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DQ5~友と絆と男と女  (リュカ伝その1)

作者:あちゃ
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28.口約束も契約の内。迂闊な事は言えない。

<サラボナ>

取りあえずピエールを連れてっても大丈夫な様だ…うん、一安心。
あ、そうだ!一応天空の盾を確認させて貰えないだろうか?
全然関係のない盾の為に苦労はしたくないもんね!

「あの、家宝の盾を見せて頂いてもよろしいですか?」
「おお、構わんよ。そこの壁に飾ってあるのがその盾だ」
コレかよ!
しれっと飾ってあるから気付かなかった!

俺は持ってきた天空の剣を包みから出し、盾に近づける。
盾は剣と共鳴する様に、淡い光を放つ。
間違いない、天空の盾だ。

「き、君!その剣は何だね!何で我が家の盾と共に光っている?」
振り返るとルドマンさんが驚いた様に問いかけてきた…
めんどくさいけど俺は全てを説明した。
天空の武具の事、伝説の勇者の事、我が父パパスの事、母マーサの事、そして俺の人生の事を…



<サラボナ>
フローラSIDE

「なんと、そんな壮絶な人生を送っているのか…」
私は自分がイヤになった。
リュカには目的がある。
お父さんの遺言の為、お母さんを助ける為、その為に地獄の様な苦しみを耐え抜き、この町へやって来た。
なのに私は、そんな彼を騙し利用しようとしている。
メイドが運んできた紅茶を、リュカは美味しそうに飲んでいる。
そんな彼からは、彼の壮絶な人生を伺う事は出来ない。
「リュカ…あのね…今回の試練の本当の目的はね…」
リュカは紅茶を飲みながら不思議そうな顔をする。
「本当の目的は、私の結婚相手を決める事なの!」
(ブッー!)

フローラSIDE END



<サラボナ>

「リュカ…あのね…今回の試練の本当の目的はね…」
何だ?
本当の目的って?
人に嫌がらせをすることか?
「本当の目的は、私の結婚相手を決める事なの!」
(ブッー!)
思わず紅茶を吹き出した!

「え!何?結婚!?…財産譲渡の相手を決めるんじゃないの?」
何だこの状況は!?
「何だ?君は知らなかったのか?だが、間違ってはいないだろ。フローラと結婚すれば我が家の財産も手に入る」
いやいやいや!おかしいですよ、カテジナさん!(byウッソ)

「何考えてるんですか!娘の結婚相手をこんな方法で決めるなんて!そんな親、見た事無い!」
「ここにいるだろ」
「ワァ、ホントーダ!」
このおっさん!しれっと言いやがった!
「フローラはそれでいいの?」
「よく…ないです…」
当たり前だ!
大して好きでもないヤンチャ坊主と結婚なんか、誰がしたがるか!

「ほら!ルドマンさ「だから!」
え!
「だから、真実を黙ってリュカに参加してもらいました。リュカに合格してほしいから!私はリュカの事が好きだから!」
フローラは泣いている。
きっと俺を利用した事を悔やんでいるのだろう。
また女の子を泣かせてしまった。最低だな俺。
「フローラ…僕は必ず二つのリングを手に入れる。そうしたら話し合おう。僕らはお互いの事を殆ど知らないのだから」
泣くなよ…
俺は美女の涙に弱いんだから…



<死の火山>

あの後一度宿屋に戻り、事の次第をみんなに告げた。
マーリンの爺は「ひょ~っほっほっほ!フローラさんは美人なんじゃろ?お前さんの大好物じゃないか!良かったのぉ!」とかほざきやがった!
なんて爺だ!碌な死に方しないぞ!
そんな訳でピエールと死の火山に来ている。
他のみんなは宿屋で待機。


<死の火山>
アンディSIDE

屈強な冒険者達が、このダンジョンの過酷さに耐えきれず早々に引き返して行く。
僕は諦めない!フローラと結婚する為に!
凶悪なモンスターが徘徊する中、慎重に気配を殺して突き進む。
僕も冒険者を一人雇った。
自称№1の冒険者。報酬は成功払いで…
逃げ出すスピードが№1だった。
まぁ、後払いじゃそんなもんか…
一人は怖い…
モンスターに見つかりそうになれば、地べたを這いずり回りかわす。壁と同化してやり過ごす。
フローラには見せられない程情けない姿だ。

少しずつだが進んで行くと、遠くから歌が聞こえてくる。
暑さと恐怖のせいで幻聴が聞こえてるのかと思ったが、どうやら誰かが歌っている。
他の挑戦者が大声で歌いながら進んでくる様だ。
馬鹿なのか!?
ここのモンスターはかなり手強い!
そんなモンスターの群れに、四六時中襲われ続けるのは危険極まりない!
にも関わらず歌い続けている。

歌に気付いたモンスターの群れが、僕の前を通過する。
僕は壁に同化してやり過ごす。(僕は壁、僕は壁です。)
歌は止まない。
途切れ途切れだが、ずぐ再開する。
歌の源が僕の前を通り過ぎる。
紫のターバンを巻きマントをした逞しい戦士風の男だ。

彼の事は見覚えがある。
町でフローラと楽しそうに話をしていたのを覚えている。
彼はモンスターのスライムナイトを連れている。
出立前に町にモンスター使いがいると聞いたが彼の事らしい。
彼も財産目当てで、ご自慢のモンスターを連れてやって来たに違いない。
目の前で彼らが襲われる。
大声で歌っているからだ!

だが彼らは強かった。
僕では到底敵わない相手を、スライムナイトは一瞬で倒す。
しかし男の方の強さは、スライムナイトを凌駕するものだ!
4.5匹の敵を瞬時に駆逐する!
剣速が早すぎて、僕には刃が見えない…
何事も無かった様に戦闘を終わらせると、何事も無かった様に進み始める。
この間30秒とロスはしていない…
僕はこの人達を利用する事にした。

アンディSIDE END


<死の火山>

今日は喉の調子が良い!
『翔べ!ガン○ム』を歌っていたが、燃え上がりそうな歌だった為ピエールに止められた。
「リュカは熱いの平気なのか…」
ピエールは辛そうに聞いてきた。
鎧脱いで裸になっちゃえばいいのに…
「うん!僕は寒いのは苦手だけど、熱いのは大丈夫。夏男!」
夏、大好き!熱いのへっちゃら!女性よ薄着になれ!!

「ところで…後ろのアレは何だ?」
ピエールは右手の親指を立てて、肩越しに後ろを指す。
さっきすれ違った、ヒョロい男が物陰に身を隠し(ているつもり)ながらついてくる。
「きっとここのモンスターに勝てそうにないから、僕らの事をボディーガード代わりに利用するつもりだよ」
引き返せる内に帰れば良いのに…
「いいのか?」
「別にいいよ。目的はリングだから。それさえ手に入れられれば…」
リングさえ奪われなければ、それでいい…



 
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