英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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第131話
同日、12:00――――
~オルキスタワー・屋上~
「……やれやれ。招かれざる客がここまで辿り着いてしまうとは。」
「……おじさま……!」
「ディーターさん……!」
ロイド達が屋上に到着すると白き”神機”と共にディーター大統領が待ち構えていた。
「ディーター・クロイス。貴様が残っていたか。」
「ちょうどいいぜ。」
ディーター大統領を見たヴァイスとギュランドロスは不敵な笑みを浮かべた後ロイド達と共にディーター大統領に近づいた。
「フフ………久しぶりだね、諸君。しかし昼食の約束をした覚えはないのだが……ひょっとして日時を間違えてはいないかね?」
「いいや、今日がそうだな。」
「ああ……今日が貴様にとって”最後の晩餐”だ。」
口元に笑みを浮かべて尋ねてきたディーター大統領の言葉にギュランドロスとヴァイスは好戦的な笑みを浮かべて言った。
「アポイント無しの訪問、申し訳ありません。――――ですがこちらにも譲れない事情がありまして。」
「独立国の取り消し、それに市内の魔導兵など色々ありますが…………」
「まずはとっととキー坊を返してもらおうか?」
「………………」
ロイド達がディーター大統領を睨んでいる中キーアは黙り込んでいた。
「ああ、構わないよ?」
「な…………」
「…………」
「一体何を考えているのですか……?」
ロイドは驚き、ヴァイスは真剣な表情でディーター大統領を睨み、エリゼは真剣な表情で問いかけた。
「フフ、君達は何か、勘違いしているようだね。我々は別に、キーア君に無理矢理、協力してもらっているわけでない。このクロスベルを取り巻いている、途方もない困難……それを解決するために彼女は進んで協力してくれたのだ。」
「それは………」
ディーター大統領の説明を聞いたティオは複雑そうな表情をし
「―――そう仕向けたのもまた、おじさま達のはずです。猟兵団を影で操り、クロスベル市を襲撃させることで、市民の独立の気運を煽り………両帝国と共和国の資産を凍結することで自治州存亡の危機を演出した…………」
「まあ猿芝居、ここに極まれり……だな。」
「……真偽はともかく、許される所業ではありません。」
「そしてその状況をキーアさんに突きつけて決断を迫ったという事ね……」
「愚かとしか言いようがないわね。」
エリィとギュランドロスはそれぞれディーター大統領を睨み、ダドリーは疲れた表情をし、ルフィナとロカは厳しい表情でディーター大統領を見つめ
「白い歯が売りのナイスミドルにしちゃエゲツなさすぎやしねぇか?」
ランディは目を細めてディーター大統領を睨んだ。
「ディーター大統領……いえ、ディーターさんと呼ばせてもらいます。それが貴方の”正義”ですか?」
「ああ―――その通りだ。現実の政治は奇麗事ばかりではない。あの程度の政治工作ならばむしろ手ぬるいくらいだろう。12年前、帝国がリベールに侵攻する時に起こした悲劇を君達は知っているかね?もしくは共和国が民主化する時に断行された血塗られた粛清は?」
「だ、だからと言って……!」
「おじ様達のしている事が正当化されるとでも……?」
ディーター大統領に問いかけられたロイドはディーター大統領を睨み、エリィは不安そうな表情で尋ねた。
「正当化は”される”ものではない。力と意志をもって”する”ものだよ。私はクロイス家の当主だが、元々、一族の使命についてはさほど熱心なわけでは無かった。そのあたりはむしろ、娘の方が詳しいくらいだからね。―――だが、始祖が夢見た新たなる”至宝”の誕生が実現可能だとわかった時………私は狂喜し、クロイス家に生まれたことに感謝したものだよ。この激動の時代を治め、”正義”を広められるだけの力を手に入れられるのだからね。」
「”正義”…………」
口元に笑みを浮かべて言ったディーターの言葉を聞いたティオは呆け
「そんな下らない事の為にこんな事を仕出かしたとはな……」
「やっぱり”正義”を盲信する奴はロクな奴がいねえな。」
「……貴方は”正義”を謳い文句にして愚かな所業を行う者達と同じ類の者ね。」
ヴァイスとギュランドロスは不愉快そうな表情をし、ロカは厳しい表情でディーター大統領を睨んだ。
「それでは、貴方は………自らの利益のためでも、支配欲のためでもなく………”正義”を実現するためにここまでの事をしたと……?」
(愚かとしか言いようがないわね。)
(……処刑されて当然の男だな。)
(エリィには悪いが……あの者達が処刑しなくてもこの私が自ら処刑する!)
ロイドが問いかけている中ルファディエルはやラグタス、メヒーシャは怒りの表情で呟き
(フン、つまんなさすぎてあくびがでてくるね!)
(ま、よくあるパターンだな、くかかかかっ!)
エルンストは不愉快そうな表情をし、ギレゼルは陽気に笑った。
「ハハ、それ以外にどんな理由があるというのだね?10年前、IBCの資産が大陸一を達成した時点で富を求める必要もなくなった。大陸全土を支配するという、ヴァイスハイト君やギュランドロス君のような時代錯誤な幻想にも興味は無い。私はね――――我慢がならないのだよ。”国家”という枠組みに囚われて無益な争いを繰り広げるこの世界に。その意味では”独立国”という形式にこだわっているわけでもない。マクダエル議長の宣言通り、無効とされても構わないのさ。――――私が理想とする”正義”が世界に遍く広まるのであれば………その”正義”によって秩序が保たれ、平和な世界が築かれるのであれば!」
「……馬鹿な。」
「…………私にはただの夢物語にしか思えません。」
「そんな”正義”では決して私が夢見た世界には辿りつけ―――いいえ、それで辿り着こうとする事を私は絶対に許さない。」
笑顔で語ったディーター大統領の主張を聞いたダドリーは信じられない表情をし、エリゼは呆れ、ルフィナは怒りの表情で呟いてディーター大統領を睨んだ。
「そんな世界が実現する訳がないだろう。」
「全くだな。王と民達の”力”と”意志”によって創られる世界……それが現実だ。」
ヴァイスは呆れ、ギュランドロスは不愉快そうな表情をし
「大人になった今ならわかるけど、ホントーに夢みたいな話だったよ…………」
キーアは複雑そうな表情で呟き
「なんつーか……ここまでガチだとは思わなかったぜ。」
ランディは呆れて溜息を吐き
「……ですがその”正義”の幻想もある程度は実現できてしまう…………」
「そうね、キーアちゃんという”零の至宝”があれば………既存の政治思想にはない、反則とでもいうべき状況設定だわ。」
ティオとエリィは複雑そうな表情で言った。
「……………………………――――ディーターさん。俺は……貴方の考えには色々と勉強させてもらいました。ですが貴方の”正義”については……少し過大評価をしていたようです。そういう意味で言えば局長達の”覇道”を行く宣言の方がまだ現実味があります。」
「……当然だ。治安維持や安全保障なども正解というものがある訳ではない。」
ロイドの言葉にダドリーは頷き
「……そうね。かつてセシルさんが言っていたように立場が異なれば”正義”の在り方も変わってくるものだし………」
「迷いながら、時には失敗しつつも”正義”を追い求めていく…………かつてディーターさんに言われた事でもありますよね。」
「なんつーか、あの時の演説と全然違うような気がするんだが?」
「……あれは力と意志が足りていない状況においての方法論について語ったまでだ。その双方が揃っている状況で”正義”を行使しないこと……それは”怠惰”ではないのかね?」
ロイド達の指摘に対し、ディーター大統領は反論した。
「―――違う!”正義”は移ろいやすく、形の定まらないものだ……!それを追い求め続ける事にこそ、皆にとっての価値がある……!貴方のしようとしている事は”正義”を型にはめて画一化し、押し付ける事でしかない……!そんなものが本当に貴方の求める”正義”なのか!?」
「ぐっ………現に私はクロスベルの政治状況に風穴を開けて幾つもの改革を成し遂げた!その結果を否定するというのか!?」
そしてロイドの叫びに怯んだディーター大統領は怒りの表情で叫んだ。
「……それとこれとは話が別です。おじさまの全てを否定するつもりはありませんし、学ぶ所が多かったのは確かです。だからこそ……その欺瞞と勘違いを指摘せざるを得ません。貴方を尊敬していた者として……間違いに気付いて欲しい意味でも!」
「いいだろう!」
そしてエリィの言葉に大声でディーター大統領が答えたその時、ディーター大統領は片手を天に翳した。するとディーターは不思議な光に包まれ始め、さらにディーター大統領の足元には謎の魔法陣が展開された。
「………!?」
「な、なんだぁ!?」
「まさか”魔導”の力……!?」
その様子を見たロイド達が驚いている中ルフィナは警戒し
「気を付けてください!オルキスタワーから彼を中心に膨大な霊力が集まり始めています……!」
ティオはロイド達に警告した。
「フフ、ベルほどではないがクロイス家の当主としてこの程度は嗜んでいてね…………そして、このオルキスタワーの”霊子変換機能”を利用すれば――――こんな事も可能になるのだよ!」
するとその時ディーターは光に包まれて白き神機の中へと吸い込まれた!
「あ……………」
それを見たエリィは呆け
「吸い込まれたねー……」
キーアは信じられない表情で呟いた。そして神機は自分の手や頭を動かした。
「ふむ……視界と制御も良好だ。”至宝”の力を受けつつ自在に操る事ができそうだな。」
「まさかあの人形を動かしているというの……!?」
「……”騎神”や”機甲兵”という例があるのですから不可能ではないと思います。」
神機から聞こえて来たディーター大統領の声を聞いたロカは信じられない表情をし、エリゼは複雑そうな表情で呟いた。
「お、おじさま……………」
「霊的な位相空間から人形兵器をコントロールしている……!?」
「オイオイ、そんなのありかよ!?」
ロイド達が信じられない表情でディーター大統領が操縦する神機を見つめている中、神機はその場で決めポーズをし
「ハハ、これぞ”正義”を体現し、世に知らしめるための白き機体……………さあ――――”証明”してみるとしようか。私の”正義”と君達の”正義”……果たしてどちから正しいのかを!」
ロイド達に回転する片腕を突き付けて叫んだ!
「くっ………望むところだ!」
「全力をもって挑ませてもらいます……!」
「そんなガラクタ、すぐにぶっ壊してやるぜ!」
対するロイドやエリィ、ギュランドロスも武器を構えて叫び、戦闘を開始した。
その後ロイド達は協力して神機を戦闘不能にした!
「や、やったか……!」
「これで何とか……!」
地面に膝をついたアイオーンを見たロイドとランディは明るい表情をした。するとその時アイオーンにエネルギーが充填され始めた!
「霊子エネルギー、再び充填されています!」
「この様子ではエネルギー元を断たない限り、何度でも立ち上がるみたいね……」
「”騎神”の自動回復機能をコピーするなんて……!これが”結社”の技術ですか……!」
「操縦者を引きずり出す事ができれば、無力化をできると思うのだけど……」
ティオは警告し、ロカとエリゼは厳しい表情をし、ルフィナはアイオーンを睨みながら対処法を練っていた。
「フフ、”零の至宝”よりこの機体は無制限の力を得ている。決定的に破壊されない限り、敗北はあり得ないというわけだ。」
「くっ……」
「そういう事か……」
「”至宝”とはそこまでの力があるのか……!」
アイオーンの中にいるディーター大統領の説明を聞いたロイドとダドリーは唇を噛みしめ、ヴァイスは真剣な表情で言った。
「フフ、君達の命を奪うつもりは毛頭ないさ。大人しく降伏して、私の理想に協力してくれれば――――」
そしてディーター大統領が勝ち誇った様子で答えかけたその時、充填されていたエネルギーは突如消えた!
「!?な、なんだ……?」
「ど、どうしたってんだ……?」
「霊子エネルギーの供給が途絶えた……?」
エネルギーが消えた事に両者が戸惑っている中、アイオーンは地面に膝をつき、タワーの屋上に展開されていた装置は閉じ、アイオーンから光が出て来て、光が消えるとディーター大統領が地面に膝をついていた!
「ば、馬鹿な……!?」
アイオーンから出てきたディーター大統領は信じられない表情で声を上げた。一方その頃、市内に展開している魔導兵達は全て消えた。
~オルキスタワー・正面玄関前~
「おお……!」
「き、消えた……!?」
その様子を見たスコットや警官は明るい表情をし
「ロイド君、やったじゃない!」
「終わったか……」
「フウ………」
「ようやくいなくなったの~……」
エステルやアドルは笑顔になり、ナユタとノイは安堵の溜息を吐いた。
「……霊子の供給が途絶えたみたいね。」
「やれやれ……マジで疲れたぜぇ~。」
キリカ補佐官は静かな笑みを浮かべて呟き、レクター少尉は疲れた表情で溜息を吐き
「フッ……やりやがったな。」
セルゲイは口元に笑みを浮かべた。
「………!?何かこっちに近づいてきます……!」
その時何かに気付いたヨシュアは声を上げて空を見上げ
「あ、あれは一体……!?」
「確かレンさんが操っていた……!」
「”パテル=マテル”!どうしてレンちゃんが……」
オルキスタワーの屋上へと向かっている”パテル=マテル”を見たクレハは戸惑い、エレナは真剣な表情で呟き、ミントは叫んだ後戸惑いの表情になった。
「!?この駆動音は……!」
「まさか………!」
「!!みんな、あそこを見て!!」
さらに何かに気付いたセティとエリナは表情を厳しくし、シャマーラはオルキスタワーとは逆側の空にいるある集団を指さし
「な、な、な……!?」
「なんだあれは~!?」
ある集団―――――魔導戦艦や”歪竜”、その周囲にいる魔導兵器の軍団を見たエマは刑事たちは混乱した。
「――――あれらがリウイ様―――いえ、メンフィルがクロスベルに譲渡した兵器です。」
「えっ!?」
静かな表情で答えたエクリアの話を聞いたフィーナは驚き
「なあっ!?」
「クロスベルとメンフィルはあんなとんでもない兵器を手に入れたの……!?」
レクター少尉は口を大きく開け、キリカ補佐官は厳しい表情で叫び
「あ、あんですって~~~~~~!?」
エステルは驚きの表情で叫んだ。
~メルカバ伍号機・ブリッジ~
「オイオイオイ……!なんや、あの戦艦と飛行艇の軍団は!?」
「しかも”竜”みたいな生物も複数いる……!」
一方その様子を画面端末で見ていたケビンとリースは驚きの表情で叫び
「……………………」
エイドスは真剣な表情で黙って画面を見つめていた。
~オルキスタワー・屋上~
「ど、どういう事だ!?どうして”至宝”からの供給がいきなり止まるのだ……!?」
一方その頃ディーターは地面に膝をついているアイオーンを睨んで叫んだ。するとその時
「まぁ。余計な事をしている暇がなくなったからだろうねぇ。」
不気味な声が聞こえた後、”結社”の”蛇の使徒”の一人であり、”十三工房”の責任者でもあるF・ノバルティスが転移の光と共に現れた!
「”結社”の……!」
「”第六柱”F・ノバルティス……!」
「あの者が”蛇”の……!」
ノバルティスを見たロイドとエリゼ、ルフィナは厳しい表情でノバルティスを睨んだ。
「ノバルティス博士……一体、どういうことだ!?まさか”結社”が機体に何かを仕掛けていたのか!?」
「フフ、前にも言ったようにあくまで今回は手伝いでね。良いデータも取れたことだし、そろそろ私も失礼させてもらうよ。契約通り、そちらの最終型と共にね。
「契約だと……!?馬鹿な、この機体はこちらが”結社”から買い上げたものだ!持って行かれる道理などない!」
自分の問いかけに対して答えたノバルティスの答えを聞いたディーター大統領は怒りの表情で叫んだ。
「いやいや、実は契約内容にちょっとした変更があってね。用済みになった機体をこちらに回収させてもらうよう、取り計らってくれたのだよ。――――閣下の令嬢、マリアベル・クロイス嬢がね。」
「な………」
ノバルティスの説明を聞いたディーター大統領が呆けたその時
「ウフフ……その通りですわ。」
ロイド達にとって聞き覚えのある娘の声が聞こえてきた!
「こ、この声は……」
「ベル……!?」
声を聞いたロイド達が驚いたその時、空間にディーター大統領の娘であり、”クロイス家”の”魔導”を受け継いだマリアベル・クロイスの顔が映った画面が現れた!
「ベル……これは一体……?それに一体、どこにいるんだ!?オルキスタワーではないのか!?」
「フフ、わたくしはとっくにそちらを後にしていますわ。キーアさんたちと一緒に。」
「な……!?」
「…………………」
マリアベルの話を聞いたロイドは驚き、キーアは複雑そうな表情で黙り込み
「た、確かにどのフロアにもいなかったみたいだけど……」
エリィは厳しい表情で言った。するとその時シグムント、シャーリィ、アリオス、そして不良集団”サーベルバイパー”の”頭”であり、自身のある事情によってマリアベル達に力を貸す事に決めたヴァルド・ヴァレスの顔が映った画面が次々と現れた!
「アリオスさん……!」
「マクレイン……!」
「叔父貴……!シャーリィ……!」
「ヴァルドさんまで………」
アリオス達を見たロイドやダドリー、ランディは声を上げ、ティオは厳しい表情をした。
「…………………」
アリオスは何も語らず黙り込み
「クク………」
「うーん!盛り上がってきたねぇ!」
「ケッ……」
シグムントは好戦的な笑みを浮かべ、シャーリィは嬉しそうな表情で叫び、ヴァルドは舌打ちをした。その時エニグマの音が鳴り始め、音に気付いたヴァイスは通信を開始した。
「俺だ……ああ……ああ……わかった。全員タワー屋上に来てくれるように指示を出してくれ。そこで”最初の指示”をだす。………”赤の戦鬼”、”血染め”。貴様らにとっては絶望的な情報をこの場で教えてやろう。」
通信を終えたヴァイスは不敵な笑みを浮かべ
「ほう……?」
「なになに~?」
シグムントとシャーリィは興味深そうな表情をした。
「―――俺達の仲間達や警備隊員達が既に市内の防衛に当たっていた”赤い星座”の猟兵達は一人残らず全て殲滅したそうだ。」
「何っ!?」
「ええっ!?」
「なっ!?」
不敵な笑みを浮かべて言ったヴァイスの話を聞いたシグムントやシャーリィ、ランディはそれぞれ驚きの表情で叫んだ。
「事実上貴様らが最後の”赤い星座”の猟兵になったようだな?」
「クク、これで”大陸最強”と謳われた”赤い星座”も終わりだなあ?」
ヴァイスとギュランドロスは不敵な笑みを浮かべ
「貴様ら……………!よくもガレスたちを…………!」
「そっか……………ガレスやみんなもザックス達のように逝っちゃったんだ…………」
シグムントは怒りの表情で呟き、シャーリィは静かな口調で呟き
「……………………」
「ランディ………」
複雑そうな表情で黙り込んでいるランディを見たロイドは複雑そうな表情をした。
「ど、どういう事だ……………君達は………私を裏切ったというのか!?」
「……大統領、申し訳ありません。しかし私は元々、貴方の計画に協力していたわけではありません。”先生”とマリアベル嬢の計画に協力していただけです。」
「”先生”………ま……まさか…………」
アリオスの説明を聞いたディーター大統領は呆けた後唇を噛みしめた。するとその時
「ああ―――――その通りだ。」
なんとイアンの顔が映った画面が現れた!
「…………ぁ…………………」
「……え……………」
「……う、嘘だろ……」
「イ、イアン先生……!?」
イアンの顔が映った画面を見たエリィやティオ、ランディは呆け、ダドリーは信じられない表情で声を上げ
「弁護士の方が何故……!」
(みんな……………)
エリゼは驚きの表情で声を上げ、キーアは心配そうな表情でロイド達を見つめた。
「ほう?まさかここで貴様が出てくるとはさすがの俺達も想定外だ。」
「どうやら処刑する必要がある愚か者が増えたみたいだなあ?」
一方ヴァイスとギュランドロスは厳しい表情をし
「………………………」
(やはりそうだったのね……)
ロイドは動じず厳しい表情で黙り込み、ルファディエルは目を細めてイアンを睨んでいた。
「ふむ、その様子ではロイド君は私の関与に気付いていたのかな……?」
「何……っ!?」
イアンの指摘を聞いたダドリーは驚きの表情でロイドを見つめ
「……ええ。ニールセンという記者の方がヒントをくれましたから。それとピート君や墓守のご老人……キリカさんやレクターさんの指摘……全ての断片が最終的に貴方の関与を指し示していました。」
「ふふ、どうやら完全にガイ君に追いついたようだね。」
ロイドの話を聞いたイアンは口元に笑みを浮かべて答えた。
「グリムウッド先生……これはどういう事ですか……!?た、確かに先生には色々と相談に乗ってもらいはしたが……」
「ああ……君は本当に教え甲斐のある生徒だったよ。経営者としては超一流だし、政治家としても悪くはなかった。”夢想家すぎる”という致命的な欠点を除けばね。」
「………!?」
イアンの話を聞いたディーター大統領は信じられない表情をし
「フフ、お父様はご自分の考えで全てが上手く進んだと思ってらっしゃるようですが………その実、先生の用意した筋書に誘導されていただけですわ。教団の扱い、通商会議の段取り、クロスベル市襲撃から独立宣言まで……そのアイデアの元を、最初にお父様に囁いたのはどなたでしたかしら?」
「………………ぁ…………………」
「なるほど……上手い具合に操られていたという事か。」
「フン、所詮は三下だな。」
マリアベルの説明を聞いたディーター大統領は呆け、ヴァイスは真剣な表情で、ギュランドロスは不愉快そうな表情でディーターを睨んだ。
「このまま君が上手くやれば表に出るつもりは無かったが……どうやら黒幕としてのみ、留まってはいられないようだ。『碧き零の計画』、このまま遂行させてもらうよ。」
「碧き………零…………?」
イアンの話を聞いたディーター大統領は呆け
「な、なんだそれは!?」
ロイドは厳しい表情で声を上げた。
「フフ、”零の至宝”の完成形……時空を支配し、因果律を組み替える”碧の大樹”…………その新たなる誕生ですわ……!」
そしてマリアベルが叫んだその時不思議な光が周りに漂い始めた。
「この光は……!?」
「碧い光……?」
「……南南西!湿地帯のあたりです!」
「あれは―――――」
「……………」
漂う光にランディやエリィは戸惑い、ティオはある方向に視線を向けて叫び、ロイドは厳しい表情をし、キーアは真剣な表情で黙り込んでいた。
ロイド達が見つめたその時湿地帯の辺りで神秘的な光を放ち続ける謎の巨大な大樹が地面から生えて行った!
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