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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第209話

1月12日――――



同日、13:00――――



『西ゼムリア同盟』結成から数日後、オズボーン元宰相との決戦に向けての打ち合わせをし終えたエレボニアの代表者であるオリヴァルト皇子とアルフィンはリィン達”紅き翼”にある依頼をした。



~カレイジャス・会議室~



「俺達”紅き翼”が真・煌魔城に突入し、オズボーン元宰相を討伐する為の精鋭部隊になって欲しい……ですか?」

「ああ……みんなも知っての通り今回の騒動を引き起こしたのはエレボニアの元宰相であった者だ。あの会議の場では各国のVIP達がエレボニアに責任を問わなかったが、それでもエレボニアが責任を持って宰相殿を討つのが”筋”だし、巻き込まれた双界の民達に対して示しがつかない。」

驚きの表情をしているリィンの言葉に頷いたオリヴァルト皇子は真剣な表情で語った。

「それはそうですが……」

「その……何故学生の僕達がそんな重大な役目を?」

「エレボニア軍の方々は真・煌魔城の突入をしないのですか?」

オリヴァルト皇子の言葉にラウラは複雑そうな表情で同意し、マキアスとエリスは不安そうな表情で尋ねた。



「エレボニア軍は各国の軍と連携して真・煌魔城を守っている魔物や魔煌兵達を陽動しつつ、ジュライ特区に展開している魔物達を掃討します。」

「そんで敵の軍団が各国の軍に惹きつけられている間に各国の少数精鋭の部隊が城に突入して、オズボーン元宰相を討つって算段だ。」

「各国の少数精鋭という事は他にも突入メンバーがいるのか?」

クレア大尉とトヴァルの説明を聞いてある事が気になったユーシスは真剣な表情で尋ねた。



「ああ、勿論いるよ。精鋭部隊の中にはリウイ陛下達や”六銃士”達もいるし、”特務支援課”もいるそうだ。」

「ちなみに遊撃士協会もエステル達とは別に遊撃士達による精鋭部隊を真・煌魔城に突入させるそうだぜ。」

「フフッ、心強いメンバーですね。」

「アハハ……でもそんな凄い人達が突入するんだから、正直僕達は必要ないと思うんだけどな……」

「ええっ!?特務支援課の人達も突入メンバーに入っているのですか!?」

「”特務支援課”はあの”碧の大樹”も攻略したのだからむしろ入って当然でしょうね。トヴァル、遊撃士協会のメンバーにエステル達は入っていないってさっき言っていたけどあれはどういう事なのよ?」

「先日の会議の様子ではエステルさん達も間違いなく突入メンバーに入ると思うのですが……」

オリヴァルト皇子の説明を聞いて微笑んでいるセレーネの言葉を聞いたエリオットは苦笑し、驚いているアリサに自身の推測を教えたサラ教官は不思議そうな表情でトヴァルに尋ね、ガイウスも続くように尋ねた。



「エステル達は精鋭部隊の中でも”本隊”だからな。あいつらは別の部隊になる。」

「精鋭部隊の中の”本隊”?」

「えっと……もしかしてそれぞれの精鋭部隊は固まって行動せず、それぞれ別ルートから屋上を目指すんでしょうか?」

トヴァルの説明を聞いてゲルドは首を傾げ、トワは自身の推測を尋ねた。

「はい。調査の結果”真・煌魔城”には複数の出入り口があるとの事でして。城内の敵戦力を分散させる為にも各国の部隊はそれぞれ別ルートから突入、屋上へと目指す形になっています。」

「”ブレイサーロード”達は”本隊”って言ったよね?その”本隊”にはもしかしてエイドス達もいるの?」

クレア大尉の説明を聞いたフィーは真剣な表情で尋ねた。



「はい。”本隊”はエイドス様やエイドス様のご両親であるアドル様達や先祖であるナユタさん達、そしてエステルさん達とセリカさん達に加えてエイドス様の護衛の任務についている”星杯騎士団”の使い手の方々―――ケビン神父とシスターリース、そしてシスターリースの姉君であられるシスタールフィナです。」

「ほえええ~!?何その超過剰戦力メンバー!」

「フフッ、正直そのメンバーだけで”真・煌魔城”の魔物全てを掃討できるんじゃないのかい?」

アルフィンの説明を聞いたミリアムは驚き、アンゼリカは口元に笑みを浮かべ

「さすがにそれは無理だと思うよ……幾ら強いと言っても多勢に無勢だし。」

「アハハ……普通ならそうなんですが……」

「あの娘達なら本当にやりかねそうで、冗談になっていないわよ……―――それで学生のその子達に突入メンバーをやらせる理由はもしかしてエレボニアは戦力不足だからかしら?」

ジョルジュの反論にエマは苦笑しながら答えを濁し、疲れた表情で指摘したセリーヌは目を細めてオリヴァルト皇子達を見つめて尋ねた。



「ああ。恥ずかしい話、先の内戦とメンフィル・クロスベル連合によるエレボニア侵攻によってエレボニア軍は全体の4割前後まで低下してしまった。」

「よ、4割前後!?そんなに減ったんですか!?」

「内戦では貴族連合の猛攻によって正規軍の戦力が……メンフィル・クロスベル連合によるエレボニア侵攻では貴族連合―――領邦軍の戦力がそれぞれ相当低下したからでしょうか?」

疲れた表情で語ったオリヴァルト皇子の答えを聞いたマキアスは信じられない表情で声をあげ、リィンは複雑そうな表情で尋ねた。

「はい……正規軍で無事なのは第3、4、7のみで他の機甲師団はオーレリア将軍達の猛攻によって壊滅状態に陥ってしまったのです……降伏して生き残った正規軍の兵達の数で何とか4個師団を新たに結成できますが……」

「20もの機甲師団が半分以下にまで減るなんて……」

「さすがはオーレリア将軍閣下達……と言う訳だな。」

「……領邦軍の被害の方はどうなのですか?」

クレア大尉の説明を聞いたアリサは辛そうな表情をし、ラウラは重々しい様子を纏い、ユーシスは複雑そうな表情で尋ねた。



「領邦軍の被害はもっと酷いよ。まずユミル襲撃に対するメンフィルの”報復”で領邦軍の中でも精鋭部隊であった近衛兵達が”全滅”したとの事だ。」

「ぜ、”全滅”ですか……」

「まあバルヘイム宮は爆撃されて瓦礫の山と化したからバルヘイム宮を守っていた近衛兵達の末路はわかりきっているし、カレル離宮やパンダグリュエル制圧の時もメンフィルが離宮やパンダグリュエルにいる近衛兵達を虐殺したものね。」

「セリーヌ!」

疲れた表情で語ったオリヴァルト皇子の話を聞いたセレーネは信じられない表情をし、冷静な様子で答えたセリーヌをエマは声を上げて睨んだ。



「……………………………」

「エリス………」

近衛兵達の全滅に自分の誘拐が関係している事を察して辛そうな表情で顔を俯かせているエリスに気付いたリィンは心配そうな表情でエリスを見つめていた。

「えっと……4つあった州の内2つはメンフィルとクロスベルの領地になったから、領邦軍は半分まで減ったの?」

「いえ、ご存知の通り先の侵攻によってメンフィルとクロスベルは領邦軍を撃破し続けました。……その結果唯一侵攻当初に降伏したノルティア州の領邦軍は無傷ですが、サザーランド州の領邦軍は全体の4割まで低下したそうです。」

「ちなみにメンフィルとクロスベルに取られたラマールとクロイツェンの領邦軍の被害はどうなっているの?」

ゲルドの質問にクレア大尉は答え、ある事が気になったミリアムは真剣な表情で尋ねた。



「……ラマールの領邦軍の被害は全体の6割まで低下とまだ少ない方なのだが……クロイツェンの領邦軍は全体の2割にまで低下したとの事だ。」

「な―――――」

「8割も壊滅って、クロイツェン州は内戦の最中にメンフィルに降伏したのに何でそんなに被害が出ているんですか!?」

オリヴァルト皇子の話を聞いたラウラは絶句し、マキアスは信じられない表情で尋ねた。

「………皆さんもご存知の通り、ケルディックの焼き討ちの為にアルバレア公はクロイツェン州領邦軍の主力をケルディック要塞に攻めさせ、壊滅的な被害を受けたのですが………どうやら相当な数の兵達をケルディック要塞を攻めさせたようでして。その際の戦いによる死者の数が相当膨れ上がっていたとの事です。」

「それと双竜橋が正規軍に奪還された際、撤退する彼らはケルディックを強引に通過しようとしたらしくてね。その際にケルディックの防衛部隊によって一人残さず討ち取られたとの事だ。後これはリウイ陛下達から聞いてわかった事なのだが、メンフィルは1度目のユミル襲撃が起こった後からエリス君の居場所を突き留める為にメンフィル軍の諜報部隊が領邦軍の兵士達や将校を拷問した後暗殺して入れ替わっていたそうでね……アルバレア公に対する”見せしめ”としてクロイツェンの領邦軍の兵士達を一番多く暗殺していたとの事だ。」

「そんな……!」

「エリスお姉様の居場所を突き留める為だけに一般兵の暗殺までしていたのですか!?」

「しかも拷問をしてから暗殺って、幾ら何でもやり過ぎよ……!」

「……………」

クレア大尉とオリヴァルト皇子の説明を聞いたリィンは悲痛そうな表情をし、セレーネは信じられない表情をし、アリサは厳しい表情をし、エリスは辛そうな表情をし

「………………リィン、エリス。先に言っておくがお前達がその件で罪悪感を抱く必要はない。そうなってしまった全ての責は父上―――いや、”アルバレア公爵家”なのだからな……」

「ユーシス………」

「……お気遣いありがとうございます。」

ユーシスの気遣いにリィンは辛そうな表情をし、エリスは静かな表情で会釈した。



「……そして皆さんもご存知の通りクロイツェンとラマールはメンフィルとクロスベル領と化した為、それらの州の領邦軍は2国に吸収されました。それらの件も含めると領邦軍は全体の3割前後まで低下したとの事です。」

「3割前後って……」

「優勢だった貴族連合の被害が一番大きいのか……」

アルフィンの説明を聞いたエリオットは呆然とし、ガイウスは重々しい様子を纏って呟き

「……猟兵の被害はどうなっているのかしら?確か貴族連合は相当な数の猟兵団を雇っていたでしょう?連中は使えないのかしら?」

「それがメンフィルとクロスベルは猟兵達に関しては特に容赦なくてな。貴族連合が雇っていた猟兵達に関しては敗走しても追撃して一人残らず討ち取ったそうだ。」

サラ教官の問いかけにトヴァルが答えた。



「そんな……!どうしてそこまでして猟兵達を……」

「……メンフィルとクロスベルの判断は当然よ。猟兵崩れになって自国や各国で犯罪を犯す可能性が高いから見逃す訳にはいかなかったのでしょうね。」

「ん。猟兵を逃がせば猟兵崩れになるだけ。犯罪者になるのがわかっているんだから、”処分”しただけだと思う。」

「フィー…………」

悲痛そうな表情をしているリィンにサラ教官は説明し、サラ教官の説明に頷いて淡々と話すフィーをラウラは辛そうな表情で見つめていた。



「その……私達も突入メンバーに加わってもらいたいとの事ですが私達はどの精鋭部隊と行動するんですか?もしくは私達だけ別のルートから屋上を目指すのでしょうか?」

重くなった空気を変える為にトワはオリヴァルト皇子を見つめて尋ねた。 
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