moon light fantasy
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Mammon rhapsody 2
前書き
ついにあいつがきたあー!
コーン。
その音が聞こえた瞬間。景色が一瞬にして回りだす。まるで今までのことが無かった事ににされた様に。世界が違った方向に回る違和感。それがフォルツとヒカルを襲った。
「ああ、痛かったのね……。」
「⁉︎」
見るとありえない光景が広がる。先ほどまで串刺しにされていたマモンが傷1つ無くそこに立って……いや降臨していたと言ったほうが正しいだろうか。そこに立っていた。
「なっ……!」
ヒカルが驚愕の目でマモンを見る。しかしそのスキはとても大きかった。マモンのその巨大な手がヒカルに伸びる。
「そうさせない。」
その瞬間横から伸びてくる影。……フォルツはヒカルを突き飛ばすと自分は大剣でマモンの腕を弾き飛ばす。
「ちっなのね……。」
マモンはそう言ってフウフウと自分の腕をさする。それを見てヒカルは剣を構えながら尋ねる。
「なぜ……生きてる。」
「簡単なのね。私はただ『調律』をしただけなのね。」
「調律……?」
マモンはそう言ってその大きな腕を組み。自慢げに説明を始めた。
「私はこの世界の主。だからこの世界の不都合を自由に書き換える事ができるのね。
つまり!さっきの不覚も私の調律でなかった事になったのね。」
「なっ……。」
再び驚く2人。それもそのはずである。なぜならマモンの言う通りならばこの世界にいる限りではマモンを倒す事は不能という事になる。それはつまり……。
「俺たちに勝機はない……?」
フォルツはそう言ってくっとマモンを見上げる。そこには絶対に倒せない絶望だけがそこに広がっていた。
「ヒカル君……。」
そうして今にも閉じ込められてカエル達に襲われそうなフローラは泣きそうな声で呼びかける。
「……大丈夫だ。必ず助ける。」
ヒカルはそう言ってフローラを見ずに応えるがその声はどこか不安げな声質になっていた。
「フォルツ……。さっさと助けて下さい。囚われのお姫様も飽きてきました。」
アリスは少し不安げな表情を浮かべて少し毒を吐くとフォルツははあ、とため息を吐く。
「……。はあ、まったく。厄介なカエルだよ。」
フォルツはそうため息を吐いた瞬間。考える。
ーーーマモンにダメージを与えるにはどうすればいい?
……このまま戦う?論外だ。さっきの調律で一気に回復されて終わりだ。
……トランス?……それもダメだ。血を飲めない今の状況じゃこっちがガス欠して終わりだーーー
そう考えると不意に頭の中から……直接声が聞こえた。その声は美しくどこか歌うような声だった。
ーーーなら?僕の力を使えばいい?僕ならばこの調律のカラクリを破りつつ。マモンを倒す事ができるよ?ーーー
ーーーだまれ‼︎俺はお前の力は借りる必要はない!ーーー
ーーーそんな事言ってる場合じゃないんじゃない?ほらほらフローラちゃんはともかく君の大切な花嫁も穢されちゃうよ?ーーー
俺はそれを聞いてちらりと2人の鳥かごをみると鳥かごはもう少しで溶ける段階まできている。このままだと2人はすぐにカエルの餌食になってしまうだろう。
ーーー本当にあの2人を助けられるんだな……?ーーー
ーーーもっちろん!死神は他人の願い事に忠実なのさ。ーーー
ガシャン。
ボロボロになった玉座に座っていたソーニャは飲んでいたティーカップを落としてしまう。そうしてティーカップに目も当てずニヤリと微笑んだ。
「おかえりなさい。音の……いや歌劇団の死神……スノードロップ‼︎」
世界は再び回り出す。死神と共に。
「なっ……。」
その時マモンは驚きの声を上げる。その時にはもう大鎌で腕が切断されていたのだ。
そうして舞うのは赤い影。
「ladies' & gentlemen♪‼︎
ここからは僕のターンだよ?」
そこにいるものは驚愕する。なぜならフォルツの姿が無く。そこにいたのは髪で片目を隠した少年。そしてその少年は背の丈もある大鎌を担いでいた。マモンはその姿を見て呟いた。
「歌劇団の死神……!スノードロップ⁉︎」
そうしてスノーは久しぶりに笑顔で微笑んだ。
「みんな久しぶり?僕だよ?」
後書き
久しぶりにスノーを書けるのを嬉しく思う今日この頃。
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