英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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外伝~碧き零の慈悲~
1年半前――――
~???~
「サティアさん、セリカ!」
「決着の時だの!」
リィン達がトールズ士官学院に入学する1年半前、謎の空間で仲間達と共に激しい激闘を繰り広げていたエステルとハイシェラはセリカと”セリカの容姿と瓜二つの女性”に視線を向け
「サティア………今こそ全ての決着をつけるぞ!」
「うん!」
呼びかけられた2人はお互いを見つめた後それぞれが持つ”神剣”を構え
「俺達は!必ず果たす!」
「”約束”を!」
セリカの神剣には凄まじい神気が、女性の神剣には神々しい炎が宿り、二人は同時に神剣に宿りし神々しき力を解き放った!
「「永遠なる約束――――――――――――!!」」
「「ナゼ!ナゼお前達(貴女)バカリ!アアアアアア―――――――――――ッ!!??………………」」
二人が解き放った世界をも浄化する膨大な力をまともに受けた”敵”は身体が崩壊し始めた。
ああ…………私は”また”消えるのね……ようやくわかったわ……お姉様が正しかったのね……私も……お姉様のように……心から信頼できる人達がいれば……違った道を歩んでいたかもしれない……わね…………お姉様……セリカ…………二人の人生を狂わせた私が願うのは間違っているけど……どうか幸せに”生きて”……
崩壊し始める”敵”に宿る狂気に満ちた意志の一つは消滅する寸前に正気に戻った後セリカと女性を見つめて二人の幸せを願いながら消滅した。
世界の争いを失くそうとして、犠牲になった貴女も救われるべきだよ………………
敵が消滅する瞬間、少女の声が聞こえたが、消滅の際の轟音にかき消され、その場にいる全員は気付く事はなかった……………
~現代・ローエングリン城~
「う……ん………………?」
「あ、起きた!」
「おねえちゃん、だいじょうぶ~?」
リィン達が城を探索し始めたその頃、”セリカの容姿と瓜二つの容姿を持ち”、夕焼けのような赤い髪を腰までなびかせている女性は目覚め、女性が目覚めた事に気付いた子供達は声をかけた。
「こ……こ……は……?」
「ここは聖女様が住んでいた”ローエングリン城”だぜ!」
「”ローエングリン城”……?え―――――」
子供の話を聞いた女性は不思議そうな表情をした後、咄嗟に近くの水溜りで自分の顔を見て呆けた。
「ど、どうしてお姉様の身体に私の魂が宿っているの!?い、いえそれよりどうしてセリカがいるのにお姉様の”身体が存在している”上、”私の魂が存在している”の!?」
そしてすぐに自分の状態に気付いた女性は混乱し始めた。
「?身体が存在している?お姉ちゃん、変な事を言っているね~。」
「魂が存在しているとか、わけわかんないぜ……」
女性の言葉を聞いていた子供達は不思議そうな表情で見つめていた。
「!ごめんなさい、少し取り乱したわ。それより貴方達はどうしてこんな所にいるのかしら?見た所、この城には誰も住んでいないようだけど。」
「え、えっと、それは……」
「うっ……」
女性に自分達の事を尋ねられた子供達は答えを濁した。するとその時
「!!この気配は……―――二人とも私の後ろに下がりなさい!」
周囲に漂う邪悪な気配を感じた女性は子供達を庇うかのように、子供達の前に出て声を上げた。
「え―――」
「おねえちゃん……?」
女性の言葉や様子に子供達が呆けたその時、部屋中に無数の不死者や霊体の魔物が現れた!
「うわあああああっ!?」
「め、女神様~~っ!」
突如現れた異形の魔物達に子供達は悲鳴を上げ
「…………………(不思議……頭の中に響いてくるわ……あの”神剣”を呼んでと…………)」
子供達が慌てている中、女性は静かな表情で目を閉じて頭の中に響いて来る”神剣”の名とその姿を思い浮かべ
「―――大丈夫。女神様は貴方達についているから、貴方達は絶対に助かるわ。」
「え……」
「お、おねえちゃん……?」
怖がる子供達を諭すかのように女性は優しげな微笑みを浮かべ、そして振り向いて自分達を包囲する魔物達を睨んだ後片手を挙げて自身の愛剣の名を叫んだ!
「――星芒より出でよ、”真実の十字架”!!」
すると異空間から膨大な神気を纏わせた剣が現れ、女性の片手に収まり、女性が剣を軽く振るうと、魔物達は剣がさらけ出す神々しさに怯むかのように下がった!
「ええっ!?け、剣が……」
「スッゲー!」
突然の出来事に子供達は驚いたりはしゃいだりした。
「これは……私の知る”真実の神剣”ではないわ……!セリカが持っていたのと違って、浄化されている……!」
女性は自分が持つ神剣――――かつては”神殺しの神剣”の異名を持ち、膨大な瘴気を纏っていたが、浄化され、真の姿を取り戻した神剣―――”真実の十字架”を見て驚いていた。するとその時魔物の一体が女性達に襲い掛かってきたが
「沙綾―――身妖舞!!」
なんと女性が二つの世界でも非常に限られている人物達しか扱えない東方の伝説の高速剣―――”飛燕剣”で襲い掛かってきた魔物をバラバラに切り裂いて滅した!
「(室内だから、威力のある魔術は控えた方がよさそうね……!)―――出でよ、烈輝の陣!レイ=ルーン!!」
更に女性は片手から膨大な魔力を凝縮したレーザーを解き放ち、レーザーに命中した魔物達は消滅し
「星光―――地烈斬!!」
魔術を放った後に震われた神剣から解き放たれた星の光の刃をその身に受けた魔物達は切り裂かれた!
「す、すっげー!おねえさん、めちゃくちゃつえー!」
「も、もしかしたらラウラお姉ちゃん……ううん、領主様と同じくらい強いかも!」
女性の活躍に子供達ははしゃぎ
「フフ………(セリカの剣技まで使えるなんて、”もう一人のセリカ”であるラプシィアと融合していた影響かしら?)貴方達は私が守るから安心して。絶対に私から離れては駄目よ?」
心の中で苦笑していた女性は子供達に優しげな微笑みを浮かべて話しかけた。
「お、おう……!」
「え、えっと……おねえちゃん、何て名前なの……?」
女性の言葉に子供の一人は頷き、女性の名前が気になった子供は興味ありげな表情で尋ね
「――――アイドス。それが私の名前よ。この世を彷徨いし哀れなる魂達よ……貴方達には”オリンポスの星女神”の一柱にして”慈悲の大女神”たる私がこの場で浄化し、救済してさしあげましょう……!」
尋ねられた女性―――アイドスは優しげな微笑みを浮かべた後、すぐに表情を引き締めて子供達を守る為に襲い掛かる魔物達の撃退を始めた!
今ここに!”正義の大女神アストライア”の妹神にして、セリカと女神アストライアの運命を大きく変えた”慈悲の大女神アイドス”が何者かの”慈悲”によって現世にて奇蹟の復活を遂げた……!
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