異世界系暗殺者
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パーツ・ウォウBクラス:ディスク・2時間目 改訂版
前書き
おはようございます、こんにちは。こんばんは、沙羅双樹です。
旧パーツ・ウォウBクラス:ディスク・2時間目から本文を少しばかり変えてみました。
今回が渚君の活躍回(?)であることは変わりありませんが、渚君視点だけでなくイッキ視点も加えています。
本文の長さはこれまでの話と同じくらいになってる筈です。あと、今回の話で渚の影技も登場させることにしました。
初代王組&渚の影技の具体例はあとがきに書いてます。(笑)
【視点:渚】
イッキ君を含む初代王組とのパーツ・ウォウBクラス:ディスクが始まって僅か5分。イッキ君達が油断していたこともあって、僕達挑戦者側は先制点を取ることができた。
けど、試合が再開される直前。イッキ君達の雰囲気が一変し、同時にそれぞれの背後に今まで見たことの無いものが現れ、僕達は驚愕した。
「……お前ら、見えてるか?」
「見えてるって、イッキ達の背後のアレか?」
「木村。お前って意外とアホか?この状況で見えてるっていえば、アレしかないだろうが」
「あれって、エア●ギアに登場してた影技ってやつ?」
そう。イッキ君達6人の背後に暴風族のみが作り出せて、暴風族のみが視認できる暴風族の精神力が具現化した存在――影技が現れていたんだ。
現れた影技は、イッキ君が当世具足を身に纏った阿修羅の様な九尾の狐。神崎さんが2本の刀を腰に差し、薙刀を持った和装美人。カルマ君が北欧神話に登場するフェンリルの様な大型の狼。磯貝君が飛龍に跨って突撃槍持った騎兵。前原君が大剣を持った魔術師。片岡さんが腕に氷の茨(?)を絡ませ、白のワンピースにケープコートを着用した金髪美少女だ。
影技が見えるってことは、イッキ君達が慢心を捨て去り、本気になった証拠。僕達はどうやら眠れる龍を起こしてしまったみたいだ。そして、試合再開と同時に僕達はイッキ君達の本気を目の当たりにすることになった。
「「「「「「え?」」」」」」
影技が現れたことに驚きはした。けど、僕達は誰1人としてイッキ君達から目を外してはいなかった。それなのにいつの間にかイッキ君達は僕達の横を駆け抜け、あっという間に僕達の陣地の手前まで移動していた。
当然、反応が遅れたもののイッキ君達にタッチダウンさせない為、僕達も即座に動く。今、ディスクキーパーであるイッキ君に一番近いのが杉野だった為、杉野がイッキ君の進路妨害をしようとしている。
「く・た・ば・れ!イッキ!!」
そう叫びながら蹴りを繰り出す杉野。もしかしなくても、未だに神崎さんことで根に持ってる?けど、神崎さんの件は告白を先送りにしてた杉野にも問題あると思うんだけど。
と、僕がそんなことを考えてる間にもイッキ君と杉野の攻防は続いている。杉野の繰り出した蹴りをジャンプすることで躱したイッキ君は、そのまま杉野の背後を取って高速打撃を放ち、杉野の時を止めた。
それと同時にイッキ君はキープしていたディスクをリリースし、ディスクキーパーがカルマ君へと変わる。そして―――
「大人気ないかもしれないけど、もう手加減は一切しないよ。これからは一人一殺だ」
ディスクを手にしたカルマ君が動けなくなった杉野に向かって容赦なく牙――GIgaers Crossを放った。ガチだ!暗殺教室らしいパーツ・ウォウなのかもしれないけど、イッキ君達はガチで殺しにかかって来てる!!
「寺坂!杉野のカバーに――」
ここで杉野が殺られたら戦力差が広がる。そう判断した速水さんが寺坂君に指示を出そうとするけど、寺坂君の所には―――
「行かせねぇよ」
「ッ!!」
前原君が足止めをしていた。岩の疑似玉璽が発動しているから、僕と木村君がイッキ君を足止めした様に水晶振動周波現象で寺坂君を動けなくしてるみたいだ。
石の硬化を破れる岡野さんは片岡さんに足止めされ、木村君も磯貝君にマークされてる。当然、僕も神崎さんにマークされた状態だ。
((((杉野が殺られる!!))))
そう思った瞬間、杉野の身体にワイヤーが巻きつき、そのまま引っ張られたことで杉野は転がる様に床を移動し、牙の直撃を逃れたた。
ワイヤーが使われたことで杉野を助けたのが誰か、この場にいる全員がすぐに理解した。そう、杉野を助けたのは速水さんだ。
そして、杉野に直撃する筈だった牙がどうなったかというと、そのまま射線上にいるイッキ君へと向かって行った。このまま行けば同士討ちになる。僕達挑戦者側の誰もがそう思っただろう。だけど―――
「同士討ちになると思ったか?残念、倍返しだ」
現実はあっさりと僕達の予想を裏切った。いつの間にかディスクキーパーになっていたイッキ君が風の障壁を作ったかと思ったら、いきなりそれを蹴り上げ、全く異なる障壁を作ったんだ。
その障壁に当たった牙は、消えることなく速度を加速させながら弾き返された。しかも―――
「これはおまけだ」
イッキ君が加速させた牙には炎が加えられた。炎の牙の新しい射線上、そこには動けないまま回収された杉野と回収した速水さん。更にその先には寺坂君がいる。いや、岡野さんも片岡さんに誘導されつつある。
このままじゃ、一気に4人殺られる!その考えが頭を過った瞬間、僕の中で何かが弾けた。
「殺らせるかぁあぁあぁぁあぁ!!」
「「「「「「「「「「!!?」」」」」」」」」」
少しでも成長したくて戦に参加したのに、イッキ君達が本気を出した途端全滅なんて嫌だし、仲間がただ殺らるのを見ているのも嫌だ!
そんな想いに疑似玉璽が応えてくれたのか、気が付いたら僕は神崎さんを振り切り、速水さん達の前に背を向ける形で立っていた。
【視点:樹】
友人を狙ったカルマの牙を上手く利用され、俺は同士討ちを狙われた。もし俺が普通の暴風族だったら、確実に殺られていただろう。
だが、残念なことに俺は普通の暴風族ではないし、ましてや普通の王でもない。空へと繋がる9本の道、9人の王の上に立つ空の王。この程度のことに対処できない訳が無かった。
正直、牙への対処法なんていくらでもある。同じ様に牙をぶつけて相殺したり、真空の壁を作って防いだり、風の障壁を蹴り上げて床と天井で反射させ、気圧を極限まで増幅させた障壁で弾き返したりな。
で、今回俺が使ったのは3番目の対処法だ。弾き返す所を上手く狙えば、一気に複数名殺れるからな。ってか、一気に4人殺る気で弾き返したし。
ちなみに狙ったのは速水と友人、寺坂。あと、岡野だ。岡野に関しては弾いた際に割と射線上の近くにいた為、片岡にアイコンタクトを送って誘導して貰った。
で、俺を含めた初代王組全員が一気に4人殺れると思った瞬間、有希子がマークしていた渚の様子が変わった。
「殺らせるかぁあぁあぁぁあぁ!!」
渚がそう叫んだ瞬間、渚の背後に炎の八岐大蛇と思しき影技が現れたんだ。ぶっちゃけ、候補者6人の中で渚が一番最初に影技を出せる様になるとは思ってなかったから、結構驚いた。
しかも、炎の疑似玉璽で発生させた火柱を目晦ましにして有希子のマークから逃れるだけでなく、俺の十八番でもあるAFTER BURNERを使って速水達の前に移動するとか誰が予想できる?
まぁ、予想通りに進む戦より、予想外のことが起こる戦の方が面白くはあるんだけどな。そして、そこからの渚の行動は何ていうか、ちょっと俺っぽかった。
「時よ!!」
渚はそう言うや否や、時の連打で牙の勢いが無くなるまで押し返し続けてたからな。正直、正義との共闘で行った水晶振動周波現象の一件も含めて、渚のキャラじゃないと思ったね。
何か、後先考えず全力出してる感じがする。事実、今の渚は足が若干震えてるし、呼吸も400m全力疾走した直後みたいになってる。もしかして、一刀修羅ならぬ一殺修羅でも使ってんの?無冠の暗殺王でも目指してんの?
しかも、急にキャラじゃないことするから無駄に目立ってるし!観戦してる奴らだけでなく、仲間の視線も釘付けだよ!!
……まぁ、いいか。渚に意識が向いて、速水達の動きが止まれば、その分戦を優位に進められるし。ってか、現在進行形で優位に進んでるし。
実は数秒前に俺は有希子にアイコンタクトを送り、ディスクをリリースして渚達の陣地に向かわせたんだ。そろそろタッチダウンする頃合だろう。
今後の戦展開を面白くする為と軽い時間稼ぎも兼ねて、王候補組の現時点での評価や注意点を言っておくか。カルマも何か言いたげだし。
「まさか、加速させた炎牙を押し返して仲間を守るとは思いもしなかった。渚、+60点だ」
「ホント、小動物のメスの割にやるね。渚君」
まず俺が渚に対して良かった点を口にすると、意外なことにカルマが口にしたのも渚のファインプレーに対する賛辞だった。何故か小動物のメス扱いだったが……。
「たださぁ、ディスクみたいな戦は個人の攻防能力や技術よりチームワークやチーム戦術が重要なんだよねぇ」
「カルマの言う通り、相手の動きに注意して戦を進められる広い視野と戦術眼がなきゃ、個人能力が高くても宝の持ち腐れだ」
俺がそう告げると同時に審判の烏間先生がタッチダウンの合図であるホイッスルを鳴らした。すると、渚に視線が釘付けになってた奴らが一斉に渚達の陣地に視線を向ける。当然、そこにはタッチダウンに行かせた有希子がいた。
「仲間の予想外の活躍に意識を持って行かれて動けなくなるとか、アホとしか言い様がないね。そんなんじゃ、王になるのも玉璽を持つのも10年早いと思うよ」
「渚が有希子のマークから逃れ、速水達の助けに入った時、1~2秒だったけど悠馬と片岡の意識も渚に向いていた。つまり、あの時正義と岡野はマークから逃れる機会があった訳だ。
渚に守られた速水も友人みたいに時を止められた訳じゃないから、渚が炎牙を防いでいる間は自由に動くことができた。
俺やカルマ、有希子が速水や正義、岡野の立場だったら、すぐさま自分の意識を持ち直し、その隙を見逃さず、相手側からディスクを奪う様に動いてただろう。
せっかくのチャンスを見過ごすとか、本気で疑似玉璽を持つ王になる気があるのか?速水、正義、岡野、お前ら全員-60点だ」
「疑似玉璽を手にしても小動物は小動物なんだから常に気を張ってなきゃ。調子に乗ってて勝てる程俺らは甘くないよ」
俺が注意したかったことをカルマが言ってくれた為、俺は自分ならどう動いていたかを言ってみた。すると、友人を除く王候補組全員が顔を俯かせていた。もしかして、精神をフルボッコにしちゃった?
………まぁ、この程度の攻撃ならぬ口撃で折れる精神なら最初から王の資格なんて無いよな。取り敢えず、これで疑似玉璽さえあれば俺達といい勝負ができるなんて驕りもなくなっただろう。
ここからの戦は王候補組も死ぬ気で喰らいつてくるだろう。疑似玉璽を持つ王になる気があるなら。
後書き
初代王組の影技一覧。
・南樹=須佐能乎を纏った阿修羅モードの九喇嘛
・神崎有希子=薙刀を持った戦極姫の上杉謙信
・赤羽カルマ=狼王ギネス
・磯貝悠馬=竜騎士ガイア
・前原陽斗=超魔導剣士ブラック・パラディン
・片岡メグ=終わりなく白き九天を使用中のエヴァンジェリン
影技一覧(番外)
・潮田渚=炎の八岐大蛇→八俣の火竜
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