英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)
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外伝~集いし者達~
~工匠都市ユイドラ・街内~
「う、うわ――――!?あ、新手だ!?」
いきなり現れた歪魔や睡魔を見て兵士や工匠達は悲鳴をあげた。
「へ~………ちょっとはできそうなのがいるわね♪」
「うふふ………まさかここでお客様が増えるなんてね♪しかも天使まで♪どうやってもてなそうかしら♪」
一方カーリアンとレンは新たに現れた歪魔や天使達を敵と思い、不敵に笑った。
「…………全く。普段から多種族との交流をしている割には敵と味方の区別もつかないのかしら?ユイドラの人間達は。魔族と一緒にされるという屈辱………どうやって、晴らそうかしら?」
天使達を率いている天使は呆れて溜息を吐いていた。
「ずるいぞっ、ウィル?こんな楽しそうな事を知らせてくれないなんて、ミレーヌ、悲しくて泣いちゃうぞ?」
歪魔を率いている道化師のような姿をした歪魔は楽しそうな表情でウィルに言った。
「エリザスレイン!ミレーヌも!」
ウィルはかつて共に戦った仲間であるユイドラの遥か東にある大聖堂ミサンシェルの天使達を率いる力天使――エリザスレインとユイドラの遥か西にある魔族領域――グシメラの魔宮を住み家とする歪魔や睡魔達を率いる歪魔――ミレーヌ・プロアの登場に笑顔になった。
「ご主人様~!無事でよかった~!!」
「本当に無事でよかったです、お兄様………!」
「アト!水那!」
ミレーヌの傍にいた女性の姿をしたアースマン――アトとエリザスレインの傍にいた東方の国――ディスナフロディ独特の服、”着物”を着ている水精――水那は嬉しそうにウィルに駆け寄った。
「2人とも、無事に知らせてくれたんですね……!」
セラウィは水那達がエリザスレイン達に助けを求めた事に成功した事に嬉しそうな表情で尋ねた。
「はい………!最初は助けに行く事を渋っていましたけど、最後には納得してくれました……!」
「ミレーヌなんか、酷いんだよ~!アトが来た時、戦闘を仕掛けて来たんだから~!」
ウィル達に水那は嬉しそうな表情で、アトは頬を膨らませてエリザスレイン達を連れて来た経緯を答えた。
「………この私が自らユイドラと共に歩む事を誓約をしたのだから、助けの求めに応じないと、力天使たるこの私が嘘吐き呼ばわりされるしね。」
「そんなに怒るなよっ♪こうして来たんだからっ♪」
エリザスレインは微笑みながら答え、ミレーヌは楽しそうな表情でアトに言った。
「そっか……ご苦労さま、2人とも。」
「あっ………」
「えへへ~。ご主人様に褒められちゃった♪」
ウィルに頭を撫でられた水那とアトは嬉しそうな表情で撫でられていた。
「貴女がエリザスレイン様ですか………初めまして。エリナと申します。」
「………メロディアーナの娘ね。以前会ったのは貴女が産まれて少ししてからだったから………会うのはこれが2度目ね。」
礼儀正しく自分に声をかけたエリナにエリザスレインは答えた。
「……私の名前はエリザスレイン様より名前を頂いていると聞いていたので、一度お会いしたいと思っていました。……母様のお話通り、私の想像通りの美しく、素晴らしい方ですね……!」
「………一体メロディアーナは、私の事をどういう風に伝えたのかしら?」
尊敬の眼差しで自分を見るエリナを見て、エリザスレインは興味深い表情で空で戦っているメロディアーナを見ていた。
「そうそう、ご主人様!みんなもご主人様達を助けるために、一緒に来てくれたんだよ~!」
「私の仲間達もです………!水を大事に使ってくれるユイドラの人達を助けるために一緒に来てくれました……!」
「2人とも………本当にありがとう!」
歪魔や天使達に混じっている土精や水精達を見て、ウィルはお礼を言った。
「………ユイチリの双子は誰に知らせに言っているんだ?」
そこにユエラがある人物達が居ない事に気付いて尋ねた。
「2人はエルフの森に行った後、クレールはフェマ山脈、クレアンヌはロセアン山脈に行くって言っていたよ~。」
「え………それじゃあ、もしかして……!」
アトの説明を聞いたウィルが驚いたその時
コ―――――――ン!!
グオオオオオオオオ―――――!!
戦場と化しているユイドラにたくさんの狐の遠吠えととてつもない存在の雄叫びが聞こえて来た!すると燃えるような見事な毛並みの大型の狐達――サエラブの同族達が門を破壊しようとしている魔物達に次々と襲いかかり、空を飛んでいる魔物達にはとてつもない雷撃が襲い、雷撃に命中した魔物達は絶命して、地面に落ちて行った!
「久しぶりよな、ウィルフレドよ。」
「ウィル、みんな!お待たせ!」
そしてウィル達の近くに九の尾を持ち、燃えているような赤の着物を着た女性が数匹のサエラブ達とユイチリの少女と一緒に転移して来た。
「狐伯蓮!クレアンヌ!」
九の尾を持つ女性――”炎狐”サエラブ達の長であり”炎狐”の中でも限られた者が永い時を得てなれる究極の存在、仙狐――狐伯蓮とユイチリの少女――クレアンヌの登場にウィルは嬉しそうな表情で声を上げた。
「ウィル―――!みんな―――!ガプタール、早く降りてよ!」
「言われなくともわかっている。だから、そう急かすな。」
さらにユイチリの少年を背に乗せた巨大な竜が羽ばたきをしながらウィル達の近くに降り立った。竜が降り立つとユイチリの少年は竜の背から降りた。
「クレール!ガプタール!」
ユイチリの少年――クレアンヌの双子の弟、クレールとセテトリ地方の北、ディジェネール地方にある巨大山脈、フェマ山脈に住む雷竜――ガプタールの登場にウィルはさらに嬉しそうな表情で声を上げた。
「僕一人でフェマ山脈まで行ったんだよ!凄いでしょ!」
「もう、クレールったら!そんなに威張る事じゃないでしょ。」
自慢げに語るクレールを見て、クレアンヌは呆れた後指摘した。
「なんだよ~。ガプタールを見つけるのに凄い苦労したんだからな~。」
指摘されたクレールは頬を膨らませて答えた。
「ハハ………わざわざユイドラまで来てくれてありがとう、ガプタール、狐伯蓮。」
「礼には及ばぬよな。お主とわらわの仲ではないか。」
「我はお主の求めに応じただけだ。礼には及ばぬ。」
お礼を言うウィルに狐伯蓮とガプタールは気にしないよう、答えた。
「わあ………こんなにもたくさんの種族と父さん達は仲がいいんだ………!」
「さすが、お父さんです………!私達も見習わないといけませんね。」
さまざまな種族と仲がいいウィル達を見て、シャマーラやセティは尊敬の眼差しでウィル達を見ていた。
「エルフの人達は今頃、レグナーさん達の所に援護に向かっているわ!」
「そうか………!」
クレアンヌの説明を聞いたウィルは力強く頷いた。
「ウィル。」
そしてそこにセラウィが微笑みながらウィルに話しかけた。
「うん、わかっている。この戦いで決着をつける!さあ!反撃開始だ!!」
今ここに、さまざまな種族の協力を得たユイドラの猛反撃がついに始まった……………!
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