| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

外伝~交戦~

同日、12:00―――



~ジュライ特区内~



「パント卿、機工軍団、戦闘配置完了しました。」

自身が率いる兵達の配置の完了を確認したシェラはリウイ達の代わりにメンフィル軍の総司令官を務めている人物――――パント・リグレに視線を向けた。

「了解した。作戦通りまずは敵軍の中衛を一掃してくれ。」

「了解しました。―――全軍に通達、第一戦闘準備。繰り返す――」

パントの指示に頷いたシェラの指令により、機工軍団の兵士達やシェラ、魔導兵器達はそれぞれ唸りにも似た騒動音を徐々に高め

「攻撃準備完了。」

「―――砲撃開始!」

「……攻撃開始。」

シェラ率いる機工軍団が放った砲撃は戦場全体を轟かす大爆音と共に、業火と爆発が一瞬でジュライ特区内を陣取っている多くの魔物達や魔煌兵達が塵と化した。更に砲撃された場所は敵軍の中衛に位置していた為、前衛と後衛の敵軍は混乱した。

「――突撃開始!敵軍を蹂躙せよっ!!」

「オオォォォォォォ―――――ッ!!」

それを見たルースはメンフィル軍に号令をかけて戦闘を開始した。



「あ、あれが”破壊の女神”率いるメンフィル帝国軍の機工軍団の”力”………!」

「一瞬であれ程の数を葬るなんて何て連中だ……!」

「み、味方で本当によかった……」

「あんな連中を敵に回した貴族連合はつくづく馬鹿な事をしたよな……」

「……………」

シェラ達の砲撃の威力に部下達が畏怖を感じている中、”百日戦役”でシェラ率いる機工軍団によって多くの部下達を失った過去を思い出したゼクス中将は目を伏せて黙り込んだが

「――――第三機甲師団、突撃開始!我が国の領土を荒らす愚か者達を一匹残らず討ち取るぞ!!」

「イエス・コマンダー!!」

すぐに気を取り直し、部下達に指示をして戦闘を開始した。



「―――エレボニアの誇り高き正規軍の兵士達よ!次は我らが各国に正規軍魂を見せつける番だ!行くぞ、ナイトハルト!」

「承知――――!」

それぞれアハツェンに乗ったクレイグ中将とナイトハルト少佐も部下達に指示を指して戦闘を始め

「我ら領邦軍も続くぞ!今こそユーゲント陛下達に……エレボニアに我らの罪を償う時だ!」

「そなた達にも”空の女神”の加護がある―――”空の女神”が仰った通り、決して一人も死なずにこの戦いを乗り越えよ!」

「おおっ!!」

ヘクトルに乗り込んだログナー侯爵やアルゼイド子爵も領邦軍に号令をかけた後戦闘を開始した。

「やれやれ……なんで裏方専門の俺達までこんな事をしなくちゃならないんだか……ったく、それもこれも全部、とっととあの世に逝ってりゃいいのに、しぶとくこの世に残ってこんな往生際の悪い事をしたオッサンのせいだぜ。―――そんじゃあ、俺達も行くぞ!裏方だからって、戦闘ができないことではない事を思い知らせてやれ!!」

「鉄道憲兵隊、戦闘開始(オープンコンバット)!!我らを裏切った”鉄血宰相”に、我らの”力”、思い知らせよ!!」

「イエス・サー(マム)!!」

そしてレクター少尉とクレア大尉の代わりを務める鉄道憲兵隊の女性将校もそれぞれ”情報局”、”鉄道憲兵隊”に号令をかけて、戦闘を開始した。



地上で激しい戦闘が繰り広げられている一方ジュライ特区の領空でも、空軍が主力のリベール王国軍が各国の攻撃艇や戦艦の部隊と連携して飛行形の魔物達や魔煌兵達と激戦を繰り広げていた。



~ジュライ特区上空~



「ふん……幾ら数で勝っていても、肝心の戦術がお粗末過ぎる。”鉄血宰相”は軍の出身と聞いていたが……どうやら政治や暗躍にかまけ過ぎて、軍で学んだ事を忘れたようだな。多少、数で勝っていようとかつて”百日戦役”で戦力の差を引っ繰り返した我がリベール軍と各国の軍との連携に勝てると思ったら大間違いだ。一匹残らず撃ち落とせ!!」

攻撃艇の中で状況を見守っていたリベール王国軍のトップであるモルガン将軍は鼻を鳴らした後号令をかけ

「イエス・サー!」

モルガン将軍の号令に兵士達は頷いた後それぞれ攻撃艇を操作して、空の敵を撃墜し続けた。するとその時側面から新手が現れ、攻撃艇に取りつき始めた。

「!将軍閣下!魔物達が攻撃艇に……!」

「狼狽えるな!すぐに奴らは滅せられる。」

自分たちが乗っている攻撃艇に魔物達取りついた事に部下達が慌てていると、モルガン将軍が一喝をして落ち着かせた。

「え……それはどういう事でしょうか?」

そして部下の一人がモルガン将軍に訊ねたその時!



「総員、第一作戦開始!友軍に取りついている魔物達を撃破し、友軍を守れ!」

「イエス・マム!!」

空挺部隊の背後に控えていたサフィナ率いる竜騎士軍団やメンフィル帝国軍の天馬騎士、そして鷲獅子騎士(グリフィンナイト)の大部隊が次々と味方の船に取りついている魔物達を撃破した!

「おお……っ!」

「た、助かった……っ!」

「生身で空を駆ける味方がいると、こんな戦い方もできるのか……!」

「―――反撃開始!敵軍に……そして各国にも我らリベールの正規軍魂を見せつけてやれっ!!」

「イエス・サー!!」

その様子に部下達が明るい表情や安堵の表情をしている中、モルガン将軍は号令をかけて味方の戦意を高めた。



~西ゼムリア同盟軍・本陣~



「―――以上をもちまして各方面からの報告は終わりです。多大な被害が予想されていたエレボニア軍が展開されている方面もメンフィル軍との連携のお陰で今の所被害は少なく、”真・煌魔城”に向けて順調に進軍しつつ、進軍ルートの確保をしているとの事です。」

「ふむ……そうか。」

地上と空、それぞれで激戦が繰り広げられている中リベール軍の士官の報告を聞いたカシウスは頷いた。

「しかし双界の命運をかけた決戦とはいえ、所詮は知恵のない魔物達の集まりですな。同盟軍の敵ではなさそうです。」

「油断するな。”真・煌魔城”にいる”元凶”を倒さない限り、敵は無限に湧いて来る可能性が非常に高い上、”エレボニア存亡会議”の時のような転移魔術による奇襲をしてくる可能性も十分に考えられる。地上、空共に周囲の警戒を怠らせない事を徹底し続けろ。」

「了解しました!」

カシウスの指示に敬礼をして答えた士官は部屋を出て行った。



「フフ、話には聞いていましたが、まさかカシウス准将がこれ程の戦略家であったとは。お陰様で私もわざわざ知恵を絞る事もなさそうです。」

士官が出ていくとパントはカシウスを称賛し

「ハハ、メンフィル帝国軍の”総参謀”を務めた上、”真・煌魔城”に突入するリウイ陛下の名代としてこの同盟軍に参戦しているメンフィル軍の総司令官という大任を任されているパント卿にそのような評価をして頂けるとは、光栄ですな。パント卿も奥方共々リウイ陛下達のように隠居した方々にはとても見えない程、若々しくて羨ましいですな。」

称賛されたカシウスは口元に笑みを浮かべて答えた後パントの背後に控えている武装した金髪の美しい女性―――パントの妻であるルイーズ・リグレに視線を向けた。

「まあ……フフ、お上手ですわね。」

カシウスの言葉に目を丸くしたルイーズは上品に微笑んだ。するとその時通信の音が鳴り始め、その音に気づいたパントは通信機を取り出して通信を始めた。

「―――失礼。私だ。……ああ……ああ………わかった。彼らには手筈通りにそれぞれ配置し、動いてもらってくれ。―――先程”風の女神(リィ・バルナシア)”教の天使モナルカ殿率いる神殿騎士団並びにレウィニア神権国のレクシュミ将軍率いる不死騎兵隊(アナート・ヴァイ)が到着し、現在それぞれの戦闘配置に先導しているとの事です。また、”真・煌魔城”に突入予定であるレウィニア神権国のレヴィア将軍率いる白地龍騎士団(ルフィド=ヴァシーン)を輸送している戦艦も到着し、いつでも精鋭部隊と共に”真・煌魔城”に突撃できる状況との事です。」

そして通信を終えたパントはカシウスに援軍の到着を伝えた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧