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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第105話

~ラインフォルト本社ビル24F・ラインフォルト家~



「アリサ、何をしているんだ?」

「ちょっと、各部屋のチェックをしようと思ってね。ほら、ハイデル取締役がしばらくこのフロアにまで出入りしていたでしょう?シャロンやあのメイド達が片付けてはくれたけど、大事なものが無くなったりしてないか一応チェックしておきたくて。」

「ああ、なるほど………一人で大丈夫なのか?」

「ええ、大丈夫。どこに何があったかくらいはちゃんと把握しているし、ミルモにも手伝ってもらっているわ。母様も忙しいでしょうし、私がやっておかないとね。」

「(せっかくだし、俺も手伝っていこうかな?)アリサ、もしかったら俺にも手伝わせてくれないか?広いから大変そうだしさ。」

「へっ……まさかあなた。」

リィンの申し出を聞いたアリサは呆けた後ある事に気付いてジト目になった。



「いやいや、やましいことはしないから。」

(……カレイジャスで毎晩淫らな行為をしているマスターがそれを言いますか。)

(アハハ……確かにその通りですけど、そうなってしまったのもアリサさん達が毎晩交代でリィン様との愛し合いを求めているからかと。)

(フフ、早く全てを終わらせてまたいつものように私達もリィンと愛し合いたいわね……)

(うふふ、ご主人様の場合は無意識でやましい事をするものね♪)

(ふふふ、全く持ってその通りですね。というか今回”も”そうなると思いますけどね。)

アリサに疑われたリィンが冷や汗をかいている中、リィンの言葉を聞いてジト目になったアルティナにメサイアは苦笑しながら指摘し、アイドスは微笑み、からかいの表情になったベルフェゴールの言葉にリザイラは静かな笑みを浮かべて答えた。



「ふふ、冗談よ、冗談。それに……あの時……言った……ね。二人っきりだったら……”どんなこと”でも……いいって。」

「アリサ?」

「な、何でもないわ!じゃあお言葉に甘えて、ぜひ一緒にお願いするわね。」

こうしてリィンはアリサと共にラインフォルト家を見回っていくことにした。シャロンとエウシュリーちゃん達が昨晩のうちに片付けてくれていたおかげで、チェックはそこまで大変ではなく……各部屋を一通りチェックしたあと、イリーナ会長の書斎に入ったのだった。



「昨日見た時はどの部屋も目も当てられない散らかりっぷりだったけど……シャロンとエウシュリーちゃん達が片付けてくれたおかげですっかり綺麗になっているわね。今の所、大事なものが無くなったりもしていないみたい。」

「そうか……だったらよかったな。……所であのメイドの人達……本当にラインフォルト家が雇ったんだな。」

アリサの話を聞き、エウシュリーちゃん達の事をふと思い出したリィンは冷や汗をかいて呟いた。

「ええ……一体どんな交渉をしたのか知らないけど、あのメイド達もしばらくラインフォルト家で働く事になったわ。しかも一人を除いて名前が変よ。名前の後に付いている”ちゃん”や”さん”を含めて本名って色々とおかしいでしょう?」

「ハハ……」

ジト目になって呟くアリサの様子をリィンは苦笑しながら見つめていた。



「ふう、でもハイデル取締役も貴族なのに相当だらしないわね。アンゼリカさんの叔父さまをあまり悪くは言いたくないけど……」

「まあ、貴族だからこそちょっとハメを外したくなってしまったのかもな。会長を軟禁したことで相当気が大きくなっていたようだし。」

ハイデル取締役の様子を思い出したリィンは複雑そうな表情をした。

「そうね……母様に長い事頭が上がらなかった反動だったのかも。まあいいわ、そろそろチェックも終わりそうだし、他の部屋のチェックをしているミルモを呼んで……って、あら?」

「どうした?」

「いえ、デスクの本の間に何かが挟まってて…………これは…………」

幼い頃の自分と両親が写っている写真を見つけたアリサは呆け、リィンは写真に写っている人物達を見つめた。



「アリサの小さい頃の写真……?一緒に映っているのはイリーナさんと……」

「……亡くなった父様よ。でも、なんでこんな写真が……それも隠していたみたいに……」

仕事の鬼であるはずのイリーナ会長が昔の写真を持っていた事にアリサは信じられない思いを抱えてイリーナ会長の事を考えていた。



「……仕事の合間に、時々眺めていたのかもしれないな。ちょっと意外だけど……イリーナさんにとっても大切な思い出には違いないだろうし。」

「……母様……」

その後、二人はチェックを終え……25Fの展望スペースで一時休息を取る事にしたのだった。



「ふう、ようやく終わったな。ミルモがいるとはいえ、やっぱりかなり大変だったんじゃないか?」

「ふふ、まあそのときはやれるだけやってシャロン達に任せてたかも。……本当にありがとう、リィン。」

「え……?」

アリサに突如お礼を言われたリィンは呆けた表情をした。



「さっきの写真を見つけたのはあくまで偶然だったけど……リィンがいなかったらとても母様の部屋までは手が回っていなかったわ。ああして、母様の”想い”の一端に触れることもできなかったと思う。」

「……そんなことはないさ。アリサとイリーナさんは母娘なんだ。きっと心のどこかでつながっている。あの写真を見つけなくたって、いつか別の形で分かり合えるさ。」

「リィン……ふふっ、なんだか前の実習を思い出しちゃうわね。あの時もこの場所でリィンに話を聞いてもらったっけ。」

「……ああ、そんな事もあったな。」

かつての実習での出来事を思い出したリィンは懐かしそうな表情で目を閉じた。



「こうやってルーレを解放して、母様やRFを取り戻せた……ううん、それだけじゃない。今まで何度も、何度も私を励ましてくれたことも……本当に感謝しているわ、リィン。大好き……ん……」

(アリサ……)

アリサが自分と深い口付けを交わしながら抱きしめると、リィンもそれに応えるようにアリサを抱きしめてアリサと深い口付けを交わしていたが、アリサと抱きしめ合っている事で昨夜の行為をふと思い出し、強い興奮を感じた。



「やだ……もう、リィンったら……昨日したばかりなのに、また私としたいの……?」

リィンと密着していた為、リィンの身体の変化を感じたアリサは頬を赤らめてリィンを見つめ

「うっ……そ、それはその……」

リィンはアリサから視線を逸らして口ごもっていた。するとその時上に着ている服を脱いで上半身だけ裸になったアリサはリィンの前にしゃがんでリィンのズボンのベルトを手慣れた手つきで外していた。



「ちょっ、アリサ!?さすがにここでするのは不味すぎ――――」

アリサの行動に驚いたリィンはアリサを制止しようとしたが

(うふふ、これなら問題ないでしょう♪)

「………………ベ、ベルフェゴール…………」

ベルフェゴールが展開した結界に気付いて表情を引き攣らせた。

「フウ……空気を読んで邪魔者が入らないようにしてくれるのはいつも助かるけどベルフェゴール達にはいつも見られているから色々と複雑ね。…………今までの分の”お礼”には全然足りないけど、いっぱい気持ち良くしてあげるわね……」

「うくっ!?」

溜息を吐いたアリサは気を取り直した後リィンへの”奉仕”を始め、そのまま二人は愛し合った。その後”行為”を終えた二人は恥ずかしそうな表情をしながら展望スペースを出ると予想外な人物達が待ち構えていた。



「―――どうやらそのご様子ですと、”また”していたようですね?」

「へ……」

「エ、エリス!?それにアルフィン殿下までどうしてここに……!?」

まるで自分達が出てくるのを待ち構えていたかのように目の前にいたエリスとアルフィン皇女を見たアリサは呆け、リィンは驚きの表情で声を上げた。



「あ、それは私が教えたんです~。」

するとその時エリス達の傍にいたエウシュリーちゃんが答えた。

「あ、貴女は確か……!」

「――――エウシュリーちゃん!どうして教えたのよ!?」

エウシュリーちゃんを見たリィンは驚き、アリサは顔を真っ赤にしてエウシュリーちゃんを睨んだ。



「フフッ、エウシュリーちゃんを責めないで下さい。エリスと二人でルーレの一番高い所であるこのビルの展望スペースでルーレの景色を見ようと25Fに来て展望スペースに行こうとした時に彼女がわたくし達を呼び止めて教えてくれたのですわ♪」

「「………………………」」

アルフィン皇女の答えを聞いたリィンとアリサは石化したかのように固まり

「それでは私は展望スペースのお掃除をしておきますね~。お掃除、お掃除♪」

エウシュリーちゃんは展望スペースに入って掃除を始めた。



「……兄様?まさかとは思いますがケルディックの寄航日の際姫様とした時のように、避妊処置をせずに”した”のではないでしょうね?」

「し、してないって!ちゃんとする前にアリサが避妊魔術を――――いたたっ!?ア、アリサ!?」

膨大な威圧を纏ったエリスに微笑まれたリィンは慌てた様子で答えようとしたが、アリサに靴を思いっきり踏みつけられて最後まで答えられず、アリサに視線を向けた。



「余計な事を言わないでよっ!……それよりもケルディックの寄航日にアルフィン皇女殿下と避妊処置をせずに”した”って、一体どういう事??私、初耳なんだけど??」

(ヒッ!?リ、リィン~……どうしていつもいつもアリサを怖くするの~?)

「そ、それは…………」

膨大な威圧を纏って微笑むアリサを見たミルモは怖がり、リィンは大量の冷や汗をかいて表情を青褪めさせた。

(アハハハハハハハッ!さすがご主人様♪)

(ふふふ、私達の期待を裏切らないのも相変わらずですね。)

(クスクス、何だかんだ言っても結局はみんなリィンの事、許しているものね……)

(……マスターの謎な所は婚約関係にある女性達に怒られても嫌われはせず、婚約解消にはならない所ですね。)

(アハハ……皆さん、わかっていてもやっぱり怒りたくはなるだけで、リィン様の”こういう所”も受け入れてリィン様と婚約しているのですよ。)

その様子をベルフェゴール達が微笑ましそうに見守っている中、アルティナの疑問を聞いたメサイアは苦笑しながら答えた。



「うふふ、リィンさんを責めないで下さい、アリサさん。わたくしだけ皆さんと比べると、リィンさんと接していた時間が短いでしょう?ですからその代わりにリィンさんの最初の赤ちゃんはわたくしが産みたくて、避妊処置をせずにリィンさんにたくさん中に出してもらったのですわ♪」

「なっ!?姫様!それとこれとは別問題です!」

頬を赤らめて嬉しそうにアリサを見つめて言ったアルフィン皇女の言葉に驚いたエリスはアルフィン皇女を睨み

「フ、フフッ、フフフフフフ……ッ!リ・ィ・ン~~~?今の話、詳しく聞かせてくれるわよね??」

「ハイ…………」

膨大な威圧を纏うアリサに微笑まれたリィンは肩を落として頷いた。



「フフッ、リィン様はウィル様と比べればまだまだですね~。ウィル様は修羅場を作らず、皆さんと仲良くしているのですから。将来円満な家庭を築く為にも、いつかウィル様に複数の女性と付き合う際に関しての知識等を教えて貰った方がいいと思いますよ~?」

一方展望スペースを掃除しているエウシュリーちゃんは扉の外から聞こえてくる混沌とした様子の会話を聞き、苦笑していた。



その後混沌とした場からようやく抜け出す事ができたリィンはヴァリマールの様子を見る為にカレイジャスに向かった。 
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