世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
涼宮ハルヒの憂鬱 ~エンター イン グループ~
「ふう・・・・」
クウガの次の世界。
俺がたどり着いたのはどうやら学校の教室・・・・いや、部室のようだった。
たった一つの問題を除いて、オレのこの世界での行動は最初から順調だった。
最主要人物が誰だかいきなりわかったし、主要人物たちの情報もきた。
ちなみに服装はこの高校のものであろう制服を着ていた。
たしかにいいさ、手間が省ける。
だけどさ、これはないんじゃないですか?
到着地点がそのご本人たちの目の前なんてやばすぎでしょう!?
「お、おまっ、どこっ、は?なんっ??」
「ほう・・・・」
「きゃあ!!ど、どなたですかぁ~~~!!??」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
オレの目の前にいる四人はそれぞれ反応が違った。
一人は見事にテンパっていて。
一人はなんか感心してて。
一人はバタバタと慌てだし。
一人は分析するような眼でこちらを見ていた。
「ふむ・・・・もしかして、あなた異世界人・・・とか言いませんよね?」
「はぁっ!?」
おとなしそうな男がいきなり核心を突いてくる。
蒔風も初めての経験。そりゃあ素っ頓狂な声も上がるというものだ。
「おい古泉。こいつ本当に!?」
「涼宮さんが掲げていた奇天烈項目のうちの、宇宙人、未来人、超能力者はもうすでにいるのですよ?この登場は遅すぎるくらいです。それとも、満を持して、ということなのでしょうか?」
「・・・・・おい、おまえ。本当に異世界人か?」
「待ってくれ!!なんでお前らそんなに理解が早いんだよ!?」
「なんてことはありませんよ。あなたがこの世界に来た理由は、おそらく涼宮ハルヒという人物が原因でしょう?」
「いや、違うけど・・・・」
「・・・・そうですか。いや、あなたが知らないだけかもしれませんし・・・・あ、それと、あなたに敵意はないんですよね?」
「ないけど・・・」
「ああ、それはよかった。いきなり戦闘に入るのはいささか厄介なのでね。異次元からの侵略者じゃなくてよかったです」
「そんなこと言ってる場合か古泉。・・・で、お前さんは本当に異世界人なのか?」
「ああ。この世界の外から来たってことになるからね」
「長門、本当か??またなんかお前の親玉がやらかしたんじゃないのか?」
「違う。彼の言っていることは事実。彼の存在座標は、この世界とは異なっている。」
「つまり?」
「一般的に、彼は異世界人と呼ばれるカテゴリーの人間。また、肉体の構造は我々と変わらず、体内の状態からみて、彼に敵意は存在しないと思われる。」
「そうか・・・」
「しかし・・・・断定はできない」
「なぜだ?」
「彼はこの世界の人間ではない。故に、どのような力をもっているか、わからない」
「十分だよ。長門」
「(コクン)」
そうして長門と呼ばれた少女は、ふたたび読書に戻るかと思いきや、天井のほうを向いて止まってしまった。
「えっと・・・でー・・・・さ」
「ああ、自己紹介がまだでしたね。僕は古泉。古泉一樹といいます。このSOS団の副団長をやっています。よろしく」
「あ、オレは蒔風舜。って、SOS団って何だ?」
「その説明はのちほど、そしてあちらの方が」
「あ、あのぅ。朝比奈みくるといいますぅ・・・・」
「あ、どうも」
「お、お茶をどうぞ・・・」
「ありがとうございます」
「そして彼女が・・・」
「・・・・長門有希。」
どうやら天井観賞から帰ってきたようだ。
ポツポツと言葉を紡ぐ。
「・・・情報統合思念体から報告があった。」
「お前の親玉から?」
情報統合・・・・なんだそりゃ?
「先ほど、彼とは違う存在がこの世界に侵入してきた」
「なんだと!?」
「そして今は行方をくらまし、どこかに潜伏している・・・」
「どこだ!!どこであいつを見失った!!」
「それは・・・」
長門が口を開こうとした瞬間に
「あんたたち!!あたしがいない間に何騒いでんのよ!!!」
バァン!!と扉を豪快に開き、一人の女子生徒が入ってきた。
そして部屋の状態を見渡し、オレを疑うような顔で見て
「だれよあんた」
なんて聞いてきた。
「あー、ここの生徒だけど・・・」
「そんなのは見ればわかるわよ!!学年は?クラスは??なんでここに来たの?答えなさい!!」
「まくしたてないでくれ!!えっと・・・」
「ん?でもあんたの顔見たことないわね・・・本当にうちの生徒??」
なんでこの世界の奴らはこう鋭いんだよ!!!
「あー、ハルヒ。彼は明日からの転校生でな、その前に学校を見に来てここにたどり着いたそうだ」
まだ自己紹介していない男が、蒔風の事をいろいろと説明してくれている。
常識人がこんなにありがたいと思ったのは初めてである。
「ふぅん。で、なんでここに来たの?」
「ここの人達がなんとも面白そうって聞いたもんでな」
「入団希望者ってこと?あんた、不思議な力を持ってるの?」
「ああ、それはな」
「涼宮さん、今日は彼も来たばかりですし、時間も遅いです」
自分のこと、「奴」のことを説明しようとする俺。
だが、その言葉は古泉に遮られてしまった。
なにかあるのだろうか?
「彼をこれ以上引き止めるのはかわいそうです。ですから、また明日彼には来てもらうということにしましょう」
「まあ、そうね・・・古泉くんの言い分も尤もだし・・・わかったわ!明日、なんか見せてもらうからね!」
そういって「団長」と書かれた席に涼宮が座る。
「あれ?あんた名前は?自己紹介とか済んだ?」
「蒔風だ。蒔風舜」
「オレの紹介だけまだだったな。オレは「そいつはキョンよ」おい!」
「なによ。あんただけ自己紹介してないって言うからあたしが言ったんじゃない」
「くっ。改めてオレは・・・」
「よろしく、キョン」
「定着しちまったじゃねぇか!?」
そうして、まだ少し残るらしいSOS団のメンバーを残して、オレは部室を出る。
その際、古泉から一枚のメモ用紙を渡された。
そこには、8時に市営公園に来てくれるように書いてある。
話はそこでするってことか。
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「おーい、来たぞー」
「ああ、こっちです」
そして時間通りに公園にオレは到着した。
何時からいたのだろうか?そこには涼宮を除いたSOS団のメンバーが揃っていた。
「待たせたか?」
「いいえ、時間ちょうどです」
「ふう。で、俺としてはなんであの場で止められたのかの説明とかをお願いしたいんですわ。頼むよ」
「では、説明しましょう」
そうして古泉が説明を始める。
途中途中で情報も頭に流れ込んできたから、内容はしっかりと伝わってきた。
どうやら彼等は人生を面白可笑しく過ごそうとする涼宮ハルヒに集められた人間だそうだ。
涼宮の目的は宇宙人とか超能力者、未来人に類する不思議で遊ぶ事らしい。
そして涼宮ハルヒは面白そうな人間を集めた。
しかし偶然か、必然か、集められた人間はみな本当に普通ではなかった。
どうやら彼らによると、これは偶然ではなく、涼宮ハルヒの力によるものらしい。その力とは、涼宮が意識的にしろ無意識的にしろ、彼女の思い描いたことが現実に反映される、というとんでもないものだった。
しかも涼宮本人はこの能力を知らず知らず行使しており、不思議なことがそうはない、と思ってるらしい。
だから、彼女には様々な不思議現象をひた隠しにしなければならない。自覚した彼女がなにをしだすかわからないからだそうだ。
オレが涼宮に説明するのを止めたのはこのためか。
面倒だな。元凶に知られないように問題を片付けるのは。
そして彼等は様々な事件を解決してきたらしい。
「と、こんな感じですね。僕の機関のことなどを省いて説明したつもりですが、大丈夫ですか?」
「ああ、大体わかった」
「朝比奈さん、長門さん。今の説明に付け足すことは?」
「ないです」
「問題ない」
「んじゃ、今度はそっちだ。説明しろよ?」
「とーぜん。そのつもりだ」
そして、今度はオレが説明を始めた。
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「なるほどな。その「奴」って野郎がこの世界の最主要人物ってのを殺して、世界を壊して喰らうってんだな・・・」
「つまり「奴」はその人物を手繰ってきた。つまりあなたが来た理由もその最主要人物、つまりは」
「あー、悪いけど、この世界の最主要人物は涼宮ハルヒじゃないぞ?」
「涼宮さんではない・・・・?では誰が?」
「キョン、お前だ」
「オレ!!??」
「待ってください。彼は普通の一般人ですよ?」
「うん、そうだよ。彼は普通の人間だ」
「え?」
「最主要人物だからと言っても特殊な人間であるわけではない。普通の人間が主人公の話もあるだろ?」
「なるほど」
「あ、あのぅ・・・つまりキョン君の命が狙われるって事ですよね」
「そうだよ!ここにいるのまずくないか!?」
「たぶん大丈夫。いま「奴」は世界の構造を割り出しているだろうから、来ないと思う」
「世界の構造?」
「世界によっていろいろ違いがあるだろ?それを割り出さないと、世界を壊しても取り込むことが非常に困難になって、ほとんどが消えてしまうんだ。だから今「奴」は世界の構造を割り出している」
「それはどれくらいかかりますか?」
「長門さん。「奴」が来たのは何時頃ですか?」
「今日の17時48分」
「となると大体明日の18時くらいかな」
「では明日の放課後に一気に攻めてくると?」
「いや、少なくとも涼宮の近くにいる時は大丈夫だ」
「なんでだ?」
「涼宮の前でお前を殺す。それはあからさまに非日常だ。「奴」か特別な力を使おうと使わまいとそれは涼宮の精神に大きなショックを与える」
「なるほど。それで世界の構築が変わってはせっかく今算出しているのが無駄になる、ということですか」
「もしくは、新しい世界を作られるかもな。つまり「奴」も俺たちも、涼宮にばれないように事を済ませなければならない」
「では、今は安全なのですね?」
「うーん。確かに「奴」は動けないし、今殺しても世界は食えない。けど・・・」
ヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァンン!!
「ボコボコにして捕まえておくことはできるからなぁ」
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア・・・・・・・・・・
「ひぇっ!?」
「なんだなんだぁ!?」
「「奴」だなおそらく、この世界に残された何らかの記憶を利用してきている。ほら、あれ・・・・・」
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いきなり変わった風景。
どうやら長門が作り出す異空間と同じようなものらしい。
「キョ、キョンくぅ~ん・・・」
朝比奈さんがオレの腕にしがみついてきている。
カマドウマの時もあったなぁ、こんなの!!
なんでこんな状況でしかこんな風にならないんだ!!
「ほら、あれ」
ひくついて動かない俺の顔だが、精神面は面白百面相になってる。
誰かに見せてやりたいぜ。
とかそんなことしてると、蒔風がなんか指さして言ってきた。
あん?なにがあれだって??
蒔風が指をさしたほうを見た。
そこにはグネグネした黒い塊が次々と現れて、しかも分裂して15個ぐらいに分かれていた。
「あれ、何だかわかる人挙手ーーー」
わかんねえよ!!!
「おかしいな、お前らのだれか、確率としてはキョンが今までに遭遇した脅威のはずだが」
俺が受けた脅威?そんなもん、ハルヒと出会ったこと以外に何がある。
あいつにかかわったせいで俺はトンデモ現象にかかわり始めたんだ。今となっては納得してるけどな。
まずあいつに話しかけて、SOS団を立ち上げ、部室を占拠し、朝比奈さんが拉致られてきて、古泉が転校してきて。
ここから一気にきたんだよな。長門にトンデモ話を聞かされ、朝比奈さんが驚きの正体を明かし、そして朝倉に・・・・・朝倉??
「おいおいおいおい・・・まさか、冗談だろ?」
分裂したグネグネがどんどん人型に近づいてくる。
わかっちまった。いまこそ自分の判断能力の高さに嫌気がさしたことはないね。
なんであんなピカソの絵よりグネグネのでわかっちまったんだよ!!
「心当たりがあんのか?」
「あれは・・・・」
「対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース」
長門、初対面の人間にいきなりそれは・・・
「なるほど、じゃあお前の同類?」
わかんのかい!
「さっき説明受けたからそりゃわかる」
おれはいまだによくわからんのだが。
「情報統合思念体が、この惑星の人類とコンタクトするためにかつて創造した端末。しかしあの個体はすでに消去されている」
「その記憶をもとに大量生産したってところかな。多分性能は能力こそ欠けてても、パワーなんかのステータスは底上げされてるぞ。で、あいつなんてんだ?対有機なんたらなんて長い名前以外にもあるだろうよ」
「・・・・あいつは前にオレの命を狙ってきたやつだ。ハルヒがどう動くかとか見るためにな」
「あー、急進派ってやつか?」
「そう。そして彼女の個体名は・・・朝倉、涼子」
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グママママママママママママママママママママママ
「うわー。どんどん形がしっかりしてきてるよー」
目の前の影がついに立ちあがるところまで出来てきて蒔風が面白そうに呟く。
「なあお前らってどれくらい戦える?」
「僕の力は使えるようですね。しかし普段の十分の一程度ですが」
「大丈夫なのか?」
「あの程度なら。それにこの程度で十分だということなんでしょうし」
「長門さんは?」
「問題ない」
「うん、よし。朝比奈さんなんかはなにか?」
「わたしは武器は持ってないです危ないですし・・・」
確かにこの人に武器は危ない。背中から打たれそうだ。
蒔風がそう思ったとか思わなかったとか。
「おれは一般人だからな!!」
「わーってるよ。でも、お前が狙いなんだからな。あいつらは」
「ど、どうするんだ??」
「戦争を!!一心不乱の大戦争を!!」
「おい!」
「さぁー、テンション上げていくぜ!!」
グオン
「な、長門?」
「そこなら安全」
長門が戦えないキョンと朝比奈さんをバリアで包む。
パンパン、と蒔風がそれを手で叩き、頑丈さを確かめていた。
「おお、これなら大丈夫そうだな!・・・さっって!!いいか(女子らしいけど)この野郎ども。俺がいる限り、こいつに手出しはさせん!!!力を借りるぜ!!」
バッ、ヴォン!!
そう言って蒔風が腰に手を当てるとベルトが現れた。
そして構えをとり・・・
「変身!!」
カチッ、ヴァンヴァンヴァンヴァヴァヴァヴァヴァヴァァァァァァァァァ・・・・パァン!!
蒔風が叫び、変身する。その姿は・・・・
「よっしゃぁ!!仮面ライダークウガ!!」
「蒔風さん、その姿って・・・」
「ん?知ってんの?」
「確か、僕の記憶では、子供のころのヒーロー番組の登場人物でした」
「あー。この世界で物語になってんのか。五代さん。いや、前の世界がこの世界でさ、力を借りてんのよね。まあか借りるというよりはコピーしているって感じかな」
そう、蒔風が前の世界で五代と別れるとき、五代は「蒔風の旅の安全」を願ってくれた。
そして蒔風の翼は人の「願い」を司る。
その五代の願いを蒔風が力として受け取ったのだ。
蒔風は他の世界の力をいくらでも借りられる(今まで出会ってきたものの中で、なおかつ蒔風に味方するものからだけだが)
その力は一つの力につきトータル十五分間の使用制限があるが、使用者が蒔風になっているので、それなりに強くなっているのだ。
「な、なるほど・・・・」
「ほら、くるぜ!!いや、行くぜ!!!こっからスーパーヒーロータイムだ!!!」
to be continued
後書き
・涼宮ハルヒシリーズ
タイトルにフルネームで名前が載っているのに、主人公は彼女ではない不思議な作品。
最新刊はまだか。
・時系列
「消失」の後の話になります。
・朝倉涼子
長門とおんなじ宇宙人。
キョンを殺して、ハルヒに変化を促そうとした。
が、長門さんによって阻止されて消滅。
・力を借りる
翼人は、その翼に感情を司る。
その感情を担ったときに、仲間の力を借りることが可能なのである。
異世界という、超えることのできない場所にいるからこそ、その力を託されることができるため、同じ世界にいる場合にはこの力は作用しない。
だが当然例外もあり、同じ世界に別の物語として入り込んだ時はその限りではない。
例:クウガの世界内で、クウガの力を使うことはできない。
また、力を借りている状態では、自分を含めた他の者の力は使えない。
つまり、クウガに変身して十五天帝を使うことはできない。
使えば、他者と自分の力のぶつかり合いで、肉体が崩壊して消滅していくからだ。
正確には「使えるが、ただでは済まない」
アリス
「次回、朝倉コピーと戦う蒔風たち。退けるがその後の「奴」の行動は!?」
ではまた次回
世界を大いに盛り上げる、ジョン・スミスをよろしく!!
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