英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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第122話
ローエングリン城の探索を開始したリィン達は時折現れる魔物を撃退しながら進んでいたが、魔物の中には霊体属性を持つ者もいる為、霊体に対する装備がないミリアムは予想外の苦労をしていた。
~ローエングリン城~
「ガーちゃん、やっちゃえ~!」
「――――」
ミリアムの指示によってアガートラムは霊体の魔物に剛腕を振るったが、虚しくすり抜けた!
「ええっ!?な、何で~!」
攻撃がすり抜けた事にミリアムは混乱し
「フン、邪魔だっ!」
「聖剣よ、邪を退けよっ!」
「クロスラッシュ!!」
霊体を易々と切り裂く事ができる”聖剣”を持つユーシス、ラウラ、セレーネは一撃で霊体の魔物を切り裂き
「炎よ、閃光となりて焼き払え!―――爆炎閃!!ガイウス、止めを!」
「ああっ!セイッ!!」
リィンの火炎魔術によって弱った霊体の魔物には風属性が付与されている事により霊体の魔物にもある程度攻撃を通す事が出来る十字槍を持つガイウスが止めを刺し
「聖なる光よ、邪を貫け!―――ホーリーランス!!」
エマは魔導杖に組み込まれてある特殊な空属性魔法で多くの魔物達を葬り
「きゃはっ♪何度蘇ってもエヴリーヌが何度でも殺してあげるよ――――ッ!!」
エヴリーヌは凶悪な笑みを浮かべて魔弓で次々と矢を解き放って魔物の急所をついて滅していた!
一方リィン達が協力して戦っている中、セリカ達は圧倒的な戦闘能力で多くの魔物達を圧倒していた。
「雷光―――身妖舞!!」
自分に襲い掛かってきた魔物達にはセリカが雷の魔力を纏わせた”飛燕剣”で切り裂き
「沙綾―――紅燐剣!!」
続けて一瞬で魔剣に溜め込んだ闘気によって発生した風の刃を纏わせた後魔剣を振るって無数の風の刃を解き放って多くの魔物達を滅し
「哀れなる魂はメティが浄化してやる!どぅりゃあああああっ!!」
メティサーナは聖気を纏わせた大鎌で薙ぎ払うクラフト―――浄化シ清メル鎌撃で多くの魔物達を豪快に真っ二つにした。
「そこですっ!!」
シュリはそれぞれの手に持った2丁の魔導技術によって作られた銃―――”魔導銃”で神聖属性が込められた弾丸を放つクラフト―――神聖三点撃ちで霊体の魔物達を撃ちぬき
「凍ってください!!」
続けて冷却属性が込められ、敵を凍結する事もできる弾丸を広範囲に放つクラフト―――凍結拡散撃ちで数体の霊体の魔物達を凍結させた!
「ミリアムさん!凍っている今なら攻撃が効きます!」
「わかった!ガーちゃん、ぶっ壊せ~!」
「―――――」
そしてシュリの助言に頷いたミリアムはアガートラムに指示し、アガートラムはクラフト―――バスターアームで凍結している魔物達を破壊して滅した!
「お、終わった~……」
「ミリアムちゃん、大丈夫ですか?」
戦闘が終わるとへたりこんだミリアムに気付いたエマは心配し
「うん。というかなんなの、さっきの魔物~!ガーちゃんの攻撃がすり抜けるとかありえないよ!」
「今の魔物は”霊体属性”を持っている魔物―――”幽霊”ですから、物理攻撃は効かないんです。」
疲れた表情で声を上げたミリアムの疑問にセレーネは説明した。
「ええっ!?ゆ、ゆゆゆゆうれい~!?……あれ?じゃあ、何でみんなの武器は普通に効いていたの??」
セレーネの説明を聞いたミリアムは怖がった後すぐにある事に気付いて首を傾げた。
「俺達の武器は以前の特別実習で異世界に行った時、リウイ陛下のご厚意によって依頼された”匠王”ウィルフレド・ディオン殿が鍛え上げた武器で、様々な属性の加護が宿っているから、霊体にも攻撃が通じるんだ。」
「まさか早速役に立つ時が来るとは思わなかったな……」
「ええ……さすが”聖剣”ですね。」
「うむ。剣としての威力もそうだが、私にとっては今まで物理攻撃がほとんど効かなかった”霊体属性”持ちの”魔物”にも攻撃が通るのは助かるな。」
リィンの説明に続くように、ガイウスやセレーネ、ラウラはそれぞれ自分の武器を見つめた。
「え――――ッ!そんな凄い物を貰ったリィン達だけずるいよ~!どうしてボクの分はないの!?」
「フン、貴様はその時編入していなかったから、貴様の分がある訳ないだろうが、阿呆。」
「アハハ……編入のタイミングがもうちょっと早かったらミリアムちゃん―――アガートラムの武器を創ってくれたかもしれませんね。」
頬を膨らませて不満を言うミリアムにユーシスは鼻を鳴らして答え、エマは苦笑しながら言った。
「ぶーぶー。帰ったらオジサンに何でもっと早く編入させなかったのか、文句を言ってやるんだから!」
「ハハ……そう言えばシュリさんの戦闘能力には驚きました。」
ミリアムの様子を苦笑しながら見守っていたリィンはシュリに視線を向け
「メイドさんなのに、エリゼお姉様みたいに凄く強いですね……」
「ええ……魔術もそうですけど、特にその2丁の銃による後方支援は凄いとしか言いようがないですね。」
「ああ。同じ銃使いのフィーやクロウ先輩とも実力が違いすぎる。まさに”達人の技”と言ってもおかしくないな。」
セレーネやエマ、ラウラもそれぞれ興味ありげな表情でシュリを見つめた。
「そ、そんな。私はご主人様達と比べると大した事はありませんよ。」
リィン達の称賛にシュリは謙遜したが
「―――謙遜する必要はない。シュリの戦闘能力もそうだが、錬金技術などにも助かっている。」
「ああ!しかもウィルに色々な技術を習ったから、更に頼もしくなったな!」
「ご主人様、メティサーナさん…………」
セリカとメティサーナの称賛に頬を赤らめて嬉しそうな表情をした。
「んふふ~、相変わらず可愛いわね、シュリは♪」
「キャッ!?ヴァ、ヴァレフォルさん!?」
その時突如ヴァレフォルが現れてシュリに抱き付いたが
「あだっ!?」
突如凄まじい頭痛がして蹲った。
「ヴァ、ヴァレフォルさん!?大丈夫ですか!?」
ヴァレフォルの様子を見たエマは心配し
「そう言えば前にもこんな事があったけど……」
「確か”呪いを解け”とか言ってセリカ・シルフィルを見ていたが……」
ある事に気付いたリィンは考え込み、ユーシスはセリカを見つめた。
「ああ。ヴァレフォルにはシュリに触れた時、凄まじい頭痛がするように呪いをかけている。」
「ええっ!?」
「の、”呪い”……」
「一体何故そのような事を……」
セリカの説明を聞いたセレーネは驚き、エマは表情を引き攣らせ、ガイウスは目を丸くした。
「え、えっと、その……これには訳がありまして……」
驚いているリィン達の様子を見たシュリは顔を赤らめて言葉を濁したが
「―――要はシュリの貞操を守る為にご主人様がヴァレフォルに呪いをかけたのだ。」
「メ、メティサーナさん!」
メティサーナの答えを聞いて声を上げた。
「へっ!?」
「て、貞操を守る為……ですか?」
一方リィンは驚き、セレーネは戸惑い
「へ~、ヴァレフォルって百合だったんだ……」
「ミ、ミリアムちゃん!?一体どこでそんな言葉を知ったのですか!?」
目を丸くして呟いたミリアムの言葉にエマは慌てた。
「ブーブー、ちょっと可愛がっただけで、呪いをかけるなんてセリカは器量が狭すぎよー。」
「シュリを押し倒して色々していたあれのどこが”ちょっと”だ。」
(クク、ずっと見守っていたお前にも問題があると思うがな。)
「ご、ご主人様!お願いですからこれ以上言わないで下さい……!」
不満げに答えたヴァレフォルの言葉に呆れた表情で指摘したセリカの答えを聞いたハイシェラは口元に笑みを浮かべ、顔を赤らめて慌てている様子のシュリを見てある程度事情を察したリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ
「やはり変態だな。」
「ソロモンの魔神達って、変わり者だらけだね。」
(ううっ……今の話を聞いたら私自身の貞操が本気で心配になってきたわ……)
ユーシスはジト目で呟き、エヴリーヌは呆れ、エマは疲れた表情で肩を落とした。その後時折襲い掛かってくる魔物達を撃退しながら仕掛けを解いて先に進んでいたリィン達は子供達を見つけた。
「あれは……!」
「まずい……!」
魔物の群れに囲まれている子供達を見たガイウスは目を見開き、ラウラは血相を変え
「ええっ!?あ、あの女性はまさか……!」
「サティア様が何故生きてこの場にいるのだ!?」
「あれ、あいつって確かサティア―――アストライアじゃん。おかしいな……?”影の国”でエステルに宿ったんじゃなかったっけ……」
アイドスの姿を見たシュリとメティサーナは驚き、エヴリーヌは目を丸くして考え込み
「………………………」
(なっ……サティアはエステル嬢ちゃんに宿ったはずなのに、何故生きて、しかもセリカと同じ姿でこの場にいるのだ!?)
セリカは呆け、ハイシェラは信じられない表情で声を上げた。
「ユ、ユリアン~……!」
一方壁際に避難している子供は悲鳴を上げ
「泣き言を言うな、カルノ!アイドスおねえさんを信じろ!」
もう一人の子供は悲鳴を上げている子供の前に出て声を上げ
「ハァァァァァ……ッ!!」
アイドスは一人で果敢に子供達を守りながら戦っていた!
「ええっ!?」
「”アイドス”だと!?」
(馬鹿な!?一体どうなっているのだ!?)
子供の一人が叫んだアイドスの名前を聞いたシュリとメティサーナは驚き、ハイシェラは血相を変え
「…………………」
呆けていたセリカは少しの間考え込んだ後、魔剣を構えて魔物達に向かい、ラウラも続くように突撃して魔物達に奇襲して自分達に注意を逸らし、リィン達も続いた!
「ラ、ラウラ姉さん!?」
「え……貴方はセリカ…………一体どうしてここに……」
リィン達の登場に子供は驚き、アイドスは呆けた様子でセリカを見つめたその時魔物の一体がアイドスの無防備な背中を狙って襲い掛かったが
「ハアッ!―――余所見をするな。その身体の事も含めて詳しい事を後で聞かせてもらうぞ。」
セリカが反応して襲い掛かってきた魔物を斬り伏せた後アイドスに視線を向け
「…………………―――ええ。」
複雑そうな表情でセリカを見つめていたアイドスは静かに頷いた。
「よかった、無事のようだな。」
「は、はい……」
一方ラウラに話しかけられた子供は安堵の表情で頷いた。
「数が多いな……少々厄介だな。」
「キャハッ♪全部殺せばいいだけじゃん♪」
「子供達と女性を最優先に守りつつ勝機を見出すぞ!」
「ううっ……ブッ飛ばすよ、ガーちゃん!」
そしてアイドスを加えたリィン達は戦闘を開始し、協力して部屋中の魔物達を殲滅した。
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