魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者
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第41話 美少女総選挙
『さあ、皆さんお待たせしました!!急遽!!我が生徒会長水無月楓先輩が企画した聖祥美少女総選挙、開幕します!!』
うおおおおおおおおーーーー!!
男子から大声援が響く。
大きい体育館でやっているこの企画、放課後の自由参加だというのに全生徒の8割は来ている。
『さて今回も司会を担当させて頂くキャンディーは直ぐに噛んでしまう、有栖零治です!!』
『それ言う必要あるのか?』
『こっちは今回のもう一人の司会、ジュースの氷は全部食べちゃう加藤桐谷君です!!』
『だから言う必要ないだろ…………加藤桐谷です。皆さんよろしく』
きゃあああああ!!
『わーい女子から黄色い声援が……………これだからイケメンは。馬に蹴られて地獄に落ちろ』
『それは人の恋路を邪魔したやつだろ。いいから早く始めるぞ』
『そうですね。それでは始めましょう!!』
流石だね二人共。大勢の前でも臆せず普通に話せる。
しかも二人共アドリブでやるって言ってたし、やっぱり二人には是非生徒会をやってほしいな。
これにはやてちゃんを足して、真面目な人を入れれば完璧。
う〜ん、どうやって入りざるおえない状況を作ろうか………………
『それでは企画説明、イケメンで頭脳明晰の桐谷君よろしく』
『………お前根に持ってるだろ?』
『そんなことないさ〜』
『はぁ………今回は12人の女子が登場します。まず、それぞれ説明を零治君がし、各々一言意気込みを言ってもらいます。そしてそのあとが本番。季節は夏なので彼女達には浴衣を着てもらいアピールをお願いします。それを踏まえて投票をお願いします』
うおおおおおお!!
『嬉しいか野郎共!!こんなチャンス滅多にないからしっかり目に焼き付けろ!!』
『女子の人達も是非投票お願いします』
『因みに撮影は禁止だ。怖い生徒会メンバーが監視してるから気を付けろ』
『それでは早速参りましょう。まずはエントリーナンバー1番。アリサ・バニングスさんです!』
ステージ脇から現れるアリサさん。すると………
アリサちゃーん!!
おお、やっぱり人気あるねぇ。
男子の声援が大きい。
『彼女のクラスは2ーA。【燃える女】の異名を持ち、世界を狙える右を持つ彼女。得意技はリバーブローとガゼルパンチ。1番強い技が………すいません、調子に乗りました、俺が悪かったので右手を下げて!!』
今のは零治君が悪い。
アリサさんは零治君に近づいてマイクを奪い、自己紹介を始めた。
『アリサ・バニングスよ。このバカが変なことを言ったけど、普通の女の子と変わらないからコイツの言葉は流してね』
『アリサさん、意気込みを』
『取り敢えず、推薦してくれた人のためにも最低限の事はするわ』
そう言ってマイクを零治君に渡すアリサさん。
なんとまあ、さっぱりしてますね。
けれど、これも人気の1つなのかな。
「「「「「アリサ様ー!!!」」」」」
1番前にいる覆面の男子達が大声で声をかけている。
と言うより、最前列、横に端から端まで覆面姿って不気味ね………
『はい、上から目線のコメントありがとうございました』
『余計なことは言わんでいい。続いてはエントリーナンバー2番、月村すずかさんです!』
桐谷くんの声と共にすずかさんがステージ脇から現れた。
アリサさんの時も思ったけど、大勢の前なのに平然としてるわね。
流石お嬢様と言ったところかしら?
『彼女もまた、2ーAです。持ち前の雰囲気とスタイルは中学生離れしており、性格も良い彼女は男女共クラスの人気が高いです。間違いなく今回の本命でしょう』
あれ?今度は全くボケないわね零治君。
『珍しく普通だな』
『それくらい完璧なんですよ彼女。本音を言うと、我がクラスの魔王様以上に怒らせたら大変そうだから』
『何故そう思うんだ?』
『俺の勘がそう警鐘をならしている』
そう思ってるのに口にできる零治君に敬意を送るよ………
『零治君………』
『ハッ、なんでしょうか!?』
『マイクを貸して』
『かしこまりました』
そう言ってマイクを渡す零治君。
『初めまして月村すずかです。今回推薦という形ででることとなりました。期待に応えられるように頑張りたいです』
パチパチパチパチ!!
拍手がわき、すずかさんはマイクを零治君に渡しました。
あれ?何か耳元で話してますね。あ〜あ、零治君の顔が真っ青に………
『ありがとうございました。続きまして………って、零治、顔が真っ青だぞ?』
『だ、大丈夫。この企画が終わるまでは………』
『?まあいい。エントリーナンバー3番はこの人、高町なのは!』
次はなのはさんね。彼女はある意味有名だからみんな知っているわね。
『た、高町なのはです。皆さんよろしくお願いします』
桐谷くんからマイクを受け取り、少し緊張しながらも自己紹介するなのはさん。
『彼女も2ーAですが、彼女の事は誰もが知っているでしょう。だが敢えて説明しましょう!!彼女こそ2ーAに住む【魔王】の称号を持つ人物です!!可愛い外見とは裏腹に“オハナシ”と言うキーワードを言えばそれを聞いたものを地獄に突き落とす………』
それ以上の言葉は出なかった。
なぜなら………
『オハナシ………する?』
どこから取り出したのか、広辞苑を右手に持ち、零治君の頭に落としたから………
それによって零治君が倒れました。
一気に会場が冷めたわ。
『あ、ありがとうございました。オハナシは終わった後でお願いします』
桐谷君がすかさずフォローする。
『分かったの…………』
取り敢えず収まったけど零治君は倒れたまま。
これは不味いかも………
『ハッ!?俺は一体何を………』
『おい、今は総選挙本番中だぞ。ぼーっとしてるなよ』
『そうか?…………すまない。けど頭に鈍い痛みがある気がするんだけど………』
『昨日、寝違えたんだろ』
『ああ、なるほどな』
納得するの!?
『では、気を取り直して。次はエントリーナンバー4番フェイト・T・ハラオウン!』
桐谷君が同じ要領で発表し、フェイトさんがステージ脇から出てきたけど………
物凄く、カチコチで手と足が一緒に出てる。
なんか凄く可愛い………
『ふぇ、ふぇ、フェイト・T・ハラオウンで、です。えっと………その………が、頑張ります!!』
うおおおおおおー!!!!
「「「「「フェイト姫ー!!!」」」」」
もう、男子から大声援。
頑張ってー!!と応援する女子すらいる。
『今のを見た通り、いつもの時とは全く違うギャップ。これほど恐ろしいものがあるだろうか、いや無い!!』
うんうんと最前列の覆面の男子も頷いてる。
いいぞ、我らが宿敵!!なんて言っている人も。
『気合い入ってるな………』
『当たり前だ。彼女も優勝候補筆頭だからな。しかし、一体総選挙はどうなるのか?桐谷君、次よろしく頼むよ』
『分かったよ。エントリーナンバー5番、フェリア・イーグレイ!』
今度はあの小さい子か。
綺麗な銀髪でちょっと羨ましいなあ………
『フェリア・イーグレイだ。皆、よろしく頼む』
あら、本当に一言ね。
『フェリアさんも2ーAです。世の男共、彼女の良さは言わずとも分かってるだろう。だからこそ敢えて説明しない。だが、一言言わせてもらおう。これもアリだ!!』
あれ?涙流して頷いている男子いるけど一体どうしたの!?
『あっ、でも実際変なことをしたら捕まるから絶対するなよ』
ブーブーブー!!!
うわっ今度はブーイングの嵐だ………
『やかましい!!当たり前だろうが!!桐谷、ドンドン行くぞ』
『……………分かったよ。続いてはエントリーナンバー6番、佐藤加奈!』
わああああー!!
歓声は小さいわね…………
まあ転校してきたばかりだから仕方ないかもしれないけど、ちょっと寂しいわね。
『佐藤加奈です。私の兄がお騒がせして申し訳ありません。後でシメますので…………』
その言葉を聞いて会場のみんなが引いた。
『お前、やる気あるのか?』
『それ以上に余計な事言ってばかりいる兄さんをシメておきたいから。後で調教ね』
手をポキポキ鳴らしながら言う加奈さん。
「女王様キターーーーーーー!!!」
「俺も調教されたい!!」
「むしろ踏まれたい!!」
M男達にはかなり人気みたいね。
『うるさいわね、一回シメるわよ!!』
その発言に更に盛り上がるM男達。
『加奈、そのくらいにしろ。…………続いてエントリーナンバー7番、八神はやてさんです!』
『みんな、久しぶりや〜!みんなのアイドル、八神はやてやで〜』
マイク片手に大きく手を振ってみんなに話しかけるはやてちゃん。
流石、イベントになるといいノリするわね。
『変なこと言うなよ、どこらへんからアイドルなんだ?』
『上から下までに決まってるやないか。それに私も一応推薦で選ばれたんやで』
『いや、お前はお笑い要因として俺が推薦しといた』
『零治君かい!!』
ドカン!とどこから取り出したのかはやてちゃんはハリセンで零治君をぶっ叩いた。
ドカン?
『はやて変な音が聞こえたんだけど………』
『ふふふ、よくぞ聞いてくれたで零治君。今回ハリセン52号を改造したんや。ハリセン52号改めハリセン52号改!!今回は様々な音を出すことに成功したんや』
そう言ってもう一度零治君の頭をハリセンで叩いた。
ブヒ!
『今度は豚さんや。他にも5つ位あるで』
『おおっスゲェ!!』
『今度はカスタム化するつもりやで』
『次は一体何になるんだ!?』
『どうでもいいわ!!』
桐谷君が二人で盛り上がり始めている零治君達に拳骨を食らわせる。
『お前ら何大勢の人の前でくだらない話を始めてんだよ。今回の企画分かってるか?』
『えっと…………総選挙?』
『何で疑問形なんだよ………』
『だって…………』
ブーブーと文句を垂れるはやてちゃん。
桐谷君がいなかったら止まらなかったわね………
『はぁ………さて次は………』
『ちょ!?もう出番終わりなんか!?』
『零治、つまみ出せ』
『イエッサー』
ずるずるとステージ脇に連れて行かれるはやてちゃん。
まあ、なんというか…………どこにいても零治君とはやてちゃんは変わらないね………
『さて、零治がつまみ出していますが、次にいきたいと思います。エントリーナンバー8番………』
こんな感じで自己紹介は進んで行った…………
『エントリーナンバー11番、真田佳苗さんです!』
『初めまして、真田佳苗です。図書委員をやっています。私なんかが出ていいのか分かりませんが、皆さんよろしくお願いします』
メガネをくいっと上げながら自己紹介する真田先輩。
紹介もとうとう後1人となった。
何かこれが終わったら俺殺される気がするんだけど………
まあ取り敢えず今回のこの企画を終わらせることだな。
『真田さんは会長と同じクラスの3−Cで親友です。会長と同じ雰囲気を持っているので、ものすごく不安を感じますが紹介します。生徒会が調べたところ……………………』
『どうした?』
『………………データが無い………』
『えっと…………これは………』
俺と桐谷が真田先輩に問いかけるように見ると、
『あら、女性のプライバシーをバラすなんて男として駄目よ』
そう言ってニヤリと笑った。妖美な感じで観客から歓声が上がっているが、俺と桐谷は苦笑いしかでなかった…………
((この人絶対会長と同じだ………))
『エ、エントリーナンバー12番、菊地カナタさんです』
『みんなー初めまして、1ーBの菊池カナタでーす!!』
「「「「「カナタちゃーん!!」」」」」
『みんなーありがと〜!!』
大きく手を振り歓声に答える菊池。
なんでも有名なアイドルだとか。
興味無いから知らないけど。
『現役アイドルユニット、CUVEのメインボーカルをしている彼女。今回の本命と言っても過言じゃないです』
『普通だな………』
『いや、資料にはこれしか書いてないし、俺は興味なかったから。それに余計な事を言うなって会長にも言われてんだ』
『ちょっと、失礼過ぎない!?』
『そんなの今更だ。はいこれで全員だよな』
『だから勝手に終わらせるなって!!』
『そうよ!もっと私を紹介しなさいよ!!』
『残念!尺が無い。はやて!その子つまみ出してくれ』
『了解や!』
ステージ脇からはやてがやって来て無理やり菊地を連れて行く。
『ちょっと、やめなさいよ!!』
『文句なら零治君に後で言ってや』
そう言ってステージ脇に消えて行った。
『…………今更だけど本当にやりたい放題だったな』
『まあいいじゃん。それじゃあ、ここで特別参加の紹介に行きたいと思います』
『今回この企画の発案者であり、生徒のトップ、水無月楓さんです!』
『会長カモ〜ン!!』
俺の掛け声で生徒会メンバーに引っ張られながら現れる会長。
おお、睨んでる睨んでる………
『………どういうことかな二人共?』
『日頃のしかえs………お礼です』
『思いっきり仕返しって言おうとしてたよね』
『いやいや、会長にはお世話になってばかりで俺は本当に………』
『桐谷君はどうなの?』
『零治が勝手に計画して俺と生徒会メンバーはそれに仕方なく協力してるだけです』
ちょ!?
よく見るとステージ脇にいる生徒会メンバーも頷いてるし……………
『まあ、協力した時点で許す気はないんだけどね。みんな覚悟しといてね』
ものすごくいい笑顔で言う会長。
この瞬間、生徒会メンバーから笑顔が消えた…………
『それじゃあ取り敢えずみんな知っているでしょうけど………水無月楓です、推薦で総選挙に出ることになりました』
さっきの怒りは何のその、いつも通りの会長に戻った。
『みんな、よろしくね!それじゃあ桐谷君、浴衣審査の説明よろしく』
『あ、はい。浴衣審査ですが、各自こちらで用意した浴衣を着てもらい披露してもらいます。それも踏まえて1番美少女だと思った人に投票をお願いします』
『はい、良くできました。じゃあ私も準備してくるからあとよろしく』
そう言ってステージ脇に消える会長。
『それでは皆さん少々お時間をいただきます。今のうちにトイレ休憩などを済ませておいてください』
桐谷の説明で見ていた生徒達もそれぞれ動き始める。
「俺たちも少し休むか」
「ああ、そうだな」
俺は桐谷に声を掛けてステージ脇に入っていった。
「ほら」
「ああ、サンキュ」
桐谷が投げてくれたお茶のペットボトルを受け取り、口をつけた。
俺たちは今、ステージ脇のパイプ椅子に座って休憩している。
「しかし結構盛り上がってるな」
「それくらい人気があるってことさ」
というよりここの学校には変わり者が多すぎる。SBS団みたいな覆面かぶった奴らもいれば、中学生で幼女趣味な奴など。
転生する前の中学生はこんなんじゃなかったはずだ。
「それもそうか、確かに彼女たちは皆美人だしな」
「誰か気になる奴とかいないのか?」
「俺は…………まあいないかな。確かに彼女たちは美人だが、すでにご執心な人物がいるみたいだし」
「ふ〜ん。まあ、アイツらも女の子だから気になる奴ぐらいいるだろうな…………ってどうした桐谷、頭を抑えて、頭痛でもするのか?」
「………原因は分かってるよ」
「そうか?ならいいけど。でもお前もフェリアと一緒に勉強したりしてるじゃないか。結構まんざらでもないんだろう?」
「まあ、フェリアとは話が合うが、特になんとも」
動揺なく淡々と言う桐谷。
つまんねぇな………
転生前からそうだったが、コイツはいつもこうだ。
時折、女より男の方が好きなんじゃないかとも思ったりするが、ちゃんとエロ本を持ってたりするところを見るとそうでもないみたいだ。
せっかくイケメンなのに本当に勿体ない………
神崎までとはいかなくとも俺もアピールすると思う。
「それに俺はそんな資格なんか………」
「ん?何か言ったか?」
「いや………それよりお前はどうなんだ?フェイトとデートしたんだろう?」
「まあデートというより子供の面倒の手伝いだな。しかし弟はいいな………エリオって言うんだけど、純情でさ、すごく可愛かった。俺も本当は口うるさくない弟が欲しかったぜ。………っていうか何で知ってるんだ?俺、誰にも話してないんだけど」
「フェリアに聞いた。詳しく言えば星達に聞いたフェリアだけどな」
「アイツら………帰ったら説教だな」
付いてきてやがったな………
「俺から聞いたって言うなよ」
「分かってるよ」
「二人共、準備出来たぞ!!そろそろ再開だ!!」
生徒会の男子生徒に言われ俺達は立ち上がる。
「じゃあ、行くか」
「ああ」
俺たちは再びステージに向かった………
『皆さんお待たせしました!!準備が整いましたので美少女総選挙再開します!!』
『彼女達はどんな浴衣を選んだのでしょうか?…………それでは順に入場です!!』
俺がそう言ったと同時に体育館の明かりが消える。
そして今流行りのヒップホップな曲が流れ、ステージ上の中心がライトアップされる。
しかし凝ってるな………
マジでファッションショーみたいだ。
『先ずはアリサ・バニングスさんの登場です!』
桐谷がそう言うとアリサがゆったりとステージ脇からステージ中心へと歩いていき、中心の明かりに照らされた。
「な、何よ……………」
「い、いや…………」
俺はマイクで喋ることを忘れて見とれてしまった…………
アリサは赤を基本とした浴衣で白い花(恐らく菊?)が綺麗にマッチしている。
「零治、司会司会………」
そうだった!!
『素晴らしく美しい!!流石燃える女、素晴らしいです!!』
『綺麗ですね。これは皆さんにも高評価ではないでしょうか?』
会場はさっきの様子とは別に感じるほど静まっている。
アリサが中心から脇に帰って行く。
ステージ脇に帰ってから………
うおおおおおおおおお!!!
きゃああああああああ!!!
大喝采が湧き上がった…………
「良かった………」
「ううん、アリサちゃん綺麗だったよ」
「うん、零治君も見とれてたもん」
「そ、そうかな………」
すずかとなのはに言われて私も嬉しかった。
前半とは違って盛り上がらなかったから失敗だったのかと心配したけど盛り上がってくれて良かった。
それにしても見とれてくれたんだ………
確かにじっと見られたような気がしたけど…………
「フフ………」
「アリサちゃん?」
「何でもないわよ。それより次はすずかでしょ。準備したほうが良いわよ」
「あっ!?それじゃあ私行くね!!」
「うん、すずかちゃん頑張って!!」
ステージへと向かうすずか。
すずか、あの鈍感男を驚かせてあげなさい!!
『続いては月村すずかさんです、お願いします!』
桐谷がそう言うと、再びステージ脇からすずかがゆっくりと歩いてくる。
すずかの浴衣は無難な紺だが、すずかの髪の色とマッチしており、凄く綺麗だ。
「月村さん、綺麗………」
「羨ましい………」
女子からも声が聞こえる。
さっきのアリサのギャップに不覚にも見とれてしまったけど、すずかの浴衣も予想通りであるけれども素晴らしかった。
『大変綺麗でしたね。特に男子達は歓声が上がらないほど見とれていますね』
『これこそ大和撫子と言っても過言じゃない!この学校でよかっな野郎共!!』
「オオーッ!!」
「当たり前だー!!」
「すずか様最高!!」
いいね、変な奴が多い学校だけどノリの良さは最高だ。
『続いては高町なのはさんお願いします!』
桐谷の言葉でなのはが歩いてくる。
中心に現れたなのはは白の浴衣。そこに様々な色の星のマークが入っている。 前の二人とは違い、今時の若者の浴衣って感じだ。
だけど、それもアリだ!!
「なのは可愛いー!!」
「こっち向いてー!!」
「「「「萌え〜!!」」」」
『はい男子、直接萌え〜は気持ち悪いから心の中にだけにしとけ』
そう俺が言うと顔を真っ赤にして頷くなのは。
いいね、いつも魔王様じゃなくてこっちの萌えなのはだったら最高なのに………
『高町さんありがとうございました。続いてはフェイト・T・ハラオウンさんです!』
次はフェイトか………
予想では黒だと思ってたけど、黒の浴衣ってちょっとな………
と思いながら見ていたらフェイトは黄色の浴衣を着ていた。黒の模様が所々入っており、可愛い。しかも、恥ずかしがってモジモジしているのを見ると思わず抱きしめたくなってしまう。
「「「「「可愛い〜!!!」」」」」
「「「「「フェイト姫萌え〜!!!」」」」」
「生きてて良かった………」
うわっ、泣きながら言ってる奴もいるよ………
確かに萌えるけどさ………
『次は佐藤加奈さんです!』
我が愚妹の登場。
水色の爽やかな浴衣を来ており、これだけ見ると明るい清純そうなイメージを感じる。
でも、実際は………
「………………」
アイツ、本当に俺の心読んでないか?
メッチャにらんでるし………
(何でアリサみたいに見とれないのよ。いつもとは違う雰囲気の浴衣選んだのに………)
『加奈さん、ありがとうございました。続きましては………………っと皆さんにお知らせです。次のフェリアさんとはやてさんですがお二人で一緒に登場することになりました!それではお願いします!』
前回と同様にゆっくりと中心に進む二人。しかし二人は手を繋いでいるみたいだ。
そして、二人が中心にやって来たが………
「ぐはっ!?」
「は、反則だろ………」
「じいちゃんばあちゃん、俺今行くよ………」
SBS団に壮絶なダメージ。
殆どの人数が倒れた。
『お前ら………』
俺も頭を抑えた。
なぜなら………
『何で浴衣審査って言ったのに犬耳と尻尾つけてんだ!!』
二人は同じミニスカートの浴衣(模様の色は別)に犬耳、尻尾を着けていたからだ………
これじゃあコスプレみたいなもん…………
『違うわ!私のは狸耳と狸の尻尾やで!』
『んな事どうでもいいんだよ!』
『零治、私は狼だ』
『だから知らねえって!!しかも何で嬉しそうなんだよ!?』
『かっこいいではないか。それに浴衣とは耳と尻尾を着けるのではないのか?』
『そもそも前提が間違ってるから!』
誰だ、フェリアに変な事吹き込んだの………
しかも二人共何故か声が響いてるし。
ふと、ステージ脇を見ると顔をだした会長がサムズアップしてた。
かいちょうー!!!
結局、あのままになりました。
コスプレっぽくなってしまったのでどうかと思ったが観客は大盛況だったのでそのままスルー。
そして次々と進んでいき、前半同様後3人になった。
『さて次は真田佳苗先輩です!』
中央に現れた真田先輩はすずかに負けないほどの大和撫子だったのでものすごく青い浴衣が似合ってる。
動きなども一つ一つ大人っぽくて流石だと感じました、ごちそうさまです。
SBS団も静かにガン見だったからな…………
『次は菊池カナタさんです!』
「「「「「カナタちゃーん!!!!!」」」」」
ファンクラブか?
男の声が体育館に響いた。
『みんなありがとー!!』
手を振りながら中央に現れる菊池。
しかし……………
カラフルな浴衣に異様に短いスカート。少しジャンプしたらパンツが見えそうだ。
SBS団は姿勢を低くして覗こうとしてるし…………
マイクもどっから持ってきてんだよ………
いや、似合ってるし可愛いんだけどね。
『最後は我らが会長、水無月楓さんです!』
急遽参加になった会長が中心に現れる。
花火を連想させるような柄が入った浴衣に狐のお面を頭に着け、うちわを持っている。
大人っぽい会長が子供っぽく見えて……………やべ、アリだ!
『零治君?そんなエロい目で私を見ていいのかな?』
『見てねえよ……………いいから早く下がってくださいよ。投票してもらわないと………』
「この変態ー!!」
「女の敵ー!!」
『よーしそこの覆面共、とっとと出て行け。それとお前らにだけは絶対に言われたくない!!』
『投票するんだろ?喧嘩売るな…………』
桐谷に静止され俺も怒りを抑える。
『そうだな…………さっさと終わらせて逃げないと…………』
さっきからステージ脇から感じる殺気が半端ない………
俺、生きて星達に会えるかな?
そんでもって投票。
生徒会メンバーが高速で集計。
その時間わずか30分。
流石生え抜きのメンバー。あの会長は人を見る目があるよな……………
「はぁ〜やっぱりお茶はほうじ茶よね〜」
その会長はこんなんだけど………
『皆さん、お待たせしました!!投票結果を発表します!!』
桐谷も進行にすっかり慣れたな。
現在、ステージ上に横一列で浴衣美女達が並んでいる。
『今回の結果は中々の接戦でした。さあ、誰が優勝でしょうか?』
『では結果発表です!!』
ステージが暗くなりスポットライトが動く。
『それでは優勝は……………』
桐谷がためる……………
『優勝は八神はやてとフェリア・イーグレイ!!』
「えっ!?」
「うそやろ!?」
『アンケートは接戦でしたがこの二人のペアが一番票が多かったです。特に女性票も多く、半分は女性票でした』
『何か二人分って感じがするけど…………でも結果はこのようになりました。それでは二人共一言ずつお願いします』
俺ははやてからマイクを近づけた。
『みんな〜おおきにな〜!!』
『えっと……………か、感謝する………』
『それでは二人にはトロフィーの授与を、会長お願いします』
桐谷がそう言うと会長がステージ脇に行ってトロフィーを取りに行く。
『二人共おめでとう』
『『ありがとうございます』』
『二人に盛大な拍手を!!』
そう言って俺は拍手を始めるとそれにのって会場の皆が拍手をしてくれる。
『これにて美少女総選挙を終了にします!!』
こうして第一回美少女総選挙が終わった…………
「零治君………」
「覚悟は………」
「いいかな………?」
ただいま俺は3人の美女の前に正座しています。魔王様、燃える女、すずか様の…………
今から起きるであろう身の不幸に俺は不安でしょうがない………
「まあいいじゃない。それくらいにしてあげなさいよ」
は!?まさかの会長が俺に助け舟!?
一体どうしたんだよ!?
「それより気になること………ない?」
それを聞いて3人が首をかしげる。
「零治君が誰に投票したか………」
「「「!!!」」」
「そういえば零治君は誰に投票したんや?」
「私も気になる」
「ちなみに桐谷君は?」
「俺はすずかに。一番似合ってると思ったからな」
「あ、ありがとう………」
真っ直ぐ言われて照れるすずか。
よし、このままどさくさに紛れて…………
「零治君、何処に行くのかな?」
会長が逃げようとした俺を見つけやがった。
「ちくしょう、捕まってたまるか!!」
「あっ零治君が逃げた!!」
「逃がさないわよ!!」
直ぐに反応したなのはとアリサが追ってくる。
「絶対捕まってたまるか!!」
絶対言いたくない!!
「あ〜あ、逃げちゃった………」
「それで桐谷君、零治君は誰にいれたの?」
残ったメンバーで零治の話を始める。
「いや、流石に…………」
「言ったらオシオキ無しにしてあげる」
「アリサにだよ。いつもと違うギャップに凄く驚いたらしい」
「へぇ………」
「でも確かにアリサちゃん綺麗だったよ」
「というか簡単に親友を売りすぎなんちゃう?」
「命とは代えられん、親友なら許してくれるさ」
「何気に酷いな桐谷…………」
「それより加奈、さっきから何落ち込んでんだ?」
みんなと少し離れた場所で座っていた加奈。
「ほおっておいて………今、どうやって鈍感兄にお仕置きするか考えているんだから」
「そ、そうか…………」
異様な雰囲気の加奈に桐谷はそれ以上何も言えなくなった。
ただ分かってることは………
「零治、ドンマイ………」
「ぎゃああああああああ!!」
そう呟くと同時に零治の絶叫が聞こえる。
桐谷は零治の無事を祈り、お祈りをしたのだった………
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