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戦国異伝

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最終話 天下の宴その二

「おお、上様じゃ」
「上様が馬で進まれるぞ」
「遂に天下を泰平にされたそうじゃな」
「戦に勝たれ」
「この者達の笑顔はずっと守らねばな」 
 信長もその民達を見て言う。
「帝にも約束したが」
「ですな、では」
「これからはですな」
「政に励み」
「そうしていきましょう」
 周りも応える、そしてだった。
 信長は安土に向かう、都から安土はまさに目と鼻の先でだ。
 安土城の天主閣を見てだ、彼は笑みを浮かべて言った。
「よし、天主が見えてきたな」
「まさか生きて再び見られるとは」 
 信行は夢を見ている様な口調だった。
「信じられませぬ」
「そう言うがな」
「実際にですな」
「そうじゃ」
「この目で見ている通り」
「我等は帰ってきたのじゃ」
「安土に」
 信行はまた言った。
「そうなのですな」
「見たものが信じられぬか」
「どうにも」
「しかしこれは実際じゃ」
「安土城に入り」
「そのうえで宴ですか」
「そうなる、それでじゃ」
 信長は弟にさらに言った、幼い時より共にいる彼に。
「帰蝶は面白いことをするそうじゃ」
「と、いいますと」
「夜になればわかるとのことじゃ」
「宴が進み」
「その時になればな」
「左様ですか、では」
「それも見ようぞ」
 こう言うのだった。
「よいな」
「さすれば」
「それで御主は大身の大名となるが」
「そうして頂けますか」
「越前にな、権六は越後に転封としてな」
「それがしが越前をですか」
「六十万石、任せたぞ」
 こう信行に告げた。
「よいな」
「さすれば」
「織田家が出た国をな」
「治めさせて頂きます」
「では行こうぞ」
 こうした話もしてだ、安土に入ると。誰もが信長と諸大名達を音楽で迎えた、そして安土に至るところにだった。
 様々な花が飾られていた、信長はその花達も見て目を細めさせた。
「これが帰蝶のもてなしじゃな」
「歌舞にですか」
「楽曲」
「そして花」
「実に見事ですな」
「これはよい、戦の世が終わり」
 そしてというのだ。
「泰平の世のはじまりをじゃ」
「知らせる」
「そうした宴ですな」
「そのはじまりですな」
「そうじゃ、流石はわしの女房じゃ」
 こう言って帰蝶を褒め称えるのだった。 
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