英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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外伝~空の女神の一族~
~グランセル城・客室~
「フフ、”空の女神”は”とある人物”の力によって過去からご両親や先祖と共に現代のゼムリア大陸に降り立ったのです。」
「………?」
「ファーミシルス大将軍、一体それはどういう意味ですか?それに空の女神の両親や先祖とは一体……」
ファーミシルスの説明を聞いたアリシア女王は不思議そうな表情をし、カシウスが尋ねたその時
「!!ま、まさか……!”彼女”が”空の女神”達を!?」
「しかもアドル殿達まで一体何故この時代に……!?」
クローディア姫とユリア准佐がそれぞれ血相を変えた。
「クローディア?ユリアさん?何か知っているのですか?}
「そ、それは……」
「…………………」
アリシア女王に尋ねられたクローディア姫とユリア准佐は顔色を悪くして答えを濁すか目を逸らして黙り込み
「――――クローディア姫、ユリア准佐。そちらの二人ならばエステルやカシウス准将の先祖やミントの”正体”や”力”を説明しても問題ないと思うが。」
二人の様子を見たリウイが二人に助言した。
「え……」
「わ、私達の先祖やミントの”正体”と”力”……?」
リウイの助言を聞いたアリシア女王は呆け、カシウスは戸惑った。そして二人に説明する事を決めたクローディア姫とユリア准佐は”リベールの異変”の半年後に起こった”影の国”事件の際にエステルやカシウスの先祖が”空の女神”である事、ミントが”人を含めた対象物”の”時の流れ”を操れ、また未来と過去を自由に駆けれる存在――――”真竜”である事が判明し、その説明をした。
「………………正直、どこから驚けばいいかわかりませんな。ミントが現代、過去、未来と”時空”を自由に行き来できる事もそうですが、まさか先祖が”空の女神”でその両親が大衆に知られている”赤髪の冒険家の冒険日誌”の作者と、冒険日誌に出て来た登場人物だとは……そしてエステルは”正義の大女神アストライア”でしたか?その女神の魂を宿して、エステルの子供やその子孫にその魂が受け継がれていくなんて、エステルの父親としてどう反応をすればいいのやら……」
「…………その事は一端置いておくとしまして。先程の”空の女神”御自身の言葉を聞く事ができたと仰っていましたが、一体どこで”空の女神”とその一族達と出会ったのですか?」
説明を聞き終えたカシウスは疲れた表情で溜息を吐き、アリシア女王は真剣な表情で尋ねた。
「――――4日前だったか。執務室で仕事をしていた俺の前に突如”10年後のミント”が”空の女神”達を引き攣れて現れた。」
「ええっ!?”10年後”と言う事はみ、”未来のミント”ちゃんですか!?」
「一体何故リウイ陛下の許に……」
リウイの話を聞いたクローディア姫は驚き、ユリア准佐は戸惑いの表情をした。
「――――”時が満ちる”まで”空の女神”達はメンフィル帝国領内でエステル達と共に遊撃士の仕事をし、混迷に満ちたゼムリア大陸の人々を一人でも多く救う為に偽造の戸籍等を俺に手配してもらう為に俺の前に現れたそうだ。その際に”空の女神”自身に先程の戦争の件を話した際、介入するつもりはないと言質を取っている。」
「!?ちょ、ちょっと待ってください!?ま、まさか”空の女神”達は今、エステルさん達と一緒に行動しているんですか!?」
「ああ。エイドス自身は今、レグラム地方でエステル達と共に、アドル達とナユタ達、そして遥か未来から未来のミントの力にて現代に降り立ったエステルの娘であるサティアはセントアークでシェラザード達を手伝っているとの事だ。」
「サ、サティア殿まで……」
「い、一体どうしてそんな事に……」
「…………何ですと?リウイ陛下、今”エステルの娘”と仰いませんでしたか?」
リウイの説明を聞いたユリア准佐とクローディア姫は大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、カシウスは目を丸くして尋ねた。
「フフッ、本名”サティア・ブライト・シルフィル”。数年後に結婚するエステルが産む長女―――いえ、エステルの”養子”――――長女であるミントがいるから次女ね。サティアはエステルの次女であり、先程の話にあった”正義の大女神アストライア”の魂や記憶が覚醒している上、しかもサティア自身の時代ではサティアはゼムリア大陸では”嵐の剣神”の二つ名で知られている”神殺し”セリカ・シルフィルの”第七使徒”にして妻になっているそうよ。」
「………………………」
カシウスの反応を面白がるかのように口元に笑みを浮かべたファーミシルスが説明すると衝撃の事実の連続に反応しきれなかったカシウスは石化したかのように固まり
「ア、アハハ……セリカさんと結婚していると言う事は”未来のミントちゃん”が、10年後の更に未来からサティアさんを連れてきたようですね……」
「……サティア殿の母親であるエステル君もそうですがサティア殿との再会を最も望んでいたセリカ殿が知ったら、どのような反応をするのでしょうね?」
冷や汗をかいて表情を引き攣らせているクローディア姫とユリア准佐は固まっているカシウスを気にしながら呟いた。
「……今はその話は置いておくとしまして……―――リウイ陛下、”空の女神”御自身は貴国とクロスベルが仕掛ける戦争について介入するつもりはないと仰っていたそうですが、何故”空の女神”はそのような事を仰ったか理由は尋ねていないのですか?」
「あ…………」
「「………………」」
アリシア女王の問いかけを聞いたクローディア姫やカシウス、ユリア准佐は気を取り直してリウイを見つめた。
「勿論聞いている。『私は本来ならこの時代に存在してはいけない者。この時代の事はこの時代に生きる人々が決める事……それが自然の”理”です。』―――それが空の女神自身の答えだ。」
「それは………………」
「”この時代の事はこの時代に生きる人々が決める事が自然の”理””、ですか……」
「……つまり過去の時代から来ている”空の女神”御自身は例え”空の女神”とはいえ、”空の女神”にとっては未来の人々の問題に介入する権限は最初から存在しないと、自らを律している訳ですか…………」
リウイの説明を聞いたクローディア姫やユリア准佐、アリシア女王は複雑そうな表情をし
「しかし、その説明ですと矛盾が生じます。そのような事を仰っているのに、何故”空の女神”は現代のゼムリア大陸に降臨したのですか?」
「た、確かにそうですね……?」
カシウスの指摘を聞いたクローディア姫は戸惑いの表情をした。
「その事についてですがクロスベルの”至宝”の件が関係しています。」
「ええっ!?し、”至宝”!?」
「”至宝”……―――と言う事はまさか”七の至宝”がクロスベルに!?」
「ならばクロスベルの絶対的な”力”の正体は”至宝”と言う事になりますね。」
「しかしそれでも矛盾が生じます。例え”至宝”が関係していても、”空の女神”自身が介入等おかしな話だと思いますが。”空の女神”の眷属である”彼”―――”レグナート”も”空の至宝”の件は介入しませんでした。」
ルイーネの説明を聞いたクローディア姫とユリア准佐は驚き、アリシア女王は考え込み、カシウスは真剣な表情で尋ねた。そしてリウイ達はクロイス家の野望――――空の女神がクロイス家の先祖に与えた”幻の至宝”の説明や、”幻の至宝”が消滅した後クロイス家は新たな”幻の至宝”を作る為に遥か昔から”銀行家”という表の仮面を被り、D∴G教団を裏から操り続け、”至宝”の研究をし続けた事を説明した。
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