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DQ5~友と絆と男と女  (リュカ伝その1)

作者:あちゃ
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27.何だかよく分からない状況になったら考えるのを止める。だってよく分からないんだもの。

<サラボナ>
フローラSIDE

「リュカと申します。美しいお嬢さん」
リュカ!?もしかして…
私は懐から、美しいカワセミを描いたワッペンを取り出し男性に見せた。
「これに…見覚えありますか?」
彼の瞳が綺麗に輝く。(この人格好いい)

「もしかしてフローラ…?君、フローラかい?」
あぁ…やっぱりあの時のリュカだ。
優しく私を諭してくれたリュカだ。
私の初恋のリュカ…とても逞しく格好良く素敵な男性になっている。
「覚えていてくれたのですね」
「忘れる訳ないよ。ステキな物を貰っちゃったし」
やだ、恥ずかしい…そう言えば私、リュカにとんでもない物を渡してたんだ…



リュカはこの町に天空の盾を探しに来たという。
天空の盾とは我が家の家宝の盾の事だと思う。

これはチャンスだ!
私の婚約者選びの試練に合格すれば我が家の財産…つまり天空の盾も手に入れる事になる。
リュカが合格してくれれば、好きでもない人と結婚しなくても…いえ!リュカと結婚出来る!
「リュカ…私に天空の盾について心当たりがあります」
「本当かい!それは助かるよフローラ。君は僕の女神様かもしれないね」
そんな…恥ずかしい…リュカこそ私の…
「あ、歩きながら話しましょう」
恥ずかしさのあまりリュカの顔をまともに見れない私は、リュカに背を向け歩き出す。

「多分その盾は、私の家の家宝の盾だと思います」
「フローラの…」
「今、我が家ではあるコンテストが催されています。いえ、コンテストなどと言う生易しいものではなく、とても危険な試練が!」
「危険な試練…」
リュカの声に緊張感が混じる。
「その試練に成功した方に、我が家の財産を譲渡する。もちろん天空の盾も譲渡対象です」
「う~ん…財産はともかく、盾だけでいいんだが…」
私は彼の呟きに驚いた。

普通の人達は財産のフレーズに色めき立つのに、リュカは興味を示さない。
やはり彼は他の人と違う。
我欲が無く、美しい心の持ち主なのだ。
私は彼に成功して欲しい。
だから結婚の事はギリギリまで黙っておく。
だって…私と結婚したくないと言われたくないもの、そんな事言われたら私…

フローラSIDE END


<サラボナ>

危険な試練かぁ…
やだなー…危険な事なんて…やだなー!
楽に金持ちになれるならいいけど、危険な事してまでは…

「う~ん…財産はともかく、盾だけでいいんだが…」
盾だけでいいので危険な試練を受けなくていいですか?って言ってもダメかなぁー。
あー!ヤダ、ヤダヤダヤダ…危険な事ヤダ!
と、脳内で千人の俺が駄々っ子の様にのたうち回っていると、すごい豪邸に到着した。

「こ、ここがフローラのお家?」
ちょっとだけ圧倒されてる小心なボク。
「いえ…こちらはゲストハウスです。母屋はこの奥に…」
ゲ、ゲスト………

世の中舐めてました。
奥にものっそい豪邸が控えてました。
喩えるならゲストハウスは、幼児用のビニールプール。
母屋はウォータースライダー付きの流れるプールだ。
もはや庶民の家など水溜まり以下だ!

そのウォータースライダーから、ぞろぞろと沢山の男達が出て行く。
「あの方達は?」
「今回の試練を挑戦する方々です。」
こんなにいんの!
どんだけ財産あるんだよ!
まぁ、このウォータースライダー見れば一目瞭然だね。

これきっとアレだよ。
一度穿いたパンツは二度と穿かない様な人生送ってんだよ。
あぁ、だからか!だからフローラはパンツくれたのか!
これ相当すごいよ。
ッパない危険度の試練が待ってるよ。
目でピーナッツ噛めとか、そんなもんじゃないよ。
…いや、それも結構キツイと思う!


中に入ると、またすごかった。
高そうな絵画とかシャンデリアとか…もう、ムリッス…
何より俺の気を惹き付けたのは、沢山の美人メイドさん達だ!イェ~イ!(何が?)
メイドさん達も財産に入るのかな?
聞いたら怒られるかな?

「お父様」
「おぉ、フローラ!何処へ行っておったのだ?ん?そちらの方は?」
鉄腕ア○ムのてっぺんが禿げちゃった様な頭のオッサン登場!
『お父様』って言われてたけど…似てネー!まぁ、似てたら最悪の不幸だよね。
「はい。今回の試練をお受けしたいそうです。ご説明をお願いしますわ」
「なんと!今、終わって皆出て行った所なのに」
「あの?時間切れ…ですかねぇ?」
ぶっちゃけ構わん!むしろその方がいい!そうすれば『盾だけください』って言いやすい。
「まぁ、構わん」
えぇぇ!いいのぉぉ!?
ちょー怖いんですけどぉ!
「あの…試練って何するんですか?」
3べん回ってワン…とかだったら笑顔で出来る!
「うむ。ここから南に行った所にある『死の火山』へ行き『炎のリング』を取ってくる事。さらに、ここより北に行った『滝の洞窟』で『水のリング』を取ってくる事だ」

「え!?そんなんでいいんですか?」
何だよ…初めてのお使いかよ!
「あ、あぁ…ただしルールがある!」
「るーるるる?」
「ルールだ、ルール!」
あぁルールか。
てっきり『夜明けのスキャット』かと思った。
「必ず挑戦者である君が直接行く事。もう一つは、協力者を連れて行っても良いが一人だけだ」
ちぃ…みんなで仲良くピクニックって訳にはいかないか…

「一つ質問が」
「何かね?」
「僕はモンスター使いです。仲間の中にスライムナイトがいます。一人にカウントしてもいいですか?」
ピエールとスラッシュ…2人いるからダメー!って言わない?
「ふむ…………まぁ、いいだろ」



 
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