英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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外伝~大侵攻~
同日、12:15――――
~ラマール州某所~
ラマール州の領邦軍はカイエン公爵の長男―――ナーシェンの指揮によってメンフィルとクロスベルの連合軍を待ち構えていた。
「!!ナーシェン様、来ました!」
「ク、クソ……!貴様らにラマールの地は渡さんぞ!全軍、突撃!!」
迫りくる連合軍を見たシュピーゲルの中にいるラマール州の領邦軍を指揮する貴族―――ナーシェンは表情を歪めた後号令をかけた。
「イフリートキャレス!!」
「えー―――――アアアアアアアアアアアアアア―――――――ッ!?ク、クソォ……ッ!後少しでラマールの統括領主に…………父上の跡継ぎとしてエレボニアの未来の皇になれたというのに……こ……な…………で…………」
「グアアアアアアアア―――――ッ!?」
「ギャアアアアアアア――――――ッ!?」
しかしその時業火が突如発生して周囲の機甲兵諸共巻き込んでシュピーゲルに襲い掛かり、ナーシェンを始めとした機甲兵達は操縦者ごと焼き尽くされ、それぞれ大爆発を起こして残骸となり、残骸の中からは真っ黒焦げに焦がされたナーシェン達の死体があった!
「う、うわああああああああっ!?」
「ナ、ナーシェン様――――ッ!?」
「な、何なんだよ、今の炎は!?」
突然の奇襲に領邦軍は混乱した。するとその時ナフカが高速で機甲兵達に詰め寄ってその手に持つ鎖鎌を振るい、ナフカに続くように撫子色の髪をなびかせる美しい女性剣士が跳躍して太刀を振るった!
「―――屑共が。貴様らのような屑と同じ空気を吸っているだけでも吐き気がするわ!さっさと消えなさい!!」
「ギャアアアアアアアッ!?」
「―――遅い。斬!!」
「ガアアアアアアア――――ッ!?」
ナフカは自分の数十倍はある機甲兵達を苦も無く斬り裂き、女性剣士は太刀で易々と機甲兵を斬り裂き、斬り裂かれた機甲兵達からは絶命した操縦者達の血が噴出した!
「このっ!!」
「喰らえ―――ッ!!」
その時銃を持つ機甲兵や装甲車から二人に砲撃が放たれたが
「フン!」
「…………!」
ナフカは上空へと退避し、女性剣士は太刀を振るって襲い掛かる銃弾や砲弾を紙一重で回避するか斬り裂きながら高速で機甲兵に詰め寄り
「ハアッ!!」
「ギャアアアアアアア――――ッ!?」
跳躍して袈裟斬りで機甲兵を斬り裂いて操縦者を絶命させ
「レイ=ルーン!!」
「グアアアアアッ!?」
ナフカは片手から極太の純粋属性のエネルギーを放って装甲車を炎上させた!
「ヒィィィィィッ!?」
「ば、化物…………!」
機甲兵を易々と斬り裂き、砲弾や銃弾も効かない女性剣士の恐ろしさに領邦軍は恐怖を覚え
「ターナの敵は全部斬る。次はお前。」
「低脳共が!ゴミはさっさと消えろ!!」
「ヒッ!?グアアアアアッ!?」
女性剣士は静かに呟き、ナフカは不愉快そうな表情で叫んだ後近くの機甲兵に襲い掛かった!
「後の災厄の芽となる可能性は全て刈り取らせてもらおう……!敵は怯んだ!――――総員、突撃!領邦軍を殲滅せよ!!」
「オォォォォォォ―――――ッ!!」
そしてオルファンの号令によってクロスベル帝国軍は突撃し
「フフッ、さすがマリカね♪”魔導功殻”だったかしら?その娘にも負けない活躍をしているじゃない♪」
自分を守る親衛隊に所属し、自分お付きの護衛剣士でもあり身分を越えた友人でもある女性剣士―――マリカの活躍にターナは無邪気な笑顔を浮かべ
「全くもう……一人で突出するなといつも言っているのですが……―――総員突撃開始!メンフィルの力、今こそ思い知らせて差し上げなさい!」
「オォォォオォオオオオ―――――ッ!!」
呆れた表情で呟いたシレーネは号令をかけ、号令に応えたメンフィル帝国軍も続くように突撃してクロスベル帝国軍と共にラマール州の領邦軍を殲滅した!
~同時刻・サザーランド州某所~
「!!来たぞ、メンフィル帝国軍だ……!」
「セントアークに続いてこれ以上サザーランドの地を取られてたまるか……!」
同じ頃サザーランド州の領邦軍は進軍して来るメンフィル帝国軍を待ち構えていた。しかしその時巨大な影が領邦軍を覆った。
「え―――――」
「なっ!?あ、あれは……!」
「”パンダグリュエル”だと!?」
空を見上げた領邦軍が上空にあるパンダグリュエルを見て驚いたその時、パンダグリュエルから次々とミサイルが放たれ、領邦軍目掛けて降り注いだ!
「ががっ!?」
「ぐあああああっ!?」
パンダグリュエルからの爆撃によって領邦軍は怯んだり絶命したりするなど、完全に指揮系統は混乱した。
「敵陣は乱れた!一気に片を付けろ!!」
「御意ッ!!」
「全軍、突撃開始!!」
「オォォォオォオオオオ――――ッ!!」
そしてパンダグリュエルから聞こえて来たヒーニアスと地上にいるジストの号令に答えたメンフィル帝国軍は突撃した!
「オラアッ!!」
「ギャアアアアアアッ!?」
領邦軍との戦闘の最中跳躍したジストは大剣で機甲兵を縦に真っ二つにし
「このっ!!」
「遅いぜっ!!」
機甲兵が放った銃撃を次々と軽やかに回避した!
「き、貴様、本当に人間か!?」
ジストの動きや活躍に機甲兵からは信じられない様子の領邦軍の兵士が聞こえ
「フッ、あえて言うなら”虎”って所だな。――――”砂漠の虎”の恐ろしさ、見せてやるよっ!!行くぜ――――ッ!!」
ジストは静かな笑みを浮かべて答えた後全身に闘気を纏って領邦軍へと向かって行き次々と領邦軍の機甲兵や装甲車を破壊し続けた!
「ハハ……機甲兵の部隊すらも圧倒的な戦いを繰り広げて領邦軍を虐殺し続けるなんて、さすがはメンフィルだね…………」
「……………これがメンフィル帝国軍の”本気”か…………ん?……子爵閣下。そちらの状況はどうなっていますか?」
一方メンフィル軍によって蹂躙され続ける領邦軍の様子を遠くから双眼鏡で見ていたオリヴァルト皇子は疲れた表情で呟き、ミュラー少佐は重々しい様子を纏って呟いた後自分達が独自に使っている通信機からの聞こえて来た音に気付いて通信を開始した。
「……そうですか……こちらも恐らく短時間で領邦軍が全滅すると思われます……―――失礼します。ラマールにいるアルゼイド子爵閣下からだ。ラマール州の領邦軍もメンフィルとクロスベルの連合軍との戦闘を開始したそうだが……戦闘開始早々ナーシェン卿を中心とした機甲兵の部隊が魔術と思われる炎で焼き尽くされて討ち取られ、その事に混乱している領邦軍の隙をついた連合軍が戦闘を仕掛け、領邦軍を圧倒し、虐殺し続けているとの事だ。」
「やれやれ……どうやらこの様子では既にメンフィル帝国領となったクロイツェン州を除いたエレボニア帝国の各州に連合軍が襲撃しているのだろうね。下手をすれば今年中にエレボニア帝国が滅亡するかもしれないね。」
ミュラー少佐の話を聞いたオリヴァルト皇子は疲れた表情で肩を落とし
「……洒落になっていないぞ。それでこれからどうする?」
オリヴァルト皇子の言葉を聞いたミュラー少佐は重々しい様子を纏って指摘した後真剣な表情で尋ねた。
「……ラマールの陥落の見届けは子爵閣下に任せて、子爵閣下と行動をしているトヴァル君と合流した後アルフィン達の許に向かうつもりだ。―――こうなってしまった以上、もう僕達にできる事は”何もないからね”。せめて今まで頑張ってきた彼らに”Ⅶ組”の創設者として労って、これ以上エレボニアの為に頑張る必要はない事を説明してあげたいんだよ。後はリィン君にメンフィルの気が変わらない内にアルフィンと一刻も早く結婚して欲しい事を頼むつもりだよ。メンフィルのアルノール家に対する処分を軽くする為や父上や僕達が元エレボニア帝国領の統治者としてエレボニアの民達に償いをする為もあるが、一番の理由はアルフィンの初恋を叶えたいという兄心さ。」
「…………そうか。」
そしてオリヴァルト皇子の答えを聞いたミュラー少佐は重々しい様子を纏って呟いた。
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