英雄伝説~光と闇の軌跡~(3rd篇)
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第42話
~隠者の庭園~
「それにしても今度は誰が解放されるのでしょうね?ラピス様達が現れたのを考えた限り、恐らく既にこの世を去った方達と思うのですが………」
「一体誰なんだろうね?」
石碑の前に仲間達と共に集まったプリネはリースが持っている封印石を見て考え込み、エヴリーヌは首を傾げた。
「それにしてもみなさん、かなり疲れているようですが一体何があったのですか?」
一方ツーヤは疲労を隠せないでいるリース達を見て尋ねた。
「この封印石の中にいる人達に変身した”グリモア”と戦っていたんだけど、その2人がとんでもなく強かったのよ……特にシルフィア様を倒すのが一番苦労したわ………今まで戦ってきた敵達とは比べ物にならなかったし。」
「………彼女の強さは”騎士団”を束ねる私達の総長―――”守護騎士”第一位すらも超えているように感じました。」
「えっ!?」
「まあ………!という事は次に解放される方の一人は………!」
「な、なんだとっ!?エステル!それは本当なのか!?」
苦笑しながら言ったエステルと静かに呟いたリースの言葉を聞いたイリーナとプリネは驚き、リフィアは血相を変えて尋ねた。
「うん。………よかったね、リフィア。”あの人”に会えるんだから。リースさん、お願い。」
「はい。」
そしてリースは封印石を解放した。すると封印石は光を放ちそれぞれからある人物達が現れようとした!
「フフ………シルフィア様だけでなくティファーナさんとも会えるなんて………」
「はい。不謹慎ですがサフィナお姉様やシルヴァンお兄様も取り込まれればよかったですね………特にシルヴァンお兄様は他の兄妹の方達と違って幼い頃に母親を亡くしたのですから………」
「……………………」
光から現れようとした人物達を見たイリーナは微笑み、イリーナの言葉にプリネが頷き、リフィアは信じられない表情で見つめていた。そして光は消え、そこから先ほどリース達が戦ったグリモアが変身した人物達が現れた!
「これは一体………!?………!貴女はティファーナ殿………!」
「………?なっ!?シ、シルフィア殿!?」
白銀の鎧を着た女性―――シルフィアは自分の身体を見て信じられない表情をした後、自分の隣にいた甲冑を着た女性―――ティファーナを見て驚き、ティファーナも自分の身体を見て驚いた後、シルフィアを見てさらに驚いた!
「フフ、お二人とまたこうしてお会いできるとは思いませんでした。」
「ええ。後はこの場に陛下がいればいいのだけど………」
「ラピスお姉様。きっと陛下も絶対に見つかります。」
ティナは微笑み、ラピスは若干残念そうな表情をし、ラピスの言葉を聞いたリンは口元に笑みを浮かべて言った。
「!ティナ、ラピス姫、リン姫………!」
「なぜ貴女達が………!それも当時の姿で………!」
ティナ達に気付いたシルフィアとティファーナは信じられない表情でティナ達を見つめた。
「フフ、それは後で説明します。………お二人とも久しぶりですね。」
「!!あ、貴女は………!」
「イリーナ様…………!」
そしてイリーナに微笑まれたティファーナはイリーナを見てシルフィアと共に驚いた後、その場で跪いた!
「フフ、そんなに固くしないで立って話してもらってかまいませんから。」
「ハッ!…………ご挨拶が遅れ、申し訳ありません!し、しかし何故イリーナ様が………!貴女はあの時、”姫将軍”に……………」
「………ティファーナ殿は知らなくても無理はありません。イリーナ様は既に転生を果たされ、陛下と再び結ばれたのですよ、ティファーナ殿。………イリーナ様がようやく陛下のお傍に戻り、私も安心致しました。」
イリーナの言葉を聞いて立ち上がったティファーナはイリーナに会釈をした後信じられない表情をし、シルフィアが説明した。
「えっ!?」
「な、なんでシルフィア様がイリーナさんの事を知っているの!?」
シルフィアの言葉を聞いたプリネは驚き、エステルは驚きながら尋ねた。
「………既に私もイリーナ様のように現世に転生していて、”私”の意識も覚醒していますから。」
「へっ!?」
「まあ………!」
「…………………」
「し、しかしシルフィア殿は神格位を失って、転生すらも不可能になったのでは………!」
シルフィアの説明を聞いたエステルは驚き、イリーナは嬉しそうな表情をし、リフィアは呆けた表情でシルフィアを見つめ、リンは信じられない表情で見つめながら尋ねた。
「………ええ。ですが私の魂が砕け散った時にできた私の魂の欠片が悠久の時をかけて、私が転生した方に全て集まり、イリーナ様のように再びこの世に生を受けれたのです。」
「………信じられない。砕け散った魂が修復されるなんて………」
「………奇跡……………」
シルフィアの説明を聞いたリタとナベリウスは信じられない表情をした。
「………ですから当然、貴女の事も知っていますよ。―――リフィア。」
「あ……………」
そしてシルフィアはリフィアに微笑み、微笑まれたリフィアは呆けた声を出した。
「初めまして………になりますね。フフ…………シルヴァンは今でも元気でいてますか?。皇帝という重圧に押し潰されていませんか?」
「も、勿論じゃ!父は母と共に日々、全ての種族達が共存できる国を創る為に政務に負われている!それに父にはリウイもいるし、腹違いの弟や妹達が支えている!だから心配は無用じゃ!」
「そうですか…………それを聞いて安心しました。あの子は一人ではないんですね………フフ、こうして孫を持ってみると不思議な気分ですね。」
「う~………子供扱いは嫌なのじゃ…………これでもそれなりの年だというのに………」
「フフ、そう言っている割にはリフィアお姉様、嬉しそうですよ?」
自分の話を聞いて自分の頭をシルフィアに撫でられたリフィアはどこか嬉しそうな様子で唸り、その様子に気付いたプリネは微笑んでいた。
「シルフィア殿………ん?………なっ!姫、”姫将軍”!?この周りの空間といい、一体どうなっているんだ!?」
シルフィアの様子を微笑んで見つめていたティファーナはエクリアに驚いた後、周りを見回した後困惑した。その後リース達はシルフィア達に事情を説明し、自己紹介をし合った。
「………なるほど。そんな事情が………」
「今の状況にも驚いているが、まさか他にも世界があるなんて……………」
事情を聞き終えたシルフィアは考え込み、ティファーナは驚きの表情で呟いた後、興味深そうな様子でツーヤを見つめた。
「しかし………まさか再び我が”ルクセンベール”の名を名乗る者が現れるとは………それも”竜”とは………フフ、つくづくルクセンベール家は”竜”に縁があるな。」
「………初めまして。サフィナさんからティファーナさんのお話は伺っていました。………会えて光栄です。」
「…………そうか。せっかくこうして会えたのだ。………我が名を継ぐ者がどんな者かこれから見極めさせてもらうぞ?」
「喜んで。………到らない点があれば遠慮なくご指導お願いします。」
不敵な笑みを浮かべて見つめられたツーヤは微笑んで会釈をした。
「え、え~と………」
一方ミントは遠慮気味にシルフィアを見つめた。
「フフ………何か尋ねたい事があるのなら遠慮なく言ってもらって構いませんよ。我が名を継ぐ竜よ。」
「は、はい。…………ミント、本当にシルフィアさんの名前を受け継いでよかったのかな?」
「?どういう意味ですか?」
ミントの言葉を聞いたシルフィアは不思議そうな表情で尋ねた。
「だって………ティナさんやプリネさん達からシルフィアさんの事を聞いたんだけど………ミント、シルフィアさんみたいな立派な騎士じゃないよ?」
「そんな事はありません。…………国に拘らず全ての民を守る”遊撃士”………その道もまた立派な”騎士”です。そして貴女はその明るさで民を笑顔にしているのですから、私以上の立派な”騎士”ですよ。」
「えへへ………そっかな?…………ありがとうございます!」
シルフィアに微笑まれたミントは恥ずかしそうな様子で笑った後、笑顔でお礼を言った。そしてティファーナとシルフィアはイリーナの所に歩いて来てその場で跪いた!
「?突然どうしたのですか、お二人とも。」
2人の行動を見たイリーナは不思議そうな表情で尋ねた。
「イリーナ様。今この場で再び誓わせて下さい!この私、ミレティア元領主ティファーナ・ルクセンベール!」
「………メンフィル近衛騎士団長シルフィア・ルーハンス!」
「「我等は陛下と貴女の盾にして牙!この命お二人の為に使い、命果てるその時までお二人を害する刃から護り続ける事を誓います!そして全身全霊を持って貴女達を元の世界に帰す事に尽力させて頂きます!」」
「………………我が夫リウイ・マーシルンに代わり、貴女達の誓い、確かに聞き届けました。………2人とも、よろしくお願いします。」
決意の表情のティファーナとシルフィアの言葉を聞いたイリーナは静かに頷いた後微笑んだ。
「なんという忠誠心………………!」
「どんな事があろうと自分達の事よりまず主君の為に動くとは………2人ともまさに真の”騎士”だな………」
「ええ………我々も見習わなくてはなりませんね。」
その様子を見守っていたリシャールは驚き、ミュラーとユリアは尊敬の眼差しで2人を見つめていた。
「フフ………お父様達のお話通りの方達ですね、リフィアお姉様。」
「うむ!まさかこうしてシルフィア様とお会いできるとは余も今回ばかりはこの世界に感謝するぞ!」
一方プリネは微笑みながら見つめ、リフィアは尊敬の眼差しでシルフィアを見つめていた。その後リース達は休息をした後メンバーを編成し、リース、エステル、アドル、シルフィア、プリネ、リタ、ナベリウス、レシェンテ、ウィルのメンバーで探索を再開した。
~冥き途~
「!これは………!」
「なんという瘴気…………!」
歩いていたリースとシルフィアは何かに気付き警戒した。
「へ!?」
「敵か!?」
リース達の言葉を聞いたエステルは驚き、アドルは辺りを警戒した。すると目の前の空間が歪み、そこからすざましい瘴気を纏った巨大な”何か”が現れた!
「アアアアアアアア―――――――ッ!!」
「なんという”負”の気………!」
”何か”は辺りを響き渡らすほどの雄たけびをし、プリネは”何か”から感じるすざましい”負”の気を感じて身をすくめた!
「そ、そんな!?」
「なん………で………?」
一方リタとナベリウスは”何か”を見て目を見開いて驚いた!
(クッ………なんで”彼女”が………!それよりセリカもいない状況で”彼女”を相手にするのは無謀としかいいようがないわ…………!)
「チッ!ここにいる全員で挑んでも勝利できる可能性は限りなく低いぞ!」
「………何度対峙しても身体の震えが止まらないよ………!」
さらにそれぞれの主の身体の中から出て来たパズモは厳しい表情をし、アムドシアスは舌打ちをし、ペルルは身体を震わせながら恐怖の表情で”何か”を見つめた。
「クッ……身体の震えが止まらない…………!目の前の”アレ”って一体何なのよ!?」
一方エステルは敵がさらけ出す霊圧に呑まれ、身体を震わせながら叫んだ。
「かつて主が滅したはずの”古神”――――”慈悲の大女神”アイドスです!!」
「プリネ、エステル!契約した人達、みんな呼んで!総戦力で挑んでも勝てるかどうかわからない相手だよ!」
「そこの人間もだ!奴を相手にするには”色欲”の力も必要不可欠だ!」
エステルの疑問にリタは大声で答え、ペルルはプリネとエステルを見て叫び、アムドシアスはウィルを見て叫んだ!
「なっ……!?」
「ア、アイドスじゃと!?確かその名前はレアの………!」
敵の正体を知ったシルフィアは目を見開いて驚き、レシェンテは信じられない表情で敵を見つめた。
「わかったわ!―――みんな出て来て!!」
「みなさん、お願いします!!」
「頼む、アスモデウス!!」
一方ペルルとアムドシアスの言葉に頷いたエステル、プリネ、ウィルはそれぞれ契約している者達全員を召喚した!
「最悪、”方石”を使って撤退することも考慮に入れておいてください!」
「来るぞっ!!」
リタは忠告し、アドルは敵の行動を見て警告した!
そしてリース達は”慈悲の大女神”―――アイドスとの戦闘を開始した…………!
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