異世界系暗殺者
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玉璽の時間・5時間目(2016/05/16 一部修正)
前書き
前回の後書きで「パーツ・ウォウの時間」にすると言ってたんですが、話が結構長くなりそうだったので今回は導入編という形で「玉璽の時間・5時間目」としました。
また、今回は●暮先生風のパワーインフレ&追加設定、強引な話の流れで次回の「パーツ・ウォウの時間・1時間目」へと繋いでます。
(私としては大●先生節と思って頂けると助かる限りです。(笑))
取り敢えず、その点(パワーインフレ&追加設定、強引な話の流れ)についてはツッコミは無しの方向でよろしくお願いします。(笑)
【視点:樹】
夏休み30日目。E組の暗殺訓練設備が増設され、早4日。E組全員がパーツ・ウォウAクラス:バルーン用アスレチックやDクラス:キューブ用地下檻、屋内戦闘 兼 Bクラス:ディスク訓練用体育館の環境に慣れつつあった。
ぶっちゃけ、俺は精神的に皆より8歳年上――前の世界では23歳だったので、10代の環境適応能力に驚くばかりだ。
あれ?でも、よくよく考えると俺の精神年齢が23のままだったら、精神的に年下の有希子と恋人関係に至れなかったんじゃないか?
前の世界で恋愛対象の範囲は下がギリギリ18歳だったし。ってことは、俺の精神年齢は肉体年齢に引っ張られて退行してる?思い返してみると、前の世界より若干キレ易くなってるし……。
………まぁ、いいか。精神的にも肉体的にも若返ったってことで納得しておこう。その方が色々と気が楽そうだし。って、少しばかり話が逸れたな。
兎に角、E組全員が新しい暗殺環境に慣れた所で俺はあるイベントを実行しようと思う。と、その話の前に―――
「「「「「疑似玉璽の強化改修?」」」」」
「おう!4日前の時点で有希子の戦LVは200超え、カルマも200手前ってことが判明してたんだ。多分、今調べたらカルマも200超えてると思うけど。
悠馬と片岡もLV150超えだったし、一番LVの低い陽斗でもLV125だった。だから、初代王組の疑似玉璽を強化することで戦力強化を図ろうと思ってな」
「戦力を強化するなら核入りの玉璽を渡す方が早いんじゃない?」
「カルマ、現時点で自分の使ってる疑似玉璽と10%しか性能差がない玉璽渡されるのと、疑似玉璽強化改修のデータを元に更に性能強化された玉璽を渡されるの、どっちがいい?」
「……強いて言うなら後者かな?でも現時点で能力差が10%しかない上、同じ方法で強化するなら強化型玉璽と強化型疑似玉璽の能力差も10%しか無いんじゃないの?」
「そうだな……。ぶっちゃけると俺の管理してる玉璽は、試作型疑似玉璽を元に開発して核を組み込んだ試験型玉璽なんだよ。
で、お前らに渡した疑似玉璽は試験型玉璽を元に開発した正規実用型疑似玉璽。核抜き単一疑似玉璽パーツで可能な限り試験型玉璽の能力を再現できる様にした代物なんだ。
今は正規実用型疑似玉璽を元に試験型玉璽を正規実用型玉璽へと改造中だから、核の有無で疑似玉璽と玉璽の能力差が最低でも40%は生まれることになる」
「マジで?」
「マジで。しかも、俺が今から行おうとしてる疑似玉璽改造計画は、1つのA・Tに2つの疑似玉璽パーツ――例えば、悠馬の風の疑似玉璽は現時点で後輪にだけ疑似玉璽パーツが組み込まれてるけど、前輪にも疑似玉璽パーツ組み込むってもんなんだ。
この強化データを反映して、1つのA・Tに2つの核を組み込んだ強化型――いや、専用玉璽が完成すれば、強化型疑似玉璽との能力差は単純計算でも80%以上。
将来的な戦力強化を考えても、疑似玉璽強化改修計画はやる意味があると思うんだよ」
今まで話したことが無かった試験型玉璽の話や疑似玉璽強化改修計画の詳細について話すと、その場にいた律を除く全員――普段驚いた顔を見せることが殆どないカルマですら驚いた顔をしていた。
まぁ、玉璽の能力が最終的には倍以上も向上するかもしれないとか聞かされたら、普通は驚くか?試験型玉璽でもノーマルA・Tと比べたら何十倍も能力が上だからな。
でも、ちょっとだけ予想外なこともあったわ。まさか、誰一人として現時点での玉璽が試験型玉璽ってことに気付いてなかったとは……。
カルマ辺りは普久間島で試作型疑似玉璽の存在を知った時点で、正規実用型疑似玉璽より前に完成してた玉璽が試験型ってことに気付いたと思ったからな。
ちなみに律が驚いていなかったのは、玉璽及び疑似玉璽開発で俺の助手を務めてるからだ。こと玉璽に関する知識なら律は俺の次に詳しい存在と言える。
と、そんな説明してる間に驚きで固まってたクラスの中で逸早く元に戻ったカルマが吹き出し、笑い出したぞ。
「は、はははは!何、その隠し設定とパワーインフレ!?まるで少年漫画じゃん!!」
「隠し設定?ああ、試験型玉璽のことか?試作型がある以上、試験型があるのは当然だろ?
それとも玉璽より後に完成した正規実用型疑似玉璽の方を試験型と勘違いしてたのか?
普通に考えて在り得ないだろ?劣化複製品である疑似玉璽が核を搭載してるオリジナル玉璽とほぼ同等の性能とか。
兎に角、初代王組の正規実用型疑似玉璽を強化改修するから、全員A・Tを渡してくれ」
この後の展開は初代王組のA・Tに正規実用型疑似玉璽を初めて組み込んだ時と同じ様な流れとなった。
悠馬の風の正規実用型疑似玉璽は前輪を疑似玉璽パーツとして組んだホイールに交換。単純な疑似玉璽パーツを2つ分組み込んだ単一能力強化型とした。
陽斗は風と石の融合系である緋翠の道を走る暴風族と言うこともあって、石の正規実用型疑似玉璽はA・Tの足の甲の部分に取り付けられている石の疑似玉璽パーツをそのままにして、後輪のホイールを風の疑似玉璽パーツで組んだものに交換。
複数能力を保有したハイブリッド型とした。あっ、ハイブリッド型だから疑似玉璽の分類も通常の正規実用型疑似玉璽じゃなくて、正規実用型混成疑似玉璽になるか。
片岡の棘の正規実用型疑似玉璽は悠馬と同じ単一能力強化型にした。A・Tの後輪は今まで通りウィールに擬態した疑似玉璽パーツである棘の鞭。前輪をワンウィール式からボゥローラー式に変更。
あと、荊の鞭をもう1対ずつ、エア●ギアに登場したシェラサザード・サロメの疑似玉璽風に靴下の擬態する棘の鞭を増設した。つまり、4本2対の棘の鞭が搭載されてるって訳だ。
カルマの牙の試作型疑似玉璽は陽斗と同じ正規実用型混成疑似玉璽。前輪ホイールとして使用する疑似玉璽パーツは普久間島で回収した牙の試作型疑似玉璽を元に作ったから楽だったが、それ以外の外装パーツやメインフレームを新しく作ったから割と苦労した。
ホイール部分以外の形状は、エア●ギアに登場した眠りの森の角の王・カビシの角の疑似玉璽風。ホイール部分は超獣の牙の王・宇童アキラの牙の玉璽風のままだ。
これでカルマの正規実用型混成疑似玉璽は牙だけでなく角――真空の砲弾も撃てる様になった。これはもう牙でも角でもない新しい疑似玉璽――爪の疑似玉璽と言えるだろう。
道も血痕の道でも蹂躙の道でもない新しい道――名付けるなら殺戮の道になるか?物騒な名前だけど。
最後は有希子だな。有希子の正規実用型疑似玉璽は陽斗やカルマの様な複合系ではなく統合系の嵐の正規実用型疑似玉璽だ。
疑似玉璽パーツは7月中旬から地味に作り置きしていたのを組み合わせたから時間が掛からなかったけど、それ以外の部分は1から作ったから、カルマの爪の正規実用型疑似玉璽より作るのに時間が掛かった。
形状はエア●ギアで天空の塔突入時に林檎が履いていた嵐の玉璽そのものだ。通常形態は棘の疑似玉璽に擬態していて、能力完全解放時に真の姿を現す仕様。
って言っても、核を組み込んでないから能力完全解放なんてしたら10秒くらいでA・Tそのものが自壊しちまうんだけどな。
取り敢えず、初代王組全員の正規実用型疑似玉璽強化改修及び交換を終え、早速性能テストを行おうとした所―――
「いいよな、磯貝達は優先的にA・T強化して貰って」
「高LVだから当然なんだろうけど、やっぱ羨ましいよな」
「……何だ?友人、正義。悠馬達の疑似玉璽を強化した俺の判断に文句でもあるのか?」
「別に文句があるって訳じゃねぇけど―――」
「こうも磯貝達だけ贔屓って言うか、優遇?されてたら多少の不満は覚えるって」
「ってか、その戦LVも疑似玉璽でいくつか底上げされてんだろ?本当に俺達と100以上のLV差があるのかよ?」
「寺坂……。この3人以外で初代王組――ってか、俺の判断に文句がある奴いるか?」
俺がそう告げると、女子で2人の生徒が手を挙げた。速水と岡野だ。
「磯貝達が私達より強いってことは分かってる。それでも今回の強化改修みたいに磯貝達だけ優遇されるのは私も納得できない」
「私も岡野と同意見。別に疑似玉璽が欲しいとか言わないけど、せめて一般的な意味で私達のA・Tも強化して欲しい」
「……定期的な調律で初代王組以外のA・Tも個人に合わせて最高の改造を施してんだけど。なぁ、律?」
「はい。未調律のどノーマルA・Tと比べたら調律済みの皆さんのA・Tは最低でも60%は性能が上がっています」
「「…………」」
「俺はただ個々の暴風族の成長に合わせて疑似玉璽を渡したり、強化改修を行ってたんだが、それでも俺が初代王組を優遇してる様に見えるんなら、初代王組以外にとってはそう見えるんだろうな。
こればかりはどれだけ言葉を交わそうと、早々見方を変えることはできないだろう。それに俺も自分の基本方針を変える気はない。という訳で手っ取り早くパーツ・ウォウで決着を決めよう」
「「「「「「「「「「はい?」」」」」」」」」」
俺が初代王組以外のメンバーの不満を解消すべく、パーツ・ウォウを行うことを提案した。すると、ほぼ全員が間抜けな声を上げる。
「パーツ・ウォウはその名の通りA・Tのパーツを賭けて戦うこともある競技だ。俺を含めた初代王組6人とのチーム戦で勝つか、何かしらの成果――例えば、試合中に戦LV85を超えられれば、パーツ・ウォウ参加メンバーに正規実用型疑似玉璽を作ってやるってのはどうだ?」
「……その勝負、そっちは玉璽や疑似玉璽の能力を使わねぇのか?」
「寺坂、自分達の主張を相手に納得させる為の勝負なんだ。全力勝負に決まってるだろ」
「そ、そんなの勝てる訳ねぇ!!」
「はぁ?正義、お前エア●ギアをもう1回読み直して来い!無機ネット戦で小烏丸は旧眠りの森の玉璽持ち6人相手に勝ってただろうが!!」
「それでも小烏丸側には玉璽持ちが1人いたじゃん!!」
「友人……。チッ!なら、挑戦者側の暴風族全員に試合中のみ試作型疑似玉璽を支給ってのはどうだ?
正規実用型疑似玉璽渡して怪我されたら堪んねぇし、試作品とはいえ、これなら挑戦者側も全員が玉璽持ちになるだろ?
調整前で試作品同然の疑似玉璽ならストックが家の地下工房にいくつか保管してあるからな。今から取りに行けば昼過ぎには勝負ができるだろう。どうする?勝負をするかどうかは挑戦者側のお前らが決めろ」
この後、挑戦者側で話し合いが行われ、パーツ・ウォウを行うことが決定した。参加者は初代王組が俺、有希子、カルマ、悠馬、片岡、陽斗。挑戦者側が速水、岡野、寺坂、正義、友人、渚の6人だ。
渚は特に初代王組に不満があった訳ではなかったが、4日前に俺が何となく話した戦闘経験が戦LVに反映するという話題を覚えていた様で、自分の戦LVを上げる為に参加した様だ。
まぁ、渚は4日前から始まったA・T訓練後の烏間先生直伝護身術講座も受けている真面目君だからな。得られる経験や技術は何でも得ようと思うんだろう。
で、挑戦者の特性に合わせて俺と律は自宅へと試作型疑似玉璽を取りに戻ることになった。取りに戻ったのは棘×1、雷×1、轟×2、炎×2だ。
地味にこちら側の天敵が多かったりする。爪のカルマと風の悠馬は轟が天敵だし、石と風の陽斗は棘が天敵だ。これは戦LVが下だと見縊ってたらこっちが痛い目を見るな。
ちなみに行うパーツ・ウォウの競技は6on6のBクラス:ディスクに籤引きで決定した。あと、この勝負を終了後にも連続でパーツ・ウォウをすることになった。
カルマの案で俺の一存でパーツ・ウォウをすることになった詫びも兼ねて、俺が初代王組5人と1on1でDクラス:キューブで戦うことになったんだ。
初代王組の勝利条件は俺の膝を地面に付けること。その条件を達成した王には、玉璽の核を渡すことになった。まぁ、核を疑似玉璽に後付して、玉璽へと進化させることが可能だからこその要求だろう。
あっ!念の為説明しておくと、エア●ギアでも核の後付が可能という設定がちゃんと存在してたりする。空母でのイッキvs鵺で雷の玉璽が元々は核なしの疑似玉璽で、核が後付される話があるんだ。
と、また少し話が逸れた。兎に角、昼過ぎから俺は連続でパーツ・ウォウをすることになった訳だ。
後書き
ということで、次話から本格的なパーツ・ウォウの時間の開始です!(笑)
しかも、イッキに関してはパーツ・ウォウの連戦。まぁ、身体能力的に考えたら大したハンデにもならないんですが……(笑)
取り敢えず、前回行ったアンケートでパーツ・ウォウの競技内容が同数の膠着状態だったので、2種目ともやることにしました。
まずはBクラス:ディスクから始まりますが、どんな試合になるかは次話以降のお楽しみということで……。(笑)
それでは次話でまたお会いしましょう!!
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