機動戦士ガンダム0091宇宙の念
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宇宙編
月決戦編
第34話 宇宙の念2
「くっ‼︎」
デルタガンダムとバウのサーベルが交わり、辺りを薄く照らす。
「ルシオン、うまくやれよ…!」
一旦機体を退き、距離を置く。
「そこ‼︎」
間髪入れずにライフルを撃ち、攻め立てるフーバー。
「‼︎」
寸前のところで躱して、機体を立て直す。
「次は外さない‼︎」
「外したんじゃない、俺が避けたんだ」
再び切り結ぶ二機だが、デルタガンダムがその推力で押し返す。
「…!なんて推力だ‼︎」
弾き飛ばされたバウ。
しかし、その体勢からも残り僅かとなったミサイルを発射し、敵を退ける。
「やたら滅多に撃ちやがって‼︎」
回り込んで仕留めようと加速したその時…
「…何」
妙な温もり、身体を包み込む宙流を感じたフランは、瞬時にそれが何なのか判断する力を持っていなかった。
「うお⁉︎」
モニターに映る巨大な敵機。
バウの手に握られた光刃が迫る。
「もらった…‼︎」
黄色く光る粒子の刃は、寸前に回避したガンダムのスラスター光を散らした宙を斬った。
「危ねぇ…こいつの機動力じゃなかったら…」
機体のダメージコントロールコンソールを見、機体の破損状況を把握する。
「左腕だけじゃあ…すまなかったか…」
隻腕となった機体の脚部スラスターが火を噴き、姿勢を制御する。
「墜とす…!金色ォ‼︎」
バウが…フーバーがさらなる追撃に入ろうとする時…その刹那。
再びあの宙流が、今度は二機を包み込んだ。
「何だ⁉︎」
「またか…!この感じ!」
しかし、フランは今新たにその宙流を汲み取った。
「嘘…だろ…?」
だめ、争ってはいけない
人は…戦うために心を持ったんじゃない…
「何だ⁉︎幻聴か?おかしくなっちまったかよ…!」
あなたには聞こえるはずです…私の光になってくれたあなた…
「ナ…ナ…?」
月、第1波強襲ポイント
「15機目…ジャック!」
バイザーを開き、汗を拭いつつ通信を開く。
「はい、聞こえます」
「隊列は?」
「後方、乱れていません。多少被弾しましたが、ブースターも全機無事です。しかし、もう残弾は僅かです」
この包囲網の中を、この少ない戦力で突っ切ってきたシャドウハウンド隊。
いくら手練れのエース部隊とはいえ、既に疲弊していた。
「…偵察隊の観測と、基地とパトロール隊のMS予想総数は?」
「…MS小隊が四つ。うち一つが外周警備だとしても、約12機ですね…」
この消耗した部隊で、あと三個小隊…更に基地防衛隊を撃破し制圧。
戦況的には絶望的。
「もはや、迂回して回り込むか、援軍を待つしか…」
しかし、メイソンは怖気付くことはなく、あくまで冷静な口調で話す。
「あえてだ」
「え?」
「あえて、我が隊は敵陣中に強襲を仕掛け、正面突破。月面基地を制圧し、補給線を繋ぐ‼︎」
「隊長!この戦力です…やはり味方を待った方が…」
リーフ少尉が傷だらけのズサを近づけ、回線を開く。
「いや、隊長の言う通りだ。敵も、まさか俺たちが正面切って突っ込んでくるとは思わない筈だ」
「そうだ。まず、ズサ隊はミサイルを残らず敵陣中に叩き込め。そして敵が浮わついている隙を突き、敵陣にモニカとドリーのガルスRとズサ・ブースターで一気に侵攻する。ジャックは裏手から残りの部隊で援護射撃!危うくなれば退け、それだけの時間があれば友軍も到着するはずだ…」
メイソンは、戦線での鼓舞の仕方を知っていた。
たとえ最後の足掻きの一手だとしても、『もはや』を『あえて』にすることで、作戦は大きな意味を持つ。
「いいか!今作戦の目的は友軍の侵攻を円滑にする為の補給基地制圧だ‼︎この作戦に我が軍の存亡があると心得、奮戦せよ‼︎ジオンの兵士として、連邦の軟弱どもを叩き潰すぞ‼︎狩りを始める、ジーク・ジオン‼︎‼︎」
灰色の猟犬が、月面に狙いを定める…
傷だらけの宇宙を、傷だらけのMSが駆ける…
後書き
遅れてしまい申し訳ありません!
もう5月、早いものです(ノ∀`;)
今月もよろしくお願いします!
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