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英雄伝説~光と闇の軌跡~(3rd篇)

作者:sorano
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第37話

~隠者の庭園~



封印石を解放すると光の中から見覚えのある人物が現れようとした。

「わあ………!」

「キャハッ♪」

「フフ……ようやく解放できましたね。」

光の中から現れようとした人物を見たティータとエヴリーヌは喜び、プリネは微笑んだ。

「やはりお知り合いですか?」

「あはは………うん。悪戯大好きな仔猫よ……」

ティータ達の様子を見たリースに尋ねられたエステルは苦笑しながら頷いた。そして光の中から眠っているレンが現れた!

「………………………」

「………眠っているみたいだね。」

レンの状況を見たヨシュアは微笑ましそうに見つめていた。

「………パパ………ママ………どうして…………レン………ずっと待っていた………のに………どうして………迎えに……………」

「!」

「………っ………」

「………………」

「レンちゃん………」

悲しそうに呟いたレンの言葉を聞いたリフィアは驚き、プリネは目を伏せ、エヴリーヌは黙り込んでいた。

「レンちゃん、もしかして………」

「………聖女様達じゃなくて、本物の両親の夢を見ているようね………」

ミントとエステルは悲しそうな様子でレンを見つめていた。

「………?…………ここは………?そっか………夢………」

一方レンは眠りから覚め、周りを見回した後呟いた。

「レン。」

「プリネお姉様………リフィアお姉様とエヴリーヌお姉様、そしてミントにティータ、ツーヤも…………うふふ………なんだか都合のいい夢ね………」

プリネに呼ばれたレンは目の前にいる人物達を見て苦笑していた。

「……………………」

そしてプリネは静かに近づいて優しく抱き締めた。

「あ…………うふふ………プリネお姉様がこうやって抱き締めてくれるなんて………久しぶりね………あったかくていい匂い…………まるで夢じゃないみたい…………って、え!?」

抱き締められたレンは気持ちよそうに呟いた後、現実である事に気付いて驚いた!

「プックク………普段は大人ぶっているが、やはりまだまだ子供だな。」

「なんならエヴリーヌも同じ事してあげてもいいよ♪」

「フフ、甘えん坊だね、レンちゃん♪」

「「クスクス…………」」

「うっ……………も、もう!どうなっているの!?なんでこんな変な事になっているのよ!?」

リフィア、エヴリーヌ、ミント、ティータ、ツーヤに微笑まれたレンは恥ずかしそうな表情で顔を赤らめた後、プリネから離れて気を取り直して叫んだ。その後リース達はレンに状況を説明し、初対面の者達は自己紹介をし合った。



「………なるほど、ね。おおよその事情は理解したわ。”影の(ファンタズマ)”か………うふふ、よく言ったものね。」

「え………」

「もしかして……何かわかったのかい?」

納得している様子のレンの言葉を聞いたリースは驚き、ヨシュアは尋ねた。

「うふふ、わかったっていうほど確信はないんだけど………でも、大佐さんと姫将軍さんの話を聞いてひとつ見えてきたことがあるわ。姫将軍さん、実は見えた部分があるんじゃないのかしら?」

「私の………?」

「……………」

レンの言葉を聞いたリシャールは首を傾げ、エクリアは静かな表情でレンを見つめていた。

「ええ、たしかにレンもあの白い光に包まれたんだけど………大佐さんと姫将軍さんは、その時着ていたのはその黒い軍服とカルッシャの将軍服じゃなかったのよね?」

「(だから大佐じゃ………まあいいか。)ああ、その時に着ていたのは普通のシャツにスラックスだった。」

「私はここにいるマリーニャ達と同じメイド服です。」

「うふふ、それじゃあ姫将軍さんと似たような質問になっちゃうけど………2人ともそれぞれの服にすごく思い入れがあるんじゃない?」

「え……」

「………っ…………」

レンの質問を聞いたリシャールは驚き、エクリアは辛そうな表情をした。

「未練があるのに切り捨てなくてはならない………そういった過去の(もの)の象徴じゃないのかしら?」

「…………………ああ、その通りだ。」

「…………はい…………私も同じ答えです…………」

「リシャールさん…………」

「……………………当然だろうな。」

リシャールの答えを聞いたクローゼとユリアは心配そうな表情で見つめ、ミュラーは重々しく頷き

「エクリア母様~?どうしてそんなに悲しそうな顔をするんですか~?」

「何か心当たりがあるのですか?もしあれば、私達に相談してくれてもよかったのに………」

「全くじゃ。もうわらわ達はかなりの年月を共に過ごしているというのに、”第一使徒”であるお前がわらわ達に隠し事をするとは何事じゃ。」

「まあまあ。事情はあたしもわからないけど、エクリアにも昔誰にも話したくない何かがあったのよ。」

一方サリアとシュリはエクリアを心配し、レシェンテは若干憤慨した様子で尋ね、マリーニャはレシェンテを宥めていた。

(やはりエクリア様はあの時の事をまだ…………)

そしてティナは”幻燐戦争”のある出来事の事を思い出し、心配そうな表情で見つめていた。



「そして、この世界に呼ばれた時、2人はその服をまとって現れた。うふふ、それは一体何を意味しているのかしらね?」

「…………未練が現実のものとして実体化した…………」

「それはすなわち、この”影の国”は人の想念によって変容する事。」

「あ………」

「はは、そう来たか………!」

「なるほど………」

「フム………」

「………それならフィーナが取り込まれた理由もわかるな…………」

レンの問いかけに答えたリシャールとエクリアの答えを聞いたヨシュア、オリビエ、プリネ、リフィアは察しがつき、アドルは納得した様子で頷いた。

「アドルさん?先ほどの話と私がどう関係しているのですか?」

一方フィーナは何のことかわからずアドルに尋ね

「ど、どういうこと!?」

「は、はう~???」

「…………………?」

「あの………私達は何のことかわからないんですが。」

「も、もうちょっとわかりやすく!」

ジョゼットは尋ね、サリアは混乱し、ナベリウスとリタは首を傾げ、エステルはジト目で要求した。

「うふふ、簡単なことよ。エステル達やプリネお姉様も前に”ゴスペル”による夢を”執行者”―――”幻惑の鈴”に見せられたでしょう?」

「あ…………」

(厳密に言えば私やエステルさん、イリーナ様は違うんですけどね………)

「その人が望む夢の世界…………」

レンの言葉を聞いたエステルも察しがつき、プリネは苦笑し、シェラザードはかつての出来事を思い出して呟いた。



「もちろん、この世界はけっして夢なんかじゃないわ。でも、人の望みに反応し、それを実体化させる…………もしくは、知っている場所を本物と同じように再構築する………そうしたプロセスはとっても似ていると言えるわ。」

「なるほどな………」

「確かにその説明だと”石碑”とか”扉”の働きも納得できるかも………」

レンの話を聞いたジンとアネラスは頷き

「凄い世界だな………」

「人の望みに反応する世界なんて………し、信じられないの~!?」

ナユタは驚き、ノイは混乱した。

「う~ん………そんな世界だと俺達”工匠”がいらなくなるから複雑だな………」

「あなたねぇ………」

「フフ………」

一方ウィルは複雑そうな表情で呟き、それを聞いたエリザスレインは呆れ、セラウィは微笑んでいた。

「あ……………じゃ、じゃあアドルさん。私とまた”会いたい”と強く思っていたから私がこの世界に…………!」

「………………………」

同じように理解したフィーナはある事に気付き、嬉しそうな表情でアドルを見つめ、見つめられたアドルは顔を赤らめてフィーナから視線を逸らした。

(人の望みに反応する世界………既に死んだはずの人物の復活…………”第一星層”で出会った黒騎士の言葉…………ま、まさか。貴女までこの世界に取り込まれているの………?サティア…………)

さらにエステルの身体の中にいたパズモは今までの話を思い出して、信じられない表情である人物の事を思い浮かべていた。

「し、しかし…………この状況そのものは我々の望んでいるものではあり得ないと思うんだが………」

「そうなの。第一私やナユタはここにいる人たちの事を知らないの。」

一方ユリアとノイは反論した。



「もちろんそうでしょうね。でも………レンたち以外の誰かなら?」

「あ…………」

「もしかして………」

しかしレンの説明を聞いたユリアとノイも察しがつき

「私達以外の誰かがこの世界の在り方を望み、そしてその通りになっている………つまり、そういうことですね。」

クローゼが続きを答えた。

「うふふ………やっと辿り着いたみたいね。もともと”輝く環”は人の願いを叶えるための至宝だったそうね?それが失われた今、何がそれを可能にしているのかレンにもわからないけれど…………その”誰か”っていうのはほぼ明らかなんじゃないかしら?」

「”影の王”………」

「そう、そしてその人は最初から”影の国”にいたわけじゃない。最初からいたのは女の幽霊の方みたいね。幽霊さんはこの場所で”影の国”を見守ってきたけど………”影の王”さんがやってきて彼女の力を奪って好き放題し始めた。そして”影の国”は”影の王”さんの望むままにどんどん作り替えられていった……――――そんな所じゃないかしら?」

「す、すごいレンちゃん………」

「ミント達、全然わからなかったのに、ちょっと聞いただけでそこまでわかるなんて………!」

「………さすがだね。」

「あんたってば………よくそこまで考えつくわね。」

「ウム!さすがは余の妹だ!」

レンの推測を聞いたティータとミントははしゃぎ、ツーヤは微笑み、エステルは苦笑しながら感心し、リフィアは自慢げに胸を張って頷いた。

「フフ………これは参った。まさか現時点の情報でそこまで読み解けるとはねぇ。」

「レン………あなたはやっぱりあなたは全ての事において天才ね。」

「キャハッ♪エヴリーヌも鼻が高いよ♪」

オリビエは感心し、プリネは微笑み、エヴリーヌは喜んでいた。

「もう………このくらいその気になればお姉様達にだってわかるはずよ。エステルと長い間一緒にいた影響でニブさが移ったんじゃないの?」

「あ、あんですって~!?」

一方感心されたレンは溜息を吐いた後呟いた言葉を聞いたエステルはジト目で睨んだ。

「フフ、それはないと思うわ。」

「クスクス………」

「やれやれ………」

そしてプリネは微笑みながら答え、ティータも微笑み、シェラザードは笑顔で2人の様子を見ていた。

「でも、どうやら”影の王”さんはレンみたいにゲームが大好きみたい。お姉様達も手伝っているし、パパ達を探す為にもレンが手助けしてあげるわ。特別なんだからね?」

「あー、はいはい。せいぜい頼りにさせてもらうわ。」

「よろしくね、レンちゃん!」

レンの自信ありげな言葉にエステルは苦笑し、アネラスは笑顔で見つめた。

「うふふ………そういうわけで教会のお姉さん。すぐにでも”方石”を使って”第五星層”の先に行きましょう。レンたちが答えを出したことでゲームの進行は繰り上がったはず………多分、”影の王”さんがすぐに次の手を打ってくると思うわ。」

「ふう………自身満々ですね。まあ、いいでしょう。他に選択肢もありませんし。ですが、これまでと同じく各星層の最終地点では”悪魔”の出現が予想されます。万全の準備をしておきましょう。」

そしてレンに話をふられたリースは苦笑した後、真剣な表情で提案した。

「む~、めんどくさいけどパパ達の教えで『戦いの前の準備は怠るな』ってあったしね。ま、いいわ。」

その後リース達は探索を再開した後、迷宮内でまた封印石を見つけ、庭園に戻って解放した。



「わ、わたしやレンちゃんぐらいの女の子………?」

「あれ…………?一体誰だろう………?」

「………もしかして異世界のみなさんのお知り合いですか?」

封印石が解放され、光の中から現れようとした人物を見たティータは戸惑い、エステルは首を傾げ、その様子を見たリースはリフィアやアドル達を見て尋ねた。

「私達の知り合いではありませんね。」

「余達もだ。」

「僕達でもないな。」

「私達も知らないの。」

しかしセラウィ、リフィア、アドル、ノイがそれぞれ首を横に振って答えた。そして光の中から頭にはねこ耳のような者をつけ、水色の髪と黄色の瞳を持ち、さらにプレートと漆黒の外套を羽織った少女が地面に蹲った状態で現れた!

「………?一体今の光は……………え。………………」

少女は目を開けた後、立ちあがり目の前のいる人物達に気付いて呆けた後、周囲の様子を見回した後、呆けた。

「え、えっと、こんにちは!わたし、ティータ・ラッセルって言います。貴女の名前は?」

そこにティータが遠慮気味に出て来て自己紹介をして、少女に尋ねた。

「ラッセル………?もしかしてアルバート博士とエリカ博士の親類の方ですか?」

「え………お祖父ちゃんとお母さんを知っているんですか?」

「………エプスタイン財団に所属しているのですから、そのお二人の名前は当然知っています。」

驚いているティータに少女は静かに答えた。

「え…………エプスタイン財団の?」

「フム。随分若いね。」

「え~と、なんて言う名前なのかな?」

少女の話を聞いたティータは驚き、オリビエは感心し、エステルは尋ねた。

「………ティオ・プラトーです。よろしくお願いします。できれば説明の方をお願いしたいんですが………」

「そうですね。実は…………」

少女―――ティオは軽く頭を下げてお辞儀をした後、リース達を見て尋ね、リース達は状況を説明し、自己紹介をし合った。



「……………リベールの”導力停止現象”の原因となったアーティファクトの関係で今回の件が…………私達の世界とは異なる異空間………私達の世界にはいない『魔物』や『悪魔』の存在……正直、信じられませんが、実際、こんな異空間もある上、上位属性が働いているんですから、信じる他ありませんね………(人の想念に反応する世界…………だから、私の背中にあるはずの黒い翼が今はないのですね…………)」

事情を聞き終えたティオは信じられない表情をした後、心の中で自分が長年悩んでいる一つのある特徴が今、自分にない事に納得しながら静かに呟いた。

「へ………」

「わかるんですか?」

ティオの言葉を聞いたエステルは驚き、リースは驚いた表情で尋ねた。

「はい。少し特殊な体質ですので。」

尋ねられたティオは静かに頷いた。

「………ティオと言ったわね。貴女から天使の気配がするんだけど。」

「………やはり、天使の方にはわかってしまいますか。ラグタス!!」

そして静かな口調のエリザスレインの言葉を聞いたティオは静かに呟いた後、ラグタスを召喚した!

「へ!?」

「く、熊さんの姿をした天使さん!?」

ラグタスの姿を見たエステルとミントは驚き

「………まさか私達の世界でエステルさん以外の方が異種族の方と契約をしていたなんて………」

「それも天使…………とは。(気のせいか?この少女………どこかで見覚えが………)」

クローゼは信じられない表情をし、リフィアは呟いた後、ティオを見つめた。

「私は”力天使”エリザスレイン。貴方は?」

「!!………”能天使”ラグタスと申します、エリザスレイン様。訳あって、彼女と共に行動をしております。」

エリザスレインが名乗り出るとラグタスは驚いた後、丁寧な口調で自己紹介をした。

「”能天使”って事は………”力天使”のエリザスレインの下の位階だから、あんな丁寧な口調なのかな?」

「ええ。ですがそれでも中位の天使。かなりの力を秘めていると思います。」

その様子を見たウィルは首を傾げ、セラウィは真剣な表情でラグタスを見つめていた。

「それにしてもまさかあたし達の世界であたしとエリィさん以外の人が契約をしているとは思わなかったわ。メヒーシャもきっと驚くでしょうね。」

「!?そこの娘………今、”メヒーシャ”と言ったが、”大天使”メヒーシャで間違いないのか?」

エステルの呟きを聞いたラグタスは驚いた後、エステルに尋ねた。

「へ?うん、そうよ。こないだのイリーナさんの結婚式で契約主である人間―――エリィさんと一緒に会った事があるの。」

「メヒーシャが生きていた事や我が現在いる世界にいる事も驚いたが、まさか人間嫌いのあのメヒーシャが人間と契約をしていたとは………」

「ラグタス?そのメヒーシャという方はお知り合いなのですか?」

エステルの話を聞いて驚いているラグタスにティオは尋ねた。

「うむ。我の世界の仲間だった者だ。………そんな事より、ティオ。これからどうするのだ?」

「………………………………」

ラグタスに尋ねられたティオはその場で黙って考え込んだ。



「ねえ………あたし達、みんな自分の世界に帰る為に今、探索をしているんだ。この拠点は安全だから、ティオちゃんはここにいてくれないかな?元の世界に帰る手段を見つけたら、ティオちゃんにも教えてあげるから。」

「そうね。それが一番いいわ。」

そこにエステルが提案し、シェラザードは頷いた。

「…………いえ。私も協力させて下さい。」

「へ…………」

「君が?確かに君が呼び出した天使の方がいれば、心強いけど………」

「さすがに戦えねえガキは連れていけねえぞ。足手纏いにしかならねえからな。」

「ア、アガットさん。そんなにハッキリ言わなくても………」

しかしティオの申し出にエステルは驚き、ヨシュアはラグタスを見て言い、アガットはハッキリと言い、それを聞いたティータは慌てた。

「(ム…………)…………ご心配には及びません。こう見えてもある程度の魔術を扱えますし、戦術オーブメントも持っていますので後方からの援護は可能です。」

アガットの言葉を聞いたティオは一瞬アガットをジト目で睨んだが、すぐに冷静な表情に戻して静かに答えた。

「へ!?」

「もしかしてアーライナもしくはイーリュンの信徒の方なんですか?」

ティオの話を聞いたエステルは驚き、クローゼは尋ねた。

「いえ。……………昔、ペテレーネさんに魔術を教わった事があるので。」

「お母様が……貴女に?」

「聖女様に!?」

「それは初耳ね…………」

ティオの説明を聞いたプリネ、エステル、シェラザードはそれぞれ驚いた。

「それと私にはこれがありますので。」

そしてティオは杖のような武器を掲げた。

「機械仕掛けの…………杖?」

ティオの武器を見たヨシュアは不思議そうな表情で呟いた。

「『魔導杖(オーバルスタッフ)』といいます。この杖は今の形態だけではなく剣、銃のモードにも変型できますので臨機応変な戦いが可能です。………開発中のこの杖のテストの為にもちょうどいいので、連れて行って下さい。」

「そ、そうなんだ。リースさん、どうする?」

「…………彼女を守る方もいらっしゃるようですし、その杖がどのような効果かは知りませんがティータさんのように知識がかなり豊富に見受けられますから、私達では気付かない事でも気付く可能性があります。…………ぜひ、お願いします、ティオさん。」

「はい。………ラグタス、戦闘中はよろしくお願いします。」

「うむ、任せておけ。」

リースに言われたティオは頷いた後、ラグタスを見て言い、ティオの言葉にラグタスは頷いた。



「そ、そんな杖がエプスタイン財団で開発されているんだ………どんな杖なんだろう?ドキドキ…………」

「………最近のガキはどうしてこう、機械弄りが好きなんだ?」

一方ティータは興味深そうな様子でティオが持っている杖を見つめ、その様子を見たアガットは呆れた。

「…………………………」

「………?私に何か?」

アネラスは真剣な表情でティオをジッと見つめ、見つめられたティオはアネラスに尋ねた。

「可愛い~♪ひんやりした雰囲気で大人びているのに、子供らしい 大きな瞳と小さな唇が主張しているのが絶妙!抱き締めていいかな!?」

「(…………危険人物と断定。)嫌です。」

アネラスの様子を見たティオは心の中でアネラスを自分のブラックリストの名前に載せた後、ジト目でアネラスを見つめてバッサリ断った。

「ガクッ……………フフ、でも機会が一杯あるからティオちゃんを抱き締める為に頑張るから、待っててね!!」

「…………………………(いざとなれば、ラグタスに助けてもらいましょう。)」

断られたアネラスは肩を落としたが、それでもめげずに目を血走らせて叫び、アネラスの気迫を見たティオは心の中で自分に危険が迫った時の事を考えていた。

「あれ?そういえばそのストラップ…………もしかして”みっしぃ”かい?」

「ええ。ナユタさん達の世界にもあるのですか?」

一方ナユタはティオのオーブメントについているストラップに気付いて尋ね、尋ねられたティオは答えた。

「うん。というか、僕達の世界には本物の”みっしぃ”がいるもの。」

「変な所に隠れている謎の生物なの。」

「…………………その話、後で詳しく教えて下さい。」

ナユタとノイの話を聞いたティオは真剣な表情でナユタ達に頼んだ。



その後リース達はメンバーを編成し、リース、エステル、アドル、フィーナ、ティオ、レン、リシャール、エクリアのメンバーで探索を再開し、そして終点に到着した。





~光迷宮・終点~



「あ……!」

次の星層へ行く転位陣を見つけたエステルは声を上げた。

「どうやらあれがこの星層の出口のようだね。特に妨害もないようだし、今の内に中に入って―――」

そしてアドルが提案をしたその時!

「………待って下さい。」

「………っ…………この気配は………!」

「………………………これは……………」

リースが制止し、ある気配を感じ取ったティオは身体をすくめ、フィーナは不安そうな表情をして呟いた。

「へ………みんなどうしたの?」

リース達の様子に気付いたエステルは首を傾げて尋ねた。

「………間違いない。これは冥府の匂い………どんどん強くなっている………」

「なっ………!?」

「………来るとしたらやはり魔法陣か!?」

そしてリースの言葉を聞いたエステルは驚き、アドルは仲間達と共にお互いの背中を守りながら武器を構えて真剣な表情で言った。

「いえ、これは……………」

「――――上です!」

アドルの推測にリースは考え込んだその時、エクリアが警告した。するとエステル達の頭上から大型の蜘蛛が3匹降りてきて、敵達に気付いたエステル達はその場を飛びのいた!

「な、な、な………!」

「……どうやらこいつらが次の星層へと行く道を阻む門番のようだね………」

「蜘蛛か………!」

「うふふ………なかなかの迫力ね。」

敵達を見たエステルは口をパクパクさせ、アドルとリシャールは真剣な表情で呟き、レンは不敵な笑みを浮かべていた。

「悪夢の紡ぎ手ども。迷宮に迷い込んだ魂を喰らう恐るべき三姉妹。聖典に記された七十七の悪魔の眷属、”暴食”のアルケニー!」

「この禍々しさ………あれが本物の悪魔なわけね。」

「……行く手を阻むのなら斬り払うだけ!行こう!」

リースの説明を聞いたエステルは敵達を警戒し、アドルは決意の表情で言った。

「ええ………!」

「ラグタス、お願いします!」

「うむ!”懲罰部隊”の長、”能天使”ラグタス、参る………!」

アドルの言葉にリースは答え、ティオはラグタスを召喚した!



そしてリース達は戦闘を開始した…………!
 
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