英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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第101話
8月5日での課題を難なく終えたリィン達はぺステ城で夜を過ごした翌日、ミルスに戻る日となり、エリウッド公爵達に見送られようとしていた。
8月6日――――
~ぺステ~
「短い間でしたがお世話になりました。」
「いや、こちらも久しぶりの客人を迎えられて食事が賑やかになったからお互い様だよ。」
リィンにお礼を言われたエリウッド公爵は微笑み
「何だか今までの実習の中で一番豪華だった気がするよね……?」
「間違いなく豪華よ。お城の客室に泊まるなんて今後絶対に体験できないでしょうしね。」
冷や汗をかいたエリオットの言葉にアリサは苦笑しながら答え
「ツーヤお姉様、セレーネお姉様!二人一緒にこのお城に戻って来る時を楽しみに待っています♪」
「うん、あたし達も楽しみにしているよ。」
「フフ、次は一緒に遊びましょうね。」
クラリスに微笑まれたツーヤとセレーネはそれぞれ微笑んだ。
「その……姉さん。今回は姉さんに会えて本当によかったよ……まあ、姉さんにとって僕は赤の他人だろうけど……」
「そんな事はないわ。記憶喪失の私に親類がいる事がわかった時、とても嬉しかったのよ?また機会があったら遊びに来てね。」
「それは……」
フィオーラ夫人に微笑まれたマキアスは平民の自分が異世界の国の皇族となったフィオーラ夫人に会う事は相当難しい事に気付いていた為、言葉を濁したが
「あたしに言ってもらえればフィオーラ義姉さんにはいつでも会えるようにしますよ。」
「ツーヤ…………ありがとう。それじゃあ……”また”会おう、姉さん。」
ツーヤに微笑まれて静かな笑みを浮かべた後フィオーラ夫人を見つめた。
「ええ、またね。」
そしてリィン達はそれぞれ幻獣に騎乗してぺステから去った。
~メンフィル領空~
「わたくしにとって初めての特別実習でしたけど……色々と体験できて本当に勉強になりました。」
「フフ、まあ今回の実習は初心者のセレーネにとってちょうど良い実習になったわね。」
セレーネの言葉を聞いたサラ教官は微笑み
「というか今気付いたんだが、特別実習中に何もトラブルが起こらずに普通に帰れるなんて初めてなんだが……」
「い、言われてみれば確かに……」
「アハハ……」
ある事に気付いたリィンの言葉を聞いたマキアスは疲れた表情をし、ツーヤは苦笑し
「メンフィル帝国領内……というか他国の平和な所を体験するとやっぱりエレボニアが色々と不味い状況って証拠よね……」
「うん……メンフィル領のセントアークの時も何もトラブルは起こらなかったんだもん。この調子だとミルスでする特別実習も何も起こらなさそうだね。」
複雑そうな表情で呟いたアリサの言葉にエリオットは不安そうな表情で頷いた後安堵の表情をした。
「サラ教官、最終日の特別実習はミルスであるとの事ですが肝心の”課題”はどこで貰えばいいのですか?」
「ん~、それに関してはあたしもあんまり詳しい事は聞いていないのよ。プリネとツーヤが”課題”を渡してくれる人の元へと先導してくれるって話だし。」
リィンに尋ねられたサラ教官は考え込みながら答えた。
「プリネとツーヤが先導してくれるって事は……やっぱりリウイ陛下かしら?常任理事の一人だし。」
「う~ん、僕は違うと思うな。だって前日の時僕達を異世界に連れて行く役目は本来ならリウイ陛下だけど、リウイ陛下が忙しいからエリゼちゃんが代わりにきたんだからエリゼちゃんじゃないかな?」
アリサの疑問を聞いたエリオットは推測し
「そ、それより……最終日もやっぱりマルーダ城に泊まるのか?」
マキアスは冷や汗をかいてツーヤを見つめて尋ねた。
「ええ。まずはマルーダ城の客室に荷物を置いてから以前”ディル・リフィーナ”の事に関して説明した会議室で受け取る手筈になっています。」
「わあ……!また、あのお城に泊まれるんですね♪」
ツーヤの説明を聞いたセレーネは嬉しそうな表情をし
「ふふ、明日は帰るだけなんだから客室にある高級ワインを全部飲むわよ~♪」
「サラ教官……少しは遠慮してください。」
「お願いですからトールズ士官学院の品格を下げるような事をしないでください。」
楽しそうな表情で言ったサラ教官の言葉を聞いたリィンとマキアスは呆れた表情で指摘した。そして”商人の都レスペレント”が見えてくると自分達と同じようにそれぞれの幻獣に乗って飛行して自分達と同じ目的地に向かっているB班の面々に気付き、リィン達はB班に近づいた。
「おーい……!」
「あら……」
「ちょうど同じ時間に戻ってきたようだな。」
自分達に近づいてきたA班を見たプリネは目を丸くし、レーヴェは静かに呟き
「あら?ユーシスさん、その馬は一体……?」
「ま、まさか”天馬”!?何で男が乗れるのよ!?」
ユーシスが騎乗しているアルバレア号に気付いたセレーネは首を傾げ、アリサは信じられない表情で声を上げた。
「フン、このアルバレア号をそこらのペガサスと一緒にしないでもらおう。プリネの話では”天使族”に分類される”聖獣”だそうだ。」
「ええっ!?て、天使!?た、確かによく見たら光の輪っかがあるようですが……」
「一体何があったんだ?」
鼻を鳴らした後静かな笑みを浮かべたユーシスの説明を聞いたツーヤは驚き、マキアスは目を丸くして尋ね、B班の面々はユーシスとエマがそれぞれ使い魔を手に入れた事やその経緯を説明した。
「ええっ!?ユ、ユーシスと委員長がリィン達みたいに使い魔を!?」
「そ、それもエマ君は”魔神”―――”魔王”を使い魔にしただって!?」
事情を聞き終えたエリオットとマキアスは驚き
「ううっ……私の場合はほとんど強引に近い形ですよ……」
「委員長、何でヴァレフォルを嫌がるの?滅茶苦茶強いじゃん。」
「全くだな。ベルフェゴールの強さを知る我らからすれば羨ましいくらいだぞ?」
(ふふ、よくわかっているじゃない♪)
疲れた表情で溜息を吐いたエマの言葉を聞いたフィーは首を傾げ、ラウラは不思議そうな表情をし、二人の言葉を聞いたヴァレフォルは満足げな笑みを浮かべ
「あー、その気持ちはあたしもわかるわ。人の許可なく無理矢理人の身体に住み着いたもんねぇ。」
「?教官、そんな言い方をするという事は……」
「もしかしてサラ教官も使い魔を手に入れたのですか?」
苦笑しながら頷いたサラ教官の言葉が気になったガイウスは首を傾げ、プリネは尋ねた。そしてリィン達はB班にサラ教官がバルディエルと契約した経緯を説明した。
「ええっ!?サ、サラ教官は”天使”を使い魔にしたんですか!?」
「ほう?”はぐれ魔神”を使い魔にするとは……やるな。」
話を聞き終えたエマは驚き、レーヴェは感心し
「サラが天使って全然似合わないんだけど。」
「同感だ。」
「ああん?何か言ったかしら!?そんな生意気な口を叩くなら次の実技テストの相手役はバルディエルにしてあげるわよ?」
(フッ……我はもはや”魔神”と呼ぶべき存在なのだがな。)
ジト目で呟いたフィーの言葉に頷いたユーシスの様子を見たサラ教官は二人を睨み、バルディエルは静かな笑みを浮かべた。
「サ、サラ教官……”はぐれ魔神”を実技テストの相手にするなんて幾ら何でも反則ですよ……」
「フム……話に聞く所リィン達とサラ教官に加えてベルフェゴール達ともまともに戦えるほどの猛者……私としては手合せをしてみたいな。」
「ハ、ハハ……とにかく一端地上に降りてミルスに向かおう。」
冷や汗をかいたプリネの指摘を聞いて考え込んだラウラの言葉を聞いたリィンは冷や汗をかいて苦笑した後提案した。
その後地上に降りたリィン達は転移門でミルスに向かった。
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