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勇者(元)の学園生活

作者:おおぞら
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原作前の学園生活
  勇者(元)の片鱗

 
前書き
今回もよろしくお願いします。 

 


切望や興味といった感情が向けられ初めたのは、入学式から1ヶ月ほどたった頃からだ。





俺がリアスと昼食&爆弾事件(別名リアスお姉様公認事件)からの被害(嫉妬や憎悪)と昼食時の雰囲気に慣れてきて、順調な学園生活を過ごしていた。

この1ヶ月にできた友達と帰りに遊びに出掛けたり、休み時間には話をしたりと変わった事があった。

が、昼休みの時だけは俺とリアス、朱乃、蒼那と4人で昼食を食べることだけは変わらなかった。




ん?名前の呼び方が変わっている?




それは、ざんね……嬉しい事にリアスだけではなく、姫島さんも支取さんからも呼び捨ての許可をいただいてしまったからだ。

まあ……それが原因で俺への被害が増えたのは簡単に予想がつくだろう。

俺は3人が人間ではない事に気づいていたが、気が付いていないふりをして関係を続けることにした。

彼女達と過ごすのは楽しかったし、勇者としての観察眼から、彼女達が危険だとは思わなかったからだ。


それに………………彼女達が敵であったとしても、俺勝てるし。


もしも、彼女達が俺の力に気がついて尋ねてきた時は、誤魔化さないようにしようと思うぼど俺は彼女達のことが好きだ。





















もちろん、Loveじゃなく、Likeで。





















それに、俺をどう思っているか彼女達に聞くと口を揃えて、

「弟ね(ですは)(です)」

と言う風に俺は弟ポジションなのである。

同い年なのに悲しい。なーんて思ってなんかないし!ほんとにこれっぽちも思ってないし!


俺のクラスはこの事実を知っているため、周りからの被害が少なく、逆に暖かい目で見られているほどで毎回俺は恥ずかしかった。
























俺は1ヶ月ほど前まで異世界で勇者をしていた。

その世界には魔法があり、モンスターがいて人外魔境そのもので、勇者である俺はその世界の人外筆頭であった。

何せ数えきれないほどの戦いを人の身でありながらこなしていたからだ。

そんな俺のスペックは高過ぎるため、バレたら世界記録総なめ&即解剖である。

だから、俺はそれを普段隠して過ごしていた。
















が、問題が発生したものだ。
















それはその日の早朝に担任の先生から説明された。

「今日は身体能力測定を行う。」


そう、身体能力測定である。


身体能力測定……文字通り、身体能力を測るためことで。内容は、自身の運動能力と身長や体重などのポテンシャルを測るためにさまざまな測定を行う。

駒王学園の身体能力測定は、体育の授業で行うものではなく、同学年で一斉に丸2日かけて行うという、特別な行事であった。

怪我や体調不良で見学する事ができたが、その場合は回復次第に後日行われるため、受けないと言う選択肢が存在しないのだ。

だから、俺は困った。受けないと言う選択肢がない事を知らなかったので、駒王学園に入った事を少し……いや、結構後悔するほどだ。

やっば!やっば!どうしよかなぁ?絶対受けないとだめってどんだけ体育会系の高校やねん!

突然すぎる展開に混乱している俺を残し、先生の話は続く。

「初日の午前中に体重や身体と握力を測って、午後にハンドボール投げと50メートル走を測定します。」

午前中は握力だけ気を付ければいいけど、午後からがヤバいなぁ。少しでも本気せ出せば終わりだしなぁ。


握力……知ってる?剣って意外に重いんだせ。重い剣の方が攻撃力高いんだぜ。ひたすら剣をブンブン振り回してたんだぜ?

ハンドボール投げ……俺は弓の才能がなかった。だから遠距離魔法が使えない時は、握りこぶしサイズの石を数キロメートルほど離れたところから投げてましたよ?

50メートル走……勇者時代の俺は光速戦闘してたんだぜ。え?高速戦闘じゃないのかって?おいおい……光速戦闘だろ?文字通り光の速さで戦うから光速戦闘だろ?


もしここに、彼のパーティーメンバーが居たら、

「いやいや、そんなのお前だけだから!そんな基本だろ?みたいな感じです言うなよ!」

と口を揃えて言うだろう。

俺は日時生活を問題ない程度には調整する事ができる。が、俺の軽い運動は常人にとっては規格外なのだ。困ったなぁ。

俺が対策を考えている間に測定が始まっていった。










身長と体重は問題なく終わり、握力の測定となり、俺は握力計を右手で握って準備をし、先生の合図を待っていた。

先生が合図をしようと口を開いたその時、俺はくしゃみをしてしまった。

はぁ…はぁ…はぁっくしゅん!!














バキッ!!













ん?何か変な音がなったような?まぁ、いっか。

俺は音に気にせず握力計を見ると、その数値は0であった。

おかしいな?ほんの、ほんのすこーししか力は入れてなっかたはずだけどなぁ?そっか!入れて無さすぎて反応しなかったんだなぁ!ミスったなぁ。

測定は左右1回ずつのため、やり直しができなかった。

さすがに高1となって、握力0ってのは笑い話だな。だから左は頑張らなきゃな。

俺は気を取り直して、左手に握力計を握り、先生の合図でさっきより力をすこーし込めて握った。
















バキバキッ!………………コトン










またなんか変な音と何かが落ちたような音が聞こえたなぁ?それより数値!数値!

左手の握力計の数値はまた0であった。

えー!また0かよ!ミスったなぁ。うわー、絶対この話弄られるなぁ。本気を出せばスッゴいのに本気出せないなんて、勇者(元)はつらいぜ。

俺はそう思いながら記録用紙の握力の欄に0と書いて、先生に提出する。が、先生に「ふざけているのか」と怒られ、目立ってしまう。そのせいで他の人に記録を知られてしまった。

なぜか回収物の中には、力をいれても数値が変わらない壊れた握力計と1本のネジがあったらしい。










昼休みの昼食の時に、ポニーティルの女子生徒が凄く楽しそうな笑みを浮かべながら、ある男子生徒に話し掛けていたのは余談である。












拷問のような昼休みが終わり、次のハンドボール投げの測定に移った。

ハンドボール投げは直径1メートルの円の中から、ボールを2回投げる事ができる。円から外に出ない限りは助走したり、遠心力を使って投げたりできる。が、1歩でも外に出てしまうと、記録は0である。

俺は軽く投げても数百メートルは飛んでしまう。

しかし、俺はハンドボール投げの作戦だけはすでに考えていた。

その作戦は、













円からで~ちゃお!作戦













0狙いである。

ただ円から出るだけでは、またお説教コースなので、助走をつけ過ぎて足が1歩出てしまったように見えるようにする。

もちろんボールを軽く投げても数百メートルは飛んでしまうので、腕と関節を固定して、体を後ろから前に倒す反動で投げる(落とす)。

それなら周りからは、助走をして頑張って投げたけど円から足が1歩出ているため記録が0になってしまった、かわいそうな人にしか見えず。先生も頑張ってる姿から怒らず、逆に慰めたくなるという完璧な作戦だ。

いける!こんな作戦を考えるなんて、今日は頭が冴えてるな!

俺は緊張したような表情をしながら、心の中ではわらいながら待機していた。


俺の順番となった。ハンドボールを右手で持ち、円の内側のギリギリまで下がる。腕を持ち上げ、腕と関節を固定し、合図とともに、助走をつけ、体を前に倒しながら、ボールを手放…………そうとしたが、途中で石に躓いた。
慌てて本来の身体能力を発揮させたのでこけずにすんだが、ボールを途中で手放していた。

失敗かと俺はおもいながら、俺の片足が1歩、円の外にある事を見て、心の中で成功に喜び、顔を上げてボールの位置を確認した。















あれ?ボールがないぞ?

















ドンッ!!











「え?」


俺の横からは大きな音が聞こえ、砂ぼこりが立ち込めていた。

砂ぼこりがはれた先に何があるのか見ると、なぜか俺が投げたボールがあった。

え?何でボールが円の内側に落ちてるの?

俺が首をひねっている一方で、回りが騒がしかった。

「今ボール、上に飛んだよなぁ?」

「飛んだけど、あれ俺のマンションの高さくらい飛んでたぜ。」

「え?たしかお前のマンション、40メートル以上あっただろ?」

「まぐれでしょ?」

「いやいや、まぐれであれはないだろ。」

「化けもんや!」

周りの声を聞く限り俺はボールを上に投げたようだ。それも、真上に40メートル以上。高1のレベルじゃねえよ!あと、化けもんとか言うなよな、意外と気づつくんだからね。ヤバい目立ち過ぎてる、どうしよ、どうしよう?……と、取り敢えずもう1回、さっさと終わらせて隠れよ。

急いで俺はボールを掴み、対策を考えながら円に入っていった。

結果はどうあれ、ボールが円の中にあった以上、1回目の記録は0メートルだ。たぶん原因は躓いたことで慌てたせいだな。上にあれだけ飛ばせたのに、前に飛ばさないのはさぼってると思われそうだし、今度はどうしよかなぁ?ん~…………そうだ!手首だけ動かせばいいんじゃね?えーと……スナップ?の動きでボールを投げればいいか。よし!それでいこう!

俺は掴んだツルツルなボールを手首のスナップの動きだけで投げた。もちろん円からは足が1歩外に出ている。

ん?なんかさっきより投げやすかったような?

違和感を感じたが気にせずボールを見ると、放物線を描きゴトッ!という音とともに30メートルくらいのあたりに落ちた。

俺はよし!成功!と思っていたが、

「おいおい……今の……鉄球だぜ!」

「まじか、ハンドボールじゃなくて?」

「30メートルくらい飛んでるよな。」

「たしか砲丸投げの世界記録って23メートルだったような」

「うちに勧誘しなければ」

どうやら俺はまたやらかしたみたいだ。










質問や勧誘の取り巻きから解放され、またお説教をいただいた俺は、次の測定である50メートル走を行おうとしていた。

前回のハンドボール投げ?で目立ってしまったため、俺の測定は注目の的だった。

見られてんなあ~。はぁ~。こんなに見られるのはいややなあ。見えんようにする方法ないかなあ?いっそのこと認識阻害の魔法でもかけよっかなぁ…………………………!!魔法があるじゃん!そうだよ、今までの事を魔法で対処すればOKだったじゃん!最近使ってないから完全に忘れてたなあ。

異世界から帰還した俺には電化製品様がいらっしゃったので、魔法で光をだしたり、食べ物を温めたり、冷やしたりする必要がなかったので完全に忘れてたのだ。

ハンドボール投げの時にハンドボールに重力魔法をかけていれば………………あーだめだ。ボールが落ちた時に重すぎてクレーターができちゃうなあ。投げる時に気づいてても魔法使えなかったな。

でも、50メートル走にはピッタリな魔法がある。

それは同化魔法だ。

効果は自身のスペックが相手とまったく同じになるというもので、勇者時代にまだ弱かった俺が強制的に戦えるレベルにするために生み出したオリジナルだ。

50メートル走は2人1組で走るから、魔法をかけて相手のスペックになれば、高校生の速さで走ることができる。完璧な作戦だ。

俺の順番が回ってきて走る準備をする。俺と一緒に走るのは違うクラスの人で、

「おい!相沢が走るみたい。」

「ホンマや!どれくらい速いんやろ?」

「速いに決まってんだろ?」

「相沢と一緒に走るって誰?。」

「知らないの?ハンドボール投げで鉄球投げてた子よ。」

「えーと名前は上山だったか?」

「え?何でみんな相沢見てんの?」

「ああ。お前違うクラスだから知らないのか。相沢は………」

名前は相沢と言うみたいだ。騒がしいな。クラスのみんなが知ってるっことは、リア充か?羨ましいぜ。周りをきにせず、

『同化』

俺は自分に同化の魔法をかけ、クラウチングスタート体勢で準備していた。

ピストルの音が鳴り、相沢と俺は走り出した。

相沢は俺が思っていた以上に速かったが、魔法の効果は絶対で。俺を相沢と同タイムで走りきった。

「……5秒80」

先生は少し躊躇いながら記録を告げた。

よし!えーと……5秒80って速いのかなぁ?だいたいどれくらいが速いなのか?他の人の記録を聞いてなかったからわからんな。

俺は基準がわからずにいたが、周りがおしえてくれた。

「5秒80って、速すぎやろ。」

「2人とも高校生のスピードちゃうで。」

「さすがオリンピック候補生の相沢君ね!」

「オリンピック候補生と同じ上山って、どんだけだよ!」

「勧誘しなきゃね!」

えー!オリンピック候補生!相沢君……君、そんなにすごい人なのかい?やっべー、同化する相手間違えたな。

驚いている俺に相沢君が近付いてきて、

「すごいね上山君!」

「相沢君……。」

「僕は昔から走るのが速くていつも優勝していたけど、競え合えるライバルが欲しかった。でも、オリンピック候補生になってからもライバルになってくれそうな人は見つからなかった。僕は多分心の中で諦めていたと思う。けど、今日君に出会えた!僕の走りに付いてこれるライバルになってくれそうな君に!さぁ上山、僕と一緒に陸上部に入って走らないか?」


えーー?なにこの子?まったく知らないのにいきなり語りだすとか。なにこの子怖い。

「えーと、部活は入らないんだ。」

「いやいや!君は陸上部にはいるべきだ。なぜなら…………」

相沢君は俺が断ったのにも関わらず話を続け、周りはザワザワ騒いでいるまま、俺の身体能力測定の初日は終わった。

初日の感想?やらかしただけですが?











2日目も当然のごとくやらかしたが、またの機会でいいだろう。











そんなわけで測定で規格外ぷりが少しバレた俺は、いくつもの運動部から勧誘を受け、また俺自身に興味を持つ人が増えたのである。





















これが俺に嫉妬と憎悪以外の切望や興味の視線が向けられるようになった、やらかした1ヶ月前の出来事だ。























3ヶ月たった今でも相沢君からの勧誘は毎日続いている。

 
 

 
後書き
今回も読んでいただきありがとうございます。
 
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