英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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外伝~空の女神の目的~
~グランセル城・客室~
「なっ……と言う事は”D∴G教団”の大元の資金源は”IBC”だったのか!」
「クロイス家がそのような計画を遥か昔から立てていたなんて……」
説明を聞き終えたカシウスは厳しい表情で声を上げ、クローディア姫は信じられない表情をし
「……一体どこでそのような情報を?」
リウイ達―――メンフィル帝国が七耀教会ですら知らないと思われる歴史を知っている事が気になっていたアリシア女王は尋ねた。
「以前のD∴G教団幹部―――ヨアヒム・ギュンターによるクロスベル襲撃の復興に手を貸していた際に、教団の真実を追っていたレンが部下達と共にクロスベルにある古の遺跡の一つ―――”星見の塔”にあった膨大な量の古文書を複写し、本国に持ち帰って解読した際に判明した。」
「レンちゃんが……」
シルヴァンの説明を聞いたクローディア姫は複雑そうな表情をし
「しかし……そのクロイス家が創造した”零の至宝”―――キーア殿、でしたか。彼女と”空の女神”がどう関係しているのですか?」
ある事に疑問を感じたユリア准佐は不思議そうな表情で尋ねた。
「……”因果”に干渉できる”幻の至宝”を目指して完成した”零の至宝”は時空間をも干渉できる”幻の至宝”を越える”至宝”――――つまり、『世界を紡ぐ力』を秘めているとの事だ。」
「なっ!?」
「せ、『世界を紡ぐ力』…………――――!ま、まさか……!?」
「……メンフィル帝国―――いえ、異世界とゼムリア大陸が繋がった理由は時代が異な――――いえ、”並行世界”の”零の至宝”による”奇蹟”という事ですか?」
リウイの説明を聞いたユリア准佐は驚き、ある事に気付いたクローディア姫は血相を変え、カシウスは真剣な表情で尋ねた。
「恐らくそうだと思われますわ。そしてそれは現代のゼムリア大陸に飛ばされた私達や現代に転生したヴァイスさん達にも言える事。つまりこことは別の世界であるゼムリア大陸――――並行世界のゼムリア大陸に存在する”零の至宝”―――キーアちゃんが既に”ゼムリア大陸の本来の歴史”を”改変”して、今の状況にした可能性が非常に高いのです。」
「そこに付け加えて言わせてもらうが”空の女神”の系譜も”零の至宝”が関わっている可能性もある。」
「……………………」
ルイーネとリウイの口から出た驚愕の話にクローディア姫達は重々しい様子を纏って黙り込み
「……ならば、”空の女神”がミントさんの”力”によって過去からいらっしゃり、現代のゼムリア大陸に降り立った目的は……」
ある事に気付いたアリシア女王は身体を震わせながら驚きの表情でリウイ達を見つめ
「ああ、クロイス家によって”零の至宝”で”ゼムリア大陸の歴史”を好き放題にされない為にこの時代に訪れたと言っていた。それと”未来のミント”によると”歴史の流れ”を守る為でもあるそうだ。」
リウイはアリシア女王の言葉に静かな表情で頷いた。
「ええっ!?と言う事は……!」
「”空の女神”とその一族達―――ナユタ殿達やアドル殿達が時空を越えて、現代に降り立った出来事すらも”本来の歴史から改変したゼムリア大陸の正しい歴史”という事ですか!?」
リウイの話を聞いたクローディア姫とユリア准佐は信じられない表情で声を上げた。
「―――その通りだ。それと未来のミントの話では未来でもゼムリア大陸は俺達の世界―――ディル・リフィーナと繋がっているとの事だから、今が”空の女神が認めた正しい歴史”だと思われる。更に”クロスベル帝国”という大国が存在しているとの事だ。」
「そ、そんなっ!?」
「自治州であったクロスベルがたった10年で”帝国”を名乗る程の大国に……」
「そしてその歴史こそが”空の女神が認めた正しい歴史”と言う訳ですか……」
「……………………二大国―――エレボニア帝国とカルバード共和国はどうなったのですか?」
リウイの答えを聞いたクローディア姫は表情を青褪めさせ、ユリア准佐とカシウスは複雑そうな表情をし、目を伏せて黙り込んでいたアリシア女王はやがて目を開いて悲しそうな表情で尋ねた。
「その事についてはミント自身は口にしなかったし、俺も未来の知識を知る事自体は本来なら”禁忌”である事は理解していたゆえ、それ以上聞かなかった。」
「ですが”クロスベル帝国”という大国が10年後――――未来に存在しているという答えだけで、自ずと二大国が”どうなったか”は想像できるかと思われます。」
「それは………………」
「二大国に待っているのは滅亡、もしくは衰退の未来であり、その未来が”空の女神が認めた未来”……という訳ですか……」
リウイの後に微笑みながら答えたルイーネの話を聞いたクローディア姫とアリシア女王は辛そうな表情をした。
「……”空の女神”は”ゼムリア大陸の歴史を守る為”にクロイス家に戦いを挑むような言い方をされていましたが……まさか”空の女神”とその一族達はいずれ現クロスベル政権に戦いを挑むのですか?」
その時ある事が気になっていたカシウスは真剣な表情で尋ねた。
「ああ。そして”その時”とはクロスベルを覆う結界が解け、”六銃士”達がクロスベル解放並びに建国に向けて一気に攻勢を仕掛ける時だそうだ。」
「ちなみにエステル達もエイドス達と共にクロスベル解放を手伝うそうよ?後は残りの”使徒”達やナベリウス、そして”神殺し”達の数少ない味方である”軍神”の”神格者”と合流した”神殺し”達も拘置所から脱出した”特務支援課”のリーダー、ロイド・バニングスと合流して今も彼らに力を貸し、クロスベルに潜入捜査をしていた”守護騎士”の一人に加えて”空の女神”の”眷属”ももロイド・バニングスに力を貸しているわ。」
「ええっ!?」
「エ、エステル君達とセリカ殿達に加えて、”星杯騎士団”の”守護騎士”や”空の女神”の”眷属”まで……!」
リウイの説明を捕捉したファーミシルスの話を聞いたクローディア姫とユリア准佐は驚きの表情で声を上げ
「そしてメンフィル帝国もクロスベル解放並びにクロイス家の打倒に力を貸すと言う訳ですな?やれやれ……”ゼムリア大陸の歴史の流れ”を守る為の戦いとは言え敵が”哀れ”としか思えないくらい、”完璧にして最強”の布陣ですな。」
カシウスは疲れた表情で呟いた。
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