勇者(元)の学園生活
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原作前の学園生活
勇者の悩みと初めての友達?
前書き
今回もよろしくお願いします。
グレモリーさんとの初めての接触から3ヵ月。
俺は部活に入っていないため、授業が終わるとすぐに帰宅する。黒歌が帰って来たおれを毎日出迎えてくれる。その愛くるしい姿を見るたびに学校での疲れがいやされた。
帰宅後は、出された課題をこなしたり、ご飯を食べたり、黒歌と並んでテレビを見たりして寝て、また次の日には学校へ向かう生活を行っていた。
平日には、黒歌と昼寝をしたり、散歩に出掛けたり、買い物に行ったりしていた。
身体が鈍らないように毎朝ジョギングをして、近くの公園で動作の確認をする。これは異世界から帰ってきてから毎朝行っている事で、どんなことがあってもいいように身体を鈍らせないようにするためだ。
時々、人間を襲っている化け物を見つけるので、一瞬で倒し、人々を守る勇者(元)としての役割をはたしていた。
この3ヶ月、特に代わり映えのない平穏な日常を家では過ごしていた。
そう、家では平穏だった。
朝起きて朝食を食べ、黒歌に見送られながら学校へ登校する。登は学校まで徒歩で登校している。学校に近付くにつれ、登校中の駒王学園の生徒が増えていく。
他の生徒を見かけ始める頃から、俺の平穏は終了する。
俺をみる多くの生徒の瞳から切望、興味、嫉妬、憎悪が感じられ、居心地が悪く、胃にダメージをくらうからだ。
それも今日や朝だけの特別な事ではなく、ここ2ヶ月以上続いていて、学校にいる間ずっとだ。
学校にいる時間は学生にとって1日の大半であり、その長い間こんのような感情を灯した瞳で見られると、多くの修羅場をくぐり抜けた勇者(元)であっても辛く、基本的に臆病な性格の俺には、魔王との戦いよりも重大な負担が掛かっていた。
俺にはこんな視線を向けられた経験がある。
それは俺が異世界で勇者として戦っていた時の事で、仲間の3人の女性メンバーと俺が一緒に必要な物質を買いに市場に行った時のこと彼女達は好意を向けられていたが、俺は気付いていなかった頃の話だ。
周りの人達には、彼女達が俺に好意を向けているのは一目瞭然で、それも、1人の男に対して、とびっきりの美少女3人からだ。
そんな様子を見せつけられた者共は狂喜乱舞し始めた。
男どもは人を殺しかねないような目で睨み付け、女性は四人の関係に思いを馳せながら、ナンパ目的に来ていた男は徒党を組み、貴族や商人は自分やせがれの嫁に来てもらおうと求婚し、噂がよんでさらに人が集まり、市場の機能は停止したが、最終的には決闘などを行いだし、お祭り騒ぎとなった。
もちろん買い物する事ができなく、後日また、彼女達と出かけるはめになったが。
今向けられている感情はあの時と似ている…………いや、まったく同じだと思う。
ああ、何があってこんな状況になったかって?
「おはよう。上山君。」
「…………ああ、おはようグレモリー」
ほとんどこいつが原因だ。
グレモリーさんとの放課後黒歴史事件の次の日。
昨日の事があったので気にしていたが学校でのグレモリーさんかはの接触もなく、授業と授業の間の休み時間はグレモリーさんバリア(取り巻きの生徒)が今日もはたらいていて、俺の平穏な学園生活が過ぎていく…………はずだった。
昼休みに俺は今だ友達もいないため、自分の机で1人、作った弁当を食べていた。他のクラスメイト達は数人で固まって楽しそうに笑いながら昼食を食べていて過ごしていた。
その日の昼休み。
やっと昼休みまでの授業が終わり、他の生徒は食堂へ行ったり、友達と一緒にご飯を食べるため集まり始めていた。
はぁ~。楽しそうだなぁ。賑やかなクラスで1人だけで食べてるのって目立つし、無性に惨めに感じるなぁ。
クラスで食べるの嫌だし、明日から弁当を持ってこずに食堂で昼食買ってたべようかなぁ。はぁ~。
登は歴代最強の勇者であったため、期待の大きさに潰されそうになった事があったり、強大すぎる力を持つゆえに孤独を感じた事も多く、自身の両親を早くに亡くしていたため、1人の辛さになれてはいたが、やはり寂しさを感じる人間であった。
少し泣きそうな顔になりながらも登は昼食の準備をし始めた。
もしも、俺の未来の切っ掛けとなる地点が存在するならばは、それはこの瞬間だったのだろう。
「お昼を一緒に食べないかしら?」
美しい響きのある声だった。
暗い霧に覆われていたはずの頭に何故かその声だけは届き、霧が晴れたようで、止まっていた思考を再開させた。
今の言葉は誰かが誰かを昼食に誘った言葉だろう。俺に向けられた言葉ではない事はわかっている。
でも、誰かへ向けられた言葉だったけれど、泥沼にはまりかけていた俺は、その声によって救われた。
我ながら勝手だと思う。
俺の学園生活は最初は失敗したかもしれないけど、挽回するチャンスはいくつもあった。「自分は変人と思われているのでクラスメイトとは話す事ができないんだ」と決めつけ、それを言い訳にし、クラスメイトと交流しなかったのは自己責任だ。
あほらし。俺、どんだけ自分に酔ってんだよ。悲劇のヒロインにでもなったつもりか?こんなのが歴代最強の勇者?歴代の勇者に土下座もんだなあ!逆に笑えてくるな。
…
……
…………
………………
……そうだな。なんで勝手に完結してたんだろ。やり直す機会なんてたくさんあるんだ、これから頑張っていけばいいだけじゃないか。勇気を出して一歩踏み出せばいいだけだ。勇気を出すなんて、勇者の十八番だろ。当たって砕けるかもしれないけど、100回当たれば1回くらい当たるかもしれない。あとは気持ち次第だ。
そうだなぁ……、まずは俺を救ってくれた声の持ち主にでも1回当たりにいきますか。
そういえば、さっきの声の持ち主って誰なんだろ?結構近くにいるのかなぁ?
そこで初めて下に伏せていた顔をあげ辺りを見回し、自分の横に誰かが立っている事に気が付いた。
その人は、昨日俺をからかって楽しそうな笑みを浮かべていた表情ではなく、俺の目を真っ直ぐに見て優しそうに微笑んでいるグレモリーさんだった。
Side リアス・グレモリー
昨日私が気が付いた事は念のため朱乃とソーナには伝えておいた。二人と話した結果、警戒しておく事が決まった。
今日は上山君に私からささやかな仕返しをするつもり。最後に見えた少し勝ち誇った顔が悔しかったわけではないわ。
昨日は放課後だったので時間がない事を理由に話ができなかったから、時間のある昼休みに突撃するつもりよ。上山君はいつも昼休み教室で一人で弁当を食べているから、他の人が居ないため、二人っきりで話ができるわ。
もし上山君が今朝から話をしようと彼の元へ向かえば、昼休みに彼は食堂に逃げられるかもしれないから、意表をつくため、昼休みまでは彼に接触しないようにしないと。
授業が終わり昼休みになった。いつもなら私は朱乃とソーナと一緒に教室で昼食を食べるけれど、今日は彼と話ため二人には昨日の内に断っておいた。朱乃も一緒に行きたがっていたが、今日は上山君へのささやかな仕返しのためにも二人っきりで話たいため、断った。
上山君の近くには今日も誰もいなく、チャンスだと思って、私は後ろから彼に歩いて向かった。
初めは、私が上山君に話し掛ける事で彼がどんな反応をしてくれるのかを楽しみにしていたが、彼の背中を見てその考えを捨てた。
何故なら、上山君の背中が今すぐにでも壊れそうなほど儚くちいさな物に見え、彼は顔を下に向けていて表情はわからなかったが、直感で泣いていると思った。
私がどうしてそう思ったかはわからないけれど、上山君を助けたい、守ってあげたいと思った。
だから、私はできるだけ優しく上山君が安心できるように精一杯気持ちを込めて話しかけた…………
「お昼を一緒に食べないかしら?」
Side out
あれ~?何でグレモリーさんがいるんですか?てか、何時から居ました?俺また昨日と同じ失敗してるんじゃね?あれですか、昨日のお返しですか?え!?本当にどういうこと??え?え?
俺は気持ちの整理がついたにも関わらず混乱している様子で、その様子をグレモリーさんは穏やかな表情のまま見つめ、幼い子供に言い聞かせるようにまた語りかけた。
「上山君。お昼を一緒に食べないかしら?」
俺はその言葉を聞いて、目を大きく見開かせながら驚いた顔をして、次に泣きそうな顔になりながら、最後に笑顔で言葉を返した。
「ああ……一緒に……、一緒に食べましょう。」
2人は一緒にに向き合いながらご飯を食べ、多くの事を話た。他愛もない話をしたり、時々笑いあった。
まだ知り合って数十分と短い時間だけど、2人の間には確かな関係が生まれていた。
2人は気づいていないが、クラスにいたクラスメイトは静かにその様子を見守っていて、2人の会話の内容や様子から登のイメージが改善されていった。
その日から俺に話しを掛けてくれる人が現れ、俺自身も話を掛けるようにしていき友人もでき始め、高校生活8日目にして俺はクラスの一員となった。
話がこれで終われば、高校生の美しき友情の物語だった。
次の日から、俺は新しくできた友達と休み時間にしゃべったりして、夢にまで見た理想の高校生活を過ごしていた。
問題は昼休みからだった。
俺は新しくできた友達とご飯を食べようと誘おうとした時、
「上山君、お昼を一緒に食べましょ!」
とグレモリーさんが誘ってきてくれたのだ。
俺は、新しい友達と食べてみたかったが、グレモリーさんから誘ってくれたのがお昼を食べるようにした。
グレモリーさんは、高校での初めて友達であり、俺は彼女を何故か心から信頼していて、他の男友達よりも話やすかった。
グレモリーさんほどの美少女と会話をしている男を見れば、男どもは嫉妬に狂った眼差しをその男に向けるが、クラスのみんなは昨日の俺と彼女の会話を見ていたため、そんな感情を抱く事なく、生暖かい目で見ていた。
その状況もグレモリーさんが落としてくれた爆弾によって変わってしまったが。
「上山君、私はあなたを登と呼ぶから私もリアスでいいわよ」
一瞬でクラスが凍りついた。
が、彼女は立て続けに爆弾を落とした。
「登、明日の昼休みの時に朱乃とソーナも誘っていいかしら?」
凍りついたクラスはマイナス零度すらも振り切ってしまったようで、誰もがこちらを向いたまま固まっていた。
俺は状況を上手く飲み込めていなかったが、気づいた事が1つだけあった。
グレモリーさん…………、あなたと昼食を食べるのは確定なんですね。
その日から俺は、昼休みに美少女3人に囲まれながらご飯を食べている上、グレモリー……リアスの名前を呼び捨てにしていい許可をもらった唯一の男子生徒として、1学年だけでなく、全校生徒から嫉妬と憎悪の視線で睨まれる事になった。
それが現在俺が嫉妬と憎悪で見られている理由だ。
え?切望と興味は何でか?
それはこいつではなく、俺が1ヶ月にやらかしたのが原因だ。
後書き
今回も読んでいただきありがとうございます。感想待っています。
次回の投稿は遅くても水曜日に投稿します。
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