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英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)

作者:sorano
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第52話

~3日後・ブライト家・エステルの部屋~



ミントが倒れた後、ミントをブライト家に運んだエステルはレナと交代で看病していた。また、時折クロ―ゼやティータも見舞いに来た。

「ハア……ハア………」

「ミント………」

熱でうなされているミントをエステルは心配そうな表情で見ていた。

「エステルさん……ミントちゃん、どうですか?」

「お姉ちゃん……」

「クロ―ゼ………ティータ………」

そこにクロ―ゼとティータが部屋に入って来た。

「あれからずっと寝たっきりよ……それどころか、日が増すごとに顔色がどんどん悪くなっている気がするの………」

「ミントちゃん…………」

悲痛そうな表情でエステルは語り、ティータは心配そうな表情で熱でうなされているミントを見ていた。

「あの……教会の方には頼ってみましたか?」

「うん………熱冷ましの薬とか処方してもらったんだけど、全然効果がないの……教区長さんが言うには”人間”用の薬だから効かないかもしれないって………でも、”竜”用の薬なんかある訳ないわよ………もう八方塞がりでどうしたらいいか、わかんないの………」

クロ―ゼに尋ねられたエステルは泣きそうな表情で答えた。

「”竜”用の薬…………あの、エステルさん。もしかしたらツーヤちゃんなら、何か知っているのでは……?」

「へっ?………あ!そうか!ツーヤもミントと同じ”竜”よね!確かにツーヤなら何かわかるかも!……よ~し、こうなったら急いでメンフィル大使館に向かわないと……!」

クロ―ゼの言葉を聞いたエステルがハッとして、立ち上がったその時

「その必要はありませんよ。」

なんと、プリネが部屋に入って来た!

「プリネ!久しぶり!レンからプリネも昏睡事件の被害者って聞いたから心配したけど、目が覚めたのね!」

「………本当に久しぶりですね、エステルさん。お陰さまで無事、目を覚ます事ができました。ご心配をかけて、すみません。」

「ううん!プリネが無事なら、それでいいよ!それより頼みたい事があるの!」

申し訳なさそうな表情で謝るプリネにエステルは首を横に振って否定した後、プリネに懇願した。



「わかっています。……ツーヤ。」

「はい、マスター。」

そしてプリネに呼ばれたツーヤが部屋に入って来た。

「へっ……?あ!も、もしかしてツーヤ!?写真を見て、大人になった事は知っていたけど……!」

「はい。お久しぶりです、エステルさん。それにクロ―ゼさんも。ティータちゃんも久しぶりだね。」

驚いているエステルにツーヤは微笑んだ後、クロ―ゼやティータを見た。

「少し見ない内に本当に大きくなったのですね、ツーヤちゃん………」

「はわわわ。写真で見た時は嘘かと思ってたけど、本当にツーヤちゃんなんだ………」

クロ―ゼはツーヤを眩しそうな目で見て、ティータは慌てた様子でツーヤに答えた。そしてツーヤはミントに近付いた。

「……久しぶりだね、ミントちゃん。」

「ハア……ハア……ツー……ヤちゃん……?うん……久し……ぶり……だね……」

ツーヤに話しかけられたミントは弱々しい笑みを向けた。

「ちょっと、身体を触るね。」

「う……ん……………」

そしてツーヤはミントの身体のいくつかの場所を触って調べた。

「……やっぱり。」

(もしかして………)

「!!もしかして、何かわかったの!?」

ミントの状態を調べ終わって、納得して頷いているツーヤを見てプリネは心当たりがある事を思い出し、エステルは血相を変えてツーヤに詰め寄った。



「はい。」

「ねえ、ツーヤちゃん……ミントちゃんは一体何の病気にかかっているの……?」

エステルの問いに頷いたツーヤにティータは心配そうな表情で尋ねた。

「まず、最初に言っておきますね。ミントちゃんは病気にはかかっていません。」

「え!?」

「ふえ!?」

「ど、どういう事!?」

ツーヤの答えを聞いたクロ―ゼとティータは驚き、エステルは驚きながら尋ねた。

「……”成長”ね、ツーヤ。貴女も”成長”する時、同じ症状だったし。」

エステルの疑問に答えるようにプリネは静かな声でツーヤに確認した。

「はい。」

「せ、”成長”って……じゃあ、もしかしてミントはツーヤみたいに大人になろうとしているの!?」

「ええ。その証拠にかつて、エステルさんが口づけをした部分の紋章が浮かびあがって輝いています。」

「え?あ、ホントだ………」

ツーヤに促されて、エステルはミントの片手の紋章が浮かびあがって輝いている事に気付いた。

「ハア……ハア……ミント………大人に……なる……の……?」

「うん。聞いた話だとミントちゃん、数日前から寝込んでいるんだよね?多分、あたしの予想だとそろそろ最終段階になるだろうから、その時になったら苦しくはなくなるから安心して。」

「うん……ミント………頑張る……!」

ツーヤの答えを聞いたミントは苦しみながらも答えた後、エステルを見た。

「ママ……ミントが……大人に……なったら……ママや……お祖母ちゃんの……オムレツ……一杯……食べたい……な……」

「そんなの、いくらでも作ってあげるわ!だから、絶対元気になりなさい!約束よ!」

「うん……約束……だよ………!」

エステルは心配そうな表情で叫び、ミントの手を握り、ミントはエステルに弱々しい微笑みを見せた。



「さて……今日の所は失礼しますね。」

「あ、うん。……そういえば、プリネ。どうしてここに来たの?」

「実はエステルさんを含めて、みなさんに御用があってギルドに行き、事情を聞いたのでここに来たのです。」

「あたしを含めたみんなに用?一体何?」

プリネの話を聞いたエステルは首を傾げた。

「それはミントが元気になってからにします。………それよりエステルさん、一つお尋ねしたいのですが、いいですか?」

「うん?何?」

「…………エステルさんにラピス様とリン様の魂が宿っていて、今回の件でお2人と同化し、記憶を受け継いだというのは本当なのですか?」

「あ、うん。…………ほら。」

プリネに尋ねられたエステルは2人の力を解放し、翡翠と紫紺のオッドアイになり、髪は黒髪の先端部分に金色が混じった姿になった。

「!!」

変貌したエステルを見て、プリネは驚いた表情をしていた。

「フフ……”過去の私”を陛下や(ペテレーネ)達から聞いたお前にとっては驚く事かもしれないな。」

変貌したエステルはラピスとリンの口調を混ぜて答えた。

「…………もしかして、今の”貴女”はラピス様とリン様なのですか?」

「あはは、違うって。プリネを驚かせたくて、受け継いだ記憶の中にある口調で答えただけよ。………まあ、今は癖みたいな形で出ているけど”あたし”の口調で統一するつもりよ。でないとみんなが混乱しちゃうでしょ?」

驚いて自分を見ているプリネにエステルは苦笑しながら答えた後、元の姿に戻った。



「そうだったのですか………………………………(エステルさんに授ける名前はリフィアお姉様の提案通り、やはり”あの名前”であるべきですね……アリアお姉様とグラザお兄様にもこの事を早くお伝えしないと………)」

エステルの答えを聞いたプリネは考え込んだ。

「どうしたの、プリネ?」

「いえ…………今日の所はこれで失礼します。そうそう、エステルさん。お2人の記憶を受け継いだのなら、近い内驚く事がありますよ。」

「へ?それってどういう事??」

「フフ………それはその事を知る日までの楽しみにとっておいて下さい。………ツーヤ、行くわよ。」

「あ、はい。その前にエステルさんに最終段階の事も説明しないといけませんので、玄関で待って貰ってもいいでしょうか?すぐに参りますので。」

「ええ、わかったわ。」

そしてプリネは部屋を出て行き、ツーヤもエステルにミントが今後どうなるかを説明した後、出て行った。そしてその日の夜、ツーヤの説明通り、ミントは光の繭の中に包まれた。ツーヤから予め聞いていたエステルは最初は焦ったが、すぐにツーヤの説明を思い出し、落ち着いた後、必要最低限の事をする以外はずっとミントが包まれた光の繭を見守っていた。そして数日後。



~数日後・ブライト家・エステルの部屋・朝~



「……きて……マ!」

「う…………ん………?」

誰かに呼びかけられ、いつの間にか眠っていたエステルは目を開けた。

「あ、おはよう!ママ!」

エステルが目を開けると、そこにはミントの面影を濃く残す金髪と紅い瞳で裸の女性が嬉しそうな笑顔をした。

「へっ………!?も、もしかしてミント!?」

女性――ミントに膝枕されていた事に気付いたエステルは飛び起きた後、信じられない表情でミントを見て尋ねた。

「うん!ずっと見守ってくれてありがとう。ママの優しい気持ち……繭の外から一杯伝わって来たよ!」

エステルに尋ねられたミントは大人びた笑顔を見せた後、優しく微笑んだ。

「う………よかった………グス………」

ミントの元気な様子を見たエステルは嬉しさのあまり、涙を流した。

「泣かないでよ、ママ。」

「仕方ないでしょ!ツーヤから聞いていたけど……それでも心配だったんだから!」

「ママったら……」

涙を流しながら話すエステルを見て、ミントは困ったような顔をしながら笑った。

「ホントに心配したのよ!?ずっと繭のままでいるんじゃないかと、心配していたのよ!」

「ママは心配性ね。でも、もう安心したでしょ?ミントは、こうやって元気に”成長”したんだから。」

「うん……うん……よかったね………」

「もう、ママ。なんでまた泣くのよ?」

未だに涙を流しているエステルを見て、ミントは首を傾げて尋ねた。



「親としてミントが立派に成長したのが、うれしいからに決まっているでしょ!」

「ありがとう、ママ………」

嬉しそうに泣いているエステルをミントは優しく抱きしめた。そしてようやく泣き止んだエステルはミントを見た。

「それにしても………ホントに立派に成長したわね…………」

エステルはミントのスタイルや顔を見て羨ましそうな表情をした後、溜息を吐いた。

「フフ。そうかな?」

エステルの言葉にミントは大人びた笑顔で笑った。

「いくらなんでも、成長しすぎよ……(ううっ………やっぱり、凄い美人になったし、胸も大きくなりすぎよ~!ヨシュアがミントに目移りしないか、本気で心配になって来たわ………)」

エステルは自分の身体とミントの身体を見て比べて、溜息を吐いた。成長したミントは誰もが振り向くような美しい容姿をしながらも幼い頃の可愛らしさも残した美女になっており、腰はほっそりしている上、胸は成長したツーヤに負けず劣らず大きく膨らんでいた。

「エステル?さっきから泣いていたようだけど、何かあったの……?」

そこにレナが部屋に入って来た。

「あ、お祖母ちゃん!」

「え?あら、まあ。…………立派に成長したわね、ミント。」

ミントに祖母と言われたレナは一瞬何の事か理解できなかったが、ミントの顔を見てすぐに成長したミントだとわかり、微笑んだ。

「へ!?お母さん、なんですぐにミントだってわかったの!?」

「フフ……それぐらい、すぐにわかるわ。それにしても、エステル。女としてもっと磨かないとヨシュアがミントに目移りするかもしれないわよ?」

驚いているエステルにレナは微笑んだ後、からかうような言葉を言った。

「それは言わないで!あたしも本気で心配しているんだから!……そういうお母さんだって、父さんが目移りしないよう、しっかり見張っておく必要があるんじゃないの?」

レナの言葉を聞いたエステルは叫んだ後、ジト目でレナを睨んだ。



「フフ……その心配はないわ。」

「なんで?」

「だって、私のお腹の中にはエステル。貴女の弟か妹がいるのよ?あの人が私の事をそれだけ愛している証拠よ。」

「へ?………………………………え……えええええええええええええ~!?」

「わあ……………!ミント達の家族が増えるんだ………!」

お腹をさすりながら言ったレナから衝撃的な言葉を聞いたエステルは放心した後、大きな声で叫び、ミントは嬉しそうな表情をしていた。

「い、い、いつ!父さんと子供を作ったの!?」

「フフ……貴女が外国に修行や他の地方に行っている間、時間を作っては帰って来ていたのよ。その時に……ね。」

驚いた表情で詰め寄って尋ねるエステルにレナは微笑みながら答えた。

「あ、あ、あの不良オヤジは~!!娘が働いている時に何をやっているのよ!」

「ねえねえ、お祖母ちゃん。ミントとママの弟か妹はいつ産まれるの?」

レナの話を聞いたエステルはこの場にいないカシウスを怒り、ミントは期待するような表情でレナに尋ねた。

「フフ………まだ、もう少し先よ。ミントも大人になったんだから、産まれて来た弟か妹にとって恥ずかしくないお姉さんになってね。」

「うん!」

「全くもう……今日一日で一生分の驚きをした気分よ……けど、そっか。あたしにも弟か妹ができるんだ。えへへ………」



その後エステルとレナは大人になったミントの服等を用意し、エステルはミントと一緒にギルドに向かった。



~同時刻・アルテリア法国・某所~



一方その頃、七曜教会の総本山、アルテリア法国でイリーナの妹、エリィはある部屋であるシスターと勉強をしていた時、部屋についてある内線の導力通信が鳴った。

「あら?通信……?……はい、こちらリース。はい、はい。……わかりました。今、代わります。エリィさん。貴女に通信が来ていますよ。」

エリィと学んでいたシスター――リースは通信で少し話した後、エリィを呼んだ。

「私ですか?はい。」

リースに呼ばれたエリィは首を傾げた後、通信器を手にとった。

「はい、エリィ・マグダエルです。…………まあ……お祖父様……お久しぶりです。」

エリィは通信の相手を知ると懐かしそうな表情をして、話し始めた。

「それで、今日はどうなされたのですか?………え?お、お姉様が!?」

「?」

驚きの表情で急に声を上げたエリィを見て、リースは首を傾げた。

「そ、それでお相手はどのような方で……?………ええっ!?ほ、本当なのですか………?………ええ……はい。…………その……本当に大丈夫なのでしょうか……?………………」

通信の相手から何かを伝えられたエリィは思わず大きな声をあげた後、恐る恐るの様子で会話をしていた。

(一体どうしたのでしょう。いつものエリィさんではありませんね……)

「は、はい。……はい。………わかりました。その日にロレントの大使館に向かえばいいのですね?……失礼します。」

そしてエリィは驚きの表情のまま、通信器を戻した。

「エリィさん、一体何があったのですか?」

「それが……姉が結婚する事になりまして……」

リースに尋ねられたエリィは通信の会話の内容を自分自身、未だ信じられない表情をしながら話した。

「まあ……おめでとうございます。エリィさんのお姉様といいますと、確かメンフィル大使館に勤めていると聞きましたが………」

「はい。私にとってお祖父さま以外ではたった一人の残された家族です。」

「そうだったのですか……それで先ほどの話の続きになるのですが、お相手はどんな方なのですか?メンフィル大使館に勤めているのですから、お相手はもしかして”闇夜の眷属”なのですか?」

「は、はあ………お姉様のお相手は確かに”闇夜の眷属”である事に間違いはないのですが………」

リースに尋ねられたエリィは言葉を濁すような言い方で答えた。



「?やけに引っ掛かる言い方のようですが……一体どうしたのですか?」

「その……相手の方が私達のような一般人に広く知れ渡っている方で、下手をすればクロスベルの政治に影響が出る恐れもあるので、あまり他言する訳にもいきませんので…………あの。誰にも言わない事を約束してくれないでしょうか?」

「……空の女神(エイドス)に誓い、この場で聞いた事は私の胸にしまっておきます。」

エリィに言われたリースはその場で祈った後、エリィを見た。

「ありがとうございます。お姉様のお相手なのですが……………………………メンフィル大使、リウイ・マーシルン様です。」

「えっ!エレボニアからは”魔王”と恐れられ、リベールからは”英雄王”と称えられるあの”覇王”なのですか!?正直、信じられないのですが………」

エリィの説明を聞いたリースは信じられない表情をして尋ねた。

「私も正直、今でも信じられません………一体、どういう経緯でリウイ皇帝陛下とお姉様が恋仲になり、結婚をする事になったのか私が知りたいぐらいです……週に何度かお姉様と通信をしたり、数か月に一度はお会いしたりしていましたが、今までそんなそぶりすらも見せた事がなかったですし………」

「あの。リウイ皇帝陛下は確か”戦妃”、”闇の聖女”等、側室がいますし、確か陛下にはエリィさんとそれほど年が離れていないご息女がいたと思いますが……それどころか孫娘もいらっしゃったはずですし……」

「陛下とペテレーネ様のご息女――”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”プリネ様と現メンフィル皇帝陛下のご息女――”聖魔皇女”リフィア様ですね。……私もあの方達の事は知っています。短い間でしたがあの方達にお世話になった時期がありましたし…………」

「そうだったのですか。……結婚とおっしゃっていましたが、エリィさんのお姉様もリウイ皇帝陛下の側室の末席に加わるという形なのですか?」

エリィの話を聞いたリースは尋ねた。

「それが………陛下の正室としてメンフィル皇家――マーシルン家の一員になるそうです。」

「え!?正室ですか!?……失礼ですが陛下はエリィさんのお姉様の事をそこまで愛しておられるのですか?正室となると側室とは違って、王妃扱いになるでしょうし……その……ご家族――陛下達以外の皇家の方達は何も言わなかったのですか?もしかしたら皇位継承にも関係するかもしれませんし………」

「……お祖父様の話では陛下とお姉様が結婚のご報告をする為に、ロレントからはるばるクロスベルに来てお祖父様と会われたそうで、その時の2人の様子を見た所、お互いを深く愛し合い、幸せそうにしているように感じたとお祖父様はおっしゃられていました。それと陛下のお話によると、陛下は既に皇位から退いて隠居の身の上、例えお姉様が陛下との子供を産んでも、皇位継承には影響しないとの事で、特に反対されるような事はないどころか、むしろ祝福までされ、ご家族である現皇帝夫妻――シルヴァン陛下やカミーリ皇妃が結婚式を挙げる事までご提案をなさったほど、賛成のご様子だとお聞きしたそうです。」

「そうなのですか………それだけ陛下はエリィさんのお姉様を大切にしていられるのですね。それにご家族の方達もお二人を祝福されているのですね………」

「はい。話を聞いた時は驚き、子供どころか孫もいる陛下と結ばれて本当にいいのかと疑問に思いましたが、陛下と結ばれる事でお姉様が幸せを手に入れるのでしたら、私は妹としてお姉様と陛下の結婚を祝福します。……幼い頃、不幸な事件で逝った両親が願っていた事でもありましたし……」

リースの話を聞いたエリィは頷いた後、昔を思い出して、遠い目をした。

「エリィさん…………フフ、それにしてもエリィさんにとっては、信じられない義兄ができましたね。まさかあの”覇王”がエリィさんの義兄になるなんて。義兄になった”覇王”をどのような呼び方で呼ぶのですか?」

「う”っ………!と、とりあえず今日の所はこれで失礼します。お姉様と陛下の結婚式に出席する時に着る服等も早めに決めておきたいですし……」

リースの言葉に一瞬言葉を詰まらせたエリィは慌てた様子で話を逸らした後、部屋を出て行った………



その頃、ミントを連れたエステルは仲間達を驚かせる為にミントを入口に待たせて、ギルドに入った…………


 
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