moon light fantasy
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Mammon rhapsody 1
前書き
祝!50話!
「……は!」
最初にマモンに斬りかかったのはもちろんヒカル。フォルツの出した片手剣を水平に構えマモンに向けて飛び出すと剣をそのまま持ったまま向かっていく。そのスピードは瞬きすら許さないスピードだった。
「『夜空』……!」
するとヒカルはそのままノーモーションでマモンに斬りかかった。
普通人間は何かしらの動作をする時に何かしらの前振りの動作がある。それをモーションというのだがヒカルの剣戟はそれが無い。努力と才能。その二つが合わさった『空の剣技』の内の1つ『夜空』がマモンを捉える。
…はずだった。
「残念ね。」
しかし斬られたマモンは何かあったのか?とでも言うように全く効いていなかった。むしろ剣戟を入れたはずのその身体は何故か傷1つない。
「なっ……!」
「伏せろ‼︎ヒカル‼︎」
フォルツがそう叫ぶがその前にヒカルの横をごっ‼︎という音と共に強烈なカエルの右フックが跳ぶ。そのフックをまともにくらい傍聴席の後ろまで派手な音を立てて吹き飛ばされてしまう。
「がは……⁉︎」
「ヒカルくん!」
籠の中のフローラがそう叫ぶ中、フォルツはそれを見てギリッと歯ぎしりしてマモンを睨みつけると。
「くっ!何してる!」
フォルツは右手、左手に夢幻剣の片手剣を呼び出す。以前ライトとの戦いで行った二刀流である。この二刀流は地味に学校の屋上でニナに内緒で練習しており実力も上がっていた。
そうしてどっしりとした構えのマモンへと飛びかかる。
「月華流!『蘭月』!」
ヒカルとは打って変わってモーションなどのお構いなしの乱れ斬りをマモンに与える。手数なら多いこの剣技。さらに月華流の能力魔法によって剣技の力も上がっている。はずなのだが。
「だから残念ね。」
しかしマモンの身体には傷1つついておらずむしろテカテカと身体が光り輝いていた。
「私にはきかないのーね!」
そうして次に飛び出すのは右ストレートがフォルツの身体全体を捉える。そうして先ほどのヒカルのように吹き飛ばされてしまう。
「グフっ……。」
「フォルツ!」
フローラと同じ籠の中のアリスもそう叫ぶ。そうしてフォルツは先ほどまで吹き飛ばされていたヒカルに近寄る。
「おい。フォルツ。この剣はなまくらか?」
「……違うな。」
フォルツはチラリとマモンを見る。マモンはどっしりと構えてニヤニヤと大量のカエルが群がる2人の入った籠を見ている。
「くっそ……!」
あらあらこれは大変だね。死神の出番は近いかな?
「……。黙れ。」
「フォルツ?」
ヒカルはこの時ニナと喋っていると思った。大方ヴァンパイアになれとかその様な事を。
しかしこの時。死神の影が少しずつ……。少しずつ……表れていた。
フォルツは首を振って答える。
「……ん?いや、なんでもないヤボ用だ。
さて……。」
「どうするかだよな。」
どうするかとヒカルはふと夢幻剣を見るとキラリと光った。よく見ると何かの液が夢幻剣の刃に着きなまくらにさせている様だった。
「……。なるほどな。」
「ヒカル……?」
そうしてヒカルは再び夢幻剣を構えるとマモンに向けて飛び掛った。
「あら?また来たのね?今度は……。」
「今度はねえよ。屑が。」
今度は『夜空』ではなく。なんの変哲もない突きだった。その突きはグサリとマモンの腹に剣が刺さる。先ほどまで鉄壁を誇ったテカテカの身体に血が混じる。
「なっ⁉︎」
「死ねよ。屑が。」
そうしてもう1つ、もう1つと突きを食らわせていく。それはまるで淡々と害虫を駆除する様に。マモンの身体が後ろに倒れてしまう。
「なぜ……?私の身体は剣を通さないのにね……?」
倒れながらマモンはそう呟いた。
そう、マモンの身体は体液で覆われており剣の斬撃は全て体液で剣をなまくらにされて傷1つ負わない。
だが逆に突きならば?突きならば風船に棒を刺す感覚で穴が開く様に。ガラスを鉄パイプで割る様にダメージが与えられると考えたのだ。
そうしてマモンの身体が動かなくなるとヒカルはふーと息を吐きフローラの籠に向かう。
「フローラ……!今助けるからな。」
コーン。
ヒカルの後ろで何かが鳴った様な気がした。
後書き
やったか⁉︎これで絵本の中のフォルツ編は終わりか⁉︎
ん……?題名がMammon rhapsody 1?
え?という訳は……?
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