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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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外伝~可憐な妹の怒り~

~トールズ士官学院・グラウンド~



「スゥゥゥゥ…………ハッ!!」

戦闘開始の号令がかかるとエリゼは精神を統一し、自身に気功術による身体能力を上昇させた!

「あれは”無の型”―――”軽功”!?き、気功も使えるのか!?」

「ほう……気功まで使えるとは。」

エリゼのクラフト――――軽功の正体がわかっていたリィンは驚き、リィンの言葉を聞いたラウラは興味ありげな表情でエリゼを見つめた。



「うっ……!」

一方エリゼが纏った闘気に圧されたパトリックは気圧され

「どうされました?せめてもの情けとして初手はお譲りしますから、さっさと攻撃して来たらどうですか?かつて私が帝国貴族だった時は父様から帝国男児はいかなる敵も恐れないと聞いておりますが?」

エリゼはパトリックに微笑みながら挑発した。



「ク、クソッ!喰らえ――――ライトニングバード!!」

エリゼの挑発に恐れたパトリックだったが、すぐに気を取り直してレイピアで突きを放つと共に闘気によって発生した鳥をエリゼに向けて解き放った。解き放たれた闘気の鳥は凄まじい速さでエリゼに襲い掛かろうとしたが

「二の型――――洸破斬!!」

エリゼの神速の居合い斬りによって放たれた衝撃波が闘気の鳥を呑みこんでパトリックを襲い

「ヒイッ!?」

襲い掛かってきた衝撃波をパトリックは間一髪回避した。

「秘技―――――」

続けて太刀を構えたエリゼはまるで瞬間移動をしたかのようにその場から消えてパトリックの攻撃を回避し

「裏疾風!!」

「うあっ!?」

更にパトリックの背後へ駆け抜けると共に斬撃を叩き込み

「斬!!」

「ガッ!?」

闘気を込めた太刀を振るって追撃の斬撃波を発生させ、パトリックに斬撃波を叩き込んだ!



「に、”二の型”の”洸破斬”に二の型の秘技、”裏疾風(うらはやて)”……………………」

「な、何なの、今の技!?剣を一端鞘に収めて抜いたと思ったら衝撃波みたいなものが出てきたし……!」

「そ、それにその後に瞬間移動をしたように見えましたが……」

エリゼの剣技を見たリィンは口をパクパクさせ、アリサは驚き、エマは戸惑い

「溜め込んだ闘気を飛び道具として解き放つ”居合い斬り”と”無拍子”―――両足に力を集中させて高速移動する技術だ。フフ、さすがリィンの妹だな。」

「いや、そこで俺に感心されても困るんだが。」

ラウラに感心されたリィンは疲れた表情で溜息を吐いた。



「五の型―――」

一方エリゼは太刀を鞘に収めて抜刀の構えでパトリックに向かって走り

「ク、クソッ!祖国を裏切った挙句”浮浪児”を拾った貴族の風下にも置けない下級貴族如きが調子に乗るなぁっ!!」

自分に向かって来るエリゼを見たパトリックは怒りの表情で強烈な突きを放つ剣技―――パワーピアスを放ったが

「―――光鬼斬!!」

「うわあっ!?」

エリゼの強烈な威力を持つ抜刀技に押し負けて吹っ飛ばされ、その隙を逃さないかのようにエリゼは地面を蹴って空高くへと跳躍して太刀に静かなる闘気を溜め込み

「二の型――――大雪斬!!」

パトリックに向かって落下しながら闘気を纏った太刀を振り下ろした!

「ヒ、ヒィィィィィ……!?」

エリゼが振り下ろした太刀をパトリックは間一髪で側面に跳躍して回避した。



「フン、所詮は小物か。実力が圧倒的に上とは言え、自分より年下の女性を相手に悲鳴を上げながら逃げ回る事しかできないとは。とても”真の帝国貴族の気概”を口にする者の戦いとは思えんな。」

「パトリックの反応は仕方ないと思うよ。多分、僕が戦っても同じような反応をすると思うし。」

「まさかリィンの妹さんがあんなに強いなんてな。」

二人の戦いの様子を見ていたユーシスは呆れ、ユーシスの言葉を聞いたエリオットは冷や汗をかき、マキアスは信じられない表情でリィンに視線を向け

「俺もエリゼがあそこまで戦えるなんて、今まで知らなかったよ……確かにエリスと一緒に父さんや老師から剣の手ほどきはしてもらったし、学校の授業で武術の授業もあったけど……成績は普通よりやや上の成績のはずだったんだけど……一体いつの間に……」

視線を向けられたリィンは疲れた表情で溜息を吐いてエリゼを見つめ

「す、凄いですね、エリゼさん……」

「ひょっとしたらラウラを超えているんじゃないのかしら?」

「ああ……是非とも手合せを願いたいな。」

エリゼの戦いを見ていたエマは驚き、信じられない表情をしているアリサの言葉にラウラは頷いた後自分と同年代……それも年下の女性でありながらも有名な流派の凄腕の剣士である事に嬉しさを感じ、目を輝かせてエリゼを見つめ

「……やはり彼女の周囲の風が彼女を恐れているな……」

(リィン)の事を馬鹿にしたから、怒りMAX状態になっているからだと思うよ。」

静かな口調で呟いたガイウスの言葉にフィーは答え

「フフ、エリゼさんの戦いを見ているとアネラスさんを思い出すわね……」

「ええ……今頃何をしているのでしょうね?」

エリゼを自分達が知る同じ八葉一刀流の女剣士である人物と重ねたプリネとツーヤはそれぞれ微笑んでいた。



「ほう?リシャール大佐の剣技まで扱えるとは。さすがは”剣聖”カシウス・ブライトの教え子と言った所か。」

「しかもアリオスさんの剣技まで使っているじゃない。下手したら(リィン)よりも強いんじゃないかしら?」

エリゼの見覚えのある剣技を見ていたレーヴェは感心し、サラ教官は苦笑しながらリィンとエリゼを見比べ

「……エクリアとカシウスから報告は受けていたが、まさかこれ程とはな。」

エリゼの戦いを見守っていたリウイは静かな笑みを浮かべてエリゼの実力に感心していた。



「五の型――――」

「……ッ……!」

エリゼが再び抜刀の構えをすると、自分を吹き飛ばした攻撃が来ると恐れたパトリックは後ろに跳躍してエリゼから距離を取ったが

「光輪斬!!」

「うあっ!?」

抜刀すると共に放った刀気の輪に切り裂かれ、ダメージを受けた。

「クッ……ライトニングバード!!」

「!!セイッ!」

そしてパトリックは再び闘気の鳥を解き放ち、エリゼは後ろに跳躍してパトリックから距離を取りつつ、自分に襲い掛かってきた闘気の鳥を袈裟斬りで真っ二つにした!

「オーブメント駆動、ティアラ!!」

エリゼが距離を取った事を好機と判断したパトリックは治癒アーツで傷を回復し

「オーブメント駆動……!」

再びオーブメントを駆動させ、高火力のアーツを放つ準備をした。



「………………」

パトリックの行動を見たエリゼはその場で詠唱を開始した。

「下級貴族の分際で”四大名門”の血を引く僕に剣を向けた裁きを受けろ!ジャジメントボルト!!」

するとその時オーブメントの駆動を終えたパトリックがエリゼに向かって凄まじい威力を秘める雷を地面を走らせ

「貫け、烈輝の陣――――レイ=ルーン!!」

エリゼは片手から高純粋エネルギーのレーザーを放って自分に襲い掛かってきた雷へと放ち、エネルギーは雷を貫いてパトリックを襲った!

「なあっ!?ひいっ!?」

パトリックは口を大きく開けて驚いた後慌てた様子でエネルギーをギリギリ回避した。

「…………………」

エリゼは再び魔術の詠唱を開始した。



「クッ!?早く……早く発動しろ!」

エリゼの行動を見たパトリックは慌てた様子でオーブメントを再び駆動させ

「―――全てを呑みこめ、異界の海よ!―――津波!!」

魔術の詠唱を終えたエリゼは自分の背後に学院の校舎をも呑みこむ程の高さがある津波を自分の背後に発生させ、津波は術者であるエリゼをすり抜けてパトリックに襲い

「う、うああああああっ!?ハ、ハイドロカノン――――!!」

襲い掛かる津波に恐怖を抱いたパトリックは駆動を終えたオーブメントで凄まじい威力の水圧がある激流のアーツを放ったが、津波はパトリックのアーツを呑みこんでパトリックを襲った!



「ガッ!?ゴボゴボゴボ……!?」

津波に呑みこまれたパトリックは水の中に閉じ込められた事によって息ができず、苦しみ

「うあっ!?」

そして津波が消えると全身ずぶ濡れになったパトリックは地面に叩き落とされた!



「……………………!(異空間から津波を召喚するなんて…………一体異世界はどれだけ魔法技術が進んでいるのかしら……?)」

「な……何なの!?今のも魔術なの!?」

「津波等、”自然災害”と言ってもおかしくないぞ!?」

「津波を呼び寄せるなんてひ、非常識すぎる……」

「凄いな……これが異世界の魔術の力なのか。」

「ね、ねえリィン。エリゼさんは昔からあんな凄い魔術が使えたの……?」

エリゼが発生させた津波を見たエマは真剣な表情をした後不安そうな表情をし、アリサとユーシスは驚き、マキアスは表情を引き攣らせ、ガイウスは目を丸くし、エリオットは不安そうな表情でリィンに尋ね

「ああ……元々エリゼは魔術の適性が高く、帝都ミルスにある学校での魔術部門の成績がトップクラスだったからな……エリゼが本来得意としている戦い方は後衛からの魔術による攻撃や治癒のはずなんだが……」

「ま、”剣聖”に教えられたら接近戦も上達して当然だと思うよ?”剣聖”の教え子たちはみんな、”達人”クラスだし。」

エリオットの疑問に頷いたリィンは戸惑い、リィンの様子を見たフィーは静かな口調で呟いた。

「近づけば”剣聖”直伝の”八葉一刀流”……離れれば強力な魔術……フフ、まさに弱点が見当たらない戦い方だな。」

「エクリア様に実戦技術を教えてもらっているのですから、ひょっとすればいつかはエクリア様みたいな凄腕の侍女長へと成長するかもしれないわね。」

「そ、そうかもしれませんね。あたしも追いつかれないようにもっと頑張らないと。」

一方エリゼの戦い方にラウラは感心し、プリネは微笑み、ツーヤは苦笑していた。



「無の型――――独楽舞踊!ハァァァァァァァ……!」

「なっ!?う、うわあっ!?」

魔術を放ち終えたエリゼは全身を回転させて風圧を発生させてパトリックを自分の元に引き寄せ

「―――失礼!」

「ガッ!?」

自分の元に引き寄せたパトリックの足元目掛けてエリゼはスライディングで飛び込んでパトリックを空へと打ち上げると共に自分も跳躍し

「無の型―――落葉!!」

「へぶっ!?」

闘気を込めた裏拳をパトリックの頭に叩き落とすと共にパトリックを地面に叩きつけ

「秘技―――八葉滅殺。ヤァァァァァァァ……!」

全身の力を振り絞り、乱れ切りを放った!

「う、うああああああっ!?」

次々と襲い掛かってくる斬撃をパトリックはレイピアで捌こうとしたが、エリゼは意図的にパトリックのレイピアに集中攻撃をし

「セイッ!」

「なっ!?」

止めの一撃の袈裟斬りでパトリックの手からレイピアを跳ね飛ばした!



「―――これで終わりです!ハァァァァァァァ…………!」

そしてエリゼは後ろに跳躍してパトリックから離れて太刀に闘気を溜め込み

「奥義――――光破斬!!」

闘気を溜め込んだ太刀で十文字斬りの光の刃を放った!放たれた十文字の光の刃はパトリックに命中すると大爆発を起こした!

「う、うああああああああああああああああっ!?」

八葉一刀流の奥義の一つにしてエリゼのSクラフト――――光破斬を受けてしまったパトリックは悲鳴を上げ、爆発による煙が消えると全身に酷い傷を負ったパトリックが地面に跪いていた! 
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