英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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第102話
ミルスに到着したリィン達はプリネとツーヤの先導によって城に向かって、客室にそれぞれの荷物を置いた後会議室に向かうとそこには意外な人物達と初めて出会う人物達がリィン達を待っていた。
~マルーダ城・会議室~
「む、来たようじゃな。」
「!貴女は……!」
「リ、リフィア殿下!?それにエリゼも……」
リフィアの姿を見たユーシスは驚き、リィンは信じられない表情をし
「やあ、プリネ、ツーヤ。それにレーヴェも久しぶりだね。」
「フフ、こんなにも早くまた会えるとは思いませんでしたね。」
(あら。何故あの二人がここに……)
一人の青年とエルフの女性が懐かしそうな表情でプリネとツーヤ、レーヴェに話しかけ、フィニリィは目を丸くして青年とエルフの女性を見つめた。
「―――お久しぶりです、ウィルさん、セラウィさん。」
「お二人ともお元気そうで何よりです。」
「……そちらは相変わらずのようだな。」
二人に話しかけられたプリネとツーヤ、レーヴェはそれぞれ答え
「?お姉様達のお知り合いなのですか?」
3人の反応を見たセレーネが首を傾げたその時
「ええっ!?あ、貴方ってもしかして……!」
「ユイドラ領主にして”匠王”――――ウィルフレド・ディオン!それに”匠王”の妻のセラヴァルウィ・ディオンまで何故ここに……」
青年―――ウィルフレドの顔を見たアリサは驚き、サラ教官は信じられない表情でウィルフレドとウィルフレドの妻であるエルフの女性―――セラヴァルウィを見つめた。
「ええっ!?じゃ、じゃあ貴方達がリベールの”異変”を解決した立役者にしてかのユイドラの領主夫妻……」
「一体何故お二方とリフィア殿下がこちらに……」
「………もしかしてミルスでのオレ達の”課題”は貴方達が関係しているのですか?」
二人の正体を知ったマキアスとラウラは驚き、ガイウスは不思議そうな表情で尋ねた。
「ふむ。”半分”はあっているな。」
「え……”半分”ってどういう事ですか?」
リフィアの言葉を聞いたエリオットは首を傾げ
「―――リフィア。もったいぶらない言い方はしないで。」
エリゼは呆れた表情で指摘した。
「わかっておる。―――まずお主たちのミルスでの”課題”に関してじゃが……―――何もない。」
「え……」
「何もないってどういう事?」
リフィアの言葉を聞いたエマは呆け、仲間達と共に首を傾げたフィーは尋ねた。
「常任理事のリウイの計らいでな。夏季休暇中にゼムリアからはるばる異世界に来たのだから最終日くらいは羽目を外して自由にしていいとの事じゃ。」
「あらま。」
「へ!?」
「羽目を外して自由にしていいって……もしかして……」
リフィアの話を聞いてある事を察したサラ教官は目を丸くし、リィンは驚き、アリサは戸惑い
「――はい。今日一日帝都を観光しようと城内の客室で休んでいようと皆様の自由です。」
エリゼが答えを口にしてリィン達に微笑んだ。
「やったね。」
「ほ、本当にいいのか……?」
「フフ、常任理事を務めている陛下のお達しなのだからありがたく受け取っておこう。」
エリゼの答えを聞いたフィーは喜び、戸惑っているマキアスにラウラは静かな笑みを浮かべて言い
「う、うーん……いきなり休みって言われてもどうすればいいか、わからないよね……」
「広大な帝都にでれば、下手をすれば道に迷ってしまうな……」
エリオットは戸惑い、ガイウスは考え込んだ。
「その点はご安心ください。帝都の観光を希望の方達は元々私、ツーヤ、レーヴェの3人が分担して案内する事になっていますので。」
「あたし達にとってミルスは住み慣れた場所ですから皆さんの希望する所を案内できますよ。」
「そ、そうなんだ……」
「わあ……!わたくしはツーヤお姉様と一緒がいいです!」
プリネとツーヤの話を聞いたアリサは目を丸くし、セレーネは表情を明るくし
「あ……俺で良ければだが俺も案内できるよ。これでも数年間ミルスに住んでいたからミルスの地理には詳しいし。」
「じゃあ案内役が4人いるから、組み合わせは4つに分担できるな……」
「誰にどこを案内してもらおうかな……?」
リィンの申し出を聞いたマキアスは考え込み、エリオットは嬉しそうな表情で考え込んだ。
「……あの、プリネさん。図書館のような施設ってありますか?」
「図書館ですか?ええ、帝都内にもありますし、何でしたら城の書庫でも構いませんよ?私達の権限でしたら外部の皆さんが利用する事も可能ですし。」
エマの申し出を聞いたプリネは意外そうな表情で答えた。
「委員長は異世界に来て、何を調べたいんだ?」
「えっと……魔術がどれだけ進んでいるか気になっていまして……」
ガイウスに尋ねられたエマは答え
「へえ……エマって魔術に興味があったんだ。プリネ達が魔術を教えてもいいって話には乗ってこなかったのに。」
「そ、その……知的好奇心です。」
アリサの疑問を聞いたエマは答え辛そうな表情で答えた。
「――なら、俺もまずそちらに案内してもらおう。」
「へ……」
「ユーシス?」
「君は何を調べたいんだ?」
ユーシスの申し出を聞いたエリオットは呆け、リィンは首を傾げ、マキアスは尋ねた。
「”アルバレア号”――――”聖獣ラウクソー”について良く知っておきたいからな。アルバレア号の主としてアルバレア号の事を良く知るのは貴族として当然の義務だからな。」
「そこは貴族は関係ないと思うんだが……」
「フフ、わかりました。」
ユーシスの答えを聞いたマキアスは呆れ、プリネは苦笑しながら頷いた。
「フム、ならばリィンは私とフィーと共に”闘技場”の猛者達に挑もうではないか。」
「いい”っ!?と、”闘技場”!?というか何で俺なんだ!?」
一方興味ありげな表情のラウラの提案を聞いたリィンは表情を引き攣らせ
「だってメンフィル皇女のプリネは勿論、プリネの親衛隊長や副隊長をやっているツーヤやレーヴェが出たら闘技場の人達が騒ぐだろうから論外だもん。」
「うむ、フィーの言う通りだ。という事で頼んだぞ、リィン。」
「ううっ……何で俺が……」
フィーとラウラの話を聞いたリィンは疲れた表情で溜息を吐いた。
「アハハ、ご愁傷様だね、リィン。」
「……異世界に来て最初に興味があるのは闘技場とはあの二人らしいな……」
「フフ、ですがあの3人なら案外勝ち抜いて優勝できると思います。」
その様子を見守っていたエリオットは苦笑し、レーヴェとガイウスは静かな笑みを浮かべ
「さあてと。せっかくの休みだし、酒場に繰り出そうかしら♪」
「サラ教官……」
「あれだけ高級ワインをがぶ飲みした上、今夜もあるのにまだ飲むんですか?」
嬉しそうな表情で言ったサラ教官の言葉を聞いたリィンとアリサは呆れた表情でサラ教官を見つめた。
「フム……」
リフィアは口元に笑みを浮かべたが
「言っておくけど闘技場になんて行かせないからね?」
「ぬおっ!?わかっておるわ!(余、余の思考まで読むとは……)」
膨大な威圧を纏うエリゼに微笑まれ、冷や汗をかいて頷いた。
「ハハ、リフィアにもついに弱点ができたみたいだね。」
「フフ、あの様子ですと彼女には頭が上がらない様子ですね。」
エリゼとリフィアの様子を見守っていたウィルフレドとセラヴァルウィはそれぞれ苦笑していた。
「そう言えば気になっていたんですけど……ディオン卿達はどうしてこちらに?」
その時ウィルフレド達の存在を疑問に思ったリィンは首を傾げて尋ねた。
「それを答える前に……――――俺の事は”ウィル”でいいし、そんな堅苦しい態度で接しなくていいよ。」
「私の事もどうか”セラウィ”と呼んでください。」
「ハ、ハア……それでお二人ともどうしてこの場にいらっしゃるんですか?」
ウィルフレド―――ウィルとセラヴァルウィ―――セラウィの申し出に戸惑いながら頷いたリィンは再び尋ねた。
「俺達はリウイに依頼されて君達の装備を創りに来たんだよ。」
「ええっ!?ぼ、僕達の装備を!?」
「一体どうしてそんな事を……」
ウィルの説明を聞いたエリオットは驚き、サラ教官は目を丸くしてウィルを見つめた。
「―――常任理事を務めているリウイがお主たちの事を思ってウィルに依頼したのじゃ。テロリストが現れた中、より不安定な状況となったエレボニア帝国でお主達が生き抜く為に、”Ⅶ組”に関わるリウイがせめて装備は一級品にしてやろうという心遣いじゃ。」
「……………」
リフィアの説明を聞いたリィン達はそれぞれ黙り込み
「え、えっと……エレボニア帝国ってそんなに危険な状況なんですか……?」
事情がよく分かっていないセレーネは戸惑いの表情でリィン達に尋ねた。
「そだね。いつ内戦が始まってもおかしくない状況なのは間違いないね。」
「「………………」」
フィーの推測を聞いたユーシスとマキアスはそれぞれ黙り込み
「そ、その……私達の分の装備を今から創るなんて、無理なんじゃ……」
重くなって空気を変えるかのようにアリサは戸惑いの表情で尋ねた。
「えっと……君は確かアリサさんだっけ?」
「は、はい。」
「良い事を教えてあげるよ。『工匠に不可能はない!』それが”工匠”なんだから!」
「へ……」
力強く言ったウィルの言葉を聞いたアリサは目を丸くして呆け
「フフ、久しぶりに出ましたね、ウィルさんの名言が。」
「ウィルさんの『工匠に不可能はない!』はあらゆる意味で不可能はないものね……」
「フッ、”影の国”でも僅かな設備で俺達の装備を作り上げた程だからな……」
ツーヤとプリネ、レーヴェはそれぞれ微笑ましそうに見守っていた。
「クスクス、ウィルはこんな事を言っていますけど実は武器は全て完成していて、防具も皆さんの身体の採寸を合わせて少し改良する程度ですよ。」
「ちょっと、セラウィ。それはバラさなくてもいいんじゃ……」
そして微笑みながら言ったセラウィの言葉を聞いたウィルは苦笑し
「ちょっと待て……今の言い方からすると……」
「既に我らの武器は完成しているのですか?」
ある事に気付いたユーシスは驚き、ラウラは信じられない表情で尋ねた。
「ああ。」
「ふふっ、”匠王”直々が作った装備をタダでもらえるなんてよかったじゃない。―――ちなみにあたしの分はありますか?」
ラウラの問いに頷いたウィルを見たサラ教官は期待を込めた目でウィルを見つめ
「ちょ、ちょっとサラ教官!?」
「教官のサラの分がある訳ないじゃん。」
サラ教官の行動を見たリィンは慌て、フィーはジト目で指摘した。
「クスクス、大丈夫ですよ。リウイ陛下はサラさんの分もウィルに発注しましたから。」
「ラッキー♪さすが元メンフィル皇帝だけあって太っ腹ね~♪」
「アハハ……」
セラウィの答えを聞いて嬉しがっているサラ教官の様子を見たプリネは苦笑した。
「で、でも本当にいいのかな……?僕達がそんな凄い職人の人が作った装備をタダで貰って使っても……」
「正直、学生の僕達には不相応だと思うんだが……」
その時エリオットとマキアスは不安そうな表情をし
「そ、それに……ウィル様が作った装備って、凄いプレミアがついて一番安くても100万ミラはするって話を聞いた事があるわよ……?」
「ええっ!?ひゃ、百万ミラ!?」
「途方もない値段ですね……」
「それ程の高値が付くなんて、きっと素晴らしい職人の方なんでしょうね♪」
冷や汗をかいて言ったアリサの話を聞いたリィンは驚き、エマは表情を引き攣らせ、セレーネは尊敬の眼差しでウィルを見つめた。
「ハハ、俺としてはそんなとんでもない値段はついて欲しくなかったんだけどなぁ。」
「フフ、これもユイドラ領主としての宿命ですよ、ウィル。」
「うむ!ウィルは歴代に見ない最高の職人だからな!当然の結果じゃ!」
苦笑しながら言ったウィルの言葉を聞いたセラウィは微笑み、リフィアは胸を張って言った。
「皆様が遠慮をする必要はございません。陛下は常任理事の一人として生徒である皆様がいざ内戦が起こった際、少しでも生存率を上げるための措置をしただけですから。」
「万が一内戦が起こった際、他国の余達は干渉できんからな。お主達の事を思ったリウイからのせめてもの贈り物じゃ。」
「…………陛下が俺達の為に用意したのなら、受け取らない方が失礼というものだな。」
「うむ。修行中の身でウィル殿程の名工が鍛え上げた装備を受け取るのは正直不相応だが、陛下のお気持ちを無下にする方が失礼だしな。」
エリゼとリフィアの説明を聞いたユーシスとラウラはそれぞれ頷いた。
「――話は決まったようだね。じゃあ採寸をするから男性は俺についてきてくれ。」
「女性の方達は私が採寸しますので私についてきてください。」
「わかりました。」
そしてリィン達は男子、女子にわかれてそれぞれウィルとセラウィについて行きかけたが、プリネとツーヤが付いて行っていない事に気付いて首を傾げて尋ねた。
「プリネ達はいかないの?」
「私達は既にウィル様に創ってもらった装備があるので必要ないんです。」
アリサの疑問にプリネは答え
「そういやそうだったね。」
「フム、なるべく早く戻るようにする。」
プリネの答えに納得したフィーやラウラはそれぞれ答えた後セラウィについて行き、リィン達もウィルについて行ってそれぞれ部屋を出た。
「そう言えばリフィア殿下。ずっと気になっていたんですがエヴリーヌさんはどうしたんですか?」
「カリンを溺愛している奴がカリンが城に戻っているのに一向に姿を現さない事に何かの前触れかと思っていましたが……」
「レ、レーヴェ……」
ツーヤの疑問に続くように意外そうな表情で言ったレーヴェの言葉を聞いたプリネは冷や汗をかいて苦笑し
「フッ、聞いて驚くなよ?エヴリーヌは今、勉強中じゃ。今はレンに色々と教えてもらっておる。」
「え……エヴリーヌお姉様が勉強、ですか……?」
「一体何故……」
口元に笑みを浮かべて言ったリフィアの言葉を聞いたプリネは戸惑い、ツーヤは信じられない表情をした。
「クスクス、申し訳ありませんがそれは教えられません。エヴリーヌ様はプリネ姫達を驚かせる為に普段は絶対にしない勉学に励んでいますので。」
「ハ、ハア……?」
(まさか…………―――やれやれ、また一癖のある者が”Ⅶ組”に入るな。)
微笑みながら言ったエリゼの言葉を聞いたプリネは戸惑いながら頷き、既に察していたレーヴェは疲れた表情で溜息を吐いた。
~同時刻・レン皇女の私室~
「う”~……この”軍事学”って、相変わらず意味わかんない。こんなめんどくさい事するよりエヴリーヌなら、3分くらいあれば魔術無しでも弓矢で敵を殲滅できるのに。」
一方その頃レンの私室で勉強をしているエヴリーヌはつまらなそうな表情をし
「うふふ、エヴリーヌお姉様。エレボニア帝国はレン達と違って、その”めんどくさい事”をしないと戦争とか勝てないから陣形とか色々と学んでいるのよ。」
レンは微笑みながら答えた。
「ハア……リウイお兄ちゃんがエヴリーヌの為に動いてくれたんだから、もうこれ以上勉強する必要はないと思うんだけど……」
エヴリーヌは疲れた表情で溜息を吐いた。
「あら。もし勉強しないで落第なんてしたら、プリネお姉様、きっと悲しむわよ?それでもいいのかしら?」
「うっ…………わかったよ。すればいいんでしょ、すれば!」
(うふふ、お金をたくさん学院に渡せば落第は免れるかもしれない話は黙っておきましょ♪エヴリーヌお姉様が勉強をする姿なんて、滅多に見られないし♪)
そしてレンの指摘に唸った後再び勉強を再開し、その様子をレンは小悪魔な笑みを浮かべて見守っていた。
その後それぞれの採寸を終えたリィン達は観光の為にそれぞれ帝都に出た。
~2時間後・エリゼの私室~
リィン達が帝都で観光しているその頃、エリゼは休憩の為に自分の私室に入った。
「アリサさんが渡してくれたこのデータは一体何なのかしら……?」
アリサが城を出る前に自分に渡したビデオのコピーデータをエリゼは首を傾げながら映像をみせる装置に入れて映像データを再生した。
「リィン……ん……好き……ちゅ……好き……ちゅる……大好き……!」
すると下着姿になったアリサがリィンを押し倒して深い口付けを交わしている映像が映った!
「なっ!?」
映像を見たエリゼは声を上げて驚き、映像に写っている二人の様子を最後まで見た。
「……………………………………」
映像を見終えたエリゼはその場で黙り込み
「なるほど……このデータを渡したのはアリサさんが兄様と婚約した事を私に知らせる為だったようね……まあ、アリサさんの件はそれでいいとして…………私達やベルフェゴール様達の身体を何度も味わっていながらあんな誘惑にあっさり屈した上、私達の時より興奮して自らアリサさんを抱いた所か何度も中に出している事について、身体に直接教えてもらいますからね?に・い・さ・ま~~~~~?ウフフフフフフフフフ………………!」
やがて目にも見える程の怒気をメラメラ燃やしながら膨大な威圧を纏って微笑み始めた!
こうして……久しぶりの休暇をリィン達はそれぞれ満喫した後、エリゼが作ったディナーに舌鼓を打った後、それぞれの部屋で休み始めた。
なお、リィンはエリゼに夜這いされ、エリゼが満足するまで、寝かせてもらえなかったという…………
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