英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)
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外伝~工匠都市防衛戦~後篇
~工匠都市ユイドラ・教会内~
「軽傷の方は治癒の水で治して下さい!運び込まれる方達には治癒の水や血廉の滴で応急手当てを!さまざま場所に傷を負った方は私の所やマーリオンさんの所に案内して下さい!……神よ、ご慈悲を………癒しの息吹!!」
碧い瞳を持ち、水色の髪を一房にしたユイドラ唯一のシスター――ハンナは傷を負った兵士を魔術で癒しながら、女性達に指示をした。
「水よ………癒しの力を………」
マーリオンも魔術を使って、傷ついた兵士の傷を治癒した。
「意識がない方や骨折をした方はペテレーネ様にお願いして下さい!」
「「はい!」」
ハンナの指示に頷いた女性達は重傷を負い、呻いている工匠を協力して他の兵士を癒しているペテレーネの所に運んだ。
「う………ううっ………」
「ほら、しっかりしなさい!………お願いします。」
呻いている工匠を元気づけた女性は骨折した兵士を治し終わったペテレーネに頼んだ。
「わかりました。………癒しの闇よ!闇の息吹!!」
ペテレーネが治癒魔術を施すと、工匠の傷が完全に治った。
「おお………!ありがとうございます!」
傷が治った工匠はペテレーネに感謝して、そして再び戦場に向かった。
「………お疲れ様です、ペテレーネ様。」
そこにハンナがお茶をペテレーネに差し出した。
「ありがとうございます、ハンナさん。………このお茶は貴女が?」
「いいえ、お恥ずかしながら他の方に頼んで入れて貰いました。自分の手が全然空きませんでしたので。」
お茶を受け取り、尋ねたペテレーネの言葉にハンナは苦笑しながら答えた。
「こんな状況ですからね………仕方ないですよ。」
ハンナから貰ったお茶を呑んだ後、ペテレーネは微笑んだ。
「はい。………それにしても闇の神殿の方が、それも神格者の方が力を貸して頂けるなんて思ってもみませんでした。」
「アーライナ様は寛大な方ですから………それにしても、本当にいい街ですね、ユイドラは。今のように闇夜の眷属や亜人も関係なく、接しているのですから……」
ペテレーネは教会内で傷の手当てを受けている獣人や闇夜の眷属達を見て呟いた。
「ふふ………これも今の領主様のお陰ですよ。『ユイドラは周りに住む全ての種族達と協力し合ってこそ、発展するものだよ。』……まさにその通りですよ。10数年前に合った出来事も闇夜の眷属、エルフ等ユイドラに住む全ての種族が協力し合って乗り越えられたのですから……」
「あの………10数年前に一体何があったんでしょう?」
「はい。ユイドラの地下深くに封印されていた強大な闇の封印が解け、疫病をはやらし、森に瘴気をまくほどの影響がおきたのです。封印が解けたのはなんでも北の地方でとてつもない存在が復活した影響で解けたと言われていました。………それをウィルフレド様は全ての種族と協力して、解決したのです。」
「そうだったんですか………(10数年前………ユイドラの北で起こったとてつもない存在の復活………まさか。邪龍復活の影響!?)」
ハンナの話に頷いていたペテレーネは心の中で心当たりがあり、顔には出さず、驚いていた。
「お~い!こっちを頼む!重傷者が一杯いるんだ!」
そこにレグナーの指示によって重傷を負った工匠や兵士達がリウイのお陰で軽傷まで回復した兵士や工匠達によって運び込まれた。
「なっ………!」
ハンナは運び込まれた重傷者の多さに目を見開いて驚いた。
「さすがにこれは手が足りませんね…………闇の息吹!!」
ペテレーネは驚きながらも一人の重傷者に駆け寄って治癒魔術を施していた。
「けど、やるしかありませんね!……癒しの風!!」
「……癒しの水よ、降り注げ………!癒しの雨……!!」
ペテレーネの言葉に頷きながら範囲治癒魔術を施すハンナに続くようにマーリオンも魔術を使って、ペテレーネ達を手伝っていた。
「お母様!お父様に言われて手伝いに来ました!」
そこにイリーナ、ツーヤを連れたプリネが教会に入って来た。
「プリネ!?それにイリーナさんにツーヤさんも……ありがとう。みんなで手分けして、重傷者の方達を優先に癒して行って!」
「はい!イリーナさん、ツーヤ。2人もお願いします!…………闇の息吹!!」
「はい!しっかりして下さい!……癒しの息吹!!」
「了解しました……!水よ、癒しの力を……!ヒールウォーター!!」
プリネの指示に頷いたイリーナとツーヤはそれぞれ、傷を負い呻いている兵士や工匠達に駆け寄って、治癒魔術を施していた。その頃、ユイドラ軍は今までの度重なる戦いの疲労や敵の余りの多さに疲弊していた。そのため、ついに街への侵入を許してしまい、ウィル達は街に侵入した魔物達の対応に追われていた。
~工匠都市ユイドラ・街内~
「喰らえっ!!」
「闇の精霊よ!我が呼びかけに応え、我が仇名す者達を吹き飛ばせ!闇界衝撃!!」
「喰らっときなさいよ!!」
「やぁ~…………!ブラッドサークル!!」
「邪魔だっ!!」
「風の刃よ!旋刃!!」
「ヤア~!!」
「そこっ!!」
「これでっ!!」
ウィル、セラウィ、カーリアン、レン、ユエラ、セティ、シャマーラ、エリナ、ロカは街の中にまで入って来てしまった魔物達を倒していた。
「超!ねこ、パ~ンチ!!」
「喰らえ~!!凝縮闇弾!!」
「消えろ!」
「連接剣のお味はどう?」
「ハァァァァ………!彗星の光槍!!」
「光よ、降り注げ!爆裂光弾!!」
「出でよ、烈輝の陣!イオ=ルーン!!」
ペルル、シャルティ、ラグスムエナ、ファーミシルス、メロディアーナ、イルザーブ、フィニリィもこれ以上侵入を許さないかのように空中戦で次々と敵を葬っていった!
「うざーい。………制圧射撃!!」
「光の精霊よ!我が呼びかけに応え、我が仇名す者達に裁きを!槌の光霞!!」
「闇の彼方に沈め!ティルワンの闇界!!」
「燃え尽きろ~!大熱風!!」
「行きます。……制圧3連砲撃。開始。」
エヴリーヌ、フォーチュラ、リフィア、エミリッタ、シェラは城壁の上で技や魔術、魔導砲を放って、空の敵を撃退していた!精鋭揃いのウィル達が最終防衛ラインはなんとか護りきっているが、ユイドラ兵達はほかの国の軍と違い、練度があまりなく、頼みの綱の上級工匠達も数が少ないため、人手が圧倒的に足りなく、街への侵攻は時間の問題だった。
「ふふっ………これはどうかしら!?」
「甘い!!」
一方セオビットと一騎討ちをしているリウイは何を思ったか、人がいない森に向かいながら襲いかかるセオビットの対処をしていた。
「闇に沈みなさい!!ティルワンの闇界!!」
「!!」
セオビットの魔術をリウイは後退して、回避した。しかしそこに魔術によってできた暗闇の中からセオビットが剣で強襲した!
「深淵剣!!」
膨大な暗黒の力を纏って敵を斬る技――深淵剣でセオビットはリウイに斬りかかったが
「エクステンケニヒ!!」
リウイは聖なる力を宿した剣技――エクステンケニヒで対抗した!暗黒と神聖の力がぶつかり、双方に込められている魔術の効果はなくなり、リウイとセオビットはお互いの顔を睨みながら、鍔迫り合いをした!
「ふふっ………私と同じ魔族の癖に聖なる力を使えるなんて…………貴方の母親はどこかの神官かしら?」
「………お前に教える筋合いはない。………お前こそ、エルフの血をひいている割には精霊魔術を使わないようだな?」
「フン!あんな奴、どうでもいいわ!5段斬り!!」
リウイの言葉を鼻を鳴らして答えたセオビットは剣で連続攻撃を仕掛けた!
「フェヒテンアルザ!!」
しかしリウイはセオビットが放った技と同じ性能を持つ技で対抗して、セオビットの攻撃を捌いた!
「ふふっ………この私の攻撃を耐えているのは褒めるけど、いつまで耐えられるかしら?私を倒さなければ、貴方の仲間達は倒れ、この街は滅ぶわよ?」
「………舐めるな。あいつらはその程度で倒れる者達ではない。」
「…………どこまでもいらつかせる人ね。ハァァァァァ!」
リウイの仲間を信じる言葉に顔を歪めたセオビットはリウイに激しい攻撃を仕掛けた!そしてリウイはセオビットの激しい攻撃に対処しながら、森に向かった。
「くっ………このままでは不味い………!」
敵をまた倒したウィルは状況がどんどん悪化している事に焦った。
「諦めてはいけません、ウィル!きっと勝機は必ずあります!」
「ああ!」
セラウィの励ましにウィルは力強く頷いた。
その時、空間が歪み、緑の瞳と紫色の髪を持つ自分の身体と同じ大きさの玉に乗る道化師のような姿の魔族率いる歪魔や睡魔達が現れ、地面には何かの魔法陣が描かれ、そこからは十人中十人が振り返るような美しい容姿をし、ウェーブさせた水色の髪を腰までなびかせ、髪の色より弱冠濃い水色の瞳を持ち、片手には杖を持ち、白を基調とした服を着ている天使率いる天使達が現れた…………!
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