異世界系暗殺者
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パーツ・ウォウBクラス:ディスク・1時間目(2016/05/16 一部修正)
前書き
割と話が長くなりそうなので分割することにしました。(笑)
【視点:樹】
夏休み30日目の午後。今から俺を含む初代王組6名と王候補6名によるパーツ・ウォウを始めることになっている。
王候補組には既に最終調整前――試験型玉璽の性能を最大で60%までしか再現できない試作型同然の正規実用型疑似玉璽――試作型疑似玉璽(仮)を渡してある。
一応、渡した疑似玉璽の形状等を説明しておこうか。まずは2つの炎の試作型疑似玉璽(仮)。
ぶっちゃけ、これは2つとも旧眠りの森のスピット・ファイアが使用していた炎の玉璽と同じ形状だ。ただ調整前の為、能力最大解放時の形状変化機能が作動しない様になっている
次は2つの轟の試作型疑似玉璽(仮)。これは旧眠りの森のドントレスが使用していた手甲型の轟の玉璽と三峰将のヨシツネが使用していた轟の玉璽と同じ形状だ。
これも炎の試作型疑似玉璽(仮)と同じく調整前の為、能力最大解放時の形状変化機能が作動しない様になっている。
棘の試作型疑似玉璽(仮)の形状は、眠りの森の林檎が使用していた初期の棘の疑似玉璽―――つまり、片岡が以前使っていたワンウィール式棘の正規実用型疑似玉璽と同じだ。
これは形状変化機能には制限を付けてないものの、超電導リニア振動を起こす鞭の部分への電力供給量に制限を付けてある。
最後は雷の試作型疑似玉璽(仮)だな。これは試験型玉璽の様に38個のホイールが付いたアーマー型ではなく、ベイトリール状のワイヤー巻き取り機と2個のホイールが付いたグローブ型だ。
イメージできない奴はアカメ●斬る!に登場した帝具――千変万化・クローステールに発電&通電機能を取り付けたものとでも思ってくれ。
ベイトリール部分に発電機とA.I.が搭載されていて、ワイヤーだけでなくワイヤーを通してグローブに微電流を流すことで、ワイヤー操作の指の動きをサポートする機能もついている。
あと、A・Tホイールにも発電機が内蔵されていて、前後輪が+極と-極になっている為、ホイール間に磁界を形成できる様にもなっていたりもする。
王候補組の特性を考えると、渚と正義が炎の疑似玉璽、友人と寺坂が轟の疑似玉璽、岡野が棘の疑似玉璽、速水が雷の疑似玉璽だろう。
当然のことながら王候補組の試作型疑似玉璽(仮)は使用者に合わせて調律がされている。調律者はパーツ・ウォウ不参加で中立の立場である律、茅野、倉橋の3人だ。
念の為言っておくと、トゥール・トゥール・トゥのメンバーが白狼会のメンバーに行った様な調律で、専属調律者が王にする様な調律ではない。
俺を含む初代王組相手に王候補組がどんな戦いを見せるか、本当に楽しみだ。と、そういえば説明し忘れていたことが1つあった。
前回言い忘れてたんだが、実は烏間先生の正規実用型疑似玉璽も強化改修していたりする。烏間先生のは足の甲と後輪に石の疑似玉璽パーツを組み込んだ能力強化型だ。
これで烏間先生は相手を動けなくした上で、その頭上から硬化した空気の塊を落とすことができる様になった。玉璽持ちの暴風族――王が相手でもない限り、勝負事で烏間先生が負けることは皆無になっただろう。
さて、少し話が逸れてしまったな。パーツ・ウォウの話に戻そうか。試合場は防衛省謹製体育館。審判は烏間先生が行うことになった。
「では、これよりパーツ・ウォウBクラス:ディスクの試合を始める!」
烏間先生の宣言と同時に体育館の中央へと投げられるフリスビー=ディスク。そして、ディスクが床に接触すると同時に両チームの暴風族が動いた。
最初にディスクをキープしたのは意外にも王候補側――正義だった。まぁ、速さだけなら俺を除いてクラスで1、2を争う速度だから、ある意味当然かもしれない。
ん?俺はどうしてるか?自陣の手前で突っ立てる。一応、この試合は俺を除いた初代王組と王候補組が互いに力を魅せるもんだからな。俺が積極的に動いたら意味ないだろう?
っと、正義がホイールから炎を出して炎の分身を使い始めた。暗殺旅行で俺が使った所を見たことがあるとはいえ、僅か数日で覚えて実際に勝負で使うか、普通?
「へぇ~。意外にやるね、木村。けど、それは俺には通じないよ」
おっ!今度はカルマが無数の牙を放って、正義の炎の分身を斬り裂いた。カルマも暗殺旅行で銃使いのおっさんが使ってた小型牙を使える様になってたんだな。まぁ、こっちは余り驚かないけど。
大型と比べたら小型の牙は威力が低い。けど、それでもまともに食らえばダメージがヤバい。正義はどう対処する?
「その言葉、そっくりそのままお前に返してやるぜ。カルマ」
そんなことを考えていると、いつの間にか正義の前に友人がいて、カルマの放った牙に向かって蹴りを繰り出していた。成程、轟の疑似玉璽(仮)で牙を吸収する訳か。
そして、轟の疑似玉璽(仮)で牙を吸収し終えた友人は正義からディスクを受け取ると同時にそのまま足を振り抜き、超臨界流体の壁を放ってくる。
こちら側の攻撃を防御しつつ、反則を取られない様にディスクの受け渡しを行い、反撃する。即席チームの割には中々のチームワーク。
ただ、やっぱり相手が悪い。小型牙を利用して作った超臨界流体の壁程度なら、俺の時の連打――別名:無駄無駄ラッシュで簡単に押し返せる。そんな訳で俺が動こうとすると―――
「時よ」
「渚か?……!?」
いつの間にかすぐ近くに来ていた渚が俺の動きを止めようとする。普通に考えれば、身体能力的にも渚が俺を止めることは不可能だ。しかし―――
「炎よ。その力を以って――」
「空の王の動きを止める枷となれ」
「……正義もか」
渚単体での足止めではなく、正義とのコンビで俺の動きを止めに来た。しかも、俺に直接触れたら反則になり兼ねないから、2人で地面を高速で蹴り、水晶振動周波現象を起こしてやがる。
ってか、ここに正義がいるなら友人に守られた正義は一体―――
「紫電の道――α電磁波、解除」
……速水か。ってことは、試合開始と同時に幻で入れ替わってたってことだな。ホイールから発生させた炎もその分身も、α電磁波で再現した幻だったって訳だ。
よく見ると友人も寺坂になってる。成程、寺坂が正義を守るより、友人が正義を守る方が自然な流れに見えるから、α電磁波の幻で寺坂を友人に見せていたのか。
俺がそんなことを考えていると、寺坂の放った超臨界流体の後ろから数発程の牙が飛んできた。牙の飛んできた先に視線を向けると、そこには本物の友人が超臨界流体の壁―――ではなく、鏡を作り出していた。
どうやら幻の炎の分身を狙った小型牙を鏡で反射した様だ。しかも、反射した牙に押される形で寺坂の超臨界流体の壁の迫ってくる速度が加速する。
このまま放って置いたら、カルマが体育館の壁と超臨界流体の壁に挟まれてド根性蛙になっちまう。まぁ、飽く迄他の初代王組がこの状況を静観してたらだけどな。
「神崎さん!私と一緒にカルマのカバーに入って!!」
「うん!」
片岡が指示を出すと、有希子は返事をすると同時に片岡と一緒にカルマの前に出る。そして、疑似玉璽から棘を展開し、超臨界流体の壁を斬り裂いた。
そういえば、原作エア●ギアでも重力子のガウェインが男の癖に荊の玉璽もどきっぽい剣の疑似玉璽(?)でヨシツネの超臨界流体の壁を斬り裂いてたな。
原作エア●ギアのことを考えると、片岡の出した答えは最適解と言える。俺の考えてた対処法―――答えはテストであったなら三角を貰えるかどうかも分からないものだろう。
俺た考えた対処法は、俺が時の連打で超臨界流体の壁が消えるまで押し返し続けた様に、有希子と悠馬、陽斗の3人で協力して対抗するってもんだったんだ。
悠馬は元々風の王だし、陽斗は風と石の融合である岩の王。有希子に至っては熟練度の差はあれど、8本の道全ての適性を手にした嵐の女王――いや、荊棘の道がベースだから別の名前にするか。
そうだな。嵐炎の道と対を為す荊嵐の道の王――天の女王って所か。当然、現時点で3人共風の障壁を作ることができる技量は持っている。
で、3人が協力して風の多重障壁を張れば、超臨界流体の壁が消えるまでの間拮抗できると思ってたんだ。
まぁ、俺が出した答えも片岡の出した答えも、相手が試作型疑似玉璽(仮)だから有効な手段なんだけどな。これが能力最大解放の轟の玉璽で作られた超臨界流体の壁だったら対処法が無かっただろう。
なんせ、能力最大解放時の轟の玉璽が造る超臨界流体の壁は、第二宇宙速度で撃ち出される砲弾を押し返す強度があるんだからな。
って、そんな説明してる間に向こうで更に動きが!!速水と岡野、友人、寺坂がこまめにパスを繋いで前進して来る。パスの中心となってるのは友人だ。
野球――特に変化球の練習で培った指と手首の柔らかさを活かして、変幻自在のディスク捌きを見せている。しかも、こっちが攻撃モーションに入った瞬間にディスクをパスするから磯貝達も友人を潰せずにいる。
友人にだけ張り付いてたら、他の3人がディスクを持ってこっちの陣地に突撃しようとして来るし、何より相性の問題で張り付き様がない。
相性の問題で轟系の友人に張り付けるのが有希子と片岡しかいないからな。風系の悠馬と風&石系の陽斗、牙系のカルマを張りつかせるとか、相手に餌をやる様なもんだ。
当然、寺坂に張り付けるのも有希子か片岡に限られる。荊系の岡野に関しては消去法でカルマしか不可能。風系技と石系技は棘の鞭で斬り裂き、砕かれるからな。
ただ、消去法で選ばれたカルマも荊棘の道特有の関節駆動による高機動に対応しきれない。ぶっちゃけ、男があの高機動に完全対応するのは不可能だ。
雷系の速水に至っては唯一対処可能な炎系の俺が釘付けにされている為、幻覚に対処できる人間がいない。その上、ワイヤーによる攻撃に対処できるのも現状では棘の鞭を持つ有希子と片岡くらいという始末。
風系暴風族もワイヤーへの対処が可能ではあるが、現時点での悠馬には対雷系の経験値が無さ過ぎるから対処不可能といえる。
俺を自由の身にするにも、渚と正義を潰すにはどちらかがディスクを持っているか、攻撃する側――悠馬達の誰かがディスクを持っていないと攻撃しようがない為、王候補組4人がディスクの受け渡しをしている間は潰すこともできない。
A・Tの性能差、暴風族の実力差を相性と知恵で覆す。王候補組で作戦考えた奴は指揮官・参謀特性も高いけど、何より王の資質も高いな。
これだから初代王組も含めてE組メンバーの成長を見るのは楽しくて止められない。と、そうこうしてる間に速水がタッチダウンして1点取られた。
予想外の展開ではあるが、これは初代王組へのテコ入れにもなったか?初代王組の顔つきが変わった。俺もハンデとか考えず、少し本気でやろうか?本当の勝負はここからだ。
後書き
という訳で、1時間目は王候補組優勢から始まりました。(笑)
しかし、次話からは初代王組も一切の油断無しで戦います。果たして王組に勝ち目はあるのか?
ちなみに次話冒頭で初代王組の影技を出そうと思ってます。一応、イッキと有希ちゃんの影技は決まってます。
イッキ=NARUT●のスサノオを纏ったクラマ
理由:元が炎の道ベースで、炎の玉璽のホイールに描かれているのが九尾の狐だから。
有希ちゃん=戦極姫に登場する上杉謙信(ただ、千葉君の如く前髪で目が隠れてる(笑)またはネギま初期の宮崎のどか風の前髪(笑))
理由:イメージ的に清純系女剣士か和系姫の影技が合いそうだから。(笑)
他の初代王組の影技はまだ決まってないんですが、もし「こういった影技が合いそう」というご意見がございましたら、コメントに感想と一緒に頂ければ幸いです。(笑)
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