英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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第233話
~真・煌魔城~
「こ、これが”真・煌魔城”ですか……」
「……すっごいねー。」
突入が成功した後、城内に着陸したカレイジャスから降りて仲間たちと共に周囲を見回したセレーネとミリアムは呆けた表情で呟いた。
「フッ、”リベル=アーク”や”幻影城”での時の事を思い出すね。」
「フフ、そうですね。」
「あの時と比べれば人数は圧倒的に違いますけどね……」
「……そうだな。それにあの時以上にそれぞれの立場が違う者達も集まっているな。」
「ふふ、言われてみればそうですわね。」
オリヴァルト皇子の言葉にプリネとツーヤはそれぞれ苦笑しながら同意し、静かな笑みを浮かべるレーヴェの言葉にシャロンは微笑みながら頷いた。
「ハハ……多くの立場が異なる勢力と関わった”Ⅶ組”だからこそ、こんなにも集まったのかもしれねぇな。」
「はい。正直私は皆様と比べると、場違いな感じがしてしまうのですが……」
苦笑しているトヴァルの意見に頷いたエリスは苦笑し
「あら、それを言ったら”ただの新妻”のわたくしも同じですわよ、エリス♪」
「フッ、ならば私は”ただの天才演奏家”だね♪」
「いい加減にしろ、お調子者が……!それと皇女殿下もそこのタワケの悪影響を受けないでください……」
微笑みながら答えたアルフィンの後に髪をかきあげて答えたオリヴァルト皇子を睨んだミュラー少佐は疲れた表情でアルフィンに注意をした。
「”リベールの異変”、”影の国”ではお供できませんでしたが、この戦いでは最後までお供いたします、リフィア皇女殿下。」
「リウイ陛下達と比べると我々では力不足ですが、全身全霊で殿下のお力になりますので、ご安心ください。」
「うむ!頼りにしているぞ、余の最高の騎士達よ!勿論、お主の力も期待しているぞ、余の最高の友たるエリゼよ!」
「ええ、任せて。」
ゼルギウスとシグルーンの言葉に頷いたリフィアに視線を向けられたエリゼは微笑みながら答え
「最早……言葉は不要か。」
「……ああ。腹を括るだけだろう。」
「この最上階にオズボーン元宰相がいるんだよね?」
「ええ。エレボニア存亡会議での宰相閣下の発言を考えると間違いなくいるかと。」
「……俺の故郷を滅茶苦茶にした”借り”は倍返しにしてやるから、首を洗って待っていやがれ。」
静かな表情で呟いたユーシスの言葉にマキアスは頷き、エリオットの疑問にクレア大尉は静かな表情で頷いて答え、クロウは深淵に包まれた上空を睨み
「……最上階までの道のりのどこかで必ず亡霊と化した貴族連合の”裏の協力者”達も阻むのでしょうね。」
「そうね……それどころか”福音計画”や”碧の大樹”で死亡した結社の”執行者”や”蛇の使途”も阻むかもしれないわね。」
エマの推測に頷いたクロチルダは厳しい表情をし
「ルーファス卿も必ずどこかで阻むだろうな。」
「ゼノ達もどこかで待ち伏せしているだろうね。」
「どんな相手が現れてもおかしくないか。」
ラウラやフィー、ガイウスはそれぞれ真剣な表情で考え込んでいた。
「フフッ、腕がなるね。」
「旧校舎の時は力になれなかったけど……今度はみんなの力になるよ!」
「……勿論私もみんなの力になるわ。一人ぼっちだった私の友達になってくれたみんなに恩返しする為にも私は絶対にこの世界も救うわ。」
アンゼリカは口元に笑みを浮かべ、ゲルドはトワと共に決意の表情をしたが
「ゲルド………”私は”じゃないだろう?」
「え……」
リィンの問いかけに呆けた表情をした。
「”私”じゃなくて”私達”よ。それに恩はむしろ私達がゲルドに返す側だし、第一お互い助け合うのが”仲間”でしょう?」
「アリサ………フフ、そうだったわね……」
そしてアリサの言葉を聞いたゲルドは優しげな微笑みを浮かべた。
「フフ、全員覚悟は決まっているようね。―――あら。どうやら向こうも準備ができたみたいよ?」
リィン達の様子を微笑ましく見守っていたサラ教官がカレイジャスの近くに着陸した”メルカバ伍号機”に視線を向けるとエイドス達がリィン達に近づいてきた。
「みんな、お待たせ!」
「僕達も準備ができたよ。」
「リィンさん達の方も準備はできたかな?」
エステルとヨシュアが答えるとミントがリィン達を見回して訊ねた。
「はい、俺たちの方も既に準備はできましたし、覚悟も決めています。」
「……?エクリア様の御姿が見えませんが……」
「それにエオリアの姿の見えないわね……確か二人ともあんたの”使徒”とかいう奴なんでしょう?何で二人がいないのよ。」
エイドス達と共にいるセリカ達の中にエクリアとエオリアがいないことに気づいたエリゼは不思議そうな表情をし、サラ教官はセリカに訊ねた。
「エクリアとエオリアはそれぞれリウイ達と遊撃士達による精鋭部隊に加勢している。今の二人にとってはその方がいいだろうしな。―――それよりも、船の守りに学生達もいるが大丈夫なのか?」
「親衛隊や教官達の方はともかく、生徒達の方は大丈夫なのですか?この周囲の魔物達でも気配からして相当の手練れですわよ。」
二人の疑問に答えたセリカはカレイジャスから次々降りてリフィアの親衛隊と共に戦闘の準備をしているヴァンダイク学院長達――――”トールズ士官学院”の教官や生徒達に視線を向けて呟き、フェミリンスはリィン達に訊ねた。
「はい。学院長や教官達もそうですが、他の士官学院生達も俺達の後ろを任せられる心強い仲間です。」
「精強なメンフィル軍の中でも精鋭ばかりを集めた余の親衛隊もいる!心配は無用じゃ!」
「まあ、奴らは俺達と違い、実戦経験があまりないから心配するのも無理はないが、特に”騎士団”を名乗った貴族生徒の連中はこの俺達相手に善戦をしたのだからな。船の守りくらいはできるだろう。」
「だから何で君はそんな上から目線で答えられるんだよ……」
リィンとリフィアの後に腕を組んで答えたユーシスにマキアスは呆れた表情で指摘した。
「フフ、それは心強いわね。――――それではエイドス様、号令をお願いします。」
リィン達の答えに微笑んだルフィナはエイドスに視線を向け
「わかりました。――――これより双界の滅亡を企む”元凶”――――ギリアス・オズボーンが待つ”真・煌魔城”の屋上を目指し、彼の者を滅します。―――皆さんに”イース”の加護を!さあ、行きましょう!!」
エイドスはリィン達を含めた多くの仲間達を見回して号令をかけ
「おお……っ!!」
エイドスの号令に仲間達はそれぞれ力強く頷いた。
こうしてリィン達は”真・煌魔城”の屋上を目指して、探索を開始した………!
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