”神殿派”、ですか……?まさかとは思いますがそのレウィニアという国もエレボニアのように内部分裂が起こっているのでしょうか?」

パントの話を聞いてあることが気になったカシウスは真剣な表情になった。



「―――はい。レウィニア神権国の絶対君主である土着神―――”水の巫女”を敬愛するのが”神殿派”。対して一般には姿を見せない”水の巫女”の存在を疑い自らで国を動かそうとするのが”貴族派”。かつてレウィニアはこの二つの勢力に分かれていたとの事です。」

「”分かれていた”ということは既に解決したという事ですかな?」

ルイーズの説明を聞いてすぐに状況を察したカシウスは質問を続け

「ええ。エレボニアの”貴族派”のように腐敗していたレウィニアの”貴族派”は国を支配下に置くために様々な裏工作を行い、レウィニアを乗っ取ろうとしたとの事ですが、その事に逸早く気づいたレヴィア将軍を筆頭に”神殿派”が”貴族派”を電撃的な速さで制圧。そして腐敗した”貴族派”は斬首刑となり、レウィニアの内部分裂は解決したとの事です。」

「斬首刑……ですか。ルーファス卿の公開処刑やアルバレア公爵夫妻達の公開処刑による火刑の件といい、異世界では重罪を犯した者達に対して相当厳しいようですな。」

パントの答えを聞いたカシウスは重々しい様子を纏って呟いた。

「まあ、どの罪に対してどの処罰をするのかはその国の基準や罪のレベルによって違うのはそちらと同じですが、”反逆者”や敵国の上層部は大抵斬首刑並びに晒し首が我々の世界の常識です。そういう意味ではエレボニアは運が良かったですね。」

「……それは一体どういう事ですか?」

「エレボニアを制圧した際に行う事を決める会議やエレボニアに要求する”戦争回避条約”の条約内容の会議でも当初ユーゲント・ライゼ・アルノール皇帝をカイエン公達と共にメンフィルに引き渡してもらい、彼をカイエン公達と共に処刑する案も出ていたのですがリウイ陛下達の口添えによって、その案は撤回されたとの事です。」

「旧二大国と我が国を結ぶ国境の通過の許可を求めに来た際、リウイ陛下が仰っていた本来は戦争回避の条約に関して更に厳しい条約の案も出ていたという話ですか……」

パントの話を聞いたカシウスはかつてのアリシア女王とリウイ達との会談を思い出した。



それと言っておくが本来は戦争回避の条約に関して更に厳しい条約の案も出ていたが、俺やイリーナ、プリネ達の口添えによって戦争回避の条約をここまで”譲歩”したのだぞ?



「はい。他にも貴族連合の中枢部である”四大名門”の当主夫妻全員をメンフィルに引き渡してもらい、彼らもカイエン公爵夫妻やアルバレア公爵夫妻と共に開処刑するという案も出ていたとの事ですわ。」

「……………そしてそれらがリウイ陛下達の口添えによって撤回され、戦争回避条約の内容まで”譲歩”したという事ですな。」

ルイーズの説明を聞いたカシウスは重々しい様子を纏って大きな溜息を吐いた。

「ええ。ちなみにですがエレボニアの国王代理を務める事になっているエフラム皇子殿下達も、カイエン公をメンフィルで公開処刑後彼の生首を王都であるヘイムダルのドライケルス広場に晒し首をする予定との事です。それをする理由は私達が答えなくても、カシウス准将ならばすぐに理解できるかと。」

「…………………”貴族派”に対する”見せしめ”をする事で、市民達や貴族達にエレボニア皇家である”アルノール家”を畏怖させる為という事ですな…………ちなみに宰相となられるオリヴァルト殿下はその事は?」

パントの問いかけに重々しい様子を纏って答えたカシウスは真剣な表情で訊ねた。



「勿論存じていますし、了承もして貰っています。――――ふふっ、”エレボニア存亡会議”でのオリヴァルト殿下の判断を知ってから常々思っていましたが、オリヴァルト殿下は既に政治家として必要なものをお持ちになっていますから、正直隠居の身である私まで殿下の助言役を務める必要はないと思っているのですがね。」

「パント卿がオリヴァルト殿下の助言役、ですか?それは一体どういう事でしょうか。」

「カシウス准将も既にご存知の通りパント様はかつてメンフィル帝国の”宰相”を務め、リウイ陛下とシルヴァン陛下を支えた御方。そんなパント様を政治家としての能力はまだ成長中であるにも関わらず”宰相”に就任することになってしまったオリヴァルト殿下の為に助言役として、パント様もエフラム皇子殿下達と共にエレボニアに派遣される事になっているのです。」

「先に言っておきますがこの行為はメンフィル帝国としてエレボニアやオリヴァルト殿下に対する”純粋な厚意”です。カシウス准将――――いえ、リベールや各国が心配しているような事は一切考えておりませんのでご安心下さい。――――というか正直な所、私自身はオリヴァルト殿下には私の助言が不要となるくらいに早く成長してもらって、私は妻と共にさっさと隠居生活に戻りたいと言うのが本音なのです。」

「ハッハッハッ!奇遇ですな。私も正直な所軍の事は部下達に後を任せて、以前のように気楽な遊撃士家業に戻って妻達と共に隠居生活を送りたいと思っているのですよ。」

ルイーズの説明を補足した後苦笑しながら答えたパントの話を聞いたカシウスは大声で笑った後笑顔で答えた。

「フフッ、大陸全土でも数人に満たないS級遊撃士に戻る事をも”隠居生活”と言い切るとはさすがはカシウス准将です。―――ですがその前にエイドス様が仰ったようにそれぞれの未来の為にも、この決戦を共に生きて乗り越えねばなりませんね。」

「そうですな。」

そしてパントの言葉に頷き、気を取り直したカシウスはパントと共に新たな作戦を練り始めた。一方その頃、メンフィル帝国が保有する戦艦によって移送された異世界からの援軍が到着し、戦場に姿を現した。



~ジュライ特区~



「我らの世界に……我が祖国に危害を加える事を企む愚か者やその愚か者に従う者達よ!我が名は、レウィニア神権国不死騎兵隊(アナート・ヴァイ)団長レクシュミ・パラベルム!この名を冥府への土産とするがいい!」

戦場に姿を現した白を基調とした甲冑を身に纏い、”レウィニア神権国”の国旗を掲げた軍の先頭にいる外套が付いた真紅の甲冑を身に纏った女騎士―――――土地神である”水の巫女”を絶対君主とするアヴァタール地方随一の大国レウィニア神権国に存在する11軍の一つ―――”不死騎兵隊(アナート・ヴァイ)”を率いる団長にして”水の巫女”の”神格者”でもある”レウィニアの赤き盾”レクシュミ・パラベルムは戦場に存在する敵軍を睨んで名乗り上げ

「自分達の世界だけに飽き足らず、我らの世界の破壊を企む愚か者達よ!我は”風の女神”リィ・バルナシアにお仕えする”能天使”モナルカ!我々が我が主に代わり、貴方達に裁きを与える事を光栄に思いながら滅されなさい!」

同じように別の場所から姿を現した”風の女神リィ・バルナシア”を崇める”風の女神教”が保有する神殿騎士団や風の女神リィ・バルナシア”に仕える天使達を率いるモナルカもまた戦場に存在する敵軍を睨んで名乗り上げた。

「総員、戦闘開始!巫女様の名の元に敵軍を殲滅せよ!!」

「総員、戦闘開始!我らが主リィ・バルナシア様に代わり、敵軍を滅せよ!!」

「オォォォオオォォォォォォオオオォォッッッ!!!!」

そしてそれぞれの得物を空へと掲げたレクシュミとモナルカの大号令に応じるかのように、それぞれの武器を空へと掲げて辺りを轟かせる勇ましい雄たけびを上げた異世界ディル=リフィーナからの援軍は戦闘を開始した!



その後地上、空中でそれぞれ激戦が繰り広げられている中、各国の精鋭部隊を乗せた戦艦や飛行艇はそれぞれ真・煌魔城への突入が成功した。 
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