戦国異伝
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最終話 天下の宴その一
最終話 天下の宴
信長は都に入ると早速主な大名達を連れて御所に参上した。そして御簾の向こう側におられる帝に言った。
「魔界衆、確かにです」
「倒されたのですね」
「はい」
その通りだとだ、帝にこのことを話した。
「完全に滅ぼしてです」
「その骸を弔ったのですね」
「そうしました」
帝にこのことも話した。
「これで天下を長く脅かした者達もです」
「完全に消えましたか」
「天下の闇が一つ消えました」
「わかりました、大臣ご苦労でありました」
「有り難きお言葉」
「それではその功への褒美として」
帝は自らだ、信長mに言われた。
「貴方に御所の宝を幾つか与え」
「有り難うございます」
「位をと言いたいですが」
しかし信長は既に正一位。関白である。それでだ。
帝は彼にだ、こう言った。
「太閤としましょう」
「征夷大将軍に加えてですか」
「先の関白、即ち太閤です」
「その位は」
「正一位と上とします」
その官位の最高位のさらに上だというのだ。
「その様に致します」
「何と、それがしをその位にですか」
「しましょう、これをこの度の功の勲とします」
「身に余る光栄でございます」
「それでなのですが」
「はい、安土で宴が開かれます」
信長は帝に応えて言った。
「ですから」
「朕もですね」
「他の公卿の方々もです」
朝廷にいる主な面々にもというのだ。
「来て頂き」
「そのうえで」
「是非楽しまれて下さい」
「それでは」
「輿は用意してあります」
帝をはじめ皇室の方々、そして公卿達が乗るそれがだ。
「ですから」
「安土まで」
「おいで下さいますか」
「わかりました」
これが帝のお返事だった。
「それでは」
「はい、さすれば」
「朕も公卿達も」
皆、というのだ。
「太閤と共に安土に参りましょう」
「さすれば」
「太閤の儀は後日に」
任官のそれはというのだ。
「その様にしましょう」
「そうして頂けますか」
「その儀は特別なものです」
正一位よりも上にある、まさに臣下として最高位にあるが故にというのだ。
「ですからその様にしましょう」
「ではその折は」
「織田家は幕府の征夷大将軍にして太閤の家」
帝ははっきりと言われた。
「朕がそう定めます」
「一の人ですな」
「はい、織田家の棟梁は」
「さすればその立場として」
「この国の政を頼みます」
「全ての力を注ぎます」
そして天下に泰平と繁栄をもたらしそれを守る、信長は帝に誓った。その様に帝に告げてだった。帝と皇室の方々、それに主な公卿達をそれぞれの輿に案内して乗ってもらい。
安土へと向かった、都でも民達が彼に声を送った。
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