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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第146話

~ガレリア要塞・右翼列車砲格納庫~



「くっ……」

スカーレットが地面に跪いた瞬間サラ教官は跳躍して列車砲に飛び乗って、非常停止のレバーを下ろし

「しまった……!」

その様子を見たスカーレットは唇を噛みしめた。



~同時刻・左翼列車砲格納庫~



同じ頃”V”を降したナイトハルト少佐は地面に跪いているVに剣をつきつけ

「チッ……やりやがるな。第四機甲師団のエースに”西風の妖精(シルフィード)”、そして”魔弓将”……それ以外も悪くなかったぜ。特に”魔弓将”。まさかこれほどまでの”化物”とはな。」

Vは舌打ちをした後自分との戦闘前にエヴリーヌの魔術によって無惨に破壊された列車砲に視線を向けた後エヴリーヌを見つめて不敵な笑みを浮かべた。



「くっ……はあはあ……」

「な、何とか勝てたね……」

「ハッ……しぶといオッサンだな。」

マキアスとエリオットは息を切らせ、クロウは鼻を鳴らして呟いた。



「というか列車砲をエヴリーヌが壊しちゃったけど、色々と大丈夫なの?」

「クロスベルにいるリフィア殿下やプリネ達を守る為だったとはいえエレボニア帝国に無許可で列車砲を壊すなんてどう考えても外交問題に発展する気がするんだけど……」

フィーはエヴリーヌによって破壊されて無惨な姿になった列車砲を見つめて呟き、アリサは不安そうな表情をしたが

「大丈夫だよ。さっき来た通信で今の状況をリウイお兄ちゃんに伝えたら、その屑鉄を壊してもいいからクロスベルにいるリフィア達を守れって言われていたし。」

「ええっ!?リ、リウイ陛下が!?」

エヴリーヌの答えを聞いて驚き

「ちょ、ちょっと待て!今起こっている事件がリウイ陛下の耳に届いているという事は……!」

「―――メンフィル帝国はエレボニア帝国に対して有利な外交カードを手に入れた事になるね。今回の件、他国に知れ渡ったら色々と不味いと思うし。」

ある事に気付いたマキアスは声を上げ、フィーは静かに呟き

「不味いどころの話じゃないわよ!テロリスト達をむざむざと要塞内に侵入された事もそうだけど、”通商会議”でクロスベルに集まっている各国のVIP達の命を脅かした事が各国に知れ渡ったら、エレボニア帝国が各国に責められる事になるわ……!」

フィーの推測を聞いたアリサは血相を変えて声を上げた。



「―――そうなると各国のVIP達の命を脅かされる”原因”となった事や”列車砲”の配備を推したオズボーン宰相が一番責任を背負う事になるんだろうな……」

「マキアス………」

「………………」

複雑そうな表情で呟いたマキアスの話を聞いたエリオットは心配そうな表情でマキアスを見つめ、クロウは真剣な表情で黙り込んでいた。



「………………――――こちらナイトハルト。左翼の列車砲はエヴリーヌが破壊した為、解除の必要がなくなった。それとVを制圧した所だ。」

一方重々しい様子を纏って考え込んでいたナイトハルト少佐は気を取り直してサラ教官と通信を始めた。



~右翼列車砲格納庫~



「ハアッ!?エヴリーヌが!?どうしてそんな事を……何ですって!?……わかりました。こちらは右翼列車砲の停止を確認した所です。どうもお疲れ様でした。」

「サ、サラ教官……?」

「一体何があったんですか……?」

「会話の内容からしてエヴリーヌさんが何かされたようですが……」

通信を終えたサラ教官を見たリィンとエマは戸惑い、セレーネは尋ねた。



「…………エヴリーヌが列車砲を止める為に帝国解放戦線の幹部とやり合う前に魔術で破壊したそうよ。」

「なっ!?」

「ええっ!?」

「列車砲を……」

「馬鹿な……そのような事をすれば外交問題に発展する事が奴にはわからんのか!?」

サラ教官の話を聞いたラウラとミリアムは驚き、ガイウスは目を丸くし、ユーシスは信じられない表情で叫んだ。



「―――どうやらそいつらがガレリア要塞に侵入して、あたし達がB班とわかれる前に来た通信でリウイ陛下に状況を話した後列車砲の破壊の許可はもらっていたそうよ。―――”通商会議”に参加しているメンフィルのVIP達や実習地にいるプリネ達を守るという名目でね。リウイ陛下の耳に入ったという事は当然メンフィル帝国にも今回の件は知れ渡っているでしょうね。」

「お姉様達を……」

「それは……」

サラ教官の説明を聞いたセレーネは目を丸くし、ある事に気付いたリィンは複雑そうな表情をし

「―――!!まさか……!」

「………メンフィルがエレボニアに対して有利な外交カードを手に入れた事にもなるな。」

「うわっ……それってかなりマズイじゃん!しかも今回の事件が起こった原因はギリアスのオジサンがクロスベルにいたという理由だから、オジサンが責任を押し付けられる可能性が高いじゃん。オジサン達はどうやって切り抜けるつもりなんだろう?」

ラウラは目を見開き、ユーシスは重々しい様子を纏って目を伏せて呟き、ミリアムは驚いた後真剣な表情で考え込んだ。



「やれやれ……本当にあなた達やメンフィルとは縁があるわね。―――うふふ、まあいいわ。全ては”C”の狙い通り……クロスベルの作戦についてもね。まあ、唯一の誤算はメンフィルに関する事だけど、”鉄血”にとっては不味い状況でしょうから、こちらにとっては嬉しい誤算だから気にする必要はないわね。むしろメンフィルに感謝するべきと言った所かしら。」

その時呆れた表情で呟いたスカーレットは不敵な笑みを浮かべて立ち上がった。

「なんですって………?」

そしてスカーレットの答えを聞いたサラ教官が眉を顰めたその時!

「ど、同志”S”……」

なんと先程倒したはずのテロリスト達が起き上がった!



「こいつら……!?」

「まだ動けたのか……!?」

「くっ……完全に無力化した筈だぞ!?」

起き上がったテロリスト達を見たリィン達は驚き

「うげっ。一番めんどくさい時の目をしているじゃない。」

「皆さん、気を付けてください!あの目は死を覚悟した者の目です!」

テロリスト達の目を見たヴァレフォルは嫌そうな表情をし、メサイアは警告し

「フン、愚か者が……」

「全く持って理解不能ですね。」

バルディエルは鼻を鳴らし、リザイラは呆れた表情で呟いた。



「同志”S(スカーレット)”、行くがいい!」

「”C”と”V”と協力して必ずやあの男に鉄槌を―――!」

そしてテロリスト達はリィン達と交戦をし始め

「ええ―――それじゃあ女神の元で。」

スカーレットは静かに頷いた後列車砲に飛び乗って走り出し

「はっ……しまった―――」

「死ぬ気か……!?」

スカーレットの行動に気付いたサラ教官とリィンが声を上げたその時、なんとスカーレットは列車砲から飛び降り、タイミングよく来た飛行艇にワイヤーを引っかけ、スカーレットのワイヤーに引っかかっている飛行艇は飛び去り、左翼の列車砲があった場所に向かった!



一方左翼でもアリサ、マキアス、フィーが銃撃を放って撤退するVを足止めしようとしたが、Vは背を向けながらも後ろから襲い掛かる脅威を回避して近づいてきた乗せた飛行艇に飛び乗った。

「くふっ♪そこだよっ!!」

「ゴフッ!?やってくれるじゃねぇか……!」

しかしVが飛び乗る瞬間を狙ったエヴリーヌが放った矢が腹を貫き、悲鳴を上げたVは腹の部分から血を流しながらエヴリーヌを睨み

「”V”!?今、治療してあげるわ!」

既に甲板まで上がったスカーレットは驚いた後Vの治療をし始めた。そしてスカーレットとVを乗せた飛行艇は列車砲の正面に移動した。



―――我が名は”C”。”帝国解放戦線”のリーダーを務める者である。よくぞクロスベルと両面に渡った我らの波状攻撃を凌いだ。だが、これで終わりではない。次なる我らの鉄槌―――せいぜい楽しみにするがいい。



飛行艇から”C”の声が聞こえた後飛行艇はガレリア要塞に背を向けて飛び去ったが

「くふっ♪撃ち落してやるよ♪アン・セルヴォッ!!」

凶悪な笑みを浮かべたエヴリーヌが放った膨大な魔力と闘気が込められた矢が飛行艇を貫き、飛行艇を貫いた矢は導力エンジンの部分に命中し、墜落し始めた!

「なっ!?」

「嘘でしょう!?矢で飛行艇を撃ち落すなんて、どこまで化物じみているのよ……!」

乗っていた飛行艇がエヴリーヌによって撃墜されたという事実にVと共に驚いたスカーレットは唇を噛みしめた後自分達を救助する為に近づいてきたもう一隻の飛行艇に飛び乗って去って行き、地面に向かって墜落する飛行艇は自爆して木端微塵になった!



「お、おのれ……!」

「”帝国解放戦線”……何という大胆不敵な者どもか。」

一方その様子を外から見ていたワルター中将は唇を噛みしめ、クレイグ中将は重々しい様子を纏って呟いた。



「……………………」

飛び去って行く飛行艇をサラ教官は厳しい表情で見つめ

「”C”……あの男も来ていたのか。」

「んー……ホント、何者なのかなー?情報局でも手がかりすら見つかってないんだけど。」

リィンは真剣な表情で呟き、ミリアムは首を傾げていた。



「フン、今回はこうして連中のメンバーも捕えた。何としても口を割らせて―――」

一方仲間達と共にテロリスト達を無力化したユーシスは腕を組んでテロリスト達を睨みつけたが

「……ぐうっ……」

「……がぼっ……」

なんとテロリスト達は口から大量の血を吐いて意識を失った!



「な、なんだ……!?」

「これは……毒か!?」

「……!」

「な……!」

「ま、まさか……自殺をしたんですか……!?」

「なんてことを……!」

テロリスト達に起こった突然の出来事にユーシスとガイウスは驚き、エマとラウラは目を見開き、セレーネとメサイアは信じられない表情をし

「ちいっ……!」

サラ教官は舌打ちをした後テロリスト達に駆け寄ってテロリスト達の状態を調べた。



「経口性の神経毒……マズイわね。ダメ元で解毒処置を行う!エマ、使えそうな薬草があれば手伝いなさい!セレーネは治癒系の魔術で手伝いなさい!」

テロリスト達の状態を調べたサラ教官は懐から注射器を取り出して指示をし

「はいっ……!」

「わかりました!」

サラ教官の指示に頷いたエマとセレーネはそれぞれ行動に写り

「メサイアとリザイラも手伝ってくれ!確か二人とも治癒系の魔術が使えるだろう!?」

「わかりました!」

「……ここまで毒が進んでいれば、もはや意味はないと思いますがご主人様と命とあらば、仕方ありませんね。」

リィンに指示をされたメサイアとリザイラもそれぞれテロリスト達の解毒処置に写った。一方左翼でもB班のメンバーが血を吐いて倒れているテロリスト達の解毒処置を行っていた。



「……助けられそうか?」

「んー……五分五分だな。」

「……助かったとしても意識は戻らないかも。」

ナイトハルト少佐に尋ねられたクロウとフィーはそれぞれ答えた。



「……そんな……」

「そこまで……そこまでやるのか。」

「これが……”帝国解放戦線”……」

「………………」

その様子を見守っていたアリサは悲痛そうな表情をし、マキアスは唇を噛みしめ、エリオットは真剣な表情で呟き、エヴリーヌは黙ってテロリスト達を見つめていた。



一方その頃、オルキスタワーでは後に歴史に残る英雄達による”大粛清”が始まろうとしていた…………


 
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