英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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外伝~英雄達の大粛清~前篇
同日、18:30――――
~クロスベル市・オルキスタワー~
「おお、みんな戻ってきてくれたか……!………?ヴァイスハイト局長。何故、マスコミをこの場に?」
会議室に入って来たロイド達を見たディーター市長は声を上げた後ロイド達に背後に控えているグレイスや各国のマスコミ達を見てヴァイスに尋ね
「―――私とこの場にはいないギュランドロス司令に事情を話し、私達の権限で許可しました。二大国の首脳を狙ったテロリスト達がどうなったか、今後の西ゼムリア大陸の平和の為、各国に偽りなく伝える必要があると判断しましたので。」
「なるほど……………」
「……それでテロリスト達は?」
ヴァイスの説明を聞いて納得した表情で頷き、マクダエル議長は真剣な表情で尋ねた。
「……私達が現場に到着した際、共和国の一団は、”黒月”という貿易会社の社員に囚われたそうです。何でも共和国政府の逮捕委任状を持っているとの事でした。」
「え……!?」
「!!??」
「……………」
ルファディエルの説明を聞いたクローディア姫は声を上げ、ダドリーは混乱した様子でルファディエルを見つめ、アリオスは呆けた表情でルファディエルを見つめた。するとその時
「おお、それは重畳!彼らは我々の友人でしてな。身分は保証しますからご安心を。」
「………………………」
ロックスミス大統領は笑顔で言い、キリカ補佐官は静かな笑みを浮かべていた。
「……そして帝国からの一団は……我々が駆け付けた時、エレボニア帝国政府による委任状の下に”赤い星座”なる猟兵団に全員が処刑されました。」
「……なんたることか………」
そしてヴァイスの報告を聞いたアルバート大公は信じられない表情で呟き
「!!??」
(ど、どういう事……!?)
(言ってることが全然違いますよね……?)
(というか二人とも思いっきり嘘をついていますよね……?)
ロイドは混乱し、エリィやノエルは戸惑い、ティオは不思議そうな表情でヴァイスやルファディエルを見つめ
(フフ、どうやらあの様子だと今度はロックスミス大統領と鉄血宰相を嵌めるつもりのようだね。)
(マジでか!?す、凄すぎるぜ、ルファディエル姐さん……!)
ワジは口元に笑みを浮かべて呟き、ワジの小声を聞いたランディは驚きの表情でルファディエルを見つめ
(――カリン、本当に公表するのだな?)
(ええ……これでテロリスト達の活動を少しでも鈍らせる事ができるのなら、例え貴族派の憎しみの対象になっても構わないわ。)
(……もしその時が来れば、あたしとレーヴェさんが全力でお守りします。)
レーヴェに視線を向けられたプリネは頷き、ツーヤは真剣な表情でプリネを見つめた。
「―――宰相!いったいどういうつもりか!?帝国政府が処刑などの名目で国外で猟兵団を運用しただと!?」
するとその時オリヴァルト皇子がオズボーン宰相を睨んで怒鳴った。
「ええ、確実を期すために。私はともかく皇子殿下を狙った罪は万死に値すると言わざるを得ません。背後にいる愚か者たちへの良い警告にもなってくれるでしょう。」
「くっ………(ここまですらもルファディエルさんやヴァイスの読み通り……全く、敵に回したら恐ろしいけど、味方にしたら本当に心強いよ………!そして”本番”はここから…………!)」
(よく言うぜ……)
そしてオズボーン宰相の言葉を聞いたオリヴァルト皇子は内心ある決意をしながら悔しそうな表情で唇を噛みしめ、レクターは呆れた表情でオズボーン宰相を見つめていた。
「た、確かに自治州法では認めざるを得ませんが……」
一方イアンは戸惑いの様子で言いかけ
「だが、これはあまりにも―――あまりに信義にもとるやり方ではありませんか!?」
マクダエル議長は怒りの表情で叫んだ。
「おお、それは誤解です。それよりも方々……図らずとも証明されましたな?この程度のアクシデントですらクロスベル自治州政府には自力で解決できないという事が。」
「……!」
「ふむ、まんまとテロリストを会議の場に近づけた挙句……無様に取り逃がし、結局は我々の配慮によって逃亡を阻止できたわけか。確かに、先程の議案の良い事例と言えるであろうな。」
ロックスミス大統領の言葉を聞いたマクダエル議長は目を見開き、オズボーン宰相は頷いた後不敵な笑みを浮かべた。
「ええ、失礼ながら実際に命を狙われた皆様方にとって……先程の駐留案、もはや真剣に検討せざるを得ないのではありませんかな?」
「あ、あなた方は……」
「……なんと強引な……」
「ま、まさかそのために……」
ロックスミス大統領の話を聞いたマクダエル議長は怒りに震え、アルバート大公も怒りの表情になり、クローディア姫は静かな怒りを纏った。
「―――その前に確認したい事がある!オズボーン宰相!貴様が猟兵団―――”赤い星座”に今回の件を許可したのは真実か!?」
するとその時リフィアがオズボーン宰相を睨んで尋ね
「ええ、真実です。これもオリヴァルト皇子や皆様方の身を守る為です。」
尋ねられたオズボーン宰相は静かな笑みを浮かべて答えた。
「―――私からも確認したい事があります。ロックスミス大統領、貿易会社―――”黒月”に今回の件を許可したのは真実で構わないのですね?」
「ええ!彼らは昔から親交のある心強い友人ですよ!」
そしてレン皇女に尋ねられたロックスミス大統領は笑顔で答えた。
「ほう………?―――ならば、赤い星座がリベールの”異変”時、”異変”を起こした”身喰らう蛇”という国際犯罪組織に雇われてロレントを襲撃しようとしたことも当然知っているな?」
「………?ええ、それは勿論。」
一方リフィア皇女に尋ねられたオズボーン宰相は眉を顰めた後頷いた。
「―――クローディア姫。リフィア殿下の仰っている事は真実でよろしいですか?」
その時、ルファディエルがクローディア姫を見つめて尋ね
「え、ええ。もしあの時メンフィル帝国の救援がなければ、”身喰らう蛇”や”赤い星座”によってロレントが蹂躙され、ロレントに住む民達の多くが犠牲になったかと思われます。」
「………?」
尋ねられたクローディア姫は戸惑いの表情で頷いた後答え、その様子をユリア准佐は不思議そうな表情で見ていた。
「フム……そこまでわかっているのならば、当然貴様らエレボニアに説明してもらうぞ!国際犯罪組織”赤い星座”を雇った事実を!」
「!!??」
「え……!?」
「ええっ!?嘘!」
「て、帝国政府が国際犯罪組織を!?」
そして怒りの表情で叫んだリフィア皇女の言葉を聞いたオズボーン宰相は混乱し、クローディア姫は驚き、さらにグレイスやエレボニアが派遣しているマスコミも驚いて声を上げた。
「(お、おいおい……!どういうことだよ……!?)………お言葉ですが、リフィア殿下。いつ赤い星座が国際犯罪組織認定された事や、何故そうなったかの経緯を教えて頂いてもよろしいでしょうか?」
レクターは驚いた後静かな表情で尋ねたが
「あら……エレボニア帝国だけでなく、カルバード共和国、レミフェリア公国、そしてアルテリア法国に加えて西ゼムリア大陸の各自治州や遊撃士協会にもメンフィル帝国とリベール王国の合意により、”赤い星座”が国際犯罪組織認定された事は数時間前に周知済みですよ?」
「なあっ!?」
不敵な笑みを浮かべて答えたレンの不意打ちを聞いて驚きの表情で声を上げた。
「!!(ま、まさか”赤い星座”を国際犯罪組織認定した本当の狙いは…………!)」
「……………(オズボーン宰相のスキャンダルを作る為、だったという訳ですか……)」
一方ユリア准佐は目を見開き、ある事に気付いていたクローディア姫は不安そうな表情をし
「キリカ君、今の話は本当かね?」
「……今すぐに確認してきますので少々お待ちください。―――失礼します。」
ロックスミス大統領に視線を向けられたキリカ補佐官はその場から去って別室で誰かと通信を開始し
「フム……クローディア姫、先程のレン姫の話は事実ですか?」
「え、ええ。ただ各国への周知については提案者であるメンフィル帝国直々の申し出により、メンフィル帝国に任せる形でしたが……」
アルバート大公に視線を向けられたクローディア姫は戸惑いの表情で頷き
「―――お待たせしました。先程確認した所、今から約3時間半前―――前半の会議が終わった後の休憩時間の間に通達されたそうです。」
「そうか……」
別室から戻ってきたキリカ補佐官の話を聞いたロックスミス大統領は真剣な表情で頷いた。
「………リフィア殿下。赤い星座が何故国際犯罪組織に認定されてしまった理由を教えて頂いてもよろしいでしょうか?」
その時厳しい表情で黙り込んでいたオズボーン宰相はリフィアを見つめて尋ねた。
「フン!ここまで言ってまだわからんのか?”身喰らう蛇”はさまざまな猟兵団を雇い、配下としていた。……一時期エレボニアの遊撃士協会を襲撃した”ジェスター猟兵団”のようにな。それは”赤い星座”も同じ事。よって”赤い星座”は国際犯罪組織であろうが!しかも奴等は”リベールの異変”よって起きた”導力停止現象”で混乱しているリベールの都市の一つ―――ロレントを襲撃しようとした!奴等の襲撃を防げなかった際ロレントに住む多くの国民達が犠牲になっていた可能性が非常に高いリベールは当然として、同盟国である民達を守る為に奴等と剣を交えた我らメンフィルが奴等を国際犯罪組織認定するのは当然の事だろうが!」
「!!!」
「フム、確かに言われてみれば……………」
そしてリフィア皇女の答えを聞いたオズボーン宰相は目を見開き、アルバート大公は納得した様子で頷いた。
「(―――打ち合わせ通り!ここからだ……!)――――宰相!これは一体どういうことだ!?帝国政府が国際犯罪組織を運用するなど、世界中にエレボニア皇族どころか、エレボニア帝国に恥をかかせるつもりか!”身喰らう蛇”の危険性は”リベールの異変”の解決に貢献した私でもわかる!奴等はこのゼムリア大陸中の平和を乱す国際犯罪組織である事を!そして私は”リベールの異変”を解決する為にクローディア姫やリフィア殿下と共に奴等とも剣を交えた!まさか”赤い星座”を使って私の暗殺を狙っていた上、さらに”身喰らう蛇”を使って帝国内部の遊撃士協会の戦力の低下も考えていたのか!?」
するとその時オリヴァルト皇子は机を拳で強く叩いた後、怒りの表情でオズボーン宰相を睨み
「お、お待ちください!そのような事は決して考えておりませぬ……!その前にリフィア殿下達にお聞きするべきことがあるので、その答えを聞くまでお待ちください。……リフィア殿下。何故”赤い星座”を雇った我々エレボニア帝国政府に忠告すらしてくださらなかったのですか?プリネ姫のトールズ士官学院への留学の件を考えると、とても信義にもとるやり方であり、両国の溝を広げる行動だと思われるのですが。」
睨まれたオズボーン宰相は慌てた表情で答えた後、気を取り直してロイド達と共にいるプリネに一瞬視線を向けた後リフィアを見つめて尋ねた。
「フン、そんな事か。両帝国間の関係を友好へと繋ぐ懸け橋となる我が妹プリネを含めた3名の留学を提案したオリヴァルト皇子には前もって話してある。よって、貴様らエレボニア帝国政府に前もって説明する必要はない。」
「!!!……殿下、今の話は事実ですか?もし事実だとしたら何故今まで黙ってらっしゃったのですか?」
鼻を鳴らして不愉快そうな表情で答えたリフィアの説明を聞いたオズボーン宰相は目を見開いた後、厳しい表情でオリヴァルト皇子を見つめ
「ああ、事実だ。―――そして黙っていた理由は父上――――ユーゲント皇帝陛下の為に身を粉にして働いていた君がそのような暴挙をするような人物ではないと信じていたからだよ。―――見損なったよ、宰相殿。まさか”赤い星座”が”リベールの異変”に関わったという事実を承知していながら、彼らを雇うとは。例え国際犯罪組織認定されていなくても、そのような凶悪な猟兵団を帝国政府が雇う等常識的に考えれば、絶対にあり得ない事だよ。」
「それと貴様らエレボニア帝国政府は”百日戦役”の”真実”を隠したという”空の女神”も許し難い罪深き”前科”があるから、メンフィル帝国としてもそのような信用ならない連中に前もって知らせる義理はないと判断したまでだ。そしてその”真実”はそこにいる我が妹、プリネの守護者の一人であるレオンハルト少佐が知っているといえば、わかるだろう?」
見つめられたオリヴァルト皇子は頷いた後目を細めてオズボーン宰相を睨み、リフィアは説明を続けた後ロイド達と共にいるレーヴェに視線を向け
「フン。――――お望みとあらば、この場で全て説明させてもらうぞ?貴様らエレボニア帝国政府の愚行を世界に知らしめるいい機会だしな。」
リフィアの言葉に続くようにレーヴェはロイド達の前に出てオズボーン宰相を見つめて嘲笑した後マスコミに視線を向けながら口元に笑みを浮かべて答えた。
「なっ!?―――宰相閣下!エレボニア帝国政府が”百日戦役”の”真実”を隠したとはどういうことですか!?」
「リベールにとっても他人事ではないわ!一体どんな真実が……!?」
「レオンハルト少佐!詳細な説明をお願いします!」
一方リフィアとレーヴェの話を聞いたロイド達の背後にいたエレボニアから派遣されているマスコミは驚きの表情で叫び、さらにリベールから派遣されているマスコミは信じられない表情をし、グレイスはレーヴェを見つめて叫び
(なあっ!?ここで”ハーメル”の件を持ってくるのかよ!?そしてマスコミ達をこの場に連れて来たのはこの為か!!おいおいおい……!”六銃士”がメンフィルと手を組むなんて、一体どうなってんだ!?それに誰がこんな計画を立てたんだ!?)
「!!!(”剣帝”をクロスベルに来させた理由はそれが一番の狙いか……!おのれ……”放蕩皇子”!まさかメンフィルどころかクロスベルと手を組んで、このような手で私を抹殺しに来るとは……!)グッ……………!」
レーヴェの話を聞いてある事を察したレクターは驚き、オズボーン宰相は表情を歪めた後オリヴァルト皇子を一瞬睨んだ後怒りの表情で唸った。
「―――オリヴァルト皇子。”赤い星座”の件とは関係はございませんが、”帝国解放戦線”の件で彼らの”スポンサー”と思われる人物が関わっている”証拠”を手に入れたので今この場で公表させて頂いても構いませんか?」
「!!??」
「なあっ!?」
「何だと!?」
そしてプリネの申し出を聞いたオズボーン宰相とレクター、ミュラー少佐は驚き
「……ああ、私や宰相殿の身を狙った下手人が誰なのか私も知りたいと思っていた所だ。是非、公表してくれ。」
予定外の話がプリネの口から出て来た事に呆けていたオリヴァルト皇子はすぐに気を取り直して静かな表情で頷いた。
「―――わかりました。その人物とは……―――”四大名門”に属する”カイエン公爵家”の当主、カイエン公爵です。―――こちらがその証拠である書状になります。先程、”帝国解放戦線”のメンバーを拘束し、武装を解除していた際に手に入れた物です。オリヴァルト皇子、お手数ですがこちらに来て、書状に押されてある印籠を確認して頂けますか?」
「なっ!?―――了解した。」
オリヴァルト皇子の答えを聞いて頷いたプリネはヴァイスから手渡されたカイエン公爵が”帝国解放戦線”の身を保証する内容が書かれてある書状をミュラー少佐と共に自分に近づいてきたオリヴァルト皇子に手渡した。
「これは………………――――確かに”カイエン公爵家”で使われている印籠が押されてある。」
書状の内容を読んだオリヴァルト皇子は目を見開いた後重々しい様子を纏って頷いた後マスコミの前で書状を広げ
「なっ!?じゃ、じゃあテロリスト達の背後には”カイエン公爵家”が……!」
「こんなとんでもないスクープ、歴史上初よ!?」
エレボニア側のマスコミは書状を見て驚き、グレイスは声を上げた後写真を撮りまくり、他のマスコミ達も書状の写真を撮りまくっていた。
「……………………」
(……今回の件によってカイエン公爵がどう出るかが、問題だな……)
一方各国のVIPが驚いている中、レクターは口をパクパクして絶句し、ミュラー少佐は真剣な表情で考え込み
「…………―――!!??プリネ姫、先程”帝国解放戦線”のメンバーを拘束したと仰っていたが……それは一体どういう事ですかな?」
呆けた表情で黙り込んでいたオズボーン宰相はある事に気付いて目を見開いた後厳しい表情でプリネを見つめて尋ね
「それに関してはすぐにわかります。―――ツェリンダー局長。」
尋ねられたプリネは静かな表情でヴァイスに促し
「―――どうぞ、入って来て下さい。」
促されたヴァイスは扉に視線を向けて言った。すると会議室の扉が開き、カーリアンとセリカ、ルイーネ、シグムントと”帝国解放戦線”のメンバーの一人を担いだギュランドロスが会議室の中に入って来た!
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